真理発見訳新約聖書 (Truth Discovery Version New Testament)

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Truth Discovery Version New Testament (English)

真理発見訳新約聖書 (日本語)

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认识真理新约圣书译本 (中文简体字)

認識真理新約聖書譯本 (中文繁體字)

Eon-Cognizant New Testament Commentary (English)

世々の認識のある新約聖書解説 (日本語)


マタイ

マタイ 第1章↑

1:1. アブラハムの息子であり、ダビデの息子であるイエス・キリストの系図の本。

1:2. アブラハムはイサクをもうけた、またイサクはヤコブをもうけた、またヤコブはユダと彼の兄弟たちをもうけた、

1:3. またユダはタマルからパレスとザラをもうけた、またパレスはエスロンをもうけた、またエスロンはアラムをもうけた、

1:4. またアラムはアミナダブをもうけた、またアミナダブはナアソンをもうけた、またナアソンはサルモンをもうけた、

1:5. またサルモンはラハブからボアズをもうけた、またボアズはルツからオベデをもうけた、またオベデはエッサイをもうけた、

1:6. またエッサイはダビデ王をもうけた、またダビデはウリヤの妻からソロモンをもうけた、

1:7. またソロモンはレハベアムをもうけた、またレハベアムはアビヤをもうけた、またアビヤはアサをもうけた、

1:8. またアサはヨサパテをもうけた、またヨサパテはヨラムをもうけた、またヨラムはウジヤをもうけた、

1:9. またウジヤはヨタムをもうけた、またヨタムはアハズをもうけた、またアハズはヒゼキヤをもうけた、

1:10. またヒゼキヤはマナセをもうけた、またマナセはアモスをもうけた、またアモスはヨシヤをもうけた、

1:11. またヨシヤは、バビロン移動のころ、エコニヤと彼の兄弟たちをもうけた。

1:12. バビロン移動の後、エコニヤはサラテルをもうけた、またサラテルはゾロバベルをもうけた、

1:13. またゾロバベルはアビウデをもうけた、またアビウデはエリヤキムをもうけた、またエリヤキムはアゾルをもうけた、

1:14. またアゾルはサドクをもうけた、またサドクはアキムをもうけた、またアキムはエリウデをもうけた、

1:15. またエリウデはエレアザルをもうけた、またエレアザルはマタンをもうけた、またマタンはヤコブをもうけた、

1:16. またヤコブはキリストといわれるイエスをもうけたマリヤの夫ヨセフをもうけた。

1:17. それで、すべての代は、アブラハムからダビデまで十四代、ダビデからバビロン移動まで十四代、バビロン移動からキリストまで十四代である。

1:18. イエス・キリストの誕生は次のようであった。彼の母マリヤはヨセフと婚約していたが、彼らが一緒になる前に見つけられた、聖霊から身ごもっていることを。

1:19. 彼女の夫ヨセフは正しくて、彼女をさらし者にしたくなかったので、ひそかに彼女を去らせようとした。

1:20. 彼がこれらのことを熟考していると、見よ、主の使いの者が夢に現れて言った。「ダビデの息子ヨセフよ、あなたの妻マリヤを受け入れることを恐れてはいけない。彼女の内にもうけられたのは聖霊からなのだから。

1:21. 彼女は息子を産む。あなたは彼の名をイエスと呼ぶ。彼は自分の民を彼らの罪から救うからである」。

1:22. このことすべてが起こったのは、預言者を通して主によって語られたことが成就されるためである。こう言っている。

1:23. 「見よ、その処女は身ごもって息子を産む。彼らは彼の名をインマヌエルと呼ぶ」。これは、「神は私たちと共にいる」と訳される。

1:24. そして、ヨセフは眠りから覚め、主の使いの者が彼に命じたとおりに行ない、自分の妻を受け入れた。

1:25. 彼女が息子を産むまで彼女を知らなかった。そして、彼の名をイエスと呼ぶことになった。

マタイ 第2章↑

2:1. イエスがヘロデ王の日々に、ユダヤのベツレヘムで生まれたとき、見よ、賢人たちが東からエルサレムに来て、

2:2. こう言った。「ユダヤ人の王として生まれた方は、どこにおられますか。わたしたちは東で彼の星を見たので、彼を拝みに来ました」。

2:3. これを聞いてヘロデ王は動揺した。全エルサレムも彼と共に動揺した。

2:4. 彼は民の祭司長たちと書記官たちとをみな集めて、キリストはどこに生まれるのかと彼らに尋ねた。

2:5. 彼らは彼に言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者を通してこのように書かれているからです。

2:6. 『ユダの地、ベツレヘムよ、あなたはユダの指導者たちの中で、決して最も小さいものではない。あなたから支配者が出て、わたしの民イスラエルを牧するからである』」。

2:7. そこで、ヘロデは賢人たちをひそかに呼んで、星の現れた時間を彼らから正確に聞き出した。

2:8. 彼らをベツレヘムに送ってこう言った。「行って、その子について正確に調べ、見つけたら、わたしに報告しなさい。わたしも彼を拝みに行くから」。

2:9. 彼らは王の言葉を聞いて行った。すると、見よ、東で見た星が彼らの先を行き、その子のいるところの上まで行って止まった。

2:10. その星を見て、彼らはとても大きな喜びをもって喜んだ。

2:11. そして、家に入って、その子が自分の母マリヤと共にいるのを見て、ひれ伏して彼を拝んだ。そして、自分たちの宝箱を開けて、彼に黄金と乳香と没薬を贈り物としてささげた。

2:12. そして、夢でヘロデのところに戻らないようにと警告されたので、他の道を通って自分たちの国へ行った。

2:13. 彼らが行ったとき、見よ、主の使いの者が夢でヨセフに現れて言った。「立って、その子と彼の母を連れて、エジプトに逃げ、わたしがあなたに知らせるまでそこにとどまっていなさい。ヘロデがその子をもうすぐ捜し出して、彼を殺そうとしているからです。」。

2:14. 彼は立って、夜のうちにその子と彼の母を連れてエジプトへ行き、

2:15. ヘロデが死ぬまでそこにいた。それは、預言者を通して主によって言われたことが成就するためであった。こう言われていた。「わたしはエジプトからわたしの息子を呼び出した」。

2:16. その時、ヘロデは賢人たちに騙されたことが分かると、非常に立腹した。そして人々を遣わして、賢人たちから正確に聞き出した時間に基いて、ベツレヘムとその附近の全地域にいる二歳以下の男の子のすべてを殺させた。

2:17. その時、預言者エレミヤを通して言われたことが成就された。こう言われていた。

2:18. 「ラマで声が聞えた。激しい泣き声と悲しみが。ラケルは自分の子供たちのために泣き、慰められることを願わなかった。彼らがいないからです」。

2:19. ヘロデが死んだとき、見よ、主の使いの者が夢でエジプトにいるヨセフに現れて、

2:20. 言った。「立って、その子と彼の母を連れて、イスラエルの地に行きなさい。その子の魂をねらっていた者たちは、死んだのだから」。

2:21. そこで、彼は立って、その子と彼の母を連れて、イスラエルの地に行った。

2:22. しかし、アケラオが自分の父ヘロデに代わりにユダヤを王として支配していると聞いて、そこへ行くのを恐れた。そして夢で警告されて、ガリラヤの地方に退き、

2:23. ナザレと呼ばれる町に来て住んだ。預言者たちを通して、「彼はナザレ人と呼ばれるであろう」と言われたことが成就されるためであった。

マタイ 第3章↑

3:1. その日々に、バプテストのヨハネが来て、ユダヤの荒野で宣べ伝えて

3:2. 言った。「心変えよ、天々の王国は近づいているのだから」。

3:3. この者は、預言者イザヤを通して言われた者だからである。こう言われていた。「荒野で叫ぶ者の声がする。『あなたたち、主の道を整えよ、まっすぐに、彼の道筋をつけよ』」。

3:4. ヨハネ自身は、らくだの毛からできた衣服を着、自分の腰のまわりに皮の帯をしめ、彼の食べ物はいなごと野蜜であった。

3:5. その時、エルサレムとユダヤ全体とヨルダン附近の全地方の人々が、ヨハネのところに出てきて、

3:6. 自分たちの罪を告白し、ヨルダン川で彼によってバプテスマされた。

3:7. 多くのパリサイ人やサドカイ人が彼のバプテスマに来るのを見て、彼らに言った。「まむしの子らよ、差し迫ってきている怒りを逃れるようにと誰があなたがたに示したのか。

3:8. だから、心変えにふさわしい実を結びなさい。

3:9. わたしたちの父にアブラハムがいると自分たちの中で思ってもいけない。あなたがたに言っておく、神はこれらの石からアブラハムの子供を起すことができるのです。

3:10. 斧がすでに木々の根もとに置かれている。だから、良い実を結ばない木は、すべて切り倒されて、火に投げ込まれるのです。

3:11. わたしは心変えのために、水であなたがたをバプテスマしています。しかし、わたしの後から来る方はわたしより力がある。わたしは彼の靴を運ぶ値うちもない。彼は、聖霊と火であなたがたをバプテスマされるだろう。

3:12. 箕を自分の手に持って、自分の脱穀場をきれいにし、自分の小麦を倉に集め入れて、もみ殻は消すことができない火で焼き払われるだろう」。

3:13. その時、イエスはガリラヤからヨルダンに来て、ヨハネのところに来る。彼によってバプテスマされるためである。

3:14. しかし、ヨハネは彼をとどめて言った。「わたしはあなたによってバプテスマされる必要がありますが、あなたがわたしのところへ来られるのですか」。

3:15. しかし、イエスは答えて彼に言った。「今はそうさせてもらいたい。すべての義を成就するのは、わたしたちにふさわしいことだから」。そこで彼はそうさせた。

3:16. イエスはバプテスマされると、すぐに水の中から上がった。すると、見よ、天々が開いた。彼は、神の御霊が鳩のように下って自分の上に来るのを見た。

3:17. また、見よ、天々の中からの声が言った。「これは、わたしの息子、愛する者、わたしは彼を喜ぶ」。

マタイ 第4章↑

4:1. その時、イエスは謗魔によってためされるために霊によって荒野に導かれた。

4:2. そして、四十日四十夜、断食をした後で、空腹になった。

4:3. すると、ためす者が近づいてきて彼に言った。「神の息子なら、これらの石がパンになるよう言ってください」。

4:4. 彼は答えて言った。「『パンによってだけではなく、神の口を通して出て来るすべての言葉によっても、人は生きる』と書いてある」。

4:5. その時謗魔は、彼を聖なる都に連れて行き、彼を神殿の庇翼に立たせて、

4:6. 彼に言った。「神の息子なら、下へ自身を投げてください。『あなたに関し、自分の使いの者たちに命じて、手々であなたを上げる、あなたの足が石に打ち当たることのないように』と書いてあるからです」。

4:7. イエスは彼に言った。「『あなたの神、主をためしてはならない』とも書いてある」。

4:8. 謗魔はまた彼を非常に高い山に連れて行き、世界のすべての王国とその栄華とを見せて、

4:9. 彼に言った。「ひれ伏してわたしを拝むなら、これらすべてをあなたにあげます」。

4:10. するとイエスは彼に言った。「退け、サタンよ。『主、あなたの神を拝み、ただ彼にのみ神聖な奉仕をささげよ』と書いてあるからです」。

4:11. そのとき、謗魔は彼を離れ、そして、見よ、使いの者たちが近づいてきて彼に仕えた。

4:12. しかし、ヨハネが引渡されたと聞いて、ガリラヤへ行った。

4:13. そしてナザレを去り、ゼブルンとナフタリの地域にある海辺のカペナウムに来て住んだ。

4:14. 預言者イザヤを通して言われたことが、成就するためである。こう言われていた。

4:15. 「ゼブルンの地、ナフタリの地、海の道、ヨルダンの向かい側、諸国の民々のガリラヤ、

4:16. 暗闇の中に座っている民は大きな光を見、死の地とその陰に座っている人々に光が昇った」。

4:17. その時からイエスは宣べ伝え始めて言った。「心変えよ、天々の王国は近づいているのだから」。

4:18. ガリラヤの海辺を歩いている時、彼は二人の兄弟、ペテロと呼ばれたシモンと彼の兄弟アンデレが海に投げ網を打っているのを見た。彼らは漁師だったからである。

4:19. そして、彼は彼らに言った。「わたしについて来なさい。あなたがたを人々をとる漁師にします」。

4:20. 彼らはすぐに網を残して、彼について行った。

4:21. そこから進んで行って、彼は他の二人の兄弟、ゼベダイのヤコブと彼の兄弟ヨハネが彼らの父ゼベダイと一緒に舟の中で彼らの網を繕っているのを見た。彼は彼らを呼んだ。

4:22. 彼らはすぐに舟と彼らの父を残して、彼について行った。

4:23. 彼はガリラヤの全地を巡って、彼らの諸会堂で教え、王国の良い知らせを宣べ伝え、民の中のあらゆる病気とあらゆる衰弱をいやした。

4:24. そこで、彼の噂はシリヤ全体に行って、彼らはすべてのわずらっている者、いろいろの病気を持つ者、試金石によってのように試される状態に押しつけられている者、悪霊に取り憑かれている者、てんかんの者、中風の者を彼のところに連れてきて、彼は彼らをいやした。

4:25. ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤ及びヨルダンの向こう側から、多くの群衆が彼について来た。

マタイ 第5章↑

5:1. 彼は群衆を見て、山に登った。彼が座ると、彼の弟子たちが彼のところに近づいてきた。

5:2. そこで、彼は口を開き、彼らに教えて言った。

5:3. 「霊に貧しい者たちは、しあわせだ。天々の王国は彼らのものなのだから。

5:4. 悲しんでいる者たちは、しあわせだ。彼らは慰められるのだから。

5:5. 柔和な者たちは、しあわせだ。彼らは地を受け継ぐのだから。

5:6. 義に飢え渇いている者たちは、しあわせだ。彼らは満たされるのだから。

5:7. あわれみ深い者たちは、しあわせだ。彼らはあわれみを受けるのだから。

5:8. 心に関して清い者たちは、しあわせだ。彼らは神を見るのだから。

5:9. 平和をつくる者たちは、しあわせだ。彼らは神の息子たちと呼ばれるのだから。

5:10. 義のゆえに迫害される者たちは、しあわせだ。天々の王国は彼らのものなのだから。

5:11. 彼らが、わたしのゆえに、あなたがたをののしり、迫害し、あなたがたに対して偽ってあらゆる邪悪なことを言う時には、あなたがたはしあわせだ。

5:12. 喜びなさい。大喜びしなさい。天々においてあなたがたの報いは大きいのだから。彼らは、このように、あなたがたより前の預言者たちを迫害したのです。

5:13. あなたがたは、地の塩です。しかし、その塩が味を失えば、何によってその塩気がつけられるでしょうか。もはや、何の役にも立たず、外に投げ捨てられて、人々にふみつけられるだけです。

5:14. あなたがたは、世界の光です。山の上にある町は隠れることができない。

5:15. あかりをともして、それを枡の下におく者たちはいない。むしろ燭台の上において、家にいる者たちみなを照らす。

5:16. このように、あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい。彼らがあなたがたの良い行ないを見て、天々にいるあなたがたの父をたたえるためです。

5:17. わたしが律法や預言者たちを廃止するために来たと思ってはならない。廃止するためではなく、成就するために来たのです。

5:18. だから、まことをもって、あなたがたに言っておく。天と地が過ぎ去り、すべてのことが成就するまでは、律法から一点もまたは一画も過ぎ去ることはない。

5:19. それゆえ、これらの最も小さい戒めの一つでも破り、またそうするように人々に教える者は、天々の王国で最も小さい者と呼ばれるだろう。しかし、それを行ない、また教える者は、天々の王国で偉大な者と呼ばれるだろう。

5:20. だから、わたしはあなたがたに言っておく。あなたがたの義が書記官たちとパリサイ人たちのものにはるかに勝っていなければ、決して天々の王国に入ることはない。

5:21. 昔の人々に『殺人を犯してはいけない。殺人を犯す者は裁きを免れない』とお告げされたことを、あなたがたは聞いた。

5:22. しかし、わたしはあなたがたに言う。自分の兄弟に対して腹を立てる者はみな、裁きを免れない。自分の兄弟に『無能者』と言う者は、サンヘドリンを免れない。『愚か者』と言う者は、火のヒンノムの谷を免れない。

5:23. だから、祭壇に自分の供え物をささげようとする場合、自分の兄弟が自分に対して何か恨みを持っていることを、そこで思い出したなら、

5:24. 自分の供え物を祭壇の前に残しておき、行きなさい。まず自分の兄弟と仲直りをし、それから来て、自分の供え物をささげなさい。

5:25. あなたは、あなたの告訴人と一緒に道を行くまでの間に、早く好意を示しなさい。さもないと、その告訴人はあなたを裁判官に引き渡し、裁判官は下役に引き渡し、そして、あなたは牢に投げ込まれる。

5:26. まことをもって、あなたに言っておく。最後の一コドラントを返すまで、あなたは決してそこから出てはならないことになっている。

5:27. 『姦淫するな』とお告げされたことを、あなたがたは聞いた。

5:28. しかし、わたしはあなたがたに言う。誰でも、欲するために人妻を見る者は、彼の心の中ですでに彼女を姦したのです。

5:29. もしあなたの右の目があなたをわなにかけているのなら、それをえぐり出して、自分から捨てなさい。あなたの体の一部が滅びても、あなたの全身がヒンノムの谷に投げ込まれない方が、あなたにとって得策です。

5:30. もしあなたの右の手があなたをわなにかけているのなら、それを切り取って、自分から捨てなさい。あなたの体の一部が滅びても、あなたの全身がヒンノムの谷へ行かない方が、あなたにとって得策です。

5:31. 『自分の妻を解き放す者は彼女に離縁状を与えよう』とお告げされた。

5:32. しかし、わたしはあなたがたに言う。誰でも、淫売以外の理由で自分の妻を解き放す者は、彼女に姦淫を犯させるのです。解き放された彼女と結婚する者は、姦淫を犯すのです。

5:33. また昔の人々に『偽り誓ってはいけない。あなたの誓ったことを主に与えなさい。』とお告げされたことを、あなたがたは聞いた。

5:34. しかし、わたしはあなたがたに言う。いっさい誓ってはいけない。天をさして誓ってはいけない。神の玉座なのだから。

5:35. 地をさして誓ってはいけない。彼の足の足台なのだから。エルサレムに向かって誓ってはいけない。偉大な王の都なのだから。

5:36. 自分の頭をさして誓ってはいけない。あなたは髪の毛一本さえ、白くも黒くもすることができないのだから。

5:37. あなたがたの言葉は、はい、はい、いいえ、いいえ、であるべきです。それ以上のことは、邪悪な者から来るのです。

5:38. 『目には目を、歯には歯を』とお告げされたことを、あなたがたは聞いた。

5:39. しかし、わたしはあなたがたに言う。邪悪な者に抵抗してはいけない。あなたの右の頬を打つ者には、他の頬をも彼に向けなさい。

5:40. あなたを訴えてあなたの上着を手に入れようとする者には、外衣をも与えなさい。

5:41. あなたを徴集して一マイル行かせる者とは、彼と一緖に二マイル行きなさい。

5:42. あなたに求める者には与えなさい。あなたから借りようとする者に背を向けてはいけない。

5:43. 『自分の隣り人を愛し、自分の敵を憎め』とお告げされたことを、あなたがたは聞いた。

5:44. しかし、わたしはあなたがたに言う。自分の敵を愛し、あなたを迫害する者のために祈りなさい。

5:45. 天々にいるあなたがたの父の息子たちとなるためです。邪悪な者の上にも良い者の上にも、自分の太陽を昇らせ、義人である者にも義人でない者にも、雨を降らせるのだから。

5:46. あなたがたが自分を愛する者を愛したからといって、何の褒美があろうか。取税人たちも同じことをしているではないか。

5:47. 自分の兄弟だけに挨拶をしたからといって、優れた何かをしているだろうか。諸国の人々も同じことをしているではないか。

5:48. 従って、ちょうどあなたがたの天々の父が完全であるように、あなたがたは完全であることとします。

マタイ 第6章↑

6:1. 人々に注視されるためにあなたの義を人々の前で行うことのないよう気をつけなさい。でなければ、天々にいるあなたがたの父からの報酬を得ることはない。

6:2. だから、施しをする時には、偽善者たちが人々から栄光を受けようとして会堂や街頭でするような、ちょうどあなたの面前でトランペットを吹き鳴らすような吹聴をあなたはしてはいけない。まことをもって、あなたがたに言っておく。彼らは彼ら自身の報酬を集めているのです。

6:3. あなたが施しをする時には、あなたの右手のしていることをあなたの左手に知らせてはいけない。

6:4. このようにあなたの施しが隱れてするものであるならば、ひそかに見ているあなたの父が、あなたに報います。

6:5. あなたがたが祈る時には、偽善者たちのようにであってはならない。彼らは人々に見られるために、会堂や大通りの角に立って祈ることが好きなのです。まことをもって、あなたがたに言っておく。彼らは彼ら自身の報酬を集めているのです。

6:6. あなたが祈る時には、自分の奧まった部屋に入り、自分の戸を閉じて、ひそかなところにいるあなたの父に祈りなさい。そうすれば、ひそかに見ているあなたの父が、あなたに報いるだろう。

6:7. 祈る時は、諸国の人々のように、繰り返し言葉を言ってはいけない。彼らは言葉が多ければ聞き入れられると思っている。

6:8. だから、彼らのようであってはならない。あなたがたの父は、彼に願う前から、あなたがたに必要なものを知っているからです。

6:9. だから、あなたがたはこのように祈りなさい。『天々にいるわたしたちの父よ、あなたの名前が聖別なものとされますように。

6:10. あなたの王国が来ますように。あなたのご意志が行われますように、天におけるように地上においても。

6:11. わたしたちの日ごとのパンを今日お与えください。

6:12. わたしたちの負い目をお赦しください、わたしたちもわたしたちに負い目のある人々を赦しましたように。

6:13. わたしたちを試みに陥らせないで、邪悪な者からお救い出しください』。

6:14. あなたがたが人々の過ちを赦すことになっているなら、あなたがたの天の父も、あなたがたを赦します。

6:15. しかし、あなたがたが人々を赦さないことになっているなら、あなたがたの父も、あなたがたの過ちを赦しません。

6:16. 断食をする時には、陰気な顔をする偽善者たちのようにであってはならない。彼らは断食していることが人々に見られるように、自分の顔をやつすのである。まことをもって、あなたがたに言っておく。彼らは彼ら自身の報酬を集めているのです。

6:17. あなたが断食する時には、自分の頭に油を塗り、自分の顔を洗いなさい。

6:18. 断食していることが人々に見られず、ひそかなところにいるあなたの父に見られるためです。そうすれば、ひそかに見ているあなたの父が、あなたに報います。

6:19. あなたがたは自分のために地上に宝を積んではいけない。そこでは蛾と錆びが食い尽くし、盗人たちが押し入って盗む。

6:20. あなたがたは自分のために天に宝を積みなさい。そこでは蛾も錆びも食い尽くすこともなく、盗人たちが押し入って盗むこともない。

6:21. あなたの宝のあるところには、あなたの心もあるからです。

6:22. 体の明かりは目です。だから、あなたの目が澄んでいれば、あなたの全身は明るい。

6:23. しかし、あなたの目が邪悪であれば、あなたの全身は暗い。だから、あなたの内なる光が闇であれば、その闇は、どれくらいか。

6:24. 誰も、二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛し、あるいは、一方を支持して他方を軽蔑するのだから。あなたがたは、神とマモンとに仕えることはできない。

6:25. だから、あなたがたに言っておく。自分の魂のことで何を食べようか何を飲もうかと、また自分の体のことで何を着ようかと思いわずらってはいけない。魂は食物にまさり、体は着物にまさるではないか。

6:26. 天の鳥たちを見なさい。蒔きもせず、刈り入れもせず、倉に集め入れもしない。あなたがたの天の父はそれらを養っていてくださる。あなたがたはそれらよりも、もっとすぐれた者ではないか。

6:27. あなたがたのうち誰が、思いわずらったからといって、自分の寿命に一キュビトを加えることができるだろうか。

6:28. なぜ衣服のことで思いわずらうのか。野のゆりたちがどのように育つかを、よく観察しなさい。苦労しもせず、紡ぎもしない。

6:29. しかし、あなたがたに言っておく。栄光を極めたときのソロモンでさえ、ゆりたちの一つほどにも着てはいなかった。

6:30. 今日在って明日炉に投げ込まれる野の草にもこうして神が着せているのなら、ましてあなたがたにはなおさらのことではないか。信仰の小さい者たちよ。

6:31. だから、何を食べようか、また何を飲もうか、あるいは何を着ようかと言ってあなたがたが思いわずらってはいけない。

6:32. これらはすべて、諸国の民々が求めているものなのだから。これらはすべて、あなたがたに必要なことをあなたがたの天の父は知っているから。

6:33. まずあなたがたは神の王国と彼の義を求めなさい。そうすれば、これらはすべてあなたがたに加えられます。

6:34. だから、あなたがたは明日のために思いわずらってはいけない。明日が明日自身を思いわずらいます。日の悪はその日でも十分足ります。

マタイ 第7章↑

7:1. 裁いてはいけない。裁かれないためです。

7:2. あなたがたが裁くその裁きであなたがたは裁かれ、あなたがたが量るその量りであなたがたは量られる。

7:3. なぜあなたは、自分の兄弟の目の中にあるちりを見て、自分の目の中にある角材を考えないのか。

7:4. また、どうして自分の兄弟に『ちりをあなたの目から取っ払わせてくれ』と言うのか。見よ、自分の目の中に角材があるではないか。

7:5. 偽善者よ、まず自分の目から角材を取っ払いなさい。そうすれば、自分の兄弟の目からちりを取っ払うために、はっきりと見えるだろう。

7:6. 聖なるものを犬たちに与えてはいけない。また、あなたがたの真珠を豚たちの前に投げてはいけない。恐らく彼らはそれらを彼らの足で踏みつけ、向き直ってあなたがたを引き裂くだろう。

7:7. お願いしなさい。そうすればあなたがたに与えられるだろう。探しなさい。そうすれば見つかるだろう。叩きなさい。そうすれば開かれるだろう。

7:8. すべてお願いする者は得て、探す者は見つけ、叩く者には開かれるのだから。

7:9. あるいは、あなたがたのうちのどの人が、自分の息子がパンをお願いしているのに、彼に石を与えるだろうか。

7:10. また、魚をお願いしているのに、彼に蛇を与えるだろうか。

7:11. それで、邪悪な者であるあなたがたが自分の子供たちに良い贈り物を与えることを知っているのであれば、天々にいるあなたがたの父はなおさら、自分にお願いする者たちに良いものを与えないことがあるだろうか。

7:12. だから、何事でも人々からして欲しいことは、彼らにもそのようにしなさい。というのは、これこそが律法と預言者たちのことなのだから。

7:13. 狭い門を通って入りなさい。滅びにいたる門は広く、道は広々として、それを通って入る者が多いのだから。

7:14. 命にいたる門は狭く、道は搾られ、それを見つける者が少ない。

7:15. 偽預言者たちに用心しなさい。彼らは羊たちの衣服を着てあなたがたに来るが、内側は貪欲な狼たちです。

7:16. あなたがたは、彼らの実によって彼らを見わけるだろう。いばらからぶどうを、あざみからいちじくを摘み集める者たちがいるだろうか。

7:17. このように、すべて良い木は良い実をならせ、腐った木は邪悪な実をならせる。

7:18. 良い木が邪悪な実をならせることはできないし、腐った木が良い実をならせることはできない。

7:19. 良い実をならせない木はみな切り倒されて、火に投げ込まれる。

7:20. だから、あなたがたはその実によって彼らを見わけるだろう。

7:21. わたしに『主よ、主よ』と言う者が、みな天々の王国に入るのではなく、天々にいるわたしの父のご意志を行う者が入るのです。

7:22. その日には、多くの者が、わたしに『主よ、主よ、わたしたちはあなたの名によって預言し、またあなたの名によって悪霊たちを追い出し、またあなたの名によって多くの力あるわざを行ったではありませんか』と言うだろう。

7:23. その時、わたしは彼らに断言する、『わたしはあなたがたを全然知らない。不法を働くあなたがたよ、わたしから離れよ』と。

7:24. だから、わたしのこれらの言葉を聞いてそれを行う者はみな、岩の上に自分の家を建てた賢い男に例えられるだろう。

7:25. 雨が降り、川が来、風が吹いてその家に打ちつけても、倒れなかった。岩の上に土台が置かれたからです。

7:26. また、わたしのこれらの言葉を聞いてそれを行わない者はみな、砂の上に自分の家を建てた愚かな男に例えられるだろう。

7:27. 雨が降り、川が来、風が吹いてその家に打ちつけると、倒れた。そしてその倒壊はすさまじかった」。

7:28. イエスがこれらの言葉を終えた。すると、群衆は彼の教えに驚いた。

7:29. 彼らの書記官たちのようにではなく、権威がある者のように彼らを教えたからである。

マタイ 第8章↑

8:1. 彼が山から下りると、多くの群衆が彼について来た。

8:2. すると見よ、一人のうろこ症の人が近づいてきて、彼を拝んで言った。「主よ、もしもあなたがしようとしていることなのでしたら、あなたはわたしを清めることができます」。

8:3. 手を伸ばして彼に触り、こう言った。「そうします。あなたは清められよ」。すると、彼のうろこ症はすぐに清められた。

8:4. イエスは彼に言った。「誰にも話さないよう気をつけて。ただ行って、自分を祭司に見せ、そして彼らへの証明のために、モーセが命じた供え物をささげるように」。

8:5. 彼がカペナウムに入った時、一人の百人隊長が彼のところに近づいてきて、彼に懇願して、

8:6. 言った。「主よ、わたしの男の子が中風で家に横たわって、試金石によってのようにひどく試されているのです」。

8:7. 彼は彼に言った。「わたしが来て彼をいやそう」。

8:8. 百人隊長は答えて言った。「主よ、わたしの屋根の下にあなたをお入れする資格は、わたしにはありません。ただお言葉を下さい。そうすればわたしの男の子は直るでしょう。

8:9. わたしも権威の下にある者ですが、わたしの下にも兵士たちがいます。わたしがこれに『行け』と言えば行き、ほかのに『来い』と言えば来、またわたしの奴隷に『これをしろ』と言えばするからです」。

8:10. イエスは聞いて驚き、ついて来た者たちに言った。「まことをもって、あなたがたに言っておく。わたしはイスラエルのうちの誰にも、このような大きな信仰を見たことがない。

8:11. あなたがたに言うが、多くの者が東から西から来て、天々の王国でアブラハム、イサク、ヤコブと共に席に着くだろう。

8:12. しかし、王国の息子たちは外の闇に投げ出されるだろう。そこには泣きと歯ぎしりとがあるだろう」。

8:13. そしてイエスは百人隊長に言った。「行きなさい。あなたの信じたとおりになるように」。すると、その時刻に、男の子は直った。

8:14. イエスはペテロの家に来て、彼のしゅうとめが熱で横たわっているのを見た。

8:15. 彼女の手に触ると、熱は彼女を去った。そして彼女は起きて彼に仕えた。

8:16. 夕方になると、彼らは悪霊に取り憑かれている者を大勢、彼のところに連れてきた。彼は言葉で霊たちを追い出し、すべてのわずらっている者をいやした。

8:17. 預言者イザヤを通して言われたことが、成就するためであった。こう言われていた。「彼は自ら、わたしたちの疾患を受け入れ、わたしたちの病気を受け止めた」。

8:18. イエスは、多くの群衆が自分の周りにいるのを見て、向こう側に行くように命じた。

8:19. 一人の書記官が近づいてきて言った。「先生、あなたの行かれるところなら、どこへでもついて行きます」。

8:20. イエスは彼に言った。「キツネたちには穴があり、天の鳥たちにはねぐらがある。しかし、人の息子には頭を横たえるところがない」。

8:21. 弟子のうち別の者が彼に言った。「主よ、まず、私が行ってわたしの父を葬ることをお許しください」。

8:22. しかし、イエスは彼に言った。「わたしについて来なさい。そして、死んだ者たちに彼らの死んだ者たちを葬らせなさい」。

8:23. それから、彼が舟に乗り込むと、彼の弟子たちが彼について来た。

8:24. すると、見よ、大嵐が海に起こって、舟は波で覆われた。しかし彼は眠っていた。

8:25. 彼らは近づいてきて彼を起こして言った。「主よ、わたしたちをお救いください。わたしたちは死んでしまいます」。

8:26. 彼は彼らに言った。「なぜ小心なのか、信仰の小さい者たちよ」。それから彼が起きて、風と海をしかりつけた。すると大なぎになった。

8:27. 人々は驚いて言った。「これはどういう人なのだろう。風も海も彼に従うとは」。

8:28. 彼が向こう側のゲラサ人たちの地方に来て、悪霊に取り憑かれている二人の者が墓場から出て来て彼に出会った。彼らは非常に獰猛で、誰もその道を通ることができないほどであった。

8:29. すると見よ、彼らは叫んで言った。「神の息子よ、わたしたちとあなたと何の関係があるのか。時節より前にここに来たのは、試金石をもってわたしたちを試すためですか」。

8:30. さて、彼らから遠く離れたところで豚の大群が飼われていた。

8:31. 悪霊たちは彼に懇願して言った。「わたしたちを追い出すなら、あの豚の群れに遣わしてください」。

8:32. 彼は彼らに「行け」と言った。彼らは出て行って豚たちの中に入った。すると見よ、その群れ全体が険しいところを下って海に突進し、水の中で死んだ。

8:33. 飼っていた者たちは逃げて町に行き、悪霊に取り憑かれた者たちのことを含めて、いっさいのことを知らせた。

8:34. すると見よ、町全体がイエスに会いに出て行った。彼を見ると、自分たちの地域から去るようにと願った。

マタイ 第9章↑

9:1. 彼は舟に乗って渡り、自分の町に来た。

9:2. すると見よ、彼らが中風の者を寝台に横たえたまま彼のところに運んで来た。イエスは彼らの信仰を見て、中風の者に言った。「子よ、勇気を持ちなさい。あなたの罪は赦された」。

9:3. すると見よ、ある書記官たちが自分の中で言った。「この人は冒とくしている」。

9:4. イエスは彼らの考えを見抜いて言った。「なぜ、あなたがたは自分の心の中で邪悪なことを考えているのか。

9:5. 『あなたの罪は赦された』と言うのと、『起きて歩きなさい』と言うのと、どちらが簡単か。

9:6. しかし、人の息子が地上で罪を赦す権威をもっていることを、あなたがたは理解してもよいのでは」。その時、中風の者に言った。「起きてあなたの寝台を拾い上げ、自分の家に行きなさい」。

9:7. すると彼は起きて自分の家に行った。

9:8. 群衆はそれを見て恐ろしくなり、このような権威を人に与えた神をたたえた。

9:9. イエスはそこから行って、マタイという人が収税所に座っているのを見て彼に言った。「わたしについて来なさい」。すると立って、彼について行った。

9:10. それから、彼が家で食卓に着いていた時、見よ、多くの取税人や罪人が来て、イエスと彼の弟子たちと一緒に食卓に着いた。

9:11. パリサイ人たちはこれを見て、彼の弟子たちに言った。「なぜ、あなたがたの先生は取税人たちや罪人たちと一緒に食事をするのか」。

9:12. 彼はこれを聞いて言った。「丈夫な者には医者はいらない。いるのはわずらっている者にだ。

9:13. 『わたしが望んでいるのはあわれみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、行って学んで来なさい。わたしが来たのは、義人を招くためではなく、罪人を招くためです」。

9:14. そのとき、ヨハネの弟子たちがイエスのところに来て言った。「わたしたちとパリサイ人たちとがたびたび断食をしているのに、あなたの弟子たちは、なぜ断食をしないのですか」。

9:15. するとイエスは彼らに言った。「婚礼の部屋の息子たちは、花婿が一緒にいる間、悲しむことができるだろうか。しかし花婿が彼らから引き離される日々が来る。その時には断食をするだろう。

9:16. 誰も、縮んでいない布の切れ端を古い衣に当てはしない。その当て布が衣を引っ張り、破れはもっとひどくなるのだから。

9:17. 誰も、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそうすれば、その皮袋は裂け、酒は流れ出て、皮袋は駄目になる。新しいぶどう酒を新しい皮袋に入れる。そうすれば、両方とも保たれる」。

9:18. 彼らにこれらの事を話していた時、見よ、一人の支配者が来て、彼を拝んで言った。「わたしの娘がただ今死にました。しかし、おいでになって、娘の上にあなたの手を置いてください。そうすれば生きることとなるでしょう」。

9:19. イエスは立って彼について行った、彼の弟子たちも一緒に。

9:20. すると、見よ、十二年間も出血にかかっている女が後ろから近づいて彼の衣の房飾りに触った。

9:21. 彼女は、「彼の衣に触るだけで、わたしは救われることとなるでしょう」と自分の中で言っていたからである。

9:22. イエスは振り向いて、彼女を見て言った。「娘よ、勇気を出しなさい。あなたの信仰があなたを救った」。するとその時から、その女は救われた。

9:23. イエスは支配者の家に来て、笛手たちや群衆が騒いでいるのを見て、

9:24. 言った。「行きなさい。少女は死んだのではなく、眠っているのだから」。すると彼らは彼をあざ笑った。

9:25. しかし、群衆が外に出されると、彼は入って、彼女の手を取った。すると少女は起き上がった。

9:26. そして、このうわさがその地方全体に広まった。

9:27. イエスがそこから行って、二人の盲人が彼について来て、叫んで言った。「ダビデの息子よ、わたしたちをあわれんでください」。

9:28. 彼が家に来ると、その盲人たちは彼のところに来た。イエスは彼らに言った。「あなたがたはわたしにそれができると信じるか」。彼らは彼に言った。「はい、主よ」。

9:29. そこで、彼は彼らの目に触って言った。「あなたがたの信仰に従い、あるがままのあなたがたに」。

9:30. すると彼らの目が開かれた。イエスは彼らに厳しく命じて言った。「誰にも知らせないように」。

9:31. しかし、彼らは出て行って、その地方全体に彼のことを言い広めた。

9:32. 彼らが出て行くと、見よ、彼らは悪霊に取り憑かれている口の利けない人を彼のところに連れてきた。

9:33. すると、悪霊は追い出されて、口の利けない人が物を言った。群衆は驚いて言った。「このようなことがイスラエルの中で見られたことは、これまで一度もなかった」。

9:34. しかし、パリサイ人たちは言った。「悪霊たちの支配者で彼は悪霊たちを追い出しているのだ」。

9:35. イエスはすべての町や村を歩き回って、彼らの諸会堂で教え、王国の良い知らせを宣べ伝え、あらゆる病気、あらゆる衰弱をいやした。

9:36. また群衆を見ると、彼らに対する慈悲の念にかられた。彼らが羊飼いのいない羊のように困惑して放り出されていたからである。

9:37. そこで、彼は自分の弟子たちに言った。「確かに収穫は多いが、働き人が少ない。

9:38. だから収穫の主に、彼の収穫に働く者たちを彼が送り出しますよう、お願いしなさい」。

マタイ 第10章↑

10:1. そこで彼は自分の十二弟子を呼び寄せて、彼らに汚れた霊たちに対する権威を与えた。それらを追い出し、あらゆる病気とあらゆる衰弱をいやすためであった。

10:2. 十二使徒の名はこれである。まずペテロと呼ばれるシモンと彼の兄弟アンデレ、ゼベダイのヤコブと彼の兄弟ヨハネ、

10:3. ピリポとバルトロマイ、トマスと取税人マタイ、アルパヨのヤコブとタダイ、

10:4. 熱心党のシモンとユダ・イスカリオテ。このユダは彼を裏切った。

10:5. イエスはこれら十二人を遣わし、彼らに命じてこう言った。「諸国の民々の道に行ってはいけない。またサマリヤ人たちの町に入ってはいけない。

10:6. むしろ、イスラエルの家の失われた羊たちのところに行きなさい。

10:7. 行く時、『天々の王国は近づいている』と宣べ伝えて言いなさい。

10:8. 病弱の人をいやし、死んだ者たちを起こさせ、うろこ症の人を清め、悪霊たちを追い出しなさい。あなたがたはただで受けたのです、ただで与えなさい。

10:9. あなたがたの帯に、金も銀も銅も持って行ってはいけない。

10:10. 旅のための袋も、二枚の上着も、サンダルも、つえも持って行ってはいけない。働く者が自分の食物を受けるに値するからだ。

10:11. どの町、どの村に入っても、その中で誰がふさわしい人か、たずね出しなさい。あなたがたが立ち去るべき時まで、そこにとどまっていなさい。

10:12. その家に入ったら、家の者たちに挨拶をしなさい。

10:13. その家がふさわしいなら、あなたがたの平安をそこに来させなさい。しかし、ふさわしくないなら、あなたがたの平安をあなたがたのところに戻らせなさい。

10:14. 誰かがあなたがたを受け入れず、あなたがたの言葉を聞かないなら、その家、あるいはその町を立ち去る時に、自分の足のちりを払い落としなさい。

10:15. まことをもって、あなたがたに言っておく。裁きの日には、その町よりもソドムとゴモラの地のほうが耐えやすいだろう。

10:16. 見よ、わたしがあなたがたを、狼の中に羊のように遣わす。だから、蛇のように賢く、鳩のように純真でありなさい。

10:17. 人々に用心しなさい。彼らはあなたがたをサンヘドリンに引き渡し、彼らの会堂であなたがたをむち打つだろう。

10:18. またあなたがたは、わたしのゆえに総督たちや王たちの前に引き出されるだろう。彼らと諸国の民々に対する証言のためです。

10:19. 彼らがあなたがたを引き渡したとき、どのように、あるいは何を語ろうかと思いわずらってはいけない。語るべきことは、その時にあなたがたに与えられるからです。

10:20. 語る者は、あなたがたではなく、あなたがたの中で語るあなたがたの御父の霊だからです。

10:21. 兄弟は兄弟を、父親は子供を死へ引き渡すだろう。子供たちは親たちに逆らって立ち上がり、彼らを死に処するだろう。

10:22. またあなたがたは、わたしの名のゆえにすべての者たちから憎まれるだろう。しかし、終結まで耐え忍ぶ者は救われるだろう。

10:23. 彼らがこの町であなたがたを迫害するなら、他の町へ逃げなさい。まことをもって、あなたがたに言っておく。あなたがたがイスラエルの町々を回り終らないうちに、人の息子は来るだろう。

10:24. 弟子は自分の師より上でなく、奴隷は自分の主人より上ではない。

10:25. 弟子が自分の師のようになり、奴隷が自分の主人のようになれば、十分です。彼らが家の主人をベエルゼブルと呼んだのであれば、まして彼の家の者たちをどんなにか悪く言うだろう。

10:26. だから、彼らを恐れてはいけない。覆われているもので現されないものはなく、隠されているもので知られてこないものはないからです。

10:27. わたしが闇の中であなたがたに話すことを、光の中で話しなさい。耳もとで聞くことを、屋根の上で宣べ伝えなさい。

10:28. 体を殺しても、魂を殺すことのできない者たちを恐れてはいけない。むしろ、魂も体もヒンノムの谷で滅ぼすことのできる方を恐れなさい。

10:29. スズメ二羽が一アサリオンで売られているが、あなたがたの御父によらずしては、その一羽も地に落ちることはない。

10:30. それどころか、あなたがたの頭の毛でさえも、すべて数えられている。

10:31. だから、恐れてはいけない。あなたがたは多くのスズメよりもまさっている。

10:32. だから、人々の前でわたしを認める者はみな、わたしも天々にいるわたしの御父の前でその者を認めるだろう。

10:33. しかし、人々の前でわたしを否認する者は、わたしも天々にいるわたしの御父の前でその者を否認するだろう。

10:34. わたしが地上に平和をもたらすために来たと思ってはいけない。平和ではなく、剣をもたらすために来たのです。

10:35. わたしが来たのは、人を自分の父親と、娘を自分の母親と、嫁を自分のしゅうとめと仲たがいさせるためです。

10:36. 人の敵たちは自分の家の者たちだろう。

10:37. わたしよりも父親や母親を愛する者は、わたしにふさわしくない。わたしよりも息子や娘を愛する者は、わたしにふさわしくない。

10:38. 自分の十字架をとってわたしの後について来ない者はわたしにふさわしくない。

10:39. 自分の魂を見いだす者はそれを滅ぼし、わたしのために自分の魂を滅ぼす者は、それを見いだすだろう。

10:40. あなたがたを受け入れる者は、わたしを受け入れるのです。わたしを受け入れる者は、わたしを遣わした方を受け入れるのです。

10:41. 預言者の名のゆえに預言者を受け入れる者は、預言者の報酬を受け取り、義人の名のゆえに義人を受け入れる者は、義人の報酬を受け取るだろう。

10:42. 弟子の名のゆえに、これらの小さい者の一人にほんの一杯の冷たい水を飲ませる者は、まことをもって、あなたがたに言っておくが、自分の報酬を決して失わないだろう」。

マタイ 第11章↑

11:1. イエスは、自分の十二弟子に指図し終えると、彼らの町々で教えたり宣べ伝えたりするために、そこから去った。

11:2. さて、ヨハネは獄中でキリストのわざを聞いて、自分の弟子たちを通して送って、

11:3. 彼に言った。「来るべき方はあなたですか。それとも、わたしたちはほかの方を待つべきでしょうか」。

11:4. イエスは彼らに答えて言った。「行って、あなたがたが見聞きしていることをヨハネに報告しなさい。

11:5. 目の見えない者たちは見えるようになり、足の不自由な者たちは歩き、うろこ症の者たちは清められ、耳の聞こえない者たちは聞き、死んだ者たちは起こされ、貧しい者たちには良い知らせが宣べ伝えられている。

11:6. わたしの中にいて、つまずかせられることのない者は、幸せです」。

11:7. これらの者たちが行くと、イエスは群衆にヨハネについてこう言い始めた。「あなたがたは、何を見に荒野に出て行ったのか。風に揺らぐ葦か。

11:8. では、何を見に出て行ったのか。柔らかい衣服をまとった人か。見よ、柔らかい衣服を着る者たちは、王の家にいる。

11:9. では、なぜ出て行ったのか。預言者を見るためか。そうだ、あなたがたに言うが、預言者以上の者です。

11:10. この者についてこう書かれている。『見よ、あなたの顔の前にわたしが遣わすわたしの使いの者は、あなたの前にあなたの道を整える』。

11:11. まことをもって、あなたがたに言っておく。女から生まれた者たちの中で、バプテストのヨハネより偉大な者は起こされていない。しかし、天々の王国で小さいほうの者も、彼よりは偉大です。

11:12. バプテストのヨハネの日々から今に至るまで、天々の王国は暴力を被っている。そして、暴力で襲う者たちがそれを奪い取っている。

11:13. すべての預言者たちと律法とは、ヨハネに至るまで預言したからです。

11:14. そして、もしあなたがたが受け入れることを望めば、これは来たるべきエリヤなのです。

11:15. 耳のある者は聞きなさい。

11:16. この世代を何に例えようか。それは子供たちが市場に座って、ほかの者たちに呼びかけ、

11:17. 『わたしたちがあなたがたのために笛を吹いたのに、あなたたちは踊ってくれなかった。弔いの歌を歌ったのに、悲しんでくれなかった』と言うのに似ている。

11:18. というのも、ヨハネが来て、食べることも飲むこともしないと、『彼には悪霊がいる』と彼らは言う。

11:19. 人の息子が来て、食べたり飲んだりすると、『見よ、食いしんぼうでぶどう酒を飲む人、取税人や罪人の友』と彼らは言う。しかし、知恵の正しいことは、その働きが証明する」。そして、知恵は自分のわざによって義とされる」。

11:20. それから彼は、彼の力あるわざの多くがなされた町々を責め始めた。それらが心変えなかったからである。

11:21. 「コラジンよ、あなたは災いです。ベツサイダよ、あなたは災いです。あなたがたの中でなされた力あるわざがツロとシドンでなされていたなら、彼らはとっくの昔に荒布と灰の中で心変えただろう。

11:22. しかし、あなたがたに言っておく。裁きの日には、ツロとシドンの方があなたがたよりも、耐えやすいだろう。

11:23. カペナウムよ、あなたは天にまで上げられないだろうか。あなたは墓の領域にまで下るだろう。あなたの中でなされた力あるわざが、ソドムでなされていたなら、今日までも残っていただろう。

11:24. しかし、あなたがたに言っておく。裁きの日には、ソドムの地の方があなたよりも、耐えやすいだろう」。

11:25. その時節、イエスは答えて言った。「父よ、天と地の主よ、あなたをほめたたえます。これらの事を知恵のある者や賢い者から隠して、幼子たちに啓示してくださいました。

11:26. そうです、父よ、このようなことは、あなたのみ前でみこころにかなったことでした。

11:27. すべての事がわたしの父によってわたしに渡されている。そして、息子を知る者は父のほかにはなく、父を知る者は息子と息子が啓示しようとする者のほか、誰もありません。

11:28. 「労苦し、荷を負っているすべての者は、わたしに来なさい。そうすれば、わたしがあなたがたを休ませてあげよう。

11:29. わたしは柔和で心のへりくだった者だから、わたしのくびきを負って、わたしから学びなさい。そうすれば、あなたがたは自分の魂に安らぎを見いだすだろう。

11:30. わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いからです」。

マタイ 第12章↑

12:1. その時節、安息日々に、イエスは麦畑を通った。彼の弟子たちは、空腹だったので、穂を摘んで食べ始めた。

12:2. しかし、パリサイ人たちがこれを見て彼に言った。「見よ、あなたの弟子たちは安息日に行なうことが許されていないことをしている」。

12:3. しかし、彼は彼らに言った。「あなたがたは、ダビデが、自分も共にいた者たちも空腹だったときに何をしたかを読まなかったのか。

12:4. 彼は神の家へ入り、祭司のほか、自分も共にいた者たちも食べることが許されていない供えのパンを彼らは食べたことを。

12:5. また、安息日々に神殿にいる祭司たちが安息日を犯しても彼らが無罪であることを、律法で読まなかったのか。

12:6. あなたがたに言っておく。神殿よりも偉大な者がここにいる。

12:7. 『わたしが望むのはあわれみであって、いけにえではない』とはどういう意味か知っていたなら、あなたがたは罪のない者たちをとがめなかっただろう。

12:8. 人の息子は安息日の主なのです」。

12:9. 彼はそこを去って、彼らの会堂に入った。

12:10. すると見よ、片手のなえた人がいた。彼らは彼に尋ねて言った。「安息日々にいやすことは許されているのか」。彼らが彼を訴えるためであった。

12:11. 彼は彼らに言った。「あなたがたのうちの誰が、一匹の羊を持っていて、それが安息日々に穴に落ちたなら、それをつかんで引き上げないだろうか。

12:12. 人は羊よりも、どれほどすぐれているだろう。だから、安息日々に良いことを行なうことは許されているのです」。

12:13. それから、その人に言った。「あなたの手を伸ばしなさい」。彼が伸ばすと直って、他方のように健やかになった。

12:14. しかし、パリサイ人たちは出て行き、どのようにして彼を滅ぼそうかと、彼について相談した。

12:15. イエスはこれを知って、そこを去って行った。大勢の者が彼について行ったが、彼は彼らをみないやした。

12:16. しかし、自分を明らかにしないようにと、彼らに戒めた。

12:17. 預言者イザヤを通して言われたことが、成就するためであった。こう言われていた。

12:18. 「見よ、わたしが選んだわたしの男の子。わたしの魂が喜ぶわたしの愛する者。わたしはわたしの霊を彼の上に置く。彼は諸国の民々に正義を宣明するであろう。

12:19. 彼は争わず叫ばず、大通りで彼の声を聞く者もいない。

12:20. 彼はいためられた葦を折ることがなく、煙っている燈心を消すこともない。正義を勝利に送り出すまでは。

12:21. 諸国の人々は彼の名に期待を置くであろう」。

12:22. そのとき、彼らが悪霊に取り憑かれている、目が見えず口のきけない人を連れてきた。彼は彼をいやした。そのため、口のきけない人はものを言い、見えるようになった。

12:23. すると群衆はみな驚いて言った。「もしかしたらこれがダビデの息子ではないだろうか」。

12:24. しかし、パリサイ人たちは聞いて言った。「この人が悪霊たちを追い出すのは、悪霊たちの支配者ベルゼブルによる以外にはない」。

12:25. 彼は彼らの考えを見抜いて彼らに言った。「内部分裂する王国はみな荒廃し、内部分裂する町や家はみな立ち行かないだろう。

12:26. もしサタンがサタンを追い出すなら、彼は内部分裂している。それでは、どうして彼の王国は立ち行くだろうか。

12:27. わたしがベルゼブルによって悪霊たちを追い出しているのなら、あなたがたの息子たちは誰によって追い出すのだろうか。だから、彼らがあなたがたの裁判官になるだろう。

12:28. しかし、わたしが神の霊によって悪霊たちを追い出しているのなら、神の王国は先にあなたがたの上に来たのです。

12:29. また、まず強い者を縛りあげなければ、どうして、強い者の家に入って彼の家財を略奪することができるだろうか。縛ってから、彼の家を略奪するだろう。

12:30. わたしと共にいない者は、わたしに反対する者、わたしと共に集めない者は、散らす者です。

12:31. だから、あなたがたに言っておく。人々には、あらゆる罪や冒とくも、赦される。しかし、霊を冒とくすることは赦されない。

12:32. また人の息子に逆らう言葉を語る者は、赦されるだろう。しかし、聖霊に逆らう言葉を語る者は、この世でも、来たるべき世でも、赦されることはない。

12:33. 木を良いとしてその実を良いとするか、木を腐ったものとしてその実を腐ったものとするかのどちらかにしなさい。木はその実によって見分けられるからです。

12:34. まむしの子孫よ。あなたがたは邪悪な者でありながら、どうして良いことを語ることができようか。心に満ちあふれているものの中から、口は語るからです。

12:35. 良い人は良い宝の中から良い物を取り出し、邪悪な人は邪悪な宝の中から邪悪な物を取り出す。

12:36. あなたがたに言うが、人々は自分が語るすべての無益な言葉について裁きの日に言い開きをすることになる。

12:37. あなたは、自分の言葉によって義とされ、また自分の言葉によって罪に定められるからです」。

12:38. その時、書記官、パリサイ人のうちのある人々が彼に答えて言った。「先生、わたしたちはあなたからのしるしを見たいのですが」。

12:39. しかし、彼は彼らに答えて言った。「邪悪な、姦淫の世代はしるしを求めるが、この世代に預言者ヨナのしるしのほかには何のしるしも与えられない。

12:40. ヨナが三日三晩、大魚の腹の中にいたように、人の息子も三日三晩、地の中にいることになるからです。

12:41. ニネベの人々が、裁きの際にこの世代と共に立ち上がり、この世代を罪に定めるだろう。なぜなら、彼らはヨナの宣べ伝えによって、心変えたのだから。そして、見よ、ヨナにまさる者がここにいる。

12:42. 南の女王が、裁きの際にこの世代と共に立ち上がり、この世代を罪に定めるだろう。なぜなら、彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果てから来たのだから。そして、見よ、ソロモンにまさる者がここにいる。

12:43. 汚れた霊が人から出ると、休み場を求めて水の無いところを通るが、見つからない。

12:44. そこで、『出て来た自分の家に戻ろう』と言う。そして来て見ると、そこが空いていて、掃除され、飾り付けられていた。

12:45. そこで出て行って、自分より邪悪な他の七つの霊を共に連れて来る。そして彼らは中に入ってそこに住みつく。その人の最後の状態は、最初よりも悪くなる。この邪悪な世代も、このようです」。

12:46. 彼がまだ群衆に話している間に、見よ、彼の母と兄弟たちが外に立って、彼に話をしようとした。

12:47. ある人が彼に言った。「ご覧なさい。あなたの母上とあなたの兄弟たちが、外に立って、彼に話をしようとしています」。

12:48. 彼は自分に知らせた者に答えて言った。「わたしの母とは誰か。わたしの兄弟たちとは誰か」。

12:49. そして、自分の弟子たちに手を伸ばして言った。「見よ、わたしの母とわたしの兄弟たちです。

12:50. 天々にいるわたしの父のご意志を行う者は誰でも、それがわたしの兄弟、また姉妹、また母なのです」。

マタイ 第13章↑

13:1. その日、イエスは家を出て、海辺に座っていた。

13:2. すると、多くの群衆が彼のところに集まったので、彼は舟に乗って座った。群衆はみな岸辺に立っていた。

13:3. 彼はたとえで彼らに多くの事を語って、こう言った。「見よ、種をまく者が、種をまきに出て行った。

13:4. 彼がまいていると、あるものは道ばたに落ちた。すると、鳥たちが来てそれらを食べ尽くしてしまった。

13:5. ほかのものは土の多くない岩地に落ちた。土が深くないため、すぐ芽を出した。

13:6. しかし、太陽が昇ると焼けて、根がないために枯れてしまった。

13:7. ほかのものは、いばらの上に落ちた。すると、いばらが伸びて、それらをふさいだ。

13:8. ほかのものは良い地の上に落ちて実を結び、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍にもなった。

13:9. 耳のある者は聞きなさい。」

13:10. それから、弟子たちが近づいてきて、彼に言った。「なぜ、彼らにたとえでお話しになるのですか」。

13:11. 彼は彼らに答えて言った。「あなたがたには天々の王国の秘密を知ることが授けられているが、彼らには授けられていない。

13:12. 誰でも持っている者は、彼に与えられて、あり余るほど持つことになるが、持っていない者は、彼から持っているものまでも取り上げられることになるからです。

13:13. だから、わたしは彼らにたとえで話す。それは彼らが、見ても見ず、聞いても聞かず、また理解しないからです。

13:14. こうして彼らの上に、イザヤの預言が成就されるのです。こう言っている、『あなたがたは聞くには聞くが、決して理解しない。見るには見るが、決して認めない。

13:15. この民の心は肥満になり、耳は聞くことに鈍くなり、自分の目を閉じてしまったからである。それは、彼らが目で認め、耳で聞き、心で理解し、立ち返り、わたしが彼らをいやすということがないためである』。

13:16. しかし、あなたがたの目は見ているゆえに、またあなたがたの耳は聞いているゆえに幸せです。

13:17. まことをもって、あなたがたに言っておく。多くの預言者や義人は、あなたがたが見ているものを認めたいと願ったのに認めず、あなたがたが聞いていることを聞きたいと願ったのに聞かなかったからです。

13:18. それでは、あなたがたは、種をまく者のたとえを聞きなさい。

13:19. 誰かが王国の言葉を聞いて理解しない場合、邪悪な者が来て、彼の心にまかれたものを奪い去る。これが、道ばたにまかれたものです。

13:20. 岩地にまかれたものとは、み言葉を聞くと、すぐに喜んでそれを受け入れる者です。

13:21. しかし、自分の内に根がないので、時節に亘りますが、み言葉のために苦難や迫害が起こると、すぐにつまずく。

13:22. いばらの上にまかれたものとは、み言葉を聞くと、この世の思いわずらいや富の惑わしがみ言葉をふさいで、実を結ばなくなる者です。

13:23. 良い地の上にまかれたものとは、み言葉を聞いて理解する者のことです。その者は本当に実を結び、ある者は百倍、ある者は六十倍、ある者は三十倍の実を生み出すのです」。

13:24. 彼は彼らにほかのたとえを示して言った。「天々の王国は、次のような人に例えられる。ある人が自分の畑に良い種をまいた。

13:25. 人々が眠っている間に彼の敵がきて、小麦の中に毒麦をまいて立ち去った。

13:26. さて、葉が出て実を生み出すと、その時毒麦も現れた。

13:27. 家の主人の奴隷たちが来て、彼に言った。『ご主人様、あなたは自分の畑に良い種をまかれたのではありませんでしたか。この毒麦はどこから出て来たのでしょうか』。

13:28. 彼は彼らに言った。『敵である人がそれをした』。奴隷たちは彼に言った。『わたしたちが行って、それらを摘み集めることをお望みですか』。

13:29. しかし、彼は言った。『いや,毒麦を集める時に、それらと一緒に小麦を引き抜いてしまうといけない。

13:30. 収穫まで両方とも一緒に成長させなさい。そして収穫の時節になったら、刈り取る者たちに、「まず毒麦を集めて、それらを縛って束にし、それらを燃やすように、しかし小麦はわたしの倉に集めなさい」と言おう』」。

13:31. 彼は彼らにほかのたとえを示して言った。「天々の王国は一粒のからしの種のようです。人がそれを取って、自分の畑にまいた。

13:32. それはどんな種よりも小さいが、成長すると、野菜よりも大きくなり、木になる。そのため、天の鳥たちが来て、その枝に宿る」。

13:33. 彼は彼らにほかのたとえを語った。「天々の王国はパン種のようです。女がそれを取って、三升の粉の中に隠すと、ついには全体が発酵した」。

13:34. イエスはこれらのことをすべて、たとえで群衆に語った。たとえなしでは彼らに語らなかった。

13:35. それは、預言者を通して言われたことが成就するためであった。こう言われていた。「わたしはたとえをもって口を開き、世界の基が置かれて以来隠されていることを語り出そう」。

13:36. それから、彼は群衆を離れて家に入った。彼の弟子たちは彼のところに近づいてきて言った。「畑の毒麦のたとえをわたしたちに説明してください」。

13:37. 彼は答えて言った。「良い種をまく者は、人の息子です。

13:38. 畑は世界です。良い種、それらは王国の息子たちです。毒麦は邪悪な者の息子たちです。

13:39. それらをまいた敵は謗魔です。収穫は世の完結です。刈り取る者たちは使いの者たちです。

13:40. だから、毒麦が集められて火で燃やされるように、世の完結にもそのようになるだろう。

13:41. 人の息子は自分の使いの者たちを遣わし、彼らはつまずきとなるものと不法を行う者とを、すべて彼の王国から集め、

13:42. 彼らを火の炉に投げ入れるだろう。そこには泣きと歯ぎしりとがあるだろう。

13:43. その時、義人たちは彼らの父の王国で太陽のように輝きわたるだろう。耳のある者は聞きなさい。

13:44. 天々の王国は、畑に隠されている宝のようです。人がそれを見つけると隠しておき、喜びながら行って持っているものをすべて売り払って、その畑を買う。

13:45. また天々の王国は、良い真珠を探している商人のようです。

13:46. 一つの高価な真珠を見つけると、行って持っていたものをすべて売り払って、それを買った。

13:47. また天々の王国は、海に投げ入れられ、あらゆる種類のものを集める網のようです。

13:48. それがいっぱいになると彼らは岸に引き上げ、座って、良いのを器に集め、腐ったものを外へ捨てた。

13:49. 世の完結にもそのようになるだろう。使いの者たちは出て行って、義人たちの中から邪悪な者たちをより分け、

13:50. 彼らを火の炉に投げ入れるだろう。そこには泣きと歯ぎしりとがあるだろう。

13:51. あなたがたはこれらのことをすべて理解したか」。彼らは彼に答えた、「はい」。

13:52. 彼は彼らに言った。「だから、天々の王国の弟子になった書記官はみな、自分の宝の中から新しいものと古いものを取り出す家の主人のようです」。

13:53. イエスはこれらのたとえを語り終えると、そこから去って行った。

13:54. 自分の故郷に来て、彼らの会堂で彼らを教えた。そこで彼らは驚いて言った。「この者はこの知恵とこれらの力あるわざとをどこから得たのだろう。

13:55. これは大工の息子ではないか。彼の母はマリヤといい、彼の兄弟たちは、ヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダではないか。

13:56. 彼の姉妹たちは、みなわたしたちと一緒にいるではないか。それでは、この者はこれらすべてのことをどこから得たのだろう」。

13:57. こうして、彼らは彼につまずいた。しかし、イエスは彼らに言った。「預言者は、故郷や自分の家以外では、敬われないことはない」。

13:58. そして彼らの不信仰のゆえに、そこでは力あるわざを多くは行なわなかった。

マタイ 第14章↑

14:1. その時節、領主ヘロデはイエスの噂を聞いて、

14:2. 自分の男の子供たちに言った。「これはバプテストのヨハネだ。彼は死んだ者たちの中から起こされたのだ。それで、力あるわざが彼の内に働いているのだ」。

14:3. というのは、ヘロデは、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤのことで、ヨハネを捕らえて彼を縛り、獄に入れていた。

14:4. それは、ヨハネが彼に、「あなたが彼女を有しているのは、許されることではない」と言ったからである。

14:5. 彼を殺したかったが、群衆を恐れた。彼らは彼を預言者とみなしていたからである。

14:6. ところが、ヘロデの誕生日の祝に、ヘロディアの娘が彼らの間で踊ってヘロデを喜ばせた。

14:7. それで彼は、彼女の願うものは何でも与えると、誓って約束した。

14:8. 彼女は自分の母に促されて言った。「バプテストのヨハネの首を盆に載せて、ここでわたしにお与えください」。

14:9. 王は悩んだが、誓い、また一緒に食卓に着いていた者たちのゆえに、与えられるように命じて、

14:10. そして送って、獄の中でヨハネの首をはねさせた。

14:11. 彼の首は盆に載せて持って来られ、少女に与えられた。そして彼女は自分の母のところに持って行った。

14:12. それから、彼の弟子たちが近づいてきて、死体を引き取って彼を葬った。そして、来てイエスに知らせた。

14:13. イエスはこのことを聞くと、舟でそこを去り、自分だけで寂しい場所に退いた。群衆はそれを聞いて、町々から徒歩で彼について行った。

14:14. 彼は出て来て、大群衆を見た。彼らに慈悲の念にかられ、彼らの病気をいやした。

14:15. 夕方になった時、弟子たちが彼のところに近づいてきて言った。「ここは寂しい場所、それにもう時間も過ぎました。群衆を去らせて、彼らが村々に行ってめいめいで食べ物を買うようにしてください」。

14:16. しかしイエスは彼らに言った。「彼らが出かけて行く必要はない。あなたがたが彼らに食べ物を与えなさい」。

14:17. 彼らは彼に言った。「わたしたちはここに,五つのパンと二匹の魚しか持っていません」。

14:18. 彼は言った。「それらをここに、わたしのところに持って来なさい」。

14:19. 彼は草の上に座るよう群衆に命じ、五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて祝福し、パンを裂いて弟子たちに与え、弟子たちが群衆に与えた。

14:20. みんなの者は食べて満腹した。彼らは余ったパン切れを、十二のかごいっぱいに拾い集めた。

14:21. 食べた者たちは、女と子供を別にして、およそ五千人の男たちであった。

14:22. すぐに彼は、弟子たちを強いて舟に乗り込ませ、自分より先に向こう側に行かせ、その間に自分は群衆を去らせた。

14:23. 群衆を去らせてから、祈るために自分だけで山へ上って行った。夕方になって、一人でそこにいた。

14:24. 舟は陸から何スタディオンも離れていたが、波に試金石によってのように試されていた。向かい風だったからである。

14:25. 夜の第四見張り時に、彼は海の上を歩いて、彼らのところに来られた。

14:26. 弟子たちは彼が海の上を歩いているのを見て、動揺しながら、「幻影だ」と言った。そして、恐れのあまり叫び声を上げた。

14:27. しかし、イエスはすぐに彼らに話しかけて言った。「勇気を出しなさい。わたしです。恐れることはない」。

14:28. ペテロが彼に答えて言った。「主よ、あなたでしたら、水の上、あなたのところに来るよう、わたしにお命じください」。

14:29. 彼は言った。「来なさい」。そこでペテロは舟から降りて、水の上を歩いてイエスのほうへ行った。

14:30. しかし、強い風を見て、怖くなり、沈み始めた時、叫んで言った。「主よ、わたしをお救いください」。

14:31. イエスはすぐに手を伸ばして彼をつかみ、彼に言った。「信仰の小さい者よ、なぜ疑ったのか」。

14:32. 彼らが舟に乗り込むと、風はやんだ。

14:33. 舟の中にいた者たちは彼を拝んで言った。「本当にあなたは神の息子です」。

14:34. それから、彼らは渡ってゲネサレの地に着いた。

14:35. その場所の男たちは彼だと知って、その周囲の地方全体に遣わして、すべてのわずらっている者を彼のところに連れてきた。

14:36. ただ彼の衣の房飾りにでも触らせていただきたいと彼らは彼に願った。そして触った者は皆いやされた。

マタイ 第15章↑

15:1. その時、パリサイ人たちと書記官たちとが、エルサレムからイエスのところに近づいてきて言った。

15:2. 「なぜあなたの弟子たちは、長老たちの言い伝えを犯すのですか。彼らはパンを食べる時に自分の手を洗っていないのです」。

15:3. 彼は彼らに答えて言った。「なぜあなたがたも自分たちの言い伝えのゆえに神の戒めを犯しているのですか。

15:4. 神は言われた。『父と母とを敬え』、また『父または母をののしる者は、死で死ななければならない』と。

15:5. ところがあなたがたはこう言う。『誰でも父または母に、あなたがわたしから益を得るものは供え物ですと言えば、

15:6. その者は自分の父を敬ってはならない』と。あなたがたは自分たちの言い伝えのゆえに神の言葉を無効にしている。

15:7. 偽善者たちよ、イザヤがあなたがたについて適切に預言して言った。

15:8. 『この民は、口先ではわたしを敬うが、彼らの心はわたしから遠く離れている。

15:9. 彼らがわたしをむなしく礼拝する。彼らが教えとして教えているのは、人々の戒めです。

15:10. 群衆を呼び寄せて、彼らに言った。「聞いて、理解しなさい。

15:11. 口に入るものが人を汚すことはない。しかし、口から出るもの、これが人を汚すのです」。

15:12. その時、弟子たちが近づいてきて彼に言った。「パリサイ人たちがこの言葉を聞いてつまずいたのをご存じですか」。

15:13. 彼は答えて言った。「わたしの天の父が植えなかった植物は、すべて根こそぎにされるだろう。

15:14. 彼らを放っておきなさい。盲人の手引をする盲人です。もし盲人が盲人を手引きするなら、両方とも穴に落ちてしまうだろう」。

15:15. ペテロが答えて彼に言った。「そのたとえをわたしたちに説明してください」。

15:16. 彼は言った。「あなたがたもまだ理解力がないのか。

15:17. すべて口に入るものは、腹を通って便所に落ちることが分からないのか。

15:18. しかし、口から出るものは心から出るので、それらは人を汚す。

15:19. 心から出るのは、邪悪な推論、殺人、姦淫、淫売、盗み、偽証、冒とくだからです。

15:20. これらのものが人を汚すのです。しかし、洗っていない手で食事することが人を汚すことはない」。

15:21. それから、イエスはそこを出て、ツロとシドンとの地方に退いた。

15:22. 見よ、カナンの女がその地域から出て来て、叫んで言った。「主よ、ダビデの息子よ、わたしをあわれんでください。わたしの娘がひどく悪霊に取り憑かれています」。

15:23. しかし、彼は彼女に一言も答えなかった。そこで弟子たちが彼のところに近づいてきて彼に願って言った。「彼女を追い払ってください。わたしたちの後ろで叫んでいますから」。

15:24. 彼は答えて言った。「わたしはイスラエルの家の失われた羊以外には遣わされなかった」。

15:25. しかし、彼女は来て、彼を拝んで言った。「主よ、わたしをお助けください」。

15:26. しかし、彼は答えて言った。「子供たちのパンを取って小犬たちに投げ与えるのは良くない」。

15:27. すると彼女は言った。「そうです、主よ。でも、小犬たちもその主人たちの食卓から落ちたパンくずを食べるのです」。

15:28. そこでイエスは答えて彼女に言った。「女よ、あなたの信仰は偉大です。あなたの望むとおり、あなたになるように」。すると、その時から、彼女の娘はいやされた。

15:29. イエスはそこを去って、ガリラヤの海辺に来た。そして山に登って、そこに座った。

15:30. すると多くの群衆が、口の利けない者たち、目の見えない者たち、体の不自由な者たち、足の不自由な者たち、そのほか多くの者たちを連れて、彼のところに近づいてきた。そして、彼らを彼の足もとに投げ出して置いた。そして彼は彼らをいやした。

15:31. そのため群衆は、口の利けない者たちが語り、体の不自由な者たちが健康になり、足の不自由な者たちが歩き、目の見えない者たちが見えるようになったのを見て驚いた。そしてイスラエルの神をたたえた。

15:32. イエスは自分の弟子たちを呼び寄せて言った。「わたしはこの群衆に慈悲の念にかられる。彼らはもう三日もわたしのもとにとどまるのに、何も食べる物がないからです。わたしは彼らを空腹のままで去らせたくない。おそらく、途中で弱り切ってしまうだろう」。

15:33. 弟子たちは彼に言った。「この寂しい場所で、これほどの大群衆を満足させるほど多くのパンをわたしたちはどこから得るのですか」。

15:34. イエスは彼らに言った。「あなたがたはパンを幾つ持っているのか」。彼らは言った。「七つあります。それに小さい魚が少しあります」。

15:35. そこで彼は群衆に、地に座るようにと命じた。

15:36. 彼は七つのパンと魚を取り、感謝をささげてからそれを裂いて弟子たちに与え、弟子たちが群衆に与えた。

15:37. みんなは食べて満腹した。彼らは余ったパン切れを、七つのかごいっぱいに拾い集めた。

15:38. 食べた者たちは、女と子供を別にして、四千人の男たちであった。

15:39. それから彼は群衆を去らせ、舟に乗り、マガダンの地域に来た。

マタイ 第16章↑

16:1. パリサイ人たちとサドカイ人たちが近づいてきて、ためすために天からのしるしを彼らに見せるようにと彼に尋ねた。

16:2. 彼は答えて彼らに言った。「あなたがたは夕方になると、『天々が赤いだから、晴だ』と言う。

16:3. 朝には『天々が赤く曇っているので、今日は荒れだ』と言う。あなたがたは天々の模様を見分けることを知っているのに、時々節々のしるしを見分けることができないのか。

16:4. 邪悪な、姦淫の世代はしるしを求めるが、この世代にヨナのしるしのほかには何のしるしも与えられない」。そして彼は彼らを残して去って行った。

16:5. 弟子たちは向こう側に来たが、パンを持って来るのを忘れた。

16:6. イエスは彼らに言った。「パリサイ人とサドカイ人とのパン種に注意して、気をつけなさい」。

16:7. 彼らは互いに論じ合って言った。「わたしたちがパンを持って来なかったからだ」。

16:8. イエスはそれと知って言った。「パンを持っていないことで、なぜあなたがたは互いに論じ合っているのか、信仰の小さい者たちよ。

16:9. まだわからないのか。覚えていないのか。五千人の五つのパン、そしてあなたがたが幾つのかごに拾ったかを。

16:10. また、四千人の七つのパン、そしてあなたがたが幾つのかごに拾ったかを。

16:11. あなたがたにパンについて言ったのではないことが、どうして分からないのか。ただ、パリサイ人たちとサドカイ人たちのパン種に気をつけなさい」。

16:12. その時、彼らは、彼が気をつけるように言ったのは、パンのパン種のことではなく、パリサイ人たちとサドカイ人たちの教えのことだと理解した。

16:13. イエスはピリポ・カイザリヤの地方に来たとき、自分の弟子たちに尋ねて言った。「人々は人の息子を誰と言っているか」。

16:14. 彼らは言った。「ある者たちはバプテストのヨハネ、ほかの者たちはエリヤ、またほかの者たちはエレミヤか預言者たちの一人だと言っています」。

16:15. 彼は彼らに言った。「だが、あなたがたはわたしを誰だと言うのか」。

16:16. シモン・ペテロが答えて言った。「あなたはキリスト、生ける神の息子です」。

16:17. イエスは答えて彼に言った。「シモン・バルヨナ、あなたは幸いです。あなたに啓示したのは、肉と血ではなく、天々にいるわたしの父だからです。

16:18. わたしもあなたに言う。あなたはペテロです。わたしはこの岩の上にわたしの集会を建てる。墓の領域の門もそれに打ち勝たない。

16:19. わたしは、あなたに天々の王国の鍵束を与えよう。そして、地上で縛るものは天々でも縛られ、あなたが地上で解くものは天々でも解かれるだろう」。

16:20. その時、彼は、自分がキリストであることを誰にも言ってはいけないと、弟子たちに命じた。

16:21. この時から、イエスは、自分がエルサレムに行き、長老たち、祭司長たち、書記官たちから多くの苦しみを受け、かつ殺され、そして三日目に起こされなければならないことを自分の弟子たちに示し始めた。

16:22. すると、ペテロは彼をわきに連れて行き、彼をしかり始めて言った。「あなたの上にあわれみがありますように、主よ。あなたには決してそのようにならないでしょう」。

16:23. しかし、彼は振り向いてペテロに言った。「わたしの後ろに下がれ、サタンよ。あなたはわたしをつまずかせるものです。あなたは神のことではなく、人々のことを考えているからです」。

16:24. その時、イエスは自分の弟子たちに言った。「誰でもわたしの後ろに来たいと思うなら、自分を拒み、自分の十字架を取り上げて、わたしについて来なさい。

16:25. 自分の魂を救いたいと思う者はそれを滅ぼし、わたしのために自分の魂を滅ぼす者は、それを見いだすからです。

16:26. というのは、人が全世界をもうけても、自分の魂を損したら、何の益になるだろうか。人は自分の魂と引き換えに何を与えるだろうか。

16:27. 人の息子は彼の父の栄光のうちに、彼の使いの者たちと共に来るが、その時には、彼はそれぞれにその行ないに応じて報いるからです。

16:28. まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。ここに立っている者たちの中には,人の息子が自分の王国の中で来るのを見るまでは決して死を味わわない者たちがいる」。

マタイ 第17章↑

17:1. 六日後、イエスはペテロとヤコブと彼の兄弟ヨハネを連れて、彼らだけを高い山へ連れて行った。

17:2. 彼は彼らの目の前で姿が変り、彼の顔は太陽のように輝き、彼の衣は光のように白くなった。

17:3. すると、見よ、モーセとエリヤが彼らに現れて、彼と語り合っていた。

17:4. ペテロは答えてイエスに言った。「主よ、わたしたちがここにいるのは良いことです。もしお望みでしたら、わたしはここに幕屋を三つ作りましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために」。

17:5. 彼がまだ話しているうちに、見よ、明るい雲が彼らを覆った。そして見よ、雲の中からの声が言った。「これは、わたしの息子、愛する者、わたしは彼を喜ぶ。彼に聞きなさい」。

17:6. これを聞くと、弟子たちは彼らの顔を伏せて非常に恐れた。

17:7. イエスが近づいてきて、彼らに触って言った。「起きなさい。恐れてはいけない」。

17:8. 彼らが目を上げると、イエス一人のほかには、誰も見えなかった。

17:9. 彼らが山を下りて行く時、イエスは彼らに命じて言った。「人の息子が死んだ者たちの中から起こされるまでは、見たことを誰にも言ってはいけない」。

17:10. 弟子たちは彼に尋ねて言った。「それでは、なぜ書記官たちは、エリヤが先に来るはずだと言うのですか」。

17:11. 彼は言った。「確かにエリヤが来て、すべてのものを回復するだろう。

17:12. しかし、わたしはあなたがたに言っておく。エリヤはすでに来たのです。そして、彼らは彼を認めず、自分たちの望むことを彼に対して行ったのです。このように、人の息子も、彼らから苦しみを受けるだろう」。

17:13. その時、弟子たちは、彼がバプテストのヨハネについて自分たちに言ったのだと理解した。

17:14. 彼が群衆のところに来ると、一人の人が彼のもとに近づいてきて、彼にひざまずいて、

17:15. こう言った。「主よ、わたしの息子をあわれんでください。てんかんで、ひどく苦しんでいるからです。何度も火の中に、何度も水の中に倒れるのです。

17:16. そこで、彼をあなたの弟子たちのところに連れて来ましたが、彼らは彼をいやすことができませんでした」。

17:17. イエスは答えて言った。「ああ、不信仰で曲った世代よ。いつまで、わたしはあなたがたと一緒にいようか。いつまであなたがたに我慢しようか。彼をここに、わたしのところに連れてきなさい」。

17:18. イエスが彼をしかりつけると、悪霊は彼から出て行った。そして、その時から、男の子はいやされた。

17:19. その時、弟子たちは自分たちだけでイエスのところに近づいてきて言った。「なぜわたしたちはそれを追い出せなかったのでしょうか」。

17:20. 彼は彼らに言った。「あなたがたの小さな信仰のためです。まことをもって、あなたがたに言っておく。もしあなたがたにからし種一粒ほどの信仰があるなら、この山に『ここからあそこに移れ』と言えば、移るだろう。そして、あなたがたに不可能なことはないだろう。

17:21. 〔無し〕

17:22. 彼らがガリラヤで集まっていた時、イエスは彼らに言った。「人の息子は人々の手に渡されようとしている。

17:23. そして人々は彼を殺すだろう。そして三日目に彼は起こされるだろう」。彼らは非常に悲しんだ。

17:24. 彼らがカペルナウムに来た時、二ドラクマ銀貨を集める者たちがペテロのところに近づいてきて言った。「あなたがたの先生は二ドラクマ銀貨を納めないのか」。

17:25. 彼は言った。「はい」。そして彼が家に入ると、イエスは彼より先にこう言った。「シモン、あなたはどう思うか。地上の王たちは税金や人頭税を誰から受けるのか。自分の息子たちからか、それともよその者たちからか」。

17:26. ペテロは言った。「よその者たちからです」。イエスは彼に言った。「それでは、息子たちは自由者たちです。

17:27. しかし、わたしたちが彼らをつまずかせないために、海に行って、釣り針を投げ、最初に上がる魚を取りなさい。その口を開くと、スタテル銀貨を見つけるだろう。それを取って、わたしとあなたのために彼らに与えなさい」。

マタイ 第18章↑

18:1. その時、弟子たちがイエスのところに近づいてきて言った。「それでは、天々の王国では、誰が一番偉いのですか」。

18:2. すると、彼は一人の小さい子供を呼び寄せ、彼らの真ん中に立たせて

18:3. 言った。「まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。立ち返って小さい子供たちのようにならなければ、あなたがたは決して天々の王国に入ることはない。

18:4. だから、この小さい子供のように自分をへりくだる者、その者が天々の王国で一番偉いのです。

18:5. また、わたしの名のゆえにこのような小さい子供の一人を受け入れる者は、わたしを受け入れるのです。

18:6. しかし、わたしを信じるこれらの小さな者たちの一人をつまずかせる者は、ろばの回すような石うすを彼の首にかけられて海の深みに沈められる方が、その者にとっては益になる。

18:7. つまずかせるもののゆえに、世界は災いです。つまずきが来ることはやむを得ませんが、しかし、つまずきをもたらす者は災いです。

18:8. もしあなたの手かあなたの足があなたをつまずかせるなら、それを切り取って、自分から捨てなさい。二つの手または二つの足を持ったまま世々の特質ある火に投げ込まれるよりは、不具または足の不自由なまま命に入る方が、あなたにとっては良いのです。

18:9. もしあなたの目があなたをつまずかせるなら、それをえぐり出して、自分から捨てなさい。二つの目を持ったまま火のヒンノムの谷に投げ込まれるよりは、片目で命に入る方が、あなたにとっては良いのです。

18:10. あなたがたは、これらの小さな者たちの一人を軽蔑しないように注意しなさい。あなたがたに言うが、天々にいる彼らの使いの者たちは、天々にいるわたしの父のみ顔を、いつも見ているのです。

18:11. 〔無し〕

18:12. あなたがたはどう思うか。ある人に百匹の羊がいて、その中の一匹が迷い出たなら、九十九匹を山に残して、迷い出ているものを捜しに行かないだろうか。

18:13. もしそれを見つけたなら、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておくが、迷い出なかった九十九匹のこと以上に、それを喜ぶ。

18:14. このように、これらの小さな者たちの一人が滅びることは、天々にいるあなたがたの父の前では、ご意志ではない。

18:15. あなたの兄弟があなたに対して罪を犯したなら、行って、あなたと彼だけの間で彼を責めなさい。彼があなた言うことを聞き入れたら、あなたは自分の兄弟を得たのです。

18:16. しかし、聞き入れないなら、あなたと一緒にもう一人か二人を連れて行きなさい。二人か三人の証人の口によって、すべての言葉が立証されるためです。

18:17. もし彼が彼らの言うことを聞かないなら、集会に告げなさい。もし彼が集会の言うことも聞かないなら、彼をあなたにとって諸国の民々の者また取税人のようであらせなさい。

18:18. まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。あなたがたが地上で縛るものは天でも縛られ、あなたがたが地上で解くものは天でも解かれるだろう。

18:19. また、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。あなたがたのうちの二人が、願い求めるどんな事についても地上で同意するなら、それは、天々にいるわたしの父によって、その彼らのためにそのようになるのです。

18:20. 二人か三人がわたしの名において共に集まっているところ、そこにわたしが彼らの真ん中にいるからです」。

18:21. その時、ペテロが彼のところに近づいてきて言った。「主よ、兄弟がわたしに対して罪を犯すとき、彼を何回まで赦すべきでしょうか。七回までですか」。

18:22. イエスは彼に言った。「わたしはあなたに七回までとは言わない。七回を七十倍までです。

18:23. それゆえ、天々の王国は、自分の奴隷たちと精算しようとした一人の王のようです。

18:24. 彼が精算を始めると、一人の無数タラントの債務者が彼のところに連れて来られた。

18:25. しかし、彼には返済する手段がなかったので、主人は、彼と妻と子供たち、持つすべての物も売って返済するように命じた。

18:26. そこで、その奴隷はひれ伏し、彼を拝んで言った。『わたしのことをご辛抱ください。あなたにすべてをお返しします』。

18:27. その奴隷の主人は、慈悲の念にかられ、彼を去らせ、彼の負債を許してやった。

18:28. ところが、その奴隷は出て行って、自分に百デナリの負債のある仲間の奴隷たちの一人を見つけると、彼を捕まえて首を絞めて『借りているものを返せ』と言った。

18:29. それで、彼の仲間の奴隷はひれ伏して、彼に懇願して言った。『わたしのことをご辛抱ください。あなたにお返しします』。

18:30. しかし、彼はそうしようとせず、行って、借りているものを返すまで、彼を獄に投げ込んだ。

18:31. そこで、彼の仲間の奴隷たちは、起きたことを見て非常に悲しみ、そして来て、起きたことをすべて彼らの主人に説明した。

18:32. すると彼の主人は彼を呼び寄せて彼に言った。『邪悪な奴隷よ、あなたがわたしに懇願したから、わたしはあなたが持っていたあの負債をすべて許してやったのです。

18:33. わたしがあなたを哀れみをかけたように、あなたも仲間の奴隷を哀れみをかけるべきではなかったか』。

18:34. そして、憤った彼の主人は、借りているものをすべて返すまで、試金石をもって試す者たちに彼を引き渡した。

18:35. もしあなたがたがそれぞれ自分の兄弟を心から赦さないなら、わたしの天の父もあなたがたにこうされるだろう」。

マタイ 第19章↑

19:1. イエスはこれらの言葉を終えた。するとガリラヤを去って、ヨルダンの向こうのユダヤの地域に来た。

19:2. 多くの群衆が彼について来た。そして彼はそこで彼らをいやした。

19:3. パリサイ人たちが彼に近づいてきて、彼をためして言った。「どんな理由でも、人が自分の妻を出すことは許されているのですか」。

19:4. 彼は答えて言った。「あなたがたは読んだことがないのか。創造した方は、初めから彼らを男性と女性に造られ、

19:5. そして言われた、『このゆえに、人は父と母を離れて、自分の妻と結び付き、二人は一つの肉体となる』。

19:6. それで、彼らはもはや二人ではなく、一つの肉体です。だから、神が結び合わされたものを、人は離してはいけない」。

19:7. 彼らは彼に言った。「それでは、なぜモーセは、離縁状の書類を与えて彼女を出すことを命じたのですか」。

19:8. 彼は彼らに言った。「モーセは、あなたがたの心のかたくなさのゆえに、あなたがたが自分の妻を出すことを許したのだが、初めからそうではなかった。

19:9. わたしはあなたがたに言う。淫売以外の理由で自分の妻を出して他の者と結婚する者は、姦淫を犯すのです。また出された者と結婚する者は、姦淫を犯すのです」。

19:10. 弟子たちは彼に言った。「もし妻に対する人の実情がそのようなものであれば、結婚しないのは便法です」。

19:11. しかし、彼は彼らに言った。「すべての者がこの言葉を受け入れるわけではなく、それが与えられている者だけです。

19:12. というのは、母の腹からそのように生まれついた去勢者がおり、人に去勢させられた去勢者がおり、天々の王国のために自分を去勢した去勢者がいるからです。これを受け入れることができる者は、受け入れなさい」。

19:13. その時、小さい子供たちが彼のところに連れて来られた。諸手を彼らの上に置いて祈っていただくためであった。ところが、弟子たちは彼らをしかった。

19:14. しかしイエスは言った。「小さい子供たちを放っておきなさい。彼らがわたしのところに来るのを妨げてはならない。天々の王国はこのような者たちのものだからです」。

19:15. そして諸手を彼らの上に置いてから、そこを去って行った。

19:16. すると見よ、一人の者が彼に近づいてきて言った。「先生、世々の特質ある命を得るためには、どんな良いことをしたらよいでしょうか」。

19:17. 彼は彼に言った。「なぜ良いことについてわたしに尋ねるのか。良いのはお一人です。しかし、あなたが命に入りたいなら、戒めを守りなさい」。

19:18. 彼は彼に言った。「どの戒めですか」。イエスは言った。「『殺人を犯すな』、『姦淫するな』、『盗むな』、『偽証するな』、

19:19. 『あなたは父と母とを敬え』、そして、『あなたは自分自身のようにあなたの隣人を愛せよ』」。

19:20. その若者は彼に言った。「わたしはそれらをみな守ってきました。まだ何が足りないのでしょうか」。

19:21. イエスは彼に言った。「もしあなたが完全でありたいなら、行って、あなたの持ち物を売り、貧しい人たちに与えなさい。そうすれば、天々に宝を持つことになる。そして来て、わたしについて来なさい」。

19:22. しかし、この言葉を聞くと、その若者は悲しみながら去って行った。多くの資産を持っていたからである。

19:23. イエスは自分の弟子たちに言った。「まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。金持が天々の王国に、苦労して入るだろう。

19:24. また、あなたがたに言う。金持が神の王国に入るよりは、らくだが針の穴を通る方が易しいのです」。

19:25. 弟子たちはこれを聞いて非常に驚いて言った。「それでは、誰が救われることができるのだろう」。

19:26. イエスは見つめて彼らに言った。「人々にはそれはできないが、神にはすべてのことができる」。

19:27. その時、ペテロが答えて彼に言った。「ご覧ください、わたしたちはすべてを後にして、あなたについて来ました。それで、わたしたちにはどうなるのでしょうか」。

19:28. イエスは彼らに言った。「まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。再生成において、人の息子が自分の栄光の座に座る時には、わたしについて来たあなたがたも十二の座に座り、イスラエルの十二部族を裁くだろう。

19:29. わたしの名のために、家々、あるいは兄弟たち、あるいは姉妹たち、あるいは父、あるいは母、あるいは妻、あるいは子供たち、あるいは畑を後にする者は、百倍を受け、また世々の特質ある命を受け継ぐだろう。

19:30. しかし、多くの最初の者が最後に、最後の者が最初になるだろう。

マタイ 第20章↑

20:1. 天々の王国は、自分のぶどう園に労働者を雇うために朝早く出かけた家の主人のようだからです。

20:2. 労働者たちと一日一デナリで合意すると、彼らを自分のぶどう園に遣わした。

20:3. 第三時ごろに出て来て、他の者たちが市場で何もせずに立っているのを見た。

20:4. その者たちに言った。『あなたがたもぶどう園に行きなさい。そうすれば、正当なものを与えよう』。

20:5. そこで、彼らは出かけて行った。彼はまた、第六時と第九時ごろに出て来て、同じようにした。

20:6. 第十一時ごろに出て来ると、他の者たちが立っているのを見つけて、彼らに言った。『なぜあなたがたは何もしないで一日中ここに立っているのか』。

20:7. 彼らは彼に言った。『誰もわたしたちを雇ってくれないからです』。彼は彼らに言った。『あなたがたもぶどう園に行きなさい』。

20:8. 夕方になって、ぶどう園の主人は自分の管理人に言った。『労働者たちを呼んで、最後の者から始めて最初の者まで、彼らに賃金を払いなさい』。

20:9. 第十一時ごろの者たちが来て、それぞれ一デナリを受けた。

20:10. 最初の者たちが来て、多く受けるだろうと思ったが、彼らもそれぞれ一デナリ受けた。

20:11. 受けると、彼らは家の主人に対してつぶやいて

20:12. 言った。『これら最後の者たちは一時間働いた。あなたは彼らを、この日の重荷と焼けるような暑さを辛抱したわたしたちと同等にした』。

20:13. しかし、彼は彼らの一人に答えて言った。『仲間よ,わたしはあなたに不義をしていない。あなたはわたしと一デナリで合意したではないか。

20:14. あなたのものを取って、行きなさい。この最後の者にもあなたと同じように与えたいのです。

20:15. 自分のもので自分がしたいようにするのは許されていないのか。それとも、わたしが善良なので、あなたの目は邪悪なのか』。

20:16. このように、最後の者が最初に、最初の者が最後になるだろう」。

20:17. イエスはエルサレムに上って行く時、十二弟子だけを連れて行き、その途上で彼らに言った。

20:18. 「見よ、わたしたちはエルサレムに上って行く。そして、人の息子は祭司長たちと書記官たちに引き渡される。彼らは彼に死刑を宣告し、

20:19. 彼を諸国の民々の者たちに引き渡して、あざけり、むち打ち、はりつけにする。そして三日目に彼は起こされる」。

20:20. その時、ゼベダイの息子たちの母が自分の息子たちと一緒に彼のところに近づいてきて、彼女がひれ伏し、何事かを彼に求めた。

20:21. 彼は彼女に言った。「何を望むのか」。彼女は彼に言った。「これらわたしの二人の息子が、あなたの王国で、一人はあなたの右に、一人はあなたの左に座るようにおっしゃってください」。

20:22. イエスは答えて言った。「あなたがたは自分が何を求めているかを知っていない。あなたがたは、わたしが飲もうとしている杯を飲むことができますか」。彼らは彼に言った。「できます」。

20:23. 彼は彼らに言った。「確かに、あなたがたはわたしの杯を飲むことになる。しかし、わたしの右や左に座ることは、わたしが与えるものではなく、わたしの父によって用意された者たちのためのものです」。

20:24. 十人の者はこれを聞いて、この二人の兄弟たちのことで憤慨した。

20:25. そこで、イエスは彼らを呼び寄せて言った。「あなたがたが知っているように、諸国の民々の支配者たちは彼らに対して威張り、偉い者たちは彼らの上に権威を振るっている。

20:26. あなたがたの間ではそうあるべきではないだろう。かえって、あなたがたの間で偉くなりたい者は、あなたがたのしもべとなるだろうし、

20:27. あなたがたの間で第一でありたい者は、あなたがたの奴隷となるだろう。

20:28. 人の息子が来たのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また自分の魂を多くの者の身代金として与えるためであるのと、それは同じです」。

20:29. それから、彼らがエリコを出て行った時、大群衆が彼について来た。

20:30. 見よ、道ばたに座っている二人の盲人が、イエスが通って行くと聞いて、叫んで言った。「主よ、わたしたちをあわれんでください、ダビデの息子よ」。

20:31. 群衆は、黙っているようにと彼らをしかりつけたが、彼らはますます叫んで言った。「主よ、わたしたちをあわれんでください、ダビデの息子よ」。

20:32. イエスは立ち止まって彼らを呼んで言った。「あなたがたに対し、何を私にしてもらいたいのか」。

20:33. 彼らは彼に言った。「主よ、わたしたちの目が開かれたら」。

20:34. イエスは慈悲の念にかられ、彼らの目に触った。すると、彼らはすぐに見えるようになり、彼について行った。

マタイ 第21章↑

21:1. 彼らがエルサレムに近づき、オリーブ山のベテパゲに来たその時、イエスは二人の弟子を遣わして、

21:2. 彼らに言った。「向こうの村に行きなさい。するとすぐに、ろばがつながれていて、一緒に子ろばがいるのを見つけるだろう。解いて、そしてわたしのところに連れて来なさい。

21:3. もし誰かがあなたがたに何か言うなら、『主がこれらを必要としているのです』と言いなさい。彼はすぐにそれらをよこすだろう」。

21:4. このことすべてが起こったのは、預言者を通して言われたことが成就するためであった。こう言われていた。

21:5. 「シオンの娘に言え、見よ、あなたの王があなたのところに来られる、柔和で、ろばに乗って,くびきを負う獣の子なる子ろばに乗って」。

21:6. 弟子たちは出て行き、イエスが彼らに命じたとおりに行なった。

21:7. ろばと子ろばを連れて来て、それらの上に衣をかけた。すると彼はそれらの上に座った。

21:8. 多くの群衆が自分たちの衣を道に敷き、また、ほかの者たちは木から枝を切り落として道に敷いた。

21:9. 群衆は、彼の前を行く者も後について行く者も、叫んで言った。「ダビデの息子にホサナ。主のみ名において来る者は祝福されている者です。いと高き所にホサナ」。

21:10. 彼がエルサレムに入ると、都全体が騒ぎ立ち、「これは誰だ」と言った。

21:11. 群衆は言った。「これは、ガリラヤのナザレから出た預言者イエスだ」。

21:12. イエスは神殿に入り、神殿で物を売る者たちや買う者たちをみな追い出し、両替屋たちの台と、はとを売る者たちの腰掛けをひっくり返した。

21:13. 彼らに言った。「『わたしの家は祈りの家と呼ばれるだろう』と書いてあるのに、あなたがたはそれを強盗たちの洞くつにしている」。

21:14. また、神殿の中で、目の見えない人たちや足の不自由な人たちが彼に近づいてきたので、彼は彼らをいやした。

21:15. しかし、祭司長たちと書記官たちは、彼が行なった驚嘆すべき事柄、そして、子供たちが神殿の中で叫んで、「ダビデの息子にホサナ」と言っているのを見て憤慨し、

21:16. 彼に言った。「これらの者たちが何を言っているのか、聞いているのですか」。イエスは彼らに言った。「はい。あなたがたは、『幼子や乳飲み子の口から、あなたは賛美を備えられた』とあるのを読んだことがないのか」。

21:17. 彼らを残して、都を出てベタニヤに行き、そこで夜を過ごした。

21:18. 朝、都に戻る時、空腹を感じた。

21:19. 道ばたに一本のいちじくの木があるのを見て、そこに来たが、その木には葉のほかには何も見つからなかった。それに言った。「もはや、世に渡り、おまえからは実が出ないように」。すると、いちじくの木はたちまち枯れた。

21:20. 弟子たちはこれを見て、驚いて言った。「いちじくの木がどうして、たちまち枯れたのでしょう」。

21:21. イエスは答えて彼らに言った。「まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。もしあなたがたに信仰があって疑わないなら、このいちじくにあったようなことが行なうだけでなく、この山に『持ち上げられて海の中に投げ込まれよ』と言っても、それは起きるだろう。

21:22. また、あなたがたは信じて、祈りの中で願うものすべてを受けるだろう」。

21:23. 彼が神殿に入ると、祭司長たちと民の長老たちが、彼の教えているところに近づいてきて言った。「あなたは何の権威によってこれらの事をするのですか。そして、誰がその権威をあなたに与えたのか」。

21:24. イエスは答えて彼らに言った。「わたしもあなたがたに一つのことを尋ねよう。あなたがたがわたしに言うなら、わたしも何の権威によってこれらの事をするのかをあなたがたに言おう。

21:25. ヨハネのバプテスマはどこからのものだったか。天からか、それとも人々からか」。彼らは互いに論じ合って言った。「もし天からだと言えば、彼は『それでは、なぜ彼を信じなかったのか』とわたしたちに言うだろう。

21:26. しかし、もし人々からだと言えば、群衆が怖い。みながヨハネを預言者として見ているのだから」。

21:27. 彼らはイエスに答えて言った。「わたしたちは知らない」。彼も彼らに言った。「わたしも、何の権威によってこれらの事をするのかをあなたがたに言わない。

21:28. あなたがたはどう思うか。ある人に二人の子供がいた。そして、一番目の者のところに近づいてきて言った。『子よ、今日、ぶどう園に行って働きなさい』。

21:29. この者は答えて言った。『行きたくありません』。しかし、後で後悔して出かけて行った。

21:30. 二番目の者に近づいてきて、同じように言った。この者は答えて言った。『行きます。主よ』。しかし、行かなかった。

21:31. この二人のうち、どちらが父の意志を行なったか」。彼らは言った。「最初の者です」。イエスは彼らに言った。「まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。取税人たちや売春婦たちのほうが、あなたがたより先に神の王国に入る。

21:32. ヨハネは義の道の中であなたがたに来たのに、あなたがたは彼を信じなかったからです。しかし、取税人たちや売春婦たちが彼を信じた。あなたがたはそれを見ながら、後で後悔して彼を信じようとしなかった。

21:33. ほかのたとえを聞きなさい。ある人、すなわち家の主人がいた。彼はぶどう園を造り、その周りに垣根を巡らし、酒ぶねを掘り、やぐらを建て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけた。

21:34. 実りの時節が来た時、彼は実りを受け取るために自分の奴隷たちを農夫たちに遣わした。

21:35. 農夫たちは彼の奴隷たちを捕まえて、一人を打ちたたき、一人を殺し、一人を石打ちにした。

21:36. 彼はまた、ほかの奴隷たちを最初より多く遣わしたが、農夫たちは彼らをも同じようにした。

21:37. その後、自分の息子を彼らに遣わして言った。『わたしの息子は敬ってくれるだろう』。

21:38. しかし、農夫たちはその息子を見て、互いに言った。『これは相続人だ。来て、彼を殺して、彼の相続財産が手に入れよう』。

21:39. そして彼らは彼を捕まえて、ぶどう園の外に追い出して殺した。

21:40. それで、ぶどう園の主人が来る時、これらの農夫たちにどうするだろうか」。

21:41. 彼らは彼に言った。「悪者たち。その者たちを意地悪く滅ぼし、そのぶどう園を、時節ごとに彼に実りを納めるほかの農夫たちに貸すだろう」。

21:42. イエスは彼らに言った。「あなたがたは聖書の中で読んだことがないのか。『建築者たちが捨てた石、それが隅のかしらになった。これは主から生じたことで、わたしたちの目には驚嘆すべきことです』。

21:43. だから、あなたがたに言う。神の王国はあなたがたから取り上げられ、その実を結ぶ国民に与えられる。

21:44. この石の上に落ちる者は粉々になるだろう。それが誰かの上に落ちれば、彼をもみ殻のようにまき散らす」。

21:45. 祭司長たちやパリサイ人たちは彼のたとえを聞いた時、彼が自分たちについて言っていることを知った。

21:46. 彼らは彼を捕まえようとしたが、群衆を恐れた。彼らは彼を預言者と見ていたからである。

マタイ 第22章↑

22:1. イエスは答えて、またたとえで彼らに話して言った。

22:2. 「天々の王国は、自分の息子のために婚宴を用意した一人の王のようです。

22:3. 自分の奴隷たちを遣わして、その婚宴に招かれていた者たちを呼ばせたが、彼らは来たがらなかった。

22:4. 彼はまた、ほかの奴隷たちを遣わして言った。『招かれた者たちに言いなさい。見よ、わたしの午餐を用意した。わたしの牛と肥えた家畜はほふられて、すべての用意ができました。婚宴に来てください』。

22:5. しかし、彼らは無関心で、一人は自分の畑に、一人は自分の商売に出かけて行った。

22:6. また、残りの者たちは彼の奴隷たちを捕まえて、侮辱を加えて殺してしまった。

22:7. そこで王は憤り、自分の軍隊を遣わし、それらの人殺したちを滅ぼし、彼らの町を焼き払った。

22:8. それから彼は自分の奴隷たちに言った。『婚宴の用意はできているのだが、招かれていた者たちはそれに値しなかった。

22:9. だから、道々の出口に行って、あなたがたが見つける者をみな婚宴に招きなさい』。

22:10. それらの奴隷たちは道々に出て行き、見つけた者をみな、邪悪な者も良い者も共に集めた。婚宴は食卓に着いた人たちでいっぱいになった。

22:11. しかし、食卓に着いている人たちを見るために王が入って来た。そこに婚宴の着物を着ていない人を見つけた。

22:12. 彼は彼に言った。『仲間よ、どうして婚宴の着物を持たないでここに入って来たのか』。彼は何も言えなかった。

22:13. そこで、王はしもべたちに言った。『彼の足と手を縛って、外の闇に投げ出せ。そこには泣きと歯ぎしりとがあるだろう』。

22:14. 招かれる者は多いが、選ばれる者は少ないからです」。

22:15. その時、パリサイ人たちが行って、どのようにして彼を言葉のわなにかけようかと、相談した。

22:16. そして、彼らは自分たちの弟子たちをヘロデ党の者たちと一緒に彼のところに遣わして言った。「先生、わたしたちはあなたが真実であり、真理に基いて神の道を教え、誰をも気にされないことを知っています。あなたは人々の顔をご覧にならないからです。

22:17. それで、あなたはどう思われますか、言ってください。カイザルに人頭税を与えることは許されているでしょうか、許されていないでしょうか」。

22:18. しかし、イエスは彼らの邪悪さを知って言った。「なぜあなたがたはわたしをためすのか、偽善者たちよ。

22:19. 人頭税の硬貨をわたしに見せなさい」。彼らはデナリを彼に持って来た。

22:20. 彼は彼らに言った。「これは誰の肖像と銘なのか」。

22:21. 彼らは彼に言った。「カイザルのです」。すると彼は彼らに言った。「それでは、カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」。

22:22. 彼らはこれを聞いて驚嘆し、彼を残して去って行った。

22:23. その日、復活はないと言っているサドカイ人たちが、彼のところに近づいてきて彼に尋ねて

22:24. 言った。「先生、モーセは言っていました、『もしある者が子供たちを持たずに死んだ場合、彼に最も親等の近い兄弟が彼の妻をめとって、自分の兄弟のために子孫を起こせよ』。

22:25. さて、わたしたちのところに七人の兄弟がいました。最初の者が妻をめとったが死にました。そして子孫がいなかったので、彼の兄弟に彼の妻を残しました。

22:26. 二番目も、三番目も、七番目まで同じようになりました。

22:27. みなの最後にその女も死にました。

22:28. それで、復活において彼女は七人のうち誰の妻になるのでしょうか。みなが彼女を得たのですから」。

22:29. しかし、イエスは答えて彼らに言った。「あなたがたは道迷わされている。聖書も神の力も知らないからです。

22:30. 復活において、彼らはめとったり、嫁いだりすることはない。天にいる神の使いの者たちのようになる。

22:31. 死んだ者たちの復活について、神があなたがたに言われたことを読んだことがないのか。こう言っている。

22:32. 『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』。彼は死んだ者たちの神ではなく、生きている者の神です」。

22:33. 群衆はこれを聞いて、彼の教えに驚いた。

22:34. しかし、パリサイ人たちは、彼がサドカイ人たちを黙らせたことを聞いて、一緒に彼のところに集まった。

22:35. 彼らのうちの一人の律法学者が、彼をためして尋ねた。

22:36. 「先生、律法の中で、どの戒めが最大のものですか」。

22:37. 彼は彼に言った。「『あなたの心を尽くし、あなたの魂を尽くし、あなたの思いを尽くして、主なるあなたの神を愛せよ』。

22:38. これが最大で第一の戒めです。

22:39. 第二はこれと同様です。『あなたの隣人を自分自身のように愛せよ』。

22:40. 律法全体と預言者たちとは、これらの二つの戒めにかかっている」。

22:41. さて、パリサイ人たちが一緒に集まっていた時、イエスは彼らに尋ねて

22:42. 言った。「あなたがたはキリストについてどう思うか。彼は誰の息子ですか」。彼らは彼に言った。「ダビデの息子です」。

22:43. 彼は彼らに言った。「それでは、どうしてダビデが霊の中で彼を主と呼んでいるのか。こう言っている。

22:44. 『主はわたしの主に言われた、わたしがあなたの敵たちをあなたの足の下に置くまで、わたしの右に座っていなさい』。

22:45. それで、ダビデが彼を主と呼んでいるのなら、どうして彼は彼の息子だろうか」。

22:46. 誰も一言も彼に答えることはできなかった。その日から、誰もあえてそれ以上彼に尋ねなかった。

マタイ 第23章↑

23:1. その時、イエスは群衆と彼の弟子たちとに語って

23:2. 言った。「書記官たちとパリサイ人たちはモーセの座に着いている。

23:3. だから、彼らがあなたがたに言うことはすべて行ない、守りなさい。しかし、彼らの行ないを真似てはいけない。彼らは言いはするが、行わないからです。

23:4. また、重い荷物をくくって人々の肩にのせるが、自分では指一本でもそれを動かそうともしない。

23:5. 彼らの行なうわざはすべて、人に見られるためです。彼らは自分たちの聖句入れを広くし、衣の房飾りを大きくするからです。

23:6. 彼らが好むのは宴会での上座や会堂での上席、

23:7. 市場でのあいさつや人々にラビと呼ばれることなのです。

23:8. しかし、あなたがたはラビと呼ばれてはならない。あなたがたの先生は、一人であって、あなたがたはみな兄弟だからです。

23:9. また、地上の誰をも自分たちの父と呼んではならない。あなたがたの父は一人、天にいる方だからです。

23:10. また、あなたがたは教訓者と呼ばれてはならない。あなたがたの教訓者は一人、キリストだからです。

23:11. あなたがたの間で一番偉い者は、あなたがたのしもべになるだろう。

23:12. 誰でも自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるだろう。

23:13. 偽善者である書記官たちとパリサイ人たちよ、あなたがたは災いです。あなたがたは人々の前で天々の王国を閉ざすからです。あなたがたが入らないし、入ろうとする者たちが入ることをも許さないのです。

23:14. 〔無し〕

23:15. 偽善者である書記官たちとパリサイ人たちよ、あなたがたは災いです。あなたがたは一人の改宗者を作るために海と陸を行き巡り、それができると、彼を自分に倍するほどのヒンノムの谷の息子とするからです。

23:16. 盲目の手引き者たちよ、あなたがたは災いです。あなたがたは、『誰でも聖所をさして誓うなら、それは何でもない。しかし、聖所の黄金をさして誓うなら、その者には果たす義務がある』と言うのです。

23:17. 愚か者たち、また盲目の者たちよ。黄金と、黄金を聖別する聖所と、どちらが偉大なのか。

23:18. また、あなたがたは、『誰でも祭壇をさして誓うなら、それは何でもない。しかし、その上にある供え物をさして誓うなら、その者には果たす義務がある』と言う。

23:19. 盲目の者たちよ。供え物と、供え物を聖別する祭壇と、どちらが偉大なのか。

23:20. だから、祭壇をさして誓う者は、祭壇とその上にあるすべての物をさして誓うのです。

23:21. また、聖所をさして誓う者は、聖所とそこに住んでいる方をさして誓うのです。

23:22. また、天をさして誓う者は、神のみ座とその上に座っている方をさして誓うのです。

23:23. 偽善者である書記官たちとパリサイ人たちよ、あなたがたは災いです。あなたがたははっか、いのんど、クミンの十分の一を納めながら、律法のもっと重大な事柄、すなわち正義とあわれみと信仰を見のがしている。これらこそ行うべきことです。だが、あれらも見のがしてはならない。

23:24. 盲目の手引き者たちよ、あなたがたは、ぶよは濾しているが、らくだは飲み込んでいる。

23:25. 偽善者である書記官たちとパリサイ人たちよ、あなたがたは災いです。あなたがたは杯と皿の外側は清めるが、内側は強奪と放縦で満ちているからです。

23:26. 盲目のパリサイ人よ。まず、杯と皿の内側を清めなさい。そうすれば、その外側も清くなる。

23:27. 偽善者である書記官たちとパリサイ人たちよ、あなたがたは災いです。あなたがたは白く塗った墓に似ているからです。外側は美しく見えるが、内側は死んだ者たちの骨とあらゆる不潔なもので満ちている。

23:28. このようにあなたがたも、人々には外側は義なる者たちのように見えるが、内側は偽善と不法でいっぱいです。

23:29. 偽善者である書記官たちとパリサイ人たちよ、あなたがたは災いです。あなたがたは預言者たちの墓を建て、義人たちの記念碑を飾って、

23:30. こう言っている、『もしわたしたちがわたしたちの父祖たちの日々にいたなら、彼らと共に預言者たちの血にあずかる者たちにはならなかっただろう』と。

23:31. こうしてあなたがたは、預言者たちを殺した者たちの息子たちであることを自分で証明している。

23:32. あなたがた、自分の父祖たちの枡目を満たしなさい。

23:33. 蛇たちよ、まむしの子孫よ、あなたがたはどうしてヒンノムの谷の裁きを逃れることができようか。

23:34. このゆえに、見よ、わたしはあなたがたに預言者たちと賢い者たちと書記官たちを遣わす。あなたがたは、彼らのうちのある者たちを殺してはりつけにし、彼らのうちのある者たちを自分たちの会堂でむち打ち、町から町へと迫害するだろう。

23:35. こうして義人アベルの血から、聖所と祭壇との間であなたがたが殺したバラキヤの息子ザカリヤの血に至るまで、地上に流されたすべての義なる血があなたがたの上に来るためです。

23:36. まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。これらのことすべては、この世代の上に来るだろう。

23:37. 預言者たちを殺し、彼女のところに遣わされた者たちを石打ちにするエルサレム、エルサレムよ。めんどりが自分のひなを翼の下に集めるように、わたしは幾たびあなたの子供たちを集めたいと思ったことか。しかし、あなたがたはそれを望まなかった。

23:38. 見よ、あなたがたの家は荒れ果てたままあなたがたに残される。

23:39. わたしはあなたがたに言っておく。あなたがたは、『主のみ名において来る者は祝福されている者です』と言う時までは、今後決してわたしを見ることはないだろう」。

マタイ 第24章↑

24:1. イエスは神殿から出て行き、進んで行こうとした。すると、彼の弟子たちが彼に神殿の建物を示すために近づいてきた。

24:2. しかし、彼は答えて彼らに言った。「あなたがたはこれらすべてのものを見ないか。まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。ここで石が石の上に残されて崩されないでいることは決してないだろう」。

24:3. 彼がオリブ山の上で座っていた時、弟子たちが自分たちだけで彼に近づいてきて言った。「わたしたちにお話しください。これらのことがいつあるのですか。そして、あなたの臨在と世の完結のしるしは何ですか」。

24:4. イエスは彼らに答えて言った。「誰かがあなたがたを道迷わすことのないように注意しなさい。

24:5. 多くの者がわたしの名においてやって来て、『わたしがキリストだ』と言って、多くの者を道迷わすだろう。

24:6. あなたがたは戦争と戦争のうわさを聞くだろう。注意していなさい。あわててはいけない。これらのことは起こらなければならないが、終結はまだなのです。

24:7. 国民は国民に、王国は王国に向かって立ち上がり、またあちこちでききんと地震があるからだろう。

24:8. しかし、これらのすべてのことは産みの苦しみの始まりです。

24:9. その時、彼らはあなたがたを苦しみに引き渡し、あなたがたを殺すだろう。あなたがたはわたしの名のゆえにすべての国民に憎まれるだろう。

24:10. その時、多くの者がつまずかれ、互いに引き渡し、互いに憎み合うだろう。

24:11. 多くの偽預言者たちが現れて、多くの者を道迷わすだろう。

24:12. 不法が増えるので、多くの者の愛が冷えるだろう。

24:13. しかし、終結まで耐え忍ぶ者、その者が救われるだろう。

24:14. そして、王国のこの良い知らせは、あらゆる国民に対する証しのために、人の住む全地で宣べ伝えられるだろう。そしてそれから終結が来る。

24:15. それで、預言者ダニエルを通して言われた、荒廃の憎悪のものが、聖なる場所に立っているのを見るなら(読者は理解しなさい)、

24:16. その時、ユダヤにいる者たちは山に逃げなさい。

24:17. 屋上にいる者は自分の家から物を取り出そうとして下りてはいけない。

24:18. 畑にいる者は、自分の衣を取りに後へ戻ってはいけない。

24:19. それらの日には、身ごもっている者たちと乳を飲ませている者たちは災いです。

24:20. あなたがたの逃げるのが、冬または安息日にならないように祈りなさい。

24:21. その時には、世界の初めから今に至るまで起きたことがなく今後も決して起きないような大きな苦難があるからです。

24:22. それらの日が短くされなかったなら、肉なる者は誰も救われないだろう。しかし、選ばれた者たちのために、それらの日は短くされるのです。

24:23. その時、誰かがあなたがたに、『見よ,ここにキリストがいる』、また、『ここに』と言っても、それを信じてはいけない。

24:24. 偽キリストたちや偽預言者たちが現れて、大きなしるしと不思議なわざを行ない、選ばれた者たちさえをもできれば道迷わそうとするからだろう。

24:25. 見よ、わたしはあなたがたに前もって言っておいた。

24:26. だから、彼らがあなたがたに、『見よ、彼は荒野にいる』と言っても、出て行ってはいけない。『見よ,奧まった部屋にいる』と言っても、それを信じてはいけない。

24:27. 稲妻が東から出て、西にまで輝きわたるように、人の息子の臨在もそのようだからです。

24:28. どこでも死体のあるところ、そこにワシたちも集まるだろう。

24:29. しかし、それらの日の苦難のすぐ後に、太陽は暗くなり、月はその光を放たず,星々は天から落ち、天々の勢力は揺り動かされるだろう。

24:30. そしてその時、人の息子のしるしが天に現れるだろう。その時、地のすべての部族は悲しみ、人の息子が力と大いなる栄光をもって天の雲に乗って来るのを見るだろう。

24:31. 彼は大いなるラッパと共に自分の使いの者たちを遣わし、彼らは四方の風から、天々の果てから果てに至るまで、自分の選ばれた者たちを集めるだろう。

24:32. いちじくの木からこのたとえを学びなさい。その枝がすでに柔らかくなり、葉を出すと、あなたがたは夏の近いことを知る。

24:33. そのようにあなたがたも、これらすべてのことを見たなら、それは戸口にまで近づいていることを知りなさい。

24:34. まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。これらのすべてのことが起こるまでは、この世代は決して過ぎ去らない。

24:35. 天と地は過ぎ去るだろう。しかし、わたしの言葉は決して過ぎ去らないのです。

24:36. しかし、その日と時については誰も知らない。天々の使いの者たちも、また息子も知らない、ただ父だけが知っている。

24:37. 人の息子の臨在はノアの日々のようだからです。

24:38. というのも、洪水前のそれらの日、ノアが箱舟に入るその日まで、彼らは食べたり飲んだり、めとったり嫁いだりしていた。

24:39. そして、洪水が来てすべてのものを取り去るまで、彼らは知らなかったのです。人の息子の臨在もそのようになるだろう。

24:40. その時、二人の者が畑にいるだろう。一人は取り去られ、一人は残される。

24:41. 二人の者がうすをひいているだろう。一人は取り去られ、一人は残される。

24:42. だから、目を覚ましていなさい。いつの日にあなたがたの主が来るのか、あなたがたは知らないからです。

24:43. しかし、このことを知っておきなさい。家の主人は、夜のどの見張り時に盗人が来るかを知っているなら、目を覚ましていて、自分の家に押し入られることを許さなかっただろう。

24:44. だから、あなたがたも用意をしておきなさい。あなたがたの思いがけない時に人の息子は来るからです。

24:45. それでは、主人が自分の家の上に任命した、時節に応じて彼らに食物を与えさせる忠実で賢い奴隷は、誰だろうか。

24:46. 自分の主人が来た時、そのようにしているのを見られるその奴隷は幸いです。

24:47. まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。彼は彼を任命して自分のすべての持ち物の上に置くだろう。

24:48. しかし、もしその悪い奴隷が、自分の心の中で、『わたしの主人は遅れている』と言い、

24:49. 自分の仲間の奴隷たちを打ちたたき始め、酔っぱらいたちと食べたり飲んだりしているなら、

24:50. その奴隷の主人は、彼の思いがけない日、彼の知らない時に来て、

24:51. 彼を二つに切り、彼の受け分を偽善者たちと共にならせるだろう。そこには泣きと歯ぎしりとがあるだろう。

マタイ 第25章↑

25:1. その時、天々の王国は、自分のともし火を持って花婿に会いに出て行った十人の処女に例えられるだろう。

25:2. そのうち五人は愚かで、五人は賢かった。

25:3. 愚かな者たちは、自分のともし火を持っていたが、自分と一緒にオリーブ油を持っていなかった。

25:4. しかし、賢い者たちは、自分のともし火と一緒に、器にオリーブ油を持っていた。

25:5. 花婿が遅れている間に、彼女たちはみな、うとうとして寝てしまった。

25:6. ところが、夜中に、『見よ。花婿だ。彼を迎えに出なさい』という叫びが上がった。

25:7. その時、それらの処女はみな起きて、自分のともし火を整えた。

25:8. 愚かな者たちは賢い者たちに言った。『あなたがたのオリーブ油をわたしたちに分けてください。わたしたちのともし火は消えそうですから』。

25:9. しかし、賢い者たちは答えて言った。『わたしたちとあなたがたに足りるほどはないかも知れません。むしろ、商人たちのところに行って、自分のために買いなさい』。

25:10. 彼女たちが買いに出ている間に、花婿が来た。そして、用意ができている者たちは、彼と共に婚宴に入った。そして戸が閉められた。

25:11. その後、残りの処女たちも来て言った。『主よ、主よ、わたしたちに開けてください』。

25:12. しかし、彼は答えて言った。『まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。わたしはあなたがたを知らない』。

25:13. だから、目を覚ましていなさい。あなたがたは、その日もその時も知らないからです。

25:14. それは、人が旅に出かける時、自分の奴隷たちを呼んで、彼らに自分の持ち物を渡すようなものだからです。

25:15. 彼は一人の者に五タラント、一人の者に二タラント、一人の者に一タラントを、それぞれの能力に応じて、与えた。そして彼はすぐに旅に出かけた。

25:16. 五タラントを受けた者は行って、それで商売をし、ほかに五タラントをもうけた。

25:17. 二タラントの者も、同じくほかに二タラントをもうけた。

25:18. しかし、一タラントを受けた者は、行って地を掘り、自分の主人の銀を隠しておいた。

25:19. 長い時ののち、それらの奴隷たちの主人が来て、彼らと勘定を清算した。

25:20. 五タラントを受けた者が近づいてきて、ほかの五タラントを持って言った。『ご主人様、あなたはわたしに五タラントを渡されました。ご覧ください、わたしはほかに五タラントをもうけました』。

25:21. 彼の主人は彼に言った。『よくやった、良い忠実な奴隷よ。あなたはわずかなものに忠実だったから、多くのものの上に任命しよう。あなたの主人の喜びに入りなさい』。

25:22. 二タラントの者も近づいてきて言った。『ご主人様、あなたはわたしに二タラントを渡されました。ご覧ください、わたしはほかに二タラントをもうけました』。

25:23. 彼の主人は彼に言った。『よくやった、良い忠実な奴隷よ。あなたはわずかなものに忠実だったから、多くのものの上に任命しよう。あなたの主人の喜びに入りなさい』。

25:24. 一タラントを受けた者も近づいてきて言った。『ご主人様、わたしはあなたが厳しい人で、蒔かなかった所で刈り取り、散らさなかった所で集めることを知っていました。

25:25. わたしは怖くなり、行ってあなたのタラントを地に隠しました。ご覧ください、これがあなたのものです』。

25:26. しかし、彼の主人は答えて彼に言った。『邪悪で無精な奴隷よ。あなたは、わたしが蒔かなかった所で刈り取り、散らさなかった所で集めることを知っていた。

25:27. それで、わたしの銀を銀行家に預けておくべきだった。そうすれば、来た時、自分のものを利子と一緒に返してもらえただろうに。

25:28. だから、そのタラントを彼から取り上げて、十タラントを持っている者に与えなさい。

25:29. すべて持っている者には与えられて、満ちあふれるようになるからです。しかし、持っていない者は、その者から持っているものまでも取り上げられるだろう。

25:30. この役に立たない奴隷を外の闇に投げ出せ。そこには泣きと歯ぎしりとがあるだろう』。

25:31. 人の息子が自分の栄光の中に、またすべての使いの者たちが彼と共に来ると、その時彼は自分の栄光の座に座るだろう。

25:32. 諸国の民々すべてが彼の前に集められるだろう。そして彼は、羊飼いが羊を山羊から分けるように、彼らを互いに分ける。

25:33. 羊を自分の右に、山羊を左に置くだろう。

25:34. その時、王は自分の右にいる者たちに言う、『来なさい。わたしの父に祝福された者たち、世界の基が置かれて以来あなたがたのために用意されている王国を受け継ぎなさい。

25:35. あなたがたは、わたしが飢えていた時、わたしに食べ物を与え、わたしが渇いていた時、わたしに飲み物を与え、よそ者であった時、わたしを迎え入れ、

25:36. 裸であった時、わたしに着せ、病気であった時、わたしを見舞い、獄にいた時、わたしのところに来てくれたからです』。

25:37. その時、義なる者たちは彼に答えて言うだろう、『主よ、いつわたしたちは、あなたが飢えているのを見て食物を差し上げ、渇いているのを見て飲み物を差し上げましたか。

25:38. いつわたしたちは、あなたがよそ者であるのを見て迎え入れ、裸なのを見て着せましたか。

25:39. いつわたしたちは、あなたが病気であり、あるいは獄にいるのを見て、あなたのところに参りましたか』。

25:40. すると、王は答えて彼らに言うだろう、『まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。これらわたしの兄弟たちの最も小さな者たちの一人にあなたがたがしたことは、わたしにしたのです』。

25:41. その時、王はまた自分の左にいる者たちに言う、『のろわれた者たちよ、わたしから離れて、謗魔と彼の使いの者たちのために用意されている世々の特質ある火に入りなさい。

25:42. あなたがたは、わたしが飢えていた時、わたしに食べ物を与えず、わたしが渇いていた時、わたしに飲み物を与えず、

25:43. よそ者であった時、わたしを迎え入れず、裸であった時、わたしに着せず、病気であり、獄にいた時、わたしを見舞わなかったからです。

25:44. その時、彼らも答えて言うだろう、『主よ、いつわたしたちは、あなたが飢え、渇き、よそ者であり、裸であり、病気であり、あるいは獄にいるのを見て、あなたに仕えませんでしたか』。

25:45. その時、彼は彼らに答えて言うだろう、『まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。これら最も小さな者たちの一人にあなたがたがしなかったことは、わたしにしなかったのです』。

25:46. これらの者は世々の特質ある懲治に入るが、義なる者たちは世々の特質ある命に入るだろう」。

マタイ 第26章↑

26:1. イエスはこれらすべての言葉を終えた。すると、自分の弟子たちに言った。

26:2. 「あなたがたが知っているとおり、二日後には過ぎ越しになる。そして人の息子ははりつけにされるために引き渡される」。

26:3. その時、祭司長たちと民の長老たちが、カヤパという祭司長の中庭に集まった。

26:4. そして、彼らは策略によってイエスを捕まえて殺そうと相談した。

26:5. しかし、彼らは言った。「祭りの間はいけない。民の間に騒動が起こるかも知れないからだ」。

26:6. さて、イエスがベタニヤで、うろこ症の人シモンの家にいた時、

26:7. 一人の女が、高価な香油の雪花石膏の壷を持って彼に近づいてきて、食卓に着いている彼の頭に注いだ。

26:8. しかし、これを見て弟子たちは憤慨して言った。「こんな無駄遣いは何のためですか。

26:9. これを高く売って、貧しい人たちに施すことができたのに」。

26:10. しかし、これを知ってイエスは彼らに言った。「なぜあなたがたはこの女を困らせるのか。彼女はわたしに良い行ないをしてくれたのです。

26:11. 貧しい人たちはいつもあなたがたと一緒にいるが、わたしはいつも一緒にいるわけではないからです。

26:12. 彼女がわたしの体にこの香油を吹きかけたのは、わたしの埋葬の用意をするためです。

26:13. まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。全世界のどこででも、この良い知らせが宣べ伝えられる所では、彼女の行なったことも、彼女の記念として語られるだろう」。

26:14. その時に、十二弟子の一人ユダ・イスカリオテという者が、祭司長たちのところに行って

26:15. 言った。「彼をあなたがたに引き渡せば、わたしに何をくれますか」。彼らは彼に銀三十枚を量り分けた。

26:16. その時から、彼は彼を引き渡す機会を探り求めた。

26:17. 除酵祭の最初の日に、弟子たちがイエスのところに近づいてきて言った。「あなたが過ぎ越しの食事をされるために、わたしたちがどこで用意をすることをお望みですか」。

26:18. 彼は言った。「町に入って、ある人のところへ行き、彼に言いなさい。『先生が、「わたしの時節が近い。わたしはあなたと共に、わたしの弟子たちと一緒に過ぎ越しを祝う」と言っています』」。

26:19. 弟子たちはイエスが彼らに命じたとおりに行ない、彼らは過ぎ越しの用意をした。

26:20. 夕方になって、彼は十二弟子と一緒に食卓に着いた。

26:21. 彼らが食べている間に、彼は言った。「まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。あなたがたのうちの一人がわたしを引き渡すだろう」。

26:22. 彼らは非常に悲しんで、一人ずつ彼に「主よ、それはわたしではないでしょう」と言い始めた。

26:23. 彼は答えて言った。「わたしと一緒に手を鉢に浸す者が、その者がわたしを引き渡すだろう。

26:24. 確かに人の息子は自分について書いてあるとおりに去って行く。しかし、その人は災い、すなわちその人によって人の息子が引き渡される。彼にとってその人は生まれなかった方がよかっただろう」。

26:25. 彼を引き渡したユダが答えて言った。「ラビ、それはわたしではないでしょう」。彼は彼に言った。「あなたがそう言った」。

26:26. 彼らが食事をしていると、イエスはパンを取り、祝福してそれを裂き、弟子たちに与えて言った。「取って、食べなさい。これはわたしの体です」。

26:27. また杯を取り、感謝してそれを彼らに与えて言った。「あなたがたはみな、それから飲みなさい。

26:28. これは契約のわたしの血です。それは多くの人のため、罪の赦しのために注ぎ出されるのです。

26:29. しかし、わたしはあなたがたに言う。わたしの父の王国においてあなたがたと共にそれの新しいものを飲むその日まで、わたしは今後ぶどうの木のこの産物を決して飲むことはない」。

26:30. そして、賛美の歌を歌ってから、彼らはオリブ山へ出て行った。

26:31. その時、イエスは彼らに言った。「今夜、あなたがたはみな、わたしにつまずくだろう。『わたしは羊飼いを打つ。すると群れの羊は散らされるだろう』と書いてあるからです。

26:32. しかし、わたしは起こされた後、あなたがたより先にガリラヤへ行くだろう」。

26:33. しかし、ペテロは答えて彼に言った。「みんながあなたにつまずいても、わたしは決してつまずきません」。

26:34. イエスは彼に言った。「まことをもって、わたしはあなたに言っておく。今夜、おんどりが鳴く前に、あなたは三度わたしを否認するだろう」。

26:35. ペテロは彼に言った。「あなたと一緒に死ななければならないとしても、わたしは決してあなたを否認しません」。弟子たちもみな、同じように言った。

26:36. それから、イエスは彼らと一緒にゲツセマネという所に来た。彼は弟子たちに言った。「わたしがあちらに行って祈っている間、ここに座っていなさい」。

26:37. 彼はペテロとゼベダイの二人の息子を伴って行ったが、悲しみ、また苦悩し始めた。

26:38. その時、彼は彼らに言った。「わたしの魂は死ぬほどに深く悲しんでいる。ここにいて、わたしと一緒に目を覚ましていなさい」。

26:39. 少し進んで行き、うつむけに倒れ、祈って言った。「わたしの父よ、もしできることなら、この杯をわたしから過ぎ去らせてください。しかし、わたしの望むことではなく、あなたの望まれることを」。

26:40. そして、弟子たちのところに来て、彼らが眠っているのを見つけて、ペテロに言った。「あなたがたはこのように、一時間もわたしと一緒に目を覚ましていることができなかったのか。

26:41. あなたがたは試みに陥らないように、目を覚まして祈っていなさい。霊は熱意にあふれているが、肉体は虚弱です」。

26:42. 彼はまた二度目に行き、祈って言った。「わたしの父よ、わたしがこれを飲まなければ、これが過ぎ去ることができないのでしたら、あなたの望まれることがなりますように」。

26:43. 彼がまた来て、彼らが眠っているのを見つけた。彼らの目は重くなっていたからである。

26:44. 彼は彼らを残し、また行き、三度目に祈ってまた同じ言葉を言った。

26:45. それから、弟子たちのところに来て彼らに言った。「まだ眠っているのか、休んでいるのか。見よ、時が迫った。人の息子は罪人たちの手に引き渡されるのです。

26:46. 立ちなさい。行きましょう。見よ、わたしを引き渡す者が近づいてきた」。

26:47. 彼がまだ話しているうちに、見よ、十二人の一人のユダが来た。また祭司長たちと民の長老たちのところから来た大群衆が、剣やこん棒を持って彼と一緒にいた。

26:48. 彼を引き渡した者は、「わたしが口づけするのがその者だ。彼を捕まえろ」と言って、彼らに合図を与えていた。

26:49. 彼は、すぐにイエスのところに近づいてきて、「ラビ、喜びなさい。」と言って、彼に口づけした。

26:50. しかし、イエスは彼に言った。「仲間よ、何のために来たのか」。その時、彼らは近づいてきて、イエスに手をかけて彼を捕まえた。

26:51. すると見よ、イエスと共にいた者の一人が、手を伸ばして自分の剣を抜き、祭司長の奴隷に撃ちかかり、彼の耳を切り落とした。

26:52. その時、イエスは彼に言った。「あなたの剣をその元の所に戻しなさい。すべて剣を取る者は剣で死ぬからです。

26:53. それともあなたは、わたしがわたしの父に願って、十二軍団以上の使いの者たちを、直ちにわたしに備えていただくことができないとでも考えるのですか。

26:54. それでは、こうならなければならないと書いてある聖書がどうして成就されるだろうか」。

26:55. その時、イエスは群衆に言った。「あなたがたは強盗に向かうように、剣とこん棒を持ってわたしを捕まえに来たのか。日々わたしは神殿に座って教えていたのに、あなたがたはわたしを捕らえなかった。

26:56. しかし、このすべてが起こったのは、預言者たちの聖句が成就するためです」。その時、弟子たちはみな、彼を残して逃げて行った。

26:57. イエスを捕まえた者たちは、祭司長カヤパのところに引いて行った。そこには書記官たちと長老たちが集まっていた。

26:58. ペテロは遠くから彼について行き、祭司長の中庭まで来た。そして中に入り、終結を見ようとして、下役たちと一緒に座った。

26:59. さて、祭司長たちとサンヘドリン全体は、イエスを死に処するため、彼に対する偽証を探し求めた。

26:60. そこで多くの偽証者が近づいてきたが、彼らはそれを見つからなかった。しかし、その後、二人の者が近づいてきて

26:61. 言った。「この者は、『わたしは神の聖所を壊して、三日のうちに建てることができる』と言いました」。

26:62. 祭司長が立ち上がって彼に言った。「何も答えないのか。これらの者たちがあなたに対して証言をしているのは、どういうことなのか」。

26:63. しかし、イエスは黙っていた。祭司長は彼に言った。「生ける神に誓ってわたしたちに言いなさい。あなたはキリスト、神の息子なのかどうか」。

26:64. イエスは言った。「あなたがそう言った。しかし、わたしはあなたがたに言う。今後、あなたがたは人の息子が力ある方の右に座り、天の雲に乗って来るのを見るだろう」。

26:65. その時、祭司長は自分の衣を引き裂いて言った。「彼は冒とくした。どうしてこれ以上証人が必要だろうか。見よ、あなたがたは今、冒とくの言葉を聞いた。

26:66. あなたがたはどう思うか」。彼らは答えた、「彼は死に処するべきだ」。

26:67. それから、彼らは彼の顔につばをかけ、こぶしで殴り、またある者たちは平手で打って

26:68. 言った。「キリストよ、わたしたちに預言しなさい。あなたを打ったのは誰か」。

26:69. さて、ペトロが外で中庭に座っていた。一人の若い女中が彼のところに近づいてきて言った。「あなたもガリラヤのイエスと一緒にいた」。

26:70. しかし、彼はみんなの前で否定して言った。「わたしはあなたが何のことを言っているのか分からない」。

26:71. 彼が入り口の方に出て行くと、ほかの者が彼を見て、そこにいる者たちにこう言った。「この者は、ナザレのイエスと一緒にいた」。

26:72. すると、再び彼は誓って否定した、「わたしはその人を知らない」。

26:73. しばらくして、そこに立っていた者たちが近づいてきてペテロに言った。「確かにあなたも彼らの一人だ。あなたの言葉づかいがあなたのことを明かしているからだ」。

26:74. その時、彼は「わたしはその人を知らない」と、のろって誓い始めた。すると、すぐにおんどりが鳴いた。

26:75. ペテロは、「おんどりが鳴く前に、あなたは三度わたしを否認するだろう」と言ったイエスの言葉を思い出した。そして、外に出て、激しく泣いた。

マタイ 第27章↑

27:1. 朝になると、祭司長たちと民の長老たち全員は、彼を殺そうとして協議した。

27:2. そして、彼らは彼を縛って引き出し、総督ピラトに引き渡した。

27:3. その時、彼を引き渡したユダは、彼に有罪の判決が下ったのを見て後悔し、銀三十枚を祭司長たちと長老たちに返して

27:4. 言った。「わたしは罪のない血を引き渡して罪を犯した」。しかし、彼らは言った。「それがわたしたちにどうしたのか。自分で始末しろ」。

27:5. 彼はそれらの銀を聖所に投げ込んで立ち去った。出て行って、首をつった。

27:6. 祭司たちはそれらの銀を取って言った。「これらを宝物庫に入れることは許されない。血の値だからだ」。

27:7. 彼らは相談して、よそ者たちの埋葬のためにそれらで陶器師の畑を買った。

27:8. そのために、この畑は今日まで血の畑と呼ばれている。

27:9. その時、預言者エレミヤを通して言われた言葉が成就した。こう言われていた。「彼らは、値をつけられた者、すなわち、イスラエルの息子たちのある者たちが値をつけた者の値、銀貨三十を取って

27:10. 陶器師の畑のためにそれらを与えた。主がわたしに命じられたとおりである」。

27:11. さて、イエスは総督の前に立った。そこで総督は彼に尋ねて言った。「あなたがユダヤ人の王なのか」。イエスは言った。「あなたがそう言っている」。

27:12. 彼は祭司長たちや長老たちから訴えられている間、何も答えなかった。

27:13. するとピラトは彼に言った。「彼らがあなたに対してどれほど多くの事を証言しているか、あなたは聞こえないのか」。

27:14. 彼は彼に一言も答えなかった。そのため総督は非常に驚いた。

27:15. さて、総督は祭りの際に、群衆の願う囚人の一人を、彼らのために釈放するのを慣例としていた。

27:16. その時、彼らにはイエス・バラバという名うての囚人がいた。

27:17. それで、彼らが集まった時、ピラトは彼らに言った。「あなたがたは、誰を釈放して欲しいのか。イエス・バラバか、それともキリストといわれるイエスか」。

27:18. 彼らがねたみのために彼を引き渡したことを、彼は知っていたからである。

27:19. 彼が高座に座っている間に、彼の妻が彼のところに人を遣わして言った。「あの義人には関係しないでください。わたしは彼のために、今日、夢の中で随分苦しんだからです」。

27:20. しかし、祭司長たちや長老たちは、バラバを願うよう、そして、イエスを殺すよう、群衆を説得した。

27:21. 総督は彼らに答えて言った。「あなたがたは二人のうちのどちらを釈放して欲しいのか」。彼らは言った。「バラバを」。

27:22. ピラトは彼らに言った。「それでは、キリストと言われるイエスを私はどのようにしようか」。彼らはみな言った。「はりつけにしろ」。

27:23. しかし、彼は言った。「なぜだ。彼がどんな悪事をしたというのか」。しかし、彼らは激しく叫んで言った。「はりつけにしろ」。

27:24. そこでピラトは、何をしても無駄ばかりか、むしろ騒動になりそうなのを見て、水を取って群衆の前で両手を洗って言った。「わたしはこの血について罪はない。自分たちで始末しろ」。

27:25. 民全体が答えて言った。「彼の血は、我々と我々の子供の上にかかってもよい」。

27:26. そこで、彼はバラバを彼らに釈放した。しかし、イエスをむち打ってから、はりつけにするために引き渡した。

27:27. 総督の兵士たちはイエスを官邸に連れて行って、全部隊を彼のところに集めた。

27:28. 彼から衣をはいで、緋色の外套を彼に着せ、

27:29. いばらで冠を編んで彼の頭に載せ、右手に葦を持たせた。そして彼の前にひざまずいて彼をあざけって、「ユダヤ人の王、喜びなさい」と言った。

27:30. 彼らは彼につばをかけ、葦をを取って彼の頭をたたいた。

27:31. 彼らは彼をあざけり、彼から外套を脱がせて、彼の衣を彼に着せた。そして、彼をはりつけにするために引いて行った。

27:32. 彼らが出て行くと、シモンという名のクレネの人を見つけた。彼らはこの者を徴用して、彼の十字架を運ばせた。

27:33. そして、ゴルゴダ、すなわち、されこうべの場所、という所に来て、

27:34. 彼らは胆汁を混ぜたぶとう酒を彼に与えて飲ませようとした。彼は味を見ると飲もうとしなかった。

27:35. 彼らは彼をはりつけにし、くじを引いて、彼の衣を分けた。

27:36. そして、彼らは座って、そこで彼を見張っていた。

27:37. 彼らは彼の頭の上に、「これはユダヤ人の王イエスである」と書いた彼に対する罪状書きを掲げた。

27:38. その時、二人の強盗が彼と一緒に、一人は右に、一人は左にはりつけにされた。

27:39. 通りかかった者たちは、頭を振りながら彼を冒とくして

27:40. 言った。「聖所を壊して三日のうちに建てるという者、自分を救え。神の息子なら、十字架から下りて来い」。

27:41. 同じように、祭司長たちも、書記官たちと長老たちと一緒にあざけって言った。

27:42. 「彼はほかの者たちを救ったが、自分自身を救うことができない。彼はイスラエルの王だ。今、十字架から下りて来てもらおう。そうしたら、彼を信じよう。

27:43. 彼は神に頼っている。彼が彼をお望みなら、今、救ってもらうがよい。『わたしは神の息子だ』と言ったのだから」。

27:44. 彼と一緒にはりつけになっていた強盗たちも、同じように彼を非難した。

27:45. さて、第六時から闇が地上の全面を覆い、第九時にまで及んだ。

27:46. 第九時ごろ、イエスは大声で叫んで、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と言った。これは、「わたしの神、わたしの神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」である。

27:47. そこに立っていた者たちがそれを聞いて言った。「この者はエリヤを呼んでいる」。

27:48. すぐに彼らのうちの一人が走って行て、海綿を取って、それに酸いぶどう酒をたっぷり含ませ、それを葦につけて、彼に飲ませようとした。

27:49. 残りの者たちは言った。「そのままにしておけ。エリヤが彼を救いに来るかどうかを見よう」。

27:50. イエスは再び大声で叫んで、霊をゆだねた。

27:51. すると見よ、聖所の幕が上から下まで二つに裂けた。また地が揺れ、岩々が裂け、

27:52. また墓が開け、眠っている多くの聖徒たちの体が起こされた。

27:53. そして、彼の復活ののち、墓から出て来て、聖なる都に入り、多くの者に現れた。

27:54. 百人隊長、および彼と一緒にイエスを見張っていた者たちは、地震や、起きた事柄を見て非常に恐れ、「まことをもって、これは神の息子であった」と言った。

27:55. また、そこには遠くから見ている女たちも多くいた。彼女たちはガリラヤからイエスについて来て、彼に仕えていた者たちである。

27:56. その中にはマリヤ・マグダラ、ヤコブとヨセフの母マリヤ、ゼベダイの息子たちの母がいた。

27:57. 夕方になって、ヨセフという名の金持である人が、アリマタヤから来た。彼自身もイエスの弟子となっていた。

27:58. この者はピラトのところに近づいてきて、イエスの体を願った。そこで、ピラトはそれを与えるように命じた。

27:59. 彼は体を受け取って、それをきれいな亜麻布に包み、

27:60. 岩を掘ってあった彼の新しい墓に納め、そして墓の入口に大きな石を転がして、去って行った。

27:61. マリヤ・マグダラとほかのマリヤは、墓に向かってそこに座っていた。

27:62. 次の日、準備の翌日、祭司長たちとパリサイ人たちは、ピラトの所に共に集まって

27:63. 言った。「主よ、わたしたちは、あの道迷わす者がまだ生きていた時、『三日後にわたしは起こされる』と言ったのを思い出しました。

27:64. ですから、三日目まで墓を警固するように命じてください。そうでないと、彼の弟子たちが来て彼を盗み出し、『彼は死んだ者たちの中から起こされた』と、民に言うかも知れません。この最後の道迷わしは最初よりも悪くなるでしょう」。

27:65. ピラトは彼らに言った。「あなたがたには小部隊がある。行って、あなたがたの知る限りで警固せよ」。

27:66. そこで、彼らは行って、小部隊と一緒に石に封印し、墓を警固した。

マタイ 第28章↑

28:1. さて、安息日々の夜です。安息日々の一つが明けた時、マリヤ・マグダラとほかのマリヤが墓を見に来た。

28:2. すると見よ、大きな地震が起った。というのは、主の使いの者が天から下りて、近づいてきて、石を転がして、その上に座ったからである。

28:3. 彼の姿は稲妻のようであり、彼の着物は雪のように白かった。

28:4. 見張りの者たちは、彼に対する恐れのために震え上がり、死んだ者たちのようになった。

28:5. 使いの者は女たちに答えて言った。「恐れてはいけない。あなたがたがはりつけにされたイエスを捜していることを、わたしは知っているからです。

28:6. 彼はここにはいない。彼は言ったとおり、起こされたからです。来て、彼が横たわっていた場所を見なさい。

28:7. そして、急いで行って、彼の弟子たちに、『彼は死んだ者たちの中から起こされた。そして見よ、彼はあなたがたより先にガリラヤへ行く。あなたがたはそこで彼を見るだろう』と言いなさい。見よ、わたしはあなたがたに言った」。

28:8. 彼女たちは、恐れと大きな喜びをもって、急いで墓を立ち去り、弟子たちに知らせるために走って行った。

28:9. すると見よ、イエスが彼女たちに出会って言った。「喜びなさい」。彼女たちは近づいてきて彼の両足を抱き、彼を拝んだ。

28:10. その時、イエスは彼女たちに言った。「恐れてはいけない。行って、わたしの兄弟たちにガリラヤに行くように知らせなさい。彼らはそこでわたしを見るだろう」。

28:11. 彼女たちが行っている間に、見よ、小部隊のある者たちが都に入り、祭司長たちに起きたことすべてを知らせた。

28:12. 彼らは長老たちと集まって相談して、兵士たちに十分な数の銀を与えて

28:13. 言った。「彼の弟子たちが夜中に来て、自分たちが眠っている間に彼を盗んだと言いなさい。

28:14. もしこれが総督の耳に入るなら、わたしたちは彼を説得して、あなたがたに心配をかけないようにしよう」。

28:15. そこで、彼らはその銀を受け取って、教えられたようにした。この話は今日この日に至るまでユダヤ人たちの間に広まっている。

28:16. しかし、十一人の弟子たちはガリラヤに行って、イエスが彼らに指示した山に行った。

28:17. 彼を見ると、彼らは拝んだ。しかし、彼らは疑った。

28:18. イエスは近づいてきて、彼らに話して言った。「わたしには、天々においても地においても、すべての権威が与えられた。

28:19. だから、行って、すべての国民を弟子とし、父と息子と聖霊の名において彼らにバプテスマをして、

28:20. わたしがあなたがたに命じたすべてのことを守るように教えなさい。見よ、わたしは、世の完結まで、いつの日もあなたがたと共にいる」。

マルコ

マルコ 第1章↑

1:1. 神の息子イエス・キリストの良い知らせの初め。

1:2. 預言者イザヤの中に書かれているとおりである。「見よ、わたしはあなたの顔の前にわたしの使いの者を遣わす。その者はあなたの前に道を整えるであろう。

1:3. 荒野で叫ぶ者の声がする。『あなたがた、主の道を備えよ、彼の道筋をまっすぐにせよ』」。

1:4. バプテストのヨハネが荒野に現れて、罪の赦しのための心変えのバプテスマを宣べ伝えていた。

1:5. ユダヤの全地方とエルサレムのすべての人々が彼のところに出て来て、自分の罪を告白して、ヨルダン川で彼によってバプテスマされた。

1:6. ヨハネはらくだの毛を着、自分の腰のまわりに皮の帯をしめ、いなごと野蜜を食べていた。

1:7. 彼は宣べ伝えて言った。「わたしよりも力のある方が、わたしの後から来られる。わたしはかがんで彼の靴のひもを解く値うちもない。

1:8. わたしは水であなたがたをバプテスマしたが、彼は聖霊であなたがたをバプテスマされるだろう」。

1:9. それらの日には、イエスはガリラヤのナザレから来て、ヨルダンでヨハネによってバプテスマされたことになった。

1:10. そして、水の中から上がってすぐ、天々が裂け、霊がハトのように自分の上に下って来るのを見た。

1:11. すると天々の中からの声があった、「あなたはわたしの息子、愛する者、わたしはあなたを喜ぶ」。

1:12. それからすぐに、霊が彼を荒野に追いやった。

1:13. 彼は四十日間荒野にいて、サタンによってためされた。彼は野獣と共にいて、使いの者たちが彼に仕えていた。

1:14. ヨハネが引渡された後、イエスはガリラヤへ来て、神の良い知らせを宣べ伝え、

1:15. そして言った。「時節は満ちた。神の王国は近づいた。心変えて良い知らせを信じなさい」。

1:16. ガリラヤの海辺を通っている時、シモンとシモンの兄弟アンデレが海で網を打っているのを見た。彼らは漁師だったからである。

1:17. イエスは彼らに言った。「わたしの後に来なさい。あなたがたを人々をとる漁師にしてあげよう」。

1:18. 彼らはすぐに網を残して、彼について行った。

1:19. 少し進んで行くと、ゼベダイのヤコブと彼の兄弟ヨハネを見た。彼らも舟の中で網を繕っていた。

1:20. すぐに彼は彼らを呼んだ。すると彼らは、彼らの父ゼベダイを雇い人たちと共に舟の中に残して、彼の後について行った。

1:21. 彼らはカペナウムに入った。そしてすぐに、彼は安息日々に会堂に入って教えた。

1:22. 彼らは彼の教えに驚いた。彼が権威ある者のように彼らを教えていて、書記官たちのようではなかったからである。

1:23. するとすぐ、彼らの会堂に汚れた霊に取り憑かれている人がいて、叫んで

1:24. 言った。「ナザレのイエスよ、わたしたちとあなたと何の関係があるのか。あなたはわたしたちを滅ぼしに来た。わたしはあなたが誰だか知っています。神の聖なる者です」。

1:25. イエスは彼をしかりつけて言った。「黙れ。彼から出て行け」。

1:26. 汚れた霊は、彼をけいれんさせ、大声を上げて、彼から出て行った。

1:27. 彼らはみな驚き、互いに論じ合って言った。「これは何事か。新しい教だ。彼は権威をもって汚れた霊たちに命じると、彼らは彼に従うのだ」。

1:28. 彼の噂は、すぐにガリラヤの地域全体、至る所に広まった。

1:29. それからすぐに、彼らは会堂から出ると、ヤコブとヨハネと共に、シモンとアンデレの家に入った。

1:30. ところが、シモンのしゅうとめが熱病で横たわっており、彼らはすぐに彼女のことを彼に話した。

1:31. 彼は近づいてきて手を取って彼女を起こされた。熱は去り、彼女は彼らに仕えた。

1:32. 夕方になり、日が沈むと、彼らはわずらっている者や悪霊に取り憑かれている者をみな、彼の所に連れて来た。

1:33. 町全体が戸口に集まっていた。

1:34. 彼はさまざまな病気でわずらっている多くの者をいやし、多くの悪霊を追い出した。悪霊たちが語ることを許さなかった。彼らが彼を知っていたからである。

1:35. 朝早く、まだ暗いうちに、彼は起きて出て行き、荒野の場所へ行って、そこで祈っていた。

1:36. シモンおよび共にいた者たちが彼の後を追って来た。

1:37. そして彼を見つけて、「みんながあなたを捜しています」と言った。

1:38. 彼は彼らに言った。「ほかの、附近の町々へ行こう。わたしはそこでも宣べ伝えるためです。わたしはそのために出て来たからです」。

1:39. 彼は行って、ガリラヤ全体にわたって彼らの諸会堂に入って宣べ伝え、悪霊たちを追い出した。

1:40. すると一人のうろこ症の人が彼の所に来て、彼に懇願してひざまずいて言った。「御意ならば、わたしを清めることができます」。

1:41. 彼は怒って、手を伸ばして彼に触り、彼に言った。「わたしはそう望む。清くなりなさい」。

1:42. すると、すぐにうろこ症は彼から去り、彼は清められた。

1:43. 彼は彼に厳しく命じて、すぐに彼を去らせ、

1:44. そして彼に言った。「誰にも何も言わないようにしなさい。ただ行って、自分を祭司に見せ、自分の清めのためにモーセの命じた物をささげなさい。彼らへの証明のためです」。

1:45. しかし、彼は出て行くと、それを大いに宣べ伝えて、この出来事について言い広め始めた。そのため彼は、もはや表立っては町に入ることができず、外の荒野の場所にいた。彼らはあらゆる所から、彼の所に来た。

マルコ 第2章↑

2:1. 何日かのち、再びカペナウムに入ると、彼が家にいることが知れ渡った。

2:2. 多くの者が集まったので、もう場所がなく、戸口のあたりにさえ無いほどになった。そして、彼は彼らにみ言葉を語った。

2:3. すると、彼らは四人に運ばれた中風の者を、彼の所に連れて来た。

2:4. 群衆のために彼の所に連れて行くことができなかったので、彼がいる所の屋根をはいだ。そして掘り出して、中風の者が横たわっている寝床を降ろした。

2:5. イエスは彼らの信仰を見て、中風の者に言った。「子よ、あなたの罪は赦された」。

2:6. ところが、そこに何人かの書記官たちが座っていて、自分の心の中で論じていた、

2:7. 「なぜこの者はこのように言うのか。彼は冒とくしている。神ひとりのほかに、誰が罪を赦すことができるか」。

2:8. すぐにイエスは、彼らが自分の中でこのように論じているのを自分の霊によって知って、彼らに言った。「なぜあなたがたは自分の心の中でこれらのことを論じているのか。

2:9. この中風の者に、『あなたの罪は赦されている』と言うのと、『起きなさい。あなたの寝床を取り上げて歩きなさい』と言うのでは、どちらがたやすいか。

2:10. しかし、人の息子が地上で罪を赦す権威を持っていることをあなたがたが知るために」。彼は中風の者に言った。

2:11. 「あなたに言う。起きなさい。あなたの寝床を取り上げて、自分の家に行きなさい」。

2:12. すると彼は起き上がり、すぐに寝床を取り上げて、みなの前を出て行った。そこで彼らはみな驚いて、神をたたえ、「わたしたちはかつてこのようなことを見たことがない」と言った。

2:13. 彼は再び海辺に出て行った。すると群衆がみな、彼の所に来た。それで彼は彼らを教えた。

2:14. 通りすがりに、アルパヨのレビが収税所に座っているのを見て、「わたしについて来なさい」と言った。すると彼は立ち上がって、彼について行った。

2:15. 彼は彼の家で横になっていた時のことである。多くの取税人や罪人が、イエスと彼の弟子たちと一緒に食卓に着いた。多くの者がいて、彼について来たからである。

2:16. パリサイ派の書記官たちは、彼が罪人たちや取税人たちと共に食事をしているのを見て、彼の弟子たちに言った。「なぜ彼は、取税人たちや罪人たちと共に食事をするのですか」。

2:17. イエスはこれを聞いて、彼らに言った。「丈夫な者には医者はいらない。いるのはわずらっている者のです。わたしが来たのは、義人を招くためではなく、罪人を招くためです」。

2:18. ヨハネの弟子たちとパリサイ人たちが断食をしていた。彼らは来て彼に言った。「ヨハネの弟子たちとパリサイ人の弟子たちは断食するのに、あなたの弟子たちが断食しないのはなぜですか」。

2:19. イエスは彼らに言った。「婚礼の部屋の息子たちは、花婿が一緒にいるのに断食できるだろうか。花婿が共にいる間は、彼らは断食できない。

2:20. しかし、花婿が彼らから取り去られる日々が来る。その時、その日には、彼らは断食するだろう。

2:21. 誰も、縮んでいない布の切れ端を古い衣に縫いつけはしない。もしそうすれば、当て布がそれを、つまり新しいものが古いものを引っ張り、破れはもっとひどくなる。

2:22. 誰も、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそうすれば、ぶどう酒は皮袋を破裂させ、ぶどう酒も皮袋も駄目になる。新しいぶどう酒を新しい皮袋に入れるのです」。

2:23. 彼が安息日々に、麦畑の中を通って行った。すると、彼の弟子たちは穂を摘みながら道を作り始めた。

2:24. パリサイ人たちが彼に言った。「見よ、なぜ彼らは安息日々に許されていないことをしているのか」。

2:25. 彼は彼らに言った。「あなたがたは、ダビデが、自分も共にいた者たちも、欠乏して空腹だった時に何をしたか、読まなかったのか。

2:26. 祭司長アビアタルの時、彼がどのようにして神の家に入って、祭司たちのほかは食べることが許されていない供えのパンを食べ、共にいた者たちにも与えたかを」。

2:27. また彼らに言った。「安息日は人のためにあるもので、人が安息日のためにあるのではない。

2:28. だから、人の息子は安息日の主でもあるのです」。

マルコ 第3章↑

3:1. 彼はまた会堂に入った。すると、片手のなえた人がそこにいた。

3:2. 彼らは安息日に彼をいやすかどうか、じっと彼を見ていた。彼を訴えるためであった。

3:3. 彼は片手のなえた人に言った。「中央に立ちなさい」と言った。

3:4. 彼らに言った。「安息日に許されているのは、善を行なうことか、悪を行なうことか。魂を救うことか、殺すことか」。しかし彼らは黙っていた。

3:5. 彼は怒りをもって彼らを見回し、彼らの心の無感覚さを悲しんで、その人に「手を伸ばしなさい」と言った。そこで彼が伸ばすと、彼の手は元どおりになった。

3:6. パリサイ人たちは出て行って、すぐにヘロデ党の者たちと、どのようにして彼を滅ぼそうかと、彼について相談した。

3:7. イエスは弟子たちと共に海に退いた。すると大群衆がガリラヤからついて行った。またユダヤから、

3:8. エルサレムから、イドマヤから、ヨルダンの向こうから、ツロ、シドンのあたりからも、大群衆が、彼の行なったことを聞いて、彼の所に来た。

3:9. 彼は、群衆が自分に押し迫らないように、自分のために小舟を用意しておくことを弟子たちに言った。

3:10. それは、彼が多くの者をいやしたので、苦しんでいる者たちが皆、彼に触ろうとして彼に押し迫ったからである。

3:11. また汚れた霊たちは、彼を見ると、彼の前に倒れ伏し、「あなたは神の息子です」と叫んで言った。

3:12. 彼は、自分を知らせないようにと、彼らに幾度も戒めた。

3:13. 彼は山に登り、自分の望む者たちを呼び寄せた。すると彼らは彼の所に来た。

3:14. そして、彼は十二人を作った。それは、彼らが自分と共にいるためであり、また、彼らを遣わして宣べ伝えさせ、

3:15. 悪霊たちを追い出す権威を持たせるためであった。

3:16. 彼は十二人を作って、シモンにはペテロという名をつけ、

3:17. またゼベダイのヤコブと、ヤコブの兄弟ヨハネ、彼らにはボアネルゲ、すなわち、雷の息子という名をつけた。

3:18. アンデレ、ピリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、アルパヨのヤコブ、タダイ、熱心党のシモン、

3:19. 彼を引き渡したユダ・イスカリオテである。

3:20. 彼は家に入った。群衆が再び集まって来たので、彼らはパンを食べることさえできなかった。

3:21. 彼のそばにいた者たちはこれを聞くと、それを取り押さえに出て来た。彼らが「それが盛り上がっている」と言っていたからである。

3:22. また、エルサレムから下って来た書記官たちは、「彼にはベルゼブルがついている。悪霊たちの支配者によって悪霊を追い出している」と言った。

3:23. 彼は彼らを呼び寄せ、たとえで彼らに言った。「どうしてサタンがサタンを追い出すことができるのか。

3:24. もし王国が内部分裂するなら、その王国は立ち行けない。

3:25. もし家が内部分裂するなら、その家は立ち行けないだろう。

3:26. もしサタンが自らに対して立ち上がって分裂するなら、彼は立ち行けない。むしろ、彼には終結がある。

3:27. 誰でも、まず強い者を縛りあげなければ、その強い者の家に入って家財を略奪することができない。縛ってから、彼の家を略奪するだろう。

3:28. まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。人の息子たちは、すべての罪と、彼らが冒とくするすべての冒とくも赦されるだろう。

3:29. しかし、聖霊に対して冒とくする者には、世に亘り赦しがなく、世々の特質ある罪に処する」。

3:30. これは、彼らが「彼には汚れた霊がついている」と言っていたためである。

3:31. 彼の母と彼の兄弟たちが来て、外に立ち、彼のところに遣わして彼を呼んだ。

3:32. 群衆が彼の周りに座っていて、彼に言った。「ご覧なさい。あなたの母上とあなたの兄弟たちが外であなたを捜しています」。

3:33. 彼は彼らに答えて言った。「わたしの母とわたしの兄弟たちとは誰か」。

3:34. 自分の周りに座っている者たちを見回して言った。「見よ、わたしの母とわたしの兄弟たちです。

3:35. 神のご意志を行なう者、その者がわたしの兄弟、,また姉妹、また母なのです」。

マルコ 第4章↑

4:1. 彼はまた海辺で教え始めた。大群衆が彼の所に集まったので、彼は海の上に座るように舟に乗った。群衆はみな海のほうを向いて陸地にいた。

4:2. 彼はたとえで多くの事を教え、自分の教えの中で彼らに言った。

4:3. 「聞きなさい。見よ、種をまく者が、種をまきに出て行った。

4:4. 彼がまいていると、あるものは道ばたに落ちた。すると、鳥たちが来てそれを食べ尽くしてしまった。

4:5. ほかのものは、土の多くない岩地に落ちた。土が深くないため、すぐ芽を出した。

4:6. 太陽が昇ると焼けて、根がないために枯れてしまった。

4:7. ほかのものは、いばらの間に落ちた。すると、いばらが伸びて、それをふさぎ、それは実を結ばなかった。

4:8. ほかのものは、良い地の上に落ちた。生え出て大きくなり、実を結び、あるものは三十倍、あるものは六十倍、あるものは百倍の実を生み出した。」

4:9. 彼は言った。「聞く耳のある者は聞きなさい」。

4:10. 彼がひとりになった時、十二人と共に彼の周りにいた者たちは、そのたとえについて彼に尋ねた。

4:11. 彼は彼らに言った。「あなたがたには神の王国の秘密が与えられているが、外にいる者たちにはすべての事がたとえで生じる。

4:12. それは、彼らが見るには見るが認めず、聞くには聞くが理解せず、立ち返って赦されることがないためです」。

4:13. 彼は彼らに言った。「あなたがたは、このたとえがわからないのか。それでは、どうしてすべてのたとえがわかるだろうか。

4:14. 種をまく者はみ言葉をまくのです。

4:15. 道ばたにみ言葉がまかれたものとは、こういう者たちのことです。彼らが聞くと、すぐにサタンが来て、彼らの中にまかれたみ言葉を取り去るのです。

4:16. 同じように、岩地の上にまかれたものとは、こういう者たちのことです。み言葉を聞くと、すぐに喜んでそれを受け入れる。

4:17. 自分の内に根がないので、一時は続きますが、み言葉のために苦難や迫害が起こると、すぐにつまずく。

4:18. イバラの間にまかれたものとは、ほかの者たちのことです。これらはみ言葉を聞いた者たちですが、

4:19. この世の思いわずらいや富の惑わしや、ほかの物事に関する欲望が入り込んでみ言葉をふさぎ、それは実を結ばなくなる。

4:20. 良い地の上にまかれたものとは、こういう者たちのことです。み言葉を聞いて受け入れ、ある者は三十倍、ある者は六十倍、ある者は百倍の実を結ぶのです」。

4:21. 彼は彼らに言った。「枡の下や寝台の下に置くために、あかりを持ってくることがあろうか。燭台の上に置くためではないか。

4:22. 隠されているもので、現れないものはなく、秘密にされているもので、明るみに出ないものはないからです。

4:23. 誰でも聞く耳のある者は聞きなさい」。

4:24. 彼は彼らに言った。「聞いていることに注意しなさい。あなたがたが量るその量りであなたがたに量られ、またあなたがたに加えられる。

4:25. 持っている者は、彼に与えられ、持っていない者は、彼から持っているものまでも取り上げられることになるからです。」

4:26. 彼は言った。「神の王国はこのようなものです。人が地に種をまき、

4:27. 夜昼、寝起きしている間に、種は芽が出て伸びていく。どうしてそうなるのか、彼は知らない。

4:28. 地が自ずから実を結ぶのであって、最初に葉、それから穂、それから穂の中に満ちた穀粒ができる。

4:29. しかし、実がなるとすぐに彼は鎌を入れる。収穫の時が来たからです」。

4:30. 彼は言った。「わたしたちは、神の王国をどのように例えようか。あるいは、どんなたとえで言い表そうか。

4:31. それは一粒のからしの種のようなものです。それは、地にまかれる時は地上のどんな種よりも小さい。

4:32. それがまかれると、成長し、ほかのすべての野菜よりも大きくなり、大きな枝を張り、天の鳥たちがその陰に宿ることができるほどになる」。

4:33. 彼は、彼らの聞くことができる程度に応じて、このような多くのたとえで、み言葉を語った。

4:34. たとえなしでは彼らに語らなかった。しかし、自分の弟子たちには、ひそかにすべてのことを説明した。

4:35. その日、夕方になると、彼は彼らに「向こう側に渡ろう」と言った。

4:36. 彼らは群衆を残して、舟に乗っているままで彼を連れて行った。他の舟も彼と共にいた。

4:37. 大きな突風が起こり、波が舟の中に打ち込んできて、もう舟にいっぱいになるほどであった。

4:38. 彼自身は船尾にいて、まくらをして眠っていた。そこで彼らは彼を起こして言った。「先生、わたしたちが滅びてもあなたは構わないのですか」。

4:39. 彼は起きあがって風をしかりつけ、海に「黙れ、静まれ」と言った。風はやみ、大なぎになった。

4:40. 彼は彼らに言った。「なぜ小心なのか。どうして信仰がないのか」。

4:41. 彼らは大きな恐れを恐れて、互いに言った。「これはいったい誰だろう。風や海でさえ彼に従うとは」。

マルコ 第5章↑

5:1. 彼らは海の向こう側に来て、ゲラサ人たちの地方に入った。

5:2. 彼が舟から出て来ると、すぐに汚れた霊に取り憑かれている人が墓場から出て来て彼に出会った。

5:3. 彼は墓場を住みかとしていた。もはや誰も、鎖でさえも彼を縛ることができなかった。

5:4. なぜなら、彼は幾度も足かせや鎖で縛られたが、鎖を引きちぎり、足かせを砕くので、誰も彼を従わせる力を持っていなかったからです。

5:5. 彼は夜昼絶え間なく、墓場や山の中で叫びつづけて、石で自分の体を傷つけていた。

5:6. 彼は、遠くからイエスを見ると、走って来て彼を拝し、

5:7. そして大声で叫んで言った。「いと高き神の息子イエスよ、わたしはあなたと何のかかわりがあるのですか。神にかけてお願いします。試金石をもってわたしを試さないでください」。

5:8. というのは、彼は彼に、「汚れた霊よ、この人から出て行け」と言ったからである。

5:9. また彼に尋ねた、「あなたの名前は何か」。彼は彼に言った。「わたしの名前はレギオンです。わたしたちは大勢だからです」。

5:10. そして、自分たちをこの地方の外に遣わさないようにと、何度も彼に懇願した。

5:11. さて、そこの山で豚の大群が飼われていた。

5:12. 彼らは、彼に懇願して言った。「わたしたちをあの豚たちの中に送って、彼らの中に入れるようにしてください」。

5:13. 彼は彼らに許可を与えた。汚れた霊たちは出て行って豚たちの中に入った。すると、二千匹ほどのその群れは、険しいところを下って海に突進し、海でおぼれ死んだ。

5:14. 飼っていた者たちは逃げて行き、その町とその田舎でそのことを知らせた。すると、彼らは何が起きたのか見に来た。

5:15. 彼らはイエスのところに来て、悪霊に取り憑かれた人、レギオンを宿していた人が着物を着て、正気で座っているのを見て、恐れた。

5:16. 見ていた者たちは、悪霊に取り憑かれた人にそのことがどのように起こったか、また豚たちについて、彼らに話した。

5:17. 彼らは自分たちの地域から去るようにと彼に懇願し始めた。

5:18. 彼が舟に乗り込むと、悪霊に取り憑かれた人は、一緒にいたいと懇願した。

5:19. 彼はそれを許さず、彼に言った。「あなたの家、あなたの親族の所に行って、主があなたにしてくださったすべてのこと、またあなたにかけてくださったあわれみを知らせなさい」。

5:20. 彼は立ち去り、イエスが彼のために行なったすべてのことをデカポリスで宣べ伝え始めた。それでみんなは驚嘆した。

5:21. イエスが舟でまた向こう側に渡ると、大群衆が彼の所に集まった。彼は海辺にいた。

5:22. すると、会堂長の一人でヤイロという名の者が来て、彼を見ると彼の足もとにひれ伏し、

5:23. 何度も懇願して言った。「わたしの小さな娘が今際の際になります。救われて生きられるよう、どうかおいでになって、彼女の上に両手を置いてください」。

5:24. そこで、彼は彼と一緒に行った。すると大群衆は彼について行き、彼に押し迫った。

5:25. さて、十二年間も血の流出をわずらっている女がいた。

5:26. 多くの医者にさんざん苦しめられ、自分が持っていたものをすべて使い果たしてしまったが、益を受けることもなく、むしろ悪くなる一方であった。

5:27. 彼女はイエスのことを聞くと、群衆の中で後ろから来て、彼の衣に触った。

5:28. というのは、彼女は、「彼の衣に触りさえすれば、わたしは救われるだろう」と言っていたからである。

5:29. すると、すぐに彼女の血の源は乾き、彼女は苦しみからいやされたことを体の内で感じた。

5:30. すぐにイエスは、自分から力が出て行ったことを自分の内で認め、群衆の中で振り向いて、「わたしの衣に触ったのは誰か」と言った。

5:31. 彼の弟子たちは彼に言った。「ご覧のとおり、群衆があなたに押し迫っているのに、『わたしに触ったのは誰か』と言われるのですか」。

5:32. 彼はこのことをした者を見ようとして、見回していた。

5:33. その女は、自分に起こったことを知って、恐れおののきながら、来て彼の前にひれ伏し、真実のすべてを彼に話した。

5:34. 彼は彼女に言った。「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。平安のうちに行きなさい。もうあなたの苦しむことにかからず、達者でいなさい」。

5:35. 彼がまだ話しているうちに、彼らが会堂長の家から来て言った。「あなたの娘さんは亡くなりました。どうして先生をこれ以上煩わすのでしょうか」。

5:36. しかしイエスは、話されている言葉を聞くと、会堂長に言った。「恐れることはない。ただ信じなさい」。

5:37. そして彼は、ペテロ、ヤコブ、ヤコブの兄弟ヨハネのほか、誰も自分について来ることを許さなかった。

5:38. 彼らが会堂長の家に来ると、彼は人々が泣いたり、しきりにわめいたりして、騒いでいるのを見た。

5:39. 彼は中に入って、彼らに言った。「なぜ騒いだり泣いたりしているのか。子供は死んだのではなく、眠っているのです」。

5:40. 彼らは彼をあざ笑った。しかし、彼はみんなを外に出し、子供の父と母および自分と共にいた者たちを連れて、子供のいる所に入って行った。

5:41. 子供の手を取って、彼女に「タリタ、クミ」と言った。これは、訳せば、「少女よ、あなたに言う。起きなさい」である。

5:42. すると少女はすぐに立ち上がり、歩き回った。彼女は十二歳だったからである。彼らはたちまち驚きのあまり我を忘れた。

5:43. 彼は、誰にもこのことを知らすなと、繰り返し彼らに命じた。そして、彼女に食べ物を与えるようにと言った。

マルコ 第6章↑

6:1. 彼はそこから出て、彼は自分の郷里に行った。彼の弟子たちも彼について行った。

6:2. そして安息日になると、彼は会堂で教え始めた。聞いていた多くの者たちは、驚いて言った。「この人はこれらのことをどこから得たのだろうか。この人に与えられたこの知恵は何だろうか。このような力あるわざが彼の手によって生じるのは、どうしてか。

6:3. これは大工ではないか。マリヤの息子で、ヤコブ、ヨセ、ユダ、シモンの兄弟ではないか。彼の姉妹たちはわたしたちと一緒にここにいるではないか」。こうして、彼らは彼につまずいた。

6:4. イエスは彼らに言った。「預言者は、自分の郷里や自分の親族の間また自分の家以外では、敬われないことはない」。

6:5. 彼はそこでは力あるわざを何も行なうことができず、ただ少数の病人の上に手を置いていやしただけであった。

6:6. 彼は彼らの不信仰のために驚いた。彼は村々を巡回して教えた。

6:7. 彼は十二人を呼び寄せて、彼らを二人ずつ遣わし始め、彼らに汚れた霊たちに対する権威を与えた。

6:8. そして彼らに命じた、「旅のためにただつえのほかには何も、すなわち、パンも、袋も、帯の中に銅銭も持って行ってはならない。

6:9. ただサンダルを履くだけで、上着も二枚は着てはならない」。

6:10. 彼は彼らに言った。「どこででも家に入ったなら、そこから出るまではそこにとどまりなさい。

6:11. あなたがたを受け入れず、あなたがたの言うことを聞かない場所があったなら、そこから出て行く時に、彼らに対する証言のため、足の裏のちりを振り払いなさい」。

6:12. 彼らが心変えるように、と彼らは出て行って宣べ伝え、

6:13. 多くの悪霊を追い出し、多くの病人に油を塗っていやした。

6:14. 彼の名前が知れわたって、ヘロデ王がこのことを聞いた。そして、ある者たちは言った。「バプテストのヨハネが死んだ者たちの中から起こされたので、これらの力あるわざが彼の内に働いているのだ」。

6:15. しかし他の者たちは、「彼はエリヤだ」と言った。他の者たちは、「預言者たちの一人のような預言者だ」と言った。

6:16. しかし、ヘロデはこれを聞いて言った。「わたしが首をはねたあのヨハネが起こされたのだ」。

6:17. というのは、ヘロデ自身が、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤのことで、人を遣わして、ヨハネを捕らえて獄の中に彼を縛ったからであった。それは、彼が彼女をめとっていたからである。

6:18. ヨハネはヘロデに、「あなたが自分の兄弟の妻を有しているのは、許されることではない」と言ったのである。

6:19. そこで、ヘロデヤは彼に恨みがあって、彼を殺すことを望んだが、できなかった。

6:20. というのは、ヘロデが、ヨハネを恐れ、彼が義しく聖なる男であることを知っていて、彼を保護したからである。彼の言うことを聞くこと時に、大いに惑いながらも、彼の言うことを喜んで聞いていた。

6:21. すると、都合の良い日がやって来た。ヘロデが自分の誕生日に、自分の高官たちや千人隊長たちやガリラヤの重立った人たちのために宴会を用意した。

6:22. そしてヘロデヤの娘自身が入って来て踊って、ヘロデおよび一緒に食卓に着いていた者たちを喜ばせた。王は少女に言った。「何でも欲しいものをわたしに求めなさい。わたしはあなたに与えよう」。

6:23. 彼は彼女に誓った、「あなたがわたしに求めるものは何でも、わたしの王国の半分まででも、わたしはあなたに与えよう」。

6:24. 彼女は出て行って、自分の母に言った。「わたしは何を求めましょうか」。彼女は言った。「バプテストのヨハネの首を」。

6:25. 彼女はすぐに急いで王のところに入って、求めて言った。「今すぐに、バプテストのヨハネの首を盆に載せて、わたしに与えてくださいますように」。

6:26. 王は深く悲しんだが、誓い、および一緒に食卓に着いていた者たちのゆえに、彼女を拒むことを好まなかった。

6:27. すぐに王は自分の近衛兵を遣わして、彼の首を持って来るように命じた。そこで彼は出て行き、獄中で彼の首をはねた。

6:28. そして、彼の首を盆に載せて持って来てそれを少女に与え、少女はそれを自分の母に与えた。

6:29. 彼の弟子たちはこのことを聞くと、やって来て彼の死体を引き取り、それを墓の中に納めた。

6:30. さて、使徒たちはイエスの所に集まった。そして彼に、自分たちが行ない、また教えたことをすべて知らせた。

6:31. 彼は彼らに言った。「さあ、あなたがたは自分だけで寂しい場所に行き、少し休みなさい」。というのは、来たり去って行ったりする者が多く、食事をとる暇もなかったからである。

6:32. そこで、彼らは舟で、自分たちだけで寂しい場所へ行った。

6:33. ところが、多くの人は彼らが去って行くのを見、そのことを知って、すべての町からそこへ徒歩で駆けつけ、彼らより先に着いた。

6:34. 彼は出て来て、大群衆を見、彼らが羊飼いのいない羊のようだったので、彼らに慈悲の念にかられ、彼らに多くのことを教え始めた。

6:35. さて、時間がすでに遅くなっていたので、彼の弟子たちが彼のところに近づいてきて言った。「ここは寂しい場所であり、それにもう時間も遅くなっています。

6:36. 彼らを去らせて、彼らが周りの田舎や村々に入り、めいめいで何か食べ物を買うようにしてください」。

6:37. しかし、彼は答えて彼らに言った。「あなたがたが彼らに食べ物を与えなさい」。彼らは彼に言った。「わたしたちが出かけて行って、二百デナリ分のパンを買い、彼らに食べ物を与えるのですか」。

6:38. 彼は彼らに言った。「あなたがたはパンを幾つ持っているのか。行って見なさい」。彼らは確かめて言った。「五つです。それに魚が二匹です」。

6:39. 彼は彼らに、みんなを一組一組、青草の上に座らせるように命じた。

6:40. 彼らは、百人ずつ、また五十人ずつ、一列一列になって座った。

6:41. 彼は五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げ、祝福してからパンを裂き、彼らの前に置くよう自分の弟子たちに与えた。また、二匹の魚をみんなに分けた。

6:42. みんなの者は食べて満腹した。

6:43. 彼らはパン切れや魚を、十二のかごいっぱいに拾い集めた。

6:44. パンを食べた者は五千人の男たちであった。

6:45. すぐに彼は、自分の弟子たちを強いて舟に乗り込ませ、向こう側のベツサイダへ先に行かせ、その間に自分は群衆を去らせた。

6:46. そして、彼らに別れを告げてから、祈るために山へ行った。

6:47. 夕方になって、舟は海の真ん中にあり、彼は一人で陸にいた。

6:48. すると、風が彼らに逆らっているために、彼らがこぐことにおいて試金石によってのように試されているのを見て、彼は夜の第四見張り時ごろ、海の上を歩いて彼らのほうに行った。彼らを通り過ぎようとした。

6:49. しかし彼らは、彼が海の上を歩いているのを見て、「幻影だ」と思い、叫び声を上げた。

6:50. というのは、みんなの者が彼を見て、動転したからである。しかし、彼はすぐに彼らと話をし、彼らに言った。「勇気を出しなさい。わたしです。恐れることはない」。

6:51. そして、彼が彼らと共に舟に乗り込むと、風はやんだ。彼らは自分の中で、非常に驚いた。

6:52. 彼らがパンのことについて理解しておらず、彼らの心が無感覚になったからである。

6:53. 彼らは陸に渡り着き、ゲネサレに来て停泊した。

6:54. 彼らが舟から出て来ると、すぐに人々は彼だと知った。

6:55. その地方全体を走り回り、わずらっている者たちを寝床に載せて、彼がいると聞いた所へ運び始めた。

6:56. 村でも町でも田舎でも、彼が入った所ではどこでも、彼らは病弱の者たちを市場に置き、彼の衣の房飾りにでも触らせていただきたいと彼に懇願した。そして彼に触った者は皆救われた。

マルコ 第7章↑

7:1. さて、パリサイ人たちと、ある書記官たちとが、エルサレムから来て、彼の所に集まった。

7:2. 彼らは、彼の弟子たちのうちのある者たちが、汚れた手、つまり洗っていない手でパンを食べているのを見た。

7:3. というのは、パリサイ人たちとすべてのユダヤ人たちは、長老たちの言い伝えを守って、手を拳で洗わなければ食事をしないからである。

7:4. また彼らは市場から帰った時には、自分自身をバプテスマしないと、食事をしない。そのほかにも、杯と水差しと銅器と寝台のバプテスマ、彼らが受け継いで守っていることがたくさんある。

7:5. そこで、パリサイ人たちと書記官たちは彼に尋ねた、「あなたの弟子たちが長老たちの言い伝えによって歩まず、汚れた手でパンを食べるのはなぜか」。

7:6. 彼は彼らに言った。「イザヤは、あなたがた偽善者たちについて適切に預言した。こう書いてあるとおりだ。『この民は口先でわたしを敬うが、彼らの心はわたしから遠く離れている。

7:7. 彼らがわたしをむなしく礼拝する。彼らが教えとして教えているのは、人々の戒めです。

7:8. あなたがたは神の戒めを放棄して、人々の言い伝えを守っている」。

7:9. 彼は彼らに言った。「あなたがたは、自分たちの言い伝えを守るために、実にうまく神の戒めを拒んでいる。

7:10. というのは、モーセは言った。『あなたの父とあなたの母を敬え』、また『父または母をののしる者は、死で死ななければならない』と。

7:11. ところがあなたがたはこう言う。『もし人が父や母に、あなたがわたしから益を得るものはコルバン、すなわち、供え物ですと言うなら』。

7:12. あなたがたはもはやその者に、父や母のために何一つさせないのです。

7:13. あなたがたが伝えてきた自分たちの言い伝えによって神の言葉を無効にしている。また、あなたがたはこのような事を多く行なっている」。

7:14. それから、彼は再び群衆を呼び寄せて、彼らに言った。「あなたがたは皆、わたしの言うことを聞いて、理解しなさい。

7:15. 人の外から彼に入って来るもので、彼を汚すことができるものは何もないが、人から出て行くものが人を汚すのです」。

7:16. 〔無し〕

7:17. 彼が群衆から離れて家の中に入った時、彼の弟子たちはこのたとえについて彼に尋ねた。

7:18. 彼は彼らに言った。「あなたがたも、そんなに理解力がないのか。すべて外から人の中に入るものは、彼を汚すことができないということが分からないのか。

7:19. それは彼の心の中に入るのではなく、腹の中に入って、便所に出て行き、こうして、すべての食物は清くされるからです」。

7:20. 彼は言った。「人から出るもの、それがその人を汚す。

7:21. すなわち内部から、人の心から出るものは、悪い推論、淫売、盗み、殺人、

7:22. 姦淫、貪欲、邪悪、欺き、放縦、邪悪な目、冒とく、高慢、愚かさです。

7:23. これらの邪悪なことはすべて内部から出て来て、その人を汚すのです」。

7:24. 彼はそこから立って、ツロの地域へ行った。そしてある家の中に入り、誰にもそのことを知られないようにと望んだが、隠れていることができなかった。

7:25. それどころか、汚れた霊に取り憑かれている小さな娘を持つ女が、すぐに彼のことを聞き、やって来て彼の足もとにひれ伏した。

7:26. しかし、この女はギリシャ人で、人種ではスロ・フェニキヤであった。彼女は彼に自分の娘から悪霊を追い出してくださるようにとお願いした。

7:27. 彼は彼女に言った。「まず子供たちを満ち足らせなさい。子供たちのパンを取って小犬たちに投げ与えるのは良くないからです」。

7:28. しかし、彼女は答えて彼に言った。「主よ、食卓の下の小犬たちでさえ、子供たちのパンくずを食べるのです」。

7:29. 彼は彼女に言った。「その言葉のゆえに、行きなさい。悪霊はあなたの娘から出て行った」。

7:30. 彼女は自分の家に去って行き、子供が寝台の上に伏しており、悪霊が出て行ってしまったのを見た。

7:31. さて、彼はまたツロの地域から出て、シドンを経てデカポリス地域の真ん中のガリラヤの海に来た。

7:32. 彼らは、耳が聞こえず言語障害の人を彼の所に連れて来た。彼らは、彼の上に手を置いてくださるようにと懇願した。

7:33. 彼は群衆の中から彼だけを連れ出し、彼の両耳に自分の指を差し入れ、つばをかけて彼の舌に触った。

7:34. そして、天を見上げてため息をつき、彼に「エパタ」、つまり「開かれよ」と言った。

7:35. すると、すぐにその両耳は開かれ、彼の舌のもつれが解かれて、彼は普通に話した。

7:36. 彼は、誰にも言わないようにと彼らに命じたが、彼らに命じれば命じるほど、かえって、彼らはますます宣べ伝えた。

7:37. 彼らはすっかり驚いて言った。「彼はすべてのことを上手に行なった。耳の聞こえない者を聞こえるように、また口の利けない者を話せるようにするのです」。

マルコ 第8章↑

8:1. それらの日には、また大群衆が集まっていて、食べる物を何もなかった時、彼は弟子たちを呼び寄せて、彼らに言った。

8:2. 「わたしは群衆に慈悲の念にかられる。彼らはもう三日もわたしと一緒にいるが、食べる物を何も持っていないからです。

8:3. もし彼らを空腹のままで彼らの家に帰らせたら、途中で弱り切ってしまうだろう。彼らの中には遠くから来ている者もいるのです」。

8:4. 彼の弟子たちは彼に答えた、「ここの寂しい場所で、どこから誰かがパンを得て、これらの者を満足させることができるでしょうか」。

8:5. 彼は彼らに尋ねた、「あなたがたにはパンを幾つあるのか」。彼らは言った。「七つです」。

8:6. そこで彼は群衆に、地に座るようにと命じた。そして、七つのパンを取り、感謝をささげてからそれを裂き、配らせるために自分の弟子たちに与えた。そして、弟子たちが群衆に配った。

8:7. また彼らには小さい魚が少しあった。そこで、彼はそれらを祝福してから、それらをも配るようにと言った。

8:8. 彼らは食べて満腹した。そして彼らは余ったパン切れを七つのかごに拾い集めた。

8:9. 彼らはおよそ四千人であった。それから彼は彼らを去らせた。

8:10. すぐに彼は自分の弟子たちと共に舟に乗り、ダルマヌタの地方へ行った。

8:11. パリサイ人たちが出てきて、彼をためそうとして彼と議論し始め、天からのしるしを彼に求めた。

8:12. 彼は自分の霊の中で深くため息をついて言った。「どうしてこの世代はしるしを求めるのか。まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。この世代にはしるしが与えられるものか」。

8:13. そして、彼は彼らを残して、再び舟に乗り、向こう側へ去って行った。

8:14. 彼らはパンを持って来るのを忘れ、舟の中の彼らにはパン一つしか持ち合わせがなかった。

8:15. 彼は彼らに命じて言った。「パリサイ人のパン種とヘロデのパン種に注意して、気をつけなさい」。

8:16. そして、彼らは互いに論じ合って、「パンを持っていないからだ」。

8:17. 彼はそれと知って、彼らに言った。「なぜあなたがたはパンを持っていないことについて論じているのか。まだ分からず、理解しないのか。あなたがたの心は無感覚になっているのか。

8:18. 目があっても見えないのか。耳があっても聞こえないのか。あなたがたは覚えていないのか。

8:19. わたしが五つのパンを五千人のために裂いた時、あなたがたはパン切れを幾つのかごいっぱいに拾ったか」。彼らは彼に言った。「十二です」。

8:20. 「七つのパンを四千人のために裂いた時、あなたがたはパン切れを幾つのかごいっぱいに拾ったか」。彼らは彼に言った。「七つです」。

8:21. 彼は彼らに言った。「あなたがたはまだ理解しないのか」。

8:22. さて、彼らはベツサイダに来た。すると人々が、一人の盲人を彼のもとに連れて来て、彼に触っていただきたいと懇願した。

8:23. 彼は盲人の手を取り、村の外に連れ出し、彼の両目につばをかけ、自分の両手を彼の上に置いて、「何か見えるか」と尋ねた。

8:24. 彼は見上げて言った。「人々が見えます。木のようで、歩き回っているのが見えるからです」。

8:25. それから、両手を再び彼の両目に当てた。すると彼は一心に見つめているうちに、治ってきて、すべてのものがはっきりと見えるようになった。

8:26. 彼は彼を彼の家に去らせて言った。「村に入ってはいけない」。

8:27. イエスは自分の弟子たちとカイザリヤ・ピリポの村々へ出かけたが、その途中で、彼は自分の弟子たちに尋ねて言った。「人々はわたしを誰だと言っているか」。

8:28. 彼らは彼に告げて言った。「バプテストのヨハネ、ほかの者たちはエリヤ、またほかの者たちは預言者たちの一人,と」。

8:29. 彼は彼らに尋ねた、「だが、あなたがたはわたしを誰だと言うのか」。ペテロが答えて彼に言った。「あなたはキリストです」。

8:30. すると彼は、自分のことを誰にも言わないようにと彼らに厳重に言い渡した。

8:31. そして彼は、人の息子が多くの苦しみを受け、長老たちや祭司長たちや書記官たちから拒まれ、かつ殺され、そして三日目に起こされなければならないことを、彼らに教え始めた。

8:32. しかも彼はこのことをあからさまに語った。すると、ペテロは彼をわきに連れて行き、彼をしかり始めた。

8:33. しかし、彼は振り向いて、自分の弟子たちを見ながら、ペテロをしかって言った。「わたしの後ろに下がれ、サタンよ。あなたは神のことではなく、人々のことを考えているからです」。

8:34. それから、彼は群衆を自分の弟子たちと共に呼び寄せて、彼らに言った。「誰でもわたしの後ろに来たいと思うなら、自分を拒み、自分の十字架を取り上げて、わたしについて来なさい。

8:35. 自分の魂を救いたいと思う者はそれを滅ぼし、わたしと良い知らせのために自分の魂を滅ぼす者は、それを救うからです。

8:36. というのは、人が全世界をもうけても、自分の魂を損したら、何の益になるだろうか。

8:37. 人は自分の魂と引き換えに何を与えるだろうか。

8:38. この罪深い姦淫の世代においてわたしとわたしの言葉を恥じる者は、人の息子も、自分の父の栄光のうちに聖なる使いの者たちと共に来るとき、その者を恥じるだろう」。

マルコ 第9章↑

9:1. 彼は彼らに言った。「まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。ここに立っている者の中には、神の王国が力をもって来るのを見るまでは決して死を味わわない者たちがいる」。

9:2. 六日後、イエスはペテロとヤコブとヨハネを伴い、彼らだけを非公開で高い山へ連れて行った。すると、彼は彼らの目の前で姿が変り、

9:3. 彼の衣は真白く輝き、地上のどんな洗い張り屋でも、それほどに白くすることはできないくらいになった。

9:4. すると、エリヤがモーセと共に彼らに現れて、イエスと語り合っていた。

9:5. ペテロが答えてイエスに言った。「ラビ、わたしたちがここにいるのは良いことです。わたしたちは幕屋を三つ作りましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために」。

9:6. 彼は何と答えてよいのか分からなかったのである。彼らは非常に恐れていたからである。

9:7. すると雲ができて彼らを覆い、その雲の中からの声があった、「これは、わたしの息子、愛する者です。彼に聞きなさい」。

9:8. 突然、彼らが見回すと、もはや誰も見えず、ただイエスだけが、自分たちと一緒にいた。

9:9. 彼らが山を下りて行く時、彼は彼らに命じた、「人の息子が死んだ者たちの中から起き上がるまでは、見たことを誰にも告げてはいけない」。

9:10. 彼らはこの言葉を心に留め、死んだ者たちの中から起こされるとはどういうことかと互いに論じ合った。

9:11. 彼らは彼に尋ねて言った。「それでは、なぜ書記官たちは、エリヤが先に来るはずだと言うのですか」。

9:12. 彼は彼らに言った。「確かにまずエリヤが来て、すべてのものを回復する。それなら、人の息子について、彼が多くの苦しみを受け、軽蔑されると書いてあるのはどうしてか。

9:13. しかし、わたしはあなたがたに言う。エリヤも来たのです。そして彼らは自分勝手なことを彼にしたのです。彼について書いてあるとおりです」。

9:14. さて、彼が弟子たちのところに来ると、大群衆が彼らの周りにおり、書記官たちが彼らと論じ合っているのを見た。

9:15. すぐに、群衆はみな、彼を見て非常に驚き、走り寄って来て彼にあいさつした。

9:16. 彼は彼らに尋ねた、「彼らに何を論じているのか」。

9:17. すると群衆の一人が答えた、「先生、わたしはわたしの息子をあなたのところに連れて来ました。彼は口の利けない霊に取り憑かれています。

9:18. それが彼に取りつくと、どこででも彼を引き倒し、彼は泡を吹き、歯がみして、体をこわばらせてしまいます。わたしは、あなたの弟子たちにそれを追い出してくださるように言ったのですが、彼らにはできませんでした」。

9:19. 彼は答えて彼らに言った。「不信仰な世代よ、いつまでわたしはあなたがたと一緒にいようか。いつまであなたがたのことを我慢しようか。彼をわたしのところに連れて来なさい」。

9:20. 彼らは彼を彼のところに連れて来た。そして彼を見ると、すぐにその霊は彼を引きつけさせ、彼は地に倒れ、泡を吹きながら転げ回った。

9:21. 彼は彼の父親に尋ねた、「いつごろから、彼にこうした事が起こったのか」。彼は言った。「子供のころからです。

9:22. それは彼を滅ぼそうとして、何度も火や水の中に投げ入れました。しかし、もしあなたに何かできるのでしたら、わたしたちを助けてわたしたちを哀れんでください」。

9:23. イエスは彼に言った。「もしあなたにできるのでしたら、と言うのか。信じる者にはすべてのことができるのです」。

9:24. すぐに、その子供の父親は叫んで言った。「信じます。わたしの不信仰をお助けください」。

9:25. イエスは、群衆が走り寄って来るのを見ると、汚れた霊をしかりつけて、それに言った。「口が利けず、耳の聞こえない霊よ、わたしはあなたに命じる。彼から出て来て、これから彼にまた入ってはならない」。

9:26. すると、それは、叫んで、何度も引きつけさせて、出て行った。彼は死んだ者のようになったので、多くの者が、彼は死んだと言った。

9:27. しかし、イエスが彼の手を取って彼を起こすと、彼は起き上がった。

9:28. 彼が家に入ってから、彼の弟子たちはひそかに彼に尋ねた、「なぜわたしたちはそれを追い出せなかったのでしょうか」。

9:29. すると、彼は彼らに言った。「この種のものは、祈りによらなければ、どうしても出て行かせることはできない」。

9:30. 彼らはそこから出て、ガリラヤを通り過ぎたが、彼はそのことを誰にも知られることを望まなかった。

9:31. というのは、自分の弟子たちを教えて、「人の息子は人々の手に引き渡され、彼らは彼を殺すだろう。そして彼は殺されてから三日後に起き上がるだろう」と彼らに言っていたからである。

9:32. しかし彼らはこの言葉を理解せず、また彼に尋ねるのを恐れていた。

9:33. 彼らはカペナウムに来た。家の中にいた時、彼は彼らに尋ねた、「あなたがたは途中で何を論じていたのか」。

9:34. しかし彼らは黙っていた。途中で、誰が一番偉いかについて互に論じ合っていたからである。

9:35. 彼は座って十二人を呼び、彼らに言った。「誰でも第一でありたいと思うなら、その者はみんなの最後となり、みんなのしもべとなりなさい」。

9:36. すると、彼は一人の小さい子供を連れて来て、彼らの真ん中に彼を立たせて、彼を抱いて、彼らに言った。

9:37. 「わたしの名のゆえにこのような小さな子供の一人を受け入れる者は、わたしを受け入れるのです。そして、わたしを受け入れる者は、わたしではなく、わたしを遣わした方を受け入れるのです」。

9:38. ヨハネが彼に言った。「先生、わたしたちは、あなたの名において悪霊を追い出している者を見ましたが、彼がわたしたちについて来ないので、彼をとどめました」。

9:39. しかしイエスは言った。「彼をとどめてはいけない。わたしの名において力あるわざを行なおうとする者で、すぐさまわたしを悪く言うことができる者はいないからです。

9:40. わたしたちに反対しない者は、わたしたちの味方なのです。

9:41. あなたがたがキリストのものであるという理由で、その名のゆえにあなたがたに一杯の水を与える者については、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておくが、彼は彼の報いを決して失わないだろう。

9:42. わたしを信じるこれらの小さな者たちの一人をつまずかせる者は、ろばの回すような石うすを彼の首にくくられて、海に投げ込まれる方が、その者にとっては良いだろう。

9:43. もしあなたの片手があなたをつまずかせるなら、それを切り取りなさい。両手を持ったままでヒンノムの谷に、つまり消すことができない火の中に入るよりは、不具になって命に入るほうが、あなたにとっては良いのです。

9:44. 〔無し〕

9:45. もしあなたの片足があなたをつまずかせるなら、それを切り取りなさい。両足を持ったままでヒンノムの谷に投げ込まれるよりは、不自由なまま命に入るほうが、あなたにとっては良いのです。

9:46. 〔無し〕

9:47. もしあなたの片目があなたをつまずかせるなら、それを捨てなさい。両目を持ったままでヒンノムの谷に投げ込まれるよりは、片目で神の王国に入るほうが、あなたにとっては良いのです。

9:48. そこでは、彼らのうじは死なず、火は消されない。

9:49. というのは、すべての者は火で塩づけられねばならないからです。

9:50. 塩は良いものです。しかし、塩が塩気を失うなら、あなたがたは何によってそれに味を付けるのか。自分の内に塩を持ち、互いに平和を保ちなさい」。

マルコ 第10章↑

10:1. 彼はそこから立って、ユダヤの地域とヨルダンの向こう側に行った。群衆がまた彼のところに集まって来た。彼はまたいつものように彼らを教えていた。

10:2. すると、パリサイ人たちが彼を試そうとしてやって来て、彼に尋ねた、「男が自分の妻を出すことは許されているのですか」。

10:3. 彼は彼らに答えて言った。「モーセはあなたがたに何と命じたか」。

10:4. 彼らは言った。「モーセは、離縁状の書類を書いて彼女を出すことを許しました」。

10:5. しかし、イエスは彼らに言った。「彼は、あなたがたの心のかたくなさのゆえに、あなたがたにこの戒めを書いたのです。

10:6. しかし、創造の初めから、『彼は彼らを男性と女性に造られた。

10:7. このゆえに、人は自分の父と母を離れて、自分の妻と結び付く。

10:8. こうして二人は一つの肉体となる』。それで、彼らはもはや二つではなく、一つの肉体なのです。

10:9. だから、神が結び合わされたものを、人は離してはいけない」。

10:10. 家に入ってから、弟子たちはまたこのことについて彼に尋ねた。

10:11. 彼は彼らに言った。「自分の妻を出して他の者と結婚する者は、彼女に対して姦淫を犯すのです。

10:12. もし彼女が自分の夫を出して他の者と結婚するなら、彼女は姦淫を犯すのです」。

10:13. さて、人々は小さい子供たちを彼のところに連れて来て、彼に触っていただこうとした。しかし、弟子たちは彼らをしかりつけた。

10:14. しかしイエスは、それを見て、憤って彼らに言った。「小さい子供たちがわたしのところに来るままにしておきなさい。彼らをとどめてはいけない。神の王国はこのような者たちのものだからです。

10:15. まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。神の王国を小さい子供のように受け入れない者は、決してその中に入ることはない」。

10:16. 彼らを両腕に抱き寄せ、彼らの上に両手を置いて彼らを祝福した。

10:17. 彼が道に出て行くと、一人の者が走り寄って、彼の前にひざまずき、彼に尋ねた、「良い先生、世々の特質ある命を受け継ぐためには、何をしたらよいでしょうか」。

10:18. イエスは彼に言った。「なぜ、わたしを良いと言うのか。ただひとり、神以外には、誰も良い者はいない。

10:19. あなたは戒めを知っている。『殺人を犯すな』、『姦淫するな』、『盗むな』、『偽証するな』、『だまし取るな』、『あなたの父と母とを敬え』」。

10:20. 彼は彼に言った。「先生、わたしはそれらをみな若い時から守ってきました」。

10:21. イエスは彼を見つめながら,彼を愛した。そして彼に言った。「あなたには一つのことが足りない。行って、持ち物を売り、貧しい人々に与えなさい。そうすれば、天に宝を持つことになる。そして来て、わたしについて来なさい」。

10:22. しかし、彼はこの言葉で顔を曇らせ、悲しみながら去って行った。多くの資産を持っていたからである。

10:23. イエスは見回して、自分お弟子たちに言った。「富を持っている者たちが神の王国に、何と苦労して入るだろう」。

10:24. 弟子たちは彼の言葉に驚いた。しかしイエスは再び答えて彼らに言った。「子供たちよ、神の王国に入るのは、何と難しいことか。

10:25. 金持が神の王国に入るよりは、らくだが針の穴を通る方が易しいのです」。

10:26. 彼らは非常に驚いて、互に言った。「それでは、誰が救われることができるのだろう」。

10:27. イエスは彼らを見つめて言った。「人々にはそれはできないが、神にはそうではない。神にはすべてのことができるだからです」。

10:28. ペテロが彼に言い始めた、「ご覧ください、わたしたちはすべてを後にして、あなたについて来ました」。

10:29. イエスは言った。「まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。わたしのため、また良い知らせのために、家、あるいは兄弟たち、あるいは姉妹たち、あるいは母、あるいは父、あるいは子供たち、あるいは畑を後にする者で、

10:30. 必ずその百倍を受ける。すなわち、今この時節では家々、兄弟たち、姉妹たち、母たち、子供たちおよび畑を迫害と共に受け、また、来たるべき世では世々の特質ある命を受けない者はいない。

10:31. しかし、多くの最初の者が最後に、最後の者が最初になるだろう。

10:32. 彼らはエルサレムに上って行く途上にあった。そして、イエスが彼らの前を進んで行くので、彼らは驚き、ついて行く者たちは恐れた。彼はまた十二人をわきに連れて行き、自分に起ころうとしていることについて彼らに言い始めた。

10:33. 「見よ、わたしたちはエルサレムに上って行く。そして、人の息子は祭司長たちと書記官たちに引き渡される。彼らは彼に死刑を宣告し、彼を諸国の民々の者たちに引き渡すだろう。

10:34. 彼らは彼をあざけり、彼につばをかけ、彼をむち打ち、そして殺す。しかし三日後に彼は起き上がるだろう」。

10:35. ゼベダイの息子たちのヤコブとヨハネが彼のところに来て彼に言った。「先生、わたしたちがお願いすることを何でもわたしたちのためにしていただきたいのですが」。

10:36. 彼は彼らに言った。「あなたがたのために何をして欲しいのか」。

10:37. 彼らは彼に言った。「あなたの栄光の中で、わたしたちが、一人はあなたの右に、一人は左に座ることをお許しください」。

10:38. しかしイエスは彼らに言った。「あなたがたは自分が何を求めているかを知っていない。あなたがたは、わたしが飲む杯を飲み、わたしがバプテスマされるバプテスマでバプテスマされることができるか」。

10:39. 彼らは彼に言った。「できます」。イエスは彼らに言った。「あなたがたは、わたしが飲む杯を飲み、わたしがバプテスマされるバプテスマでバプテスマされるだろう。

10:40. しかし、わたしの右や左に座ることは、わたしが与えるものではなく、それが備えられている者たちのためのものです」。

10:41. 十人の者はこれを聞いて、ヤコブとヨハネに対して憤慨し始めた。

10:42. そこで、イエスは彼らを呼び寄せて彼らに言った。「あなたがたが知っているように、諸国の民々の支配者であると思っている者は彼らに対して威張り、彼らの偉い者たちは彼らの上に権威を振るっている。

10:43. しかし、あなたがたの間ではそうあるべきではないだろう。かえって、あなたがたの間で偉くなりたい者は、あなたがたのしもべとなるだろうし、

10:44. あなたがたの間で第一でありたい者は、あなたがたの奴隷となるだろう。

10:45. 人の息子が来たのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また自分の魂を多くの者の身代金として与えるためです」。

10:46. 彼らはエリコに来た。彼が自分の弟子たちと大群衆と共にエリコから出て行くと、テマイの息子、バルテマイという盲人のこじきが、道ばたに座っていた。

10:47. 彼は、それがナザレのイエスだと聞いて、「ダビデの息子イエスよ、わたしをあわれんでください」と叫び出して言い始めた。

10:48. 多くの者は、黙っているようにと彼をしかりつけたが、彼はますます叫んだ、「ダビデの息子よ、わたしをあわれんでください」。

10:49. イエスは立ち止まって、「彼を呼びなさい」と言った。彼らは盲人を呼んで、彼に言った。「勇気を出して、立ちなさい。あなたをお呼んでいる」。

10:50. 彼は自分の衣を脱ぎ捨て、躍り上がり、イエスのところに来た。

10:51. イエスは彼に答えて言った。「あなたのために何をして欲しいのか」。盲人は彼に言った。「ラボニ、また見えるようにしてください」。

10:52. イエスは彼に言った。「行きなさい。あなたの信仰があなたを救った」。すぐに彼は見えるようになり、道すがら彼について行った。

マルコ 第11章↑

11:1. さて、彼らがエルサレムに近づき、オリーブ山のベテパゲとベタニヤに来た時、彼は自分の弟子たちのうちの二人を遣わして、

11:2. 彼らに言った。「向こうの村に行きなさい。そこに入るとすぐに、まだ誰も乗ったことのない子ろばがつながれているのが見つかるだろう。それを解いて、連れて来なさい。

11:3. もし誰かがあなたがたに、『なぜこんなことをするのか』と言うなら、『主がこれを必要としているのです。そして、すぐにこれをここに送り返されるでしょう』と言いなさい」。

11:4. そこで、彼らは出て行き、外のわき道の戸口に、子ろばがつながれているのを見つけて、それを解いた。

11:5. そこに立っていた者たちのうちの何人かが彼らに言った。「その子ろばを解いて、何をしているのか」。

11:6. 彼らはイエスの言ったとおりにその者たちに言うと、その者たちは彼らを許してくれた。

11:7. その子ろばをイエスのところに連れて来て、その上に自分たちの衣を投げかけた。するとイエスはそれに乗った。

11:8. すると多くの者たちが自分たちの衣を道に敷き、またほかの者たちは野から柔らかい葉のついた枝を切り落として来た。

11:9. そして、前を行く者も後について行く者も、叫んだ、「ホサンナ、主のみ名において来る者は祝福されている者です。

11:10. 来たるべき、我らの父ダビデの王国は祝福されているものです。いと高き所にホサンナ」。

11:11. 彼はエルサレムに着き、神殿に入った。あらゆるものを見回してから、時もすでに遅くなっていたので、十二人と共にベタニアに出て行った。

11:12. その次の日、彼らがベタニアから出て来た時、彼は空腹を感じた。

11:13. そして、葉の茂ったいちじくの木を遠くから見て、それに何か見つかるかも知れないと見に行った。そこに来ると、葉のほかには何も見つからなかった。いちじくの季節ではなかったからである。

11:14. 彼は答えてそれに言った。「もうおまえからは誰も、世に亘り、実を食べることがないように」。そして彼の弟子たちはそれを聞いていた。

11:15. 彼らはエルサレムに来た。そして彼は神殿に入り、神殿で物を売る者たちや買う者たちを追い出し始め、両替屋たちの台と、はとを売る者たちの腰掛けをひっくり返した。

11:16. 誰にも神殿を通って器物を運ぶことを許さなかった。

11:17. 彼は教えて、彼らに言った。「『わたしの家はあらゆる国民のための祈りの家と呼ばれるだろう』と書いてあるではないか。それなのにあなたがたは、それを強盗たちの洞くつにしてしまった」。

11:18. 祭司長たちと書記官たちはこれを聞いて、どうやって彼を滅ぼそうかと探り求めた。彼を恐れていたのである。それは群衆がみな彼の教えに驚嘆したからである。

11:19. 夕方になった時、彼は都から出て行った。

11:20. 朝、彼らが通りすがりに、彼らはあのいちじくの木が根元から枯れているのを見た。

11:21. ペテロは思い出して彼に言った。「ラビ、ご覧ください。あなたがのろわれたあのいちじくの木が枯れています」。

11:22. イエスは答えて彼らに言った。「神の信仰を持ちなさい。

11:23. まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。誰でもこの山に『持ち上げられて海の中に投げ込まれるように』と言って、自分の心の中で疑わず、自分の言っていることは起きるのだと信じるなら、その者にはその通りになるのです。

11:24. このゆえにわたしはあなたがたに言う。あなたがたが祈りまた願うものはすべて、それを受けるのだと信じなさい。そうすればあなたがたにはその通りになるのです。

11:25. あなたがたが立って祈る時に、誰かに対して恨み事があるなら、赦してあげなさい。そうすれば、天々にいるあなたがたの父もあなたがたの過ちを赦してくださるだろう。」

11:26. 〔無し〕

11:27. 彼らは再びエルサレムに来た。そして彼が神殿の中を歩いていると、祭司長たちや書記官たちや長老たちが彼のところに来て、

11:28. 彼に言った。「あなたは何の権威によってこれらの事をするのか。また、誰がこれらの事をするその権威をあなたに与えたのか」。

11:29. イエスは彼らに言った。「あなたがたに一つのことを尋ねよう。わたしに答えなさい。そうすれば、何の権威によってこれらの事をするのかをあなたがたに言おう。

11:30. ヨハネのバプテスマは天からのものだったか、それとも人々からのものだったか。わたしに答えなさい」。

11:31. 彼らは互いに論じ合って言った。「もし天からだと言えば、彼は『それでは、なぜ彼を信じなかったのか』と言うだろう。

11:32. しかし、人々からと言えば」。―彼らは群衆を恐れていたのである。みんながヨハネを預言者として本当に見ていたからである。

11:33. 彼らはイエスに答えて言った。「わたしたちは知らない」。イエスは彼らに言った。「わたしも,何の権威によってこれらの事をするのかをあなたがたに言わない」。

マルコ 第12章↑

12:1. そこで彼はたとえで彼らに語り始めた。「ある人がぶどう園を造り、その周りに垣根を巡らし、酒ぶねを掘り、やぐらを建て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけた。

12:2. 時節が来た時、彼はぶどう園の実りを農夫たちから受け取るために、奴隷を農夫たちに遣わした。

12:3. 彼らは彼を捕まえて打ちたたき、何も持たせずに送り返した。

12:4. また他の奴隷を彼らに遣わしたが、彼らはその者の頭を殴り、侮辱した。

12:5. そこで、彼はまた他の者を遣わしたが、彼らはその者を殺した。そして他の多くの者たちを遣わしたのですが、彼らはある者を打ちたたき、ある者を殺した。

12:6. それで、彼にはもう一人、彼の愛する息子がいた。『わたしの息子は敬ってくれるだろう』と言って、最後にこの者を彼らに遣わした。

12:7. しかし、それらの農夫たちは互いに言った。『これは相続人だ。来て、彼を殺して、相続財産はわれわれのものになる』。

12:8. 彼らは彼を捕まえた。そして、彼を殺してぶどう園の外に投げ出した。

12:9. ぶどう園の主人はどうするだろうか。彼はやって来て農夫たちを滅ぼし、そのぶどう園を他の者たちに与えるだろう。

12:10. あなたがたはこの聖句を読んだことがないのか。『建築者たちが捨てた石、それが隅のかしらになった。

12:11. これは主から生じたことで、わたしたちの目には驚嘆すべきことです』。

12:12. 彼らは、このたとえが自分たちに当てつけて言われたことが分かったので、彼を捕まえようとしたが、群衆を恐れた。彼らは彼を残して立ち去った。

12:13. 彼らはパリサイ人たちとヘロデ党の者たちのある者たちを彼のところに遣わした。彼の言葉尻を捕らえようとした。

12:14. 彼らはやって来て、彼に言った。「先生、わたしたちはあなたが真実であり、誰をも気にされないことを知っております。あなたは人々の顔をご覧にならず、真理に基いて神の道を教えられるからです。カイザルに人頭税を与えることは許されているでしょうか、許されていないでしょうか。与えるべきでしょうか、与えてはならないのでしょうか。」

12:15. しかし、彼は、彼らの偽善をを知って、彼らに言った。「なぜあなたがたはわたしをためすのか。デナリをわたしに持って来て、わたしはそれを見えるように」。

12:16. 彼らはそれを持って来た。彼は彼らに言った。「これは誰の肖像と銘なのか」。彼らは彼に言った。「カイザルのです」。

12:17. するとイエスは彼らに言った。「カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」。彼らは彼に驚嘆した。

12:18. 復活はないと言っているサドカイ人たちが、彼のところに来て彼に尋ねて言った。

12:19. 「先生、モーセはわたしたちに書いていました、『もしある者の兄弟が死んで、妻を後に残し、子供を残さなかった場合には、彼の兄弟が妻を受け入れ、自分の兄弟のために子孫を起こせよ』。

12:20. 七人の兄弟がいました。最初の者が妻を受け入れましたが、子孫を残さずに死にました。

12:21. 二番目の者が彼女を受け入れましたが、子孫を後に残さずに死にました。三番目の者も同様でした。

12:22. そして、七人とも子孫を残しませんでした。みんなの最後にその女も死にました。

12:23. 復活において、彼らが復活した時、彼女は彼らのうちの誰の妻になるのですか。七人が彼女を妻として得たのですから」。

12:24. イエスは彼らに言った。「このゆえに、あなたがたが道迷わされているではないか。聖書も神の力も知らないからです。

12:25. 死んだ者たちの中から復活する時には、彼らはめとったり嫁いだりすることはない。彼らは天々の使いの者たちのようになる。

12:26. しかし、死んだ者たちについて、つまり彼らが起こされることについて、あなたがたはモーセの書の中、いばらの茂みに関する記述の中で、神が彼にどのように言われたかを読んだことがないのか。『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』と言われたのです。

12:27. この方は死んだ者たちの神ではなく、生きている者たちの神です。あなたがたは大いに道迷わされている」。

12:28. 書記官たちの一人が近づいてきて、彼らが互に論じ合っているのを聞き、また彼が彼らに上手く答えたのを認めて、彼に尋ねた、「すべての戒めの中で、どれが第一のものですか」。

12:29. イエスは答えた、「第一はこれです。『聞け、イスラエルよ、主なるわたしたちの神は、ただひとりの主である。

12:30. あなたの心を尽くし、あなたの魂を尽くし、あなたの思いを尽くし、あなたの力を尽くして、主なるあなたの神を愛せよ』。

12:31. 第二はこれです。『あなたの隣人を自分自身のように愛せよ』。これらより大きな戒めはほかにない」。

12:32. その書記官は彼に言った。「先生、彼はひとりであって彼のほかにはいないとは、真理に即してよくぞ言われました。

12:33. そして、心を尽くし、理解力を尽くし、力を尽くして彼を愛すること、また隣人を自分自身のように愛することは、すべての全焼のささげ物やいけにえよりも、はるかにまさっています」。

12:34. イエスは彼が聡明な答えをしたのを見て、彼に言った。「あなたは神の王国から遠くない」。その後は、彼にあえて何かを尋ねる者はいなかった。

12:35. 神殿で教えていた時、イエスは返答をする際に、こう言った。「どうして書記官たちはキリストがダビデの息子だと言うのか。

12:36. ダビデ自身が聖霊の中でこう言った。『主はわたしの主に言われた、わたしがあなたの敵たちをあなたの足の下に置くまで、わたしの右に座っていなさい』。

12:37. ダビデ自身が彼を主と呼んでいるのなら、どうして彼の息子だろうか」。そして大群衆は喜んで彼に聞いていた。

12:38. 彼は自分の教えの中で言った。「書記官たちに気をつけなさい。彼らが好むのは、長い外套を着て歩き回るや、市場でのあいさつと、

12:39. そして会堂での上席や宴会での上座です。

12:40. 彼らはやもめたちの家々を食い尽くし、見せかけのために長い祈りをする者たちです。これらの者たちはより重い裁きを受けるだろう」。

12:41. 彼は宝物庫に向かい合って座り、群衆が銅銭を投げ入れる様子を見ていた。多くの金持は、たくさん投げ入れていた。

12:42. 一人の貧しいやもめが来て、レプタ二つを投げ入れた。これは一コドラントに相当する。

12:43. 彼は自分の弟子たちを呼んで、彼らに言った。「まことをもって、あなたがたに言っておく。この貧しいやもめは、宝物庫に投げ入れているすべての人たちよりも多くを投げ入れたのです。

12:44. 彼らはみな自分のあり余る中から投げ入れたが、彼女は,自分の乏しい中から、持っているものすべて、自分の暮らしのもとを全部投げ入れたのだから」。

マルコ 第13章↑

13:1. 彼が神殿から出て行く時、自分の弟子たちの一人が彼に言った。「先生、ご覧ください、何という石、何という建物でしょう」。

13:2. イエスは彼に言った。「これらの大きな建物を見ているのか。ここで石が石の上に残されて崩されないでいることは決してないだろう」。

13:3. 彼がオリーブ山で神殿に向かって座っていた時、ペテロとヤコブとヨハネとアンデレが、自分たちだけで彼に尋ねた、

13:4. 「わたしたちにお話しください。これらのことがいつあるのですか。また、これらのすべてのことが完結に至るような場合には、どんなしるしがあるのですか」。

13:5. イエスは彼らに言い始めた、「誰かがあなたがたを道迷わすことのないように注意しなさい。

13:6. 多くの者がわたしの名においてやって来て、『わたしがその者だ』と言って、多くの者を道迷わすだろう。

13:7. あなたがたは戦争と戦争のうわさを聞く時、あわててはいけない。これらのことは起こらなければならないが、終結はまだなのです。

13:8. 国民は国民に、王国は王国に向かって立ち上がるのだから。あちこちで地震があり、またききんが起るだろう。これらのことは産みの苦しみの始まりです。

13:9. しかし、自分自身に注意しなさい。彼らはあなたがたをサンヘドリンに引き渡すだろう。あなたがたは会堂で打ちたたかれる。あなたがたはわたしのゆえに総督たちや王たちの前に立つことになる。彼らに対する証言のためです。

13:10. こうして、良い知らせはまずすべての国民に宣べ伝えられなければならない。

13:11. 彼らがあなたがたを連れて行って引き渡す時、何を話そうかと前もって思いわずらってはいけない。むしろ、その時にあなたがたに与えられることを言いなさい。語る者は、あなたがたではなく、聖霊なのです。

13:12. また兄弟は兄弟を、父は子供を死に引き渡すだろう。子供たちは親たちに逆らって立ち、彼らを死に処するだろう。

13:13. またあなたがたは、わたしの名のゆえにすべての者たちから憎まれるだろう。しかし、終結まで耐え忍ぶ者は救われるだろう。

13:14. しかし、荒廃の憎悪のものが、立ってはならない所に立っているのを見るなら(読者は理解しなさい)、その時、ユダヤにいる者たちは山に逃げなさい。

13:15. 屋上にいる者は、下りてはならず、また自分の家から物を取り出そうとして中に入ってもいけない。

13:16. 畑にいる者は、自分の衣を取りに後へ戻ってはいけない。

13:17. それらの日には、身ごもっている者たちと乳を飲ませている者たちは災いです。

13:18. この事が冬に起きないようにように祈りなさい。

13:19. それらの日には、神が万物を創造された創造の初めから今に至るまで起きたことがなく、今後もないような患難があるからです。

13:20. それらの日が短くされなかったなら、肉なる者は誰も救われないだろう。しかし、選び出された選ばれた者たちのために、それらの日は短くされるのです。

13:21. その時、誰かがあなたがたに、『見よ,ここにキリストがいる』、また、『見よ、あそこに』と言っても、それを信じてはいけない。

13:22. 偽キリストたちや偽預言者たちが現れて、しるしと不思議なわざを行ない、選ばれた者たちさえをできれば道迷わそうとするからだろう。

13:23. けれども、あなたがたは気を付けていなさい。わたしはあなたがたにすべてのことを前もって言っておいた。

13:24. しかしそれらの日には、その苦難の後に、太陽は暗くなり、月はその光を放たず、

13:25. 星々は天から落ち、天々にある勢力は揺り動かされるだろう。

13:26. その時、彼らは、人の息子が大いなる力と栄光をもって雲のうちに来るのを見るだろう。

13:27. その時、彼は使いの者たちを遣わし、彼らは四方の風から、地の果てから天の果てまで、選ばれた者たちを集めるだろう。

13:28. いちじくの木からこのたとえを学びなさい。その枝がすでに柔らかくなり、葉を出すと、あなたがたは夏の近いことを知る。

13:29. そのようにあなたがたも、これらのことを見たなら、それは戸口にまで近づいていることを知りなさい。

13:30. まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。これらのすべてのことが起こるまでは、この世代は決して過ぎ去らない。

13:31. 天と地は過ぎ去るだろう。しかし、わたしの言葉は決して過ぎ去らないのです。

13:32. しかし、その日と時については誰も知らない。天の使いの者たちも、また息子も知らない、ただ父だけが知っている。

13:33. 気をつけて、目を覚ましていなさい。その時節がいつであるか、あなたがたには分からないからです。

13:34. それは、自分の家を離れて、自分の奴隷たちに権威を与え、それぞれに仕事を与え、門番に目を覚ましているように命じて、旅行する人のようなものです。

13:35. だから、目を覚ましていなさい。家の主人がいつ来るか、夕方か、真夜中か、おんどりの鳴くころか、早朝かを、あなたがたは知らないのですから。

13:36. 彼が突然来て、あなたがたの眠っているところを見つけるようなことのないためです。

13:37. しかし、わたしがあなたがたに言うことは、すべての者に言うのです。目を覚ましていなさい」。

マルコ 第14章↑

14:1. さて、過ぎ越しと除酵祭の二日前になった。そこで祭司長たちと書記官たちは、どうしたら策略によって彼を捕まえて殺すことができるかを探り求めていた。

14:2. というのは、彼らはこう言っていたからである。「祭りの間はいけない。民の騒動が起こるかも知れないからだ」。

14:3. 彼がベタニアでうろこ症の人シモンの家にいた時、食卓に着いていると、一人の女が、高価な純粋なナルド香油の雪花石膏の壷を持ってやって来た。雪花石膏の壷を砕き、それを彼の頭に注いだ。

14:4. しかし、互いに憤慨した者が数人いて、こう言った。「なんのために香油をこんなに無駄にしたのか。

14:5. この香油を三百デナリ以上で売れたし、そうすれば貧しい人たちに施すことができたのに」。彼らは彼女に対して不平を言った。

14:6. しかしイエスは言った。「彼女をそのままにしておきなさい。なぜあなたがたは彼女を悩ませるのか。彼女はわたしに良い行ないをしてくれたのです。

14:7. 貧しい人たちはいつもあなたがたと一緒にいるから、いつでも望む時に彼らに良いことができる。しかし,わたしはいつも一緒にいるわけではないからです。

14:8. 彼女は自分にできることをした。埋葬のために、わたしの体に前もって油を塗ってくれたのです。

14:9. まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。全世界のどこででも、この良い知らせが宣べ伝えられる所では、彼女の行なったことも、彼女の記念として語られるだろう」。

14:10. 十二人の一人ユダ・イスカリオテは、彼を引き渡すために、祭司長たちのところに出て行った。

14:11. 彼らはそれを聞いて喜び、彼に銀を与えることを約束した。彼はどうすれば彼を引き渡せるか、機会を探り求めた。

14:12. 除酵祭の第一日、つまり過ぎ越しのいけにえをささげる日、彼の弟子たちが彼に言った。「あなたが過ぎ越しの食事をするために、わたしたちがどこに行って用意をすることを望んでいますか」。

14:13. 彼は自分の弟子たちのうちの二人を遣わして、彼らに言った。「市内に入りなさい。するとあなたがたは水がめを運んでいる人に出会うだろう。彼について行きなさい。

14:14. そして、彼が入っていく所で、家の主人に言いなさい。『先生が、「わたしがわたしの弟子たちと共に過ぎ越しの食事をするわたしの客室はどこか」と言っています』。

14:15. 彼はあなたがたに、準備の整った、大きな階上の部屋を見せてくれるだろう。そこでわたしたちのために用意をしなさい」。

14:16. 弟子たちは出て行って、市内に行って見ると、彼が自分たちに言ったとおりのことを見つけた。それで彼らは過ぎ越しの用意をした。

14:17. 夕方になって、彼は十二人と一緒に行った。

14:18. 彼らが食卓に着いて食事をしていると、イエスは言った。「まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。あなたがたの一人で、わたしと一緒に食事をしている者が、わたしを引き渡すだろう」。

14:19. 彼らは悲しみ始め、一人一人、「それはわたしではないでしょう」と彼に言った。

14:20. 彼は彼らに言った。「それは十二人の一人で、わたしと一緒に鉢に浸している者です。

14:21. 確かに人の息子は自分について書いてあるとおりに去って行く。しかし、その人は災い、すなわちその人によって人の息子が引き渡される。彼にとってその人は生まれなかった方がよかっただろう」。

14:22. 彼らが食事をしていると、彼はパンを取り、祝福してそれを裂き、彼らに与えて言った。「取りなさい。これはわたしの体です」。

14:23. また杯を取り、感謝してそれを彼らに与えた。彼らは皆その杯から飲んだ。

14:24. 彼は彼らに言った。「これは契約のわたしの血です。それは多くの人のために注ぎ出されるのです。

14:25. まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。神の王国において新しいものを飲むその日まで、わたしは今後ぶどうの木の産物を決して飲むことはない」。

14:26. そして、賛美の歌を歌ってから、彼らはオリブ山へ出て行った。

14:27. イエスは彼らに言った。「あなたがたはみなつまずくだろう。『わたしは羊飼いを打つ。すると羊は散らされるだろう』と書いてあるからです。

14:28. しかし、わたしは起こされた後、あなたがたより先にガリラヤへ行くだろう」。

14:29. しかし、ペテロは彼に言った。「みんながつまずいても、わたしはそうしない」。

14:30. イエスは彼に言った。「まことをもって、わたしはあなたに言っておく。今日、今夜、おんどりが二度鳴く前に、あなたは三度わたしを否認するだろう」。

14:31. しかし、彼は力を込めて言った。「あなたと一緒に死ななければならないとしても、わたしはあなたを否認しません」。彼らは皆、同じようなことを言った。

14:32. 彼らはゲツセマネという名の場所に来た。彼は自分の弟子たちに言った。「わたしが祈っている間、ここに座っていなさい」。

14:33. 彼はペテロとヤコブとヨハネを伴って行ったが、自分が呆然とし、また苦悩し始めた。

14:34. そして彼は彼らに言った。「わたしの魂は死ぬほどに深く悲しんでいる。ここにとどまって、目を覚ましていなさい」。

14:35. そして少し進んで行って地にひれ伏し、もしできることなら、その時が自分から過ぎ去るようにと祈った。

14:36. 彼は言った。「アバ、父よ、あなたにはすべてのことがおできになります。この杯をわたしから取り除いてください。しかし、わたしの望むことではなく、あなたの望まれることを」。

14:37. そして、彼はやって来て、彼らが眠っているのを見つけて、ペテロに言った。「シモンよ、眠っているのか。一時間も目を覚ましている力もなかったのですか。

14:38. あなたがたは試みに陥らないように、目を覚まして祈っていなさい。霊は熱意にあふれているが、肉体は虚弱です」。

14:39. 彼はまた行って同じ言葉を言って祈った。

14:40. 彼がまた来て、彼らが眠っているのを見つけた。彼らの目は重くなっていたからである。そして彼らは、彼に何と答えたらよいか分からなかった。

14:41. 彼は三度目にやって来て、彼らに言った。「まだ眠っているのか、休んでいるのか。もう十分です。時が来た。見よ、人の息子は罪人たちの手に引き渡されるのです。

14:42. 立ちなさい。行きましょう。見よ、わたしを引き渡す者が近づいてきた」。

14:43. 彼がまだ話しているうちに、十二人の一人のユダが来た。また祭司長たちと書記官たちと長老たちのところから来た群衆が、剣やこん棒を持って彼と一緒にいた。

14:44. 彼を引き渡した者は、「わたしが口づけするのがその者だ。彼を捕まえて、しっかりと引いて行け」と言って、彼らに合図を与えていた。

14:45. 彼は来ると、すぐに彼のところに近づいてきて、「ラビ」と言って、彼に口づけした。

14:46. 彼らは彼に手をかけて彼を捕まえた。

14:47. しかし、そばに立っていた者の一人が剣を抜き、祭司長の奴隷に撃ちかかり、彼の耳を切り落とした。

14:48. イエスは答えて彼らに言った。「あなたがたは強盗に向かうように、剣とこん棒を持ってわたしを捕まえに来たのか。

14:49. 日々わたしはあなたがたと一緒に神殿にいて教えていたのに、あなたがたはわたしを捕らえなかった。しかし、聖書が成就されるためなのです」。

14:50. すると、彼らはみな、彼を残して逃げて行った。

14:51. ある若者が、裸の体に亜麻布をまとって、彼に付いて行った。彼らは彼を捕まえようとしたが、

14:52. 彼は亜麻布を残して、裸で逃げた。

14:53. 彼らはイエスを祭司長のところに引いて行った。祭司長たちと長老たちと書記官たちがみな集まって来た。

14:54. ペテロは遠くから彼に付いて行き、祭司長の中庭まで来た。彼は下役たちと一緒に座っており、明るい火で暖めていた。

14:55. さて、祭司長たちとサンヘドリン全体は、イエスを死に処するために、イエスに対する証言を探し求めたが、見いだせなかった。

14:56. 多くの者が彼に対して偽証をしたが、それらの証言は一致しなかったのである。

14:57. ある者たちが立ち上がり、彼に対して偽証をして言った。

14:58. 「わたしたちは、彼が『わたしは手で造ったこの聖所を壊し、手で造ったのではない別のものを三日で建てる』と言うのを聞きました」。

14:59. そのようにしても、彼らの証言は一致しなかった。

14:60. 祭司長が真ん中に立ってイエスに尋ねて言った。「何も答えないのか。これらの者たちがあなたに対して証言をしているのは、どういうことなのか」。

14:61. しかし彼は黙っていて、何も答えなかった。再び祭司長は彼に尋ねて彼に言った。「あなたはほむべき方の息子、キリストですか」。

14:62. イエスは言った。「わたしはそうです。あなたがたは人の息子が力ある方の右に座り、天の雲と共に来るのを見るだろう」。

14:63. すると、祭司長は自分の衣を引き裂いて言った。「どうしてこれ以上証人が必要だろうか。

14:64. あなたがたは冒とくの言葉を聞いた。あなたがたには何がはっきりしていますか」。彼らはみな、彼を死に値するものと断罪した。

14:65. ある者たちは彼につばをかけ、彼の顔を覆ってこぶしで彼を殴り、「預言せよ!」と言い始めた。また下役たちは彼を引き取って、平手で打った。

14:66. ペテロが下で中庭にいたところ、祭司長の若い女中の一人が来て、

14:67. ペテロが暖めているのを見ると、彼を見つめて言った。「あなたもナザレのイエスと一緒にいた」。

14:68. しかし彼は否定して言った。「わたしは知らないし、あなたが何のことを言っているのか分からない」。そして彼が庭口の方に出て行った。するとおんどりが鳴いた。

14:69. その若い女中は彼を見て、そばに立っている者たちに再び言い始めた、「この人は彼らの一人です」。

14:70. しかし彼は再び否定した。しばらくして、そばに立っている者たちが再びペテロに言った。「確かにあなたは彼らの一人だ。あなたもガリラヤ人だから」。

14:71. しかし、彼は「わたしはあなたがたが言っているその人を知らない」と、のろって誓い始めた。

14:72. するとすぐ、おんどりが二度目に鳴いた。ペテロは、「おんどりが二度鳴く前に、あなたは三度わたしを否認するだろう」とイエスが自分に言った言葉を思い出した。そして、彼はくずおれて泣きだした。

マルコ 第15章↑

15:1. 朝になるとすぐ、祭司長たちは長老たち、書記官たち、およびサンヘドリン全体と協議をしてから、イエスを縛って引き出し、ピラトに引き渡した。

15:2. そこで、ピラトは彼に尋ねた、「あなたはユダヤ人の王ですか」。彼は答えて彼に言った。「あなたがそう言っている」。

15:3. 祭司長たちは多くの事について彼を訴えた。

15:4. ピラトは再び彼に尋ねて言った。「何も答えないのか。彼らがあなたに対してどれほど多くの事を訴えていることかを見よ」。

15:5. しかし、イエスはそれ以上何も答えなかった。そのためピラトは驚いた。

15:6. さて、祭のたびごとに、彼は彼らが請願する囚人の一人を、彼らのために釈放することにしていた。

15:7. そこに、バラバという者が、暴徒たちと一緒につながれていた。彼らは暴動において殺人を犯した者たちであった。

15:8. 群衆がやって来て、自分たちにいつものとおりにして欲しいと彼に願い始めた。

15:9. ピラトは彼らに答えて言った。「あなたがたはユダヤ人の王を釈放して欲しいのか」。

15:10. 祭司長たちがねたみのために彼を引き渡したことを知っていたからである。

15:11. しかし祭司長たちは、むしろ彼らのためにバラバを釈放してもらうようにと、群衆を扇動した。

15:12. ピラトは再び答えて彼らに言った。「それでは、あなたがたがユダヤ人の王と呼ぶ者を、どうして欲しいのか」。

15:13. 彼らは再び叫んだ、「彼をはりつけにしろ」。

15:14. しかし、ピラトは彼らに言った。「彼がどんな悪事をしたというのか」。しかし彼らは一そう激しく叫んだ、「彼をはりつけにしろ」。

15:15. ピラトは群衆を満足させようと思って、彼らのためにバラバを釈放した。そして、イエスをむち打ってから、はりつけにするために引き渡した。

15:16. 兵士たちは彼を中庭に、つまり官邸の中に連れて行って、全部隊を呼び集めた。

15:17. 紫の衣を彼に着せ、いばらの冠を編んで彼にかぶせた。

15:18. 彼に「ユダヤ人の王、喜びなさい」と言ってあいさつをし始めた。

15:19. 葦で彼の頭をたたき、彼につばを吐きかけ、ひざまずいて彼を拝んだ。

15:20. 彼らは彼をあざけってから、彼から紫の衣を脱がせて、彼に彼の衣を着せた。彼らは彼をはりつけにするために彼を引いて行った。

15:21. 田舎から出て来た通りがかりの者で、アレキサンデルとルポスとの父シモンというクレネ人を徴用して、彼の十字架を運ばせた。

15:22. そして、彼らは彼をゴルゴタ、訳せば、されこうべ、という所に連れて行った。

15:23. 彼らは没薬を混ぜたぶどう酒を彼に与えて飲ませようとしたが、彼はそれを受けなかった。

15:24. 彼らは彼をはりつけにした。また、彼の衣に関して、誰が何を取るかくじを引いて、それを分けた。

15:25. 時は第三時であり、彼らは彼をはりつけにした。

15:26. 彼に対する罪状書きには「ユダヤ人の王」と、記されていた。

15:27. 彼と共に二人の強盗を、一人は右に、一人は彼の左に、はりつけにした。

15:28. 〔無し〕

15:29. 通りかかった者たちは、自分たちの頭を振りながら彼を冒とくして言った。「ああ、聖所を壊して三日で建てる者、

15:30. 自分を救え。十字架から下りて来い」。

15:31. 同じように、祭司長たちも、書記官たちと一緒にあざけって言った。「彼はほかの者たちを救ったが、自分自身を救うことができない。

15:32. キリスト、イスラエルの王、今、十字架から下りて来るがよい。そうしたらそれを見て信じよう」。彼と一緒にはりつけになっていた者たちも、彼を非難した。

15:33. さて、第六時から闇が地上の全面を覆い、第九時にまで及んだ。

15:34. 第九時に、イエスは大声で叫んで、「エロイ、エロイ、ラマ、サバクタニ」と言った。これは、訳せば、「わたしの神、わたしの神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」である。

15:35. そばに立っていた者たちの何人かは、それを聞いて言った。「見ろ、エリヤを呼んでいる」。

15:36. ある者が走って行って、海綿に酸いぶどう酒をたっぷり含ませて、それを葦につけて、彼に飲ませようとして言った。「そのままにしておけ。エリヤが彼を下ろしに来るかどうかを見よう」。

15:37. イエスは大声で叫んで、息を引き取られた。

15:38. すると、聖所の幕が上から下まで二つに裂けた。

15:39. 彼に向かって立っていた百人隊長は、彼がこのように息を引き取られたのを見て言った。「本当にこの人は神の息子だった」。

15:40. 女たちも遠くから見ていたが、その中にはマリヤ・マグダラ、小ヤコブとヨセの母マリヤ、またサロメがいた。

15:41. 彼女たちは、彼がガリラヤにいた時、彼について来て仕えていた者たちであった。そして、彼と一緒にエルサレムに上って来たほかの多くの女たちもいた。

15:42. すでに夕方になっていた。準備の日、すなわち安息日の前日だあったので、

15:43. 地位の高い議員であるアリマタヤのヨセフがやって来た。彼自身も神の王国を待ち望んでいる人であった。彼は勇気を出してピラトのところへ行き、イエスの体を願った。

15:44. ピラトは、彼がもう死んだのだろうかと不思議に思い、百人隊長を呼び寄せて、彼が死んで長くたったのかどうかを尋ねた。

15:45. 百人隊長から確かめた上で、彼は死体をヨセフに与えた。

15:46. 彼は亜麻布を買い、彼を取り下ろして亜麻布に包み、岩に掘ってあった墓に納めた。墓の入口に石を転がしておいた。

15:47. マリヤ・マグダラとヨセの母マリヤは、彼が納められた所を見ていた。

マルコ 第16章↑

16:1. 安息日が過ぎた時、マリヤ・マグダラとヤコブの母マリヤとサロメは、行って彼に油を塗ろうとして香料を買った。

16:2. そして、安息日々の一つに、早朝、日の昇るころ、彼女たちは墓にやって来た。

16:3. 彼女たちは、「誰がわたしたちのために墓の入口から石を転がしてくれるでしょう」と互いに言い合っていた。

16:4. ところが、目を上げて見ると、石が転がしてあった。それは非常に大きかったからである。

16:5. 墓の中に入ると、彼女たちは、白の長い外套を着た一人の若者が右側に座っているのを見て、ひどく驚いた。

16:6. 彼は彼女たちに言った。「驚いてはいけない。あなたがたははりつけにされたナザレ人イエスを捜している。彼は起こされた。ここにはいない。見よ、彼らが彼を横たえた場所です。

16:7. しかし、行って、彼の弟子たちとペテロに、『彼はあなたがたより先にガリラヤへ行く。彼があなたがたに言われたとおりに、あなたがたはそこで彼を見るだろう』と言いなさい」。

16:8. 彼女たちは出て行き、墓から逃げ出した。おののきと驚きが彼女たちの上に生じていたからである。彼女たちは誰にも、何も言わなかった。恐ろしかったからである。

16:9. 彼は安息日の最初、朝に起こされると、まずマリヤ・マグダラに現われた。彼は彼女から七つの悪霊を追い出したのである。

16:10. この者は行って、彼と共にいた者たちに告げたが、彼らは悲しんで泣いているところであった。

16:11. 彼が生きていて、彼女が彼を見たと聞いても、それらの者たちは信じなかった。

16:12. これらのことの後、彼らのうちの二人が田舎に向かって歩いているところに彼は別の姿で現われた。

16:13. その者たちは行って残りの者たちに告げた。彼らはこの者たちも信じなかった。

16:14. その後、彼は食卓に着いていた十一人に現わされて、彼らの不信仰と心のかたくなさをとがめた。起こされた彼を見た者たちを、彼らが信じなかったからである。

16:15. 彼は彼らに言った。「全世界に行って、すべての創造物に良い知らせを宣べ伝えなさい。

16:16. 信じてバプテスマされる者は救われるが、信じない者は罪に定められるだろう。

16:17. 信じる者たちには次のようなしるしが伴うだろう。彼らはわたしの名において悪霊たちを追い出し、新しい言語を語り、

16:18. 手で蛇をつかむだろう。また、何か死に至らせる物を飲んでも決して彼らを害さない。病人たちの上に手を置けば彼らはよくなるでしょう」。

16:19. このようにして、主イエスは、彼らに語った後、天に上げられ、神の右に座った。

16:20. これらの者は出て行き、至る所で宣べ伝えた。主は彼らと共に働き、伴うしるしによってみ言葉を強固にした。

ルカ

ルカ 第1章↑

1:1. わたしたちの間で成就された出来事について、その物語をまとめようと、すでに多くの人が手を着けてきましたので、

1:2. 初めからの目撃者またみ言葉の奉仕者であった者たちがわたしたちに伝えたとおりに、

1:3. わたしもすべてのことを初めから詳しく調べてきましたので、最も強力なテオピロ、あなたに順序正しく書いて差し上げるのが良いと思いました。

1:4. それは、教えられた言葉の確かさを知っていただくためです。

1:5. ユダヤの王ヘロデの日々に、アビヤの組の者で,ザカリヤという名の祭司がいた。彼にはアロンの娘である妻がいて、名をエリサベツといった。

1:6. 二人とも神の前に正しい者で、主のすべての戒めと定めの内を落度なく歩んでいた。

1:7. しかし彼らには子供がなかった。エリザベツが不妊であったからである。しかも、両人とももう年を取っていた。

1:8. さて、彼が自分の組の当番で、神の前で祭司職の務めを行なっていたが、

1:9. 祭司職の慣例に従って、彼はくじを引いたところ、主の聖所に入って香をたくことになった。

1:10. そして大勢の民はみな、香の時刻に外で祈っていた。

1:11. すると、主の使いの者が彼に現われて、香の祭壇の右側に立っていた。

1:12. ザカリヤはそれを見て動揺し、恐れに襲われた。

1:13. しかし使いの者は彼に言った。「恐れてはいけない、ザカリヤよ、あなたの祈願は聞き入れられたからです。あなたの妻エリサベツは、あなたに息子を産むだろう。そして、あなたは彼の名をヨハネと呼ぶことになる。

1:14. そしてあなたには喜びと歓喜とがあり、多くの人がその誕生を喜ぶだろう。

1:15. 彼は主のみ前で大いなる者となるからです。ぶどう酒や酔わせる飲み物を飲まない。彼は彼の母の胎内にいる時から、すでに聖霊に満たされるだろう。

1:16. 彼はイスラエルの多くの息子たちを、彼らの神なる主に立ち返らせるだろう。

1:17. 彼はエリヤの霊と力とをもって、み前に先立って行き、父たちの心を子供たちに立ち返らせ、不従順な者たちを義人の知恵に立ち返らせ、準備のできた民を主のために備えるためです。

1:18. ザカリヤは使いの者に言った。「どうしてそのことを知るようになるのでしょうか。わたしは老人ですし、わたしの妻も年を取っているからです」。

1:19. 使いの者は彼に答えて言った。「わたしはガブリエル、神のみ前に立つ者です。わたしはあなたに語るため、この良い知らせをあなたに伝えるために遣わされたのです。

1:20. 見よ、これらのことが起きるその日まで、あなたは黙ったままで、ものが言えなくなるだろう。定められた時節が来れば成就するわたしの言葉を信じなかったからです」。

1:21. 民はザカリヤを待っていたが、彼が聖所で暇どっているのを不思議に思っていた。

1:22. 出て来た時、彼は彼らに話すことができなかった。そこで彼らは、彼が聖所で幻を見たのだと分かった。彼は彼らに手まねを続けるだけで、口が利けないままであった。

1:23. さて、彼の務めの日々が満ちた時、彼は自分の家に帰って行った。

1:24. こうした日々ののち、彼の妻エリサベツは身ごもり、五か月の間自分を隠遁して、こう言った。

1:25. 「主は顧みの日々に、人々の中でのわたしの恥辱を取り去るためにわたしに対してこのようにしてくださいました」。

1:26. さて、六か月目に、使いの者ガブリエルが、神からガリラヤのナザレという名の町に遣わされた。

1:27. ダビデの家のヨセフという名の男と婚約していた、一人の処女のところに遣わされたのである。その処女の名前はマリヤといった。

1:28. 彼は入って来ると彼女に言った。「喜びなさい。恵まれた者よ。主があなたと共にいる」。

1:29. しかし、彼女はその言葉にひどく胸騒ぎがして、このあいさつはなんの事であろうかと、思い巡らした。

1:30. 使いの者は彼女に言った。「恐れてはいけない、マリヤよ。あなたは神からの恵みを見いだしたからです。

1:31. 見よ、あなたは胎内に身ごもって、息子を産むでしょう。そして、彼の名を『イエス』と呼ぶことになる。

1:32. この者は大いなる者となり、いと高き方の息子と呼ばれるでしょう。主なる神は彼に彼の父ダビデの王座をお与えになるでしょう。

1:33. 彼は世々に亘りヤコブの家を支配し、彼の王国は終結することなく続くでしょう。」

1:34. しかしマリヤは使いの者に言った。「どうしてそのようなことがあるのでしょうか。わたしは男を知らないのに」。

1:35. 使いの者は彼女に答えて言った。「聖霊があなたに臨み、いと高き方の力があなたを覆うでしょう。それゆえにも、生まれる聖なる者は神の息子と呼ばれることになる。

1:36. 見よ、あなたの親族エリサベツも、彼女は彼女の老齢で息子を身ごもっている。彼女は不妊と呼ばれていたのに、この者が六か月目になっている。

1:37. 神にとっては、どんな語られたことも不可能なことではないのです」。

1:38. するとマリヤは言った。「ご覧ください、主の奴隷女です。あなたのお言葉どおりのことがわたしに起きますように」。使いの者は彼女から去って行った。

1:39. その日々に、マリヤは立ち上がり、急いで山地に向かい、ユダのある町に行き、

1:40. ザカリヤの家に入ってエリサベツにあいさつした。

1:41. エリサベツがマリヤのあいさつを聞いた時、彼女の胎内で赤子が飛び跳ねて、エリサベツは聖霊に満たされた。

1:42. 彼女は大きな叫び声で叫んで言った。「女たちの中であなたは祝福された者、あなたの胎の実も祝福されたものです。

1:43. そして、わたしの主の母がわたしのところに来てくださる、これがわたしのものになるとはどうしてなのでしょう。

1:44. ご覧なさい。あなたのあいさつの声がわたしの耳に入った時、わたしの胎内の赤子は喜んで飛び跳ねたのです。

1:45. 信じた女は幸せです。主から彼女に語られた事柄は成し遂げられるからです」。

1:46. するとマリヤは言った。「わたしの魂は主を大いなるものとし

1:47. わたしの霊はわたしの救い主なる神のゆえに喜びます。

1:48. ご自分の奴隷女の卑しい身分を顧みてくださったからです。ご覧ください、今からのち、あらゆる世代の人々がわたしを幸せな者と呼ぶでしょう。

1:49. 力ある方が、わたしのために大いなる事をしてくださったからです。彼のみ名は神聖です。

1:50. 彼のあわれみは代々にわたり、彼を恐れる者に及びます。

1:51. 彼は彼のみ腕で強大なことを行なわれました。心の思いの高慢な者たちを散らされました。

1:52. 権力ある者たちを王座から引き下ろし、低い者たちを高く上げられました。

1:53. 彼は、飢えている者たちを良い物で満たし、金持たちをむなし手で去らせました。

1:54. 彼は、自分の男の子イスラエルを助けられました。あわれみを思い出すためです。

1:55. わたしたちの父祖たちに、アブラハムと彼の子孫に世に亘って語られたとおりです」。

1:56. マリヤは彼女のところに三か月ほど滞在し、そして自分の家に帰って行った。

1:57. さて、エリサベツの出産する時が満ちて、彼女は息子を産んだ。

1:58. そして、近所の人々や彼女の親族は、主が彼女を通して自分のあわれみを大きく示されたことを聞いて、彼女と共に喜んだ。

1:59. 八日目になったので、幼子に割礼をするために人々が来て、彼を彼の父の名にちなんでザカリヤと呼ぼうとした。

1:60. しかし、彼の母は答えて言った。「いいえ、ヨハネと呼ばれるのです」。

1:61. 彼らは彼女に言った。「あなたの親族の中ではその名によって呼ばれている者は誰もいない」。

1:62. そして、彼らは彼の父に彼を何と呼びたいのかと合図をした。

1:63. 彼は書き板を求め、「彼の名はヨハネ」と書いた。そこで、彼らはみな驚いた。

1:64. すぐに彼の口は開き、舌は解かれ、語り出して神をほめたたえた。

1:65. 近所のすべての人々の上に恐れが臨み、これらのすべての話がユダヤの山地全体で語り合われるようになった。

1:66. 聞いた者たちはみな、それを自分の心に留めて、「この幼子はどんな者になるだろう」と言った。主の手が彼と共にあったからである。

1:67. また、彼の父ザカリリヤは聖霊に満たされ、預言して言った。

1:68. 「イスラエルの神なる主は、ほむべきかな。ご自分の民を訪れ、彼らのために救済をされたからです。

1:69. そして、自分の男の子ダビデの家に、わたしたちのための救いの角を起こされた。

1:70. 世が始まった時から自分の聖なる預言者たちの口を通して語られたとおりに。

1:71. わたしたちの敵から、またわたしたちを憎むすべての者の手からの救い、

1:72. わたしたちの父祖たちにあわれみを示し、彼の聖なる契約を覚え、

1:73. わたしたちの父祖アブラハムに誓われた誓い、それがわたしたちに与えることは、

1:74. わたしたちが敵の手から救い出されて、恐れることなく彼に神聖な奉仕をささげること、

1:75. わたしたちの命の日々の限り、神聖さと義のうちに、彼のみ前で仕えることなのです。

1:76. そして幼子よ、あなたは、いと高き方の預言者と呼ばれるだろう。あなたは主のみ前に先立って行き、彼の道を整え、

1:77. 彼の民に罪の赦しによる救いの知識を与える。

1:78. それは、わたしたちの神の優しいあわれみによる。そのあわれみによって、夜明けが高い所からわたしたちに訪れ、

1:79. 闇と死の陰に座る者たちの上に輝き、わたしたちの足を平和の道に導くだろう」。

1:80. 幼子は成長し、霊において強くなった。そして彼は、イスラエルに自分の現す日まで荒野にいた。

ルカ 第2章↑

2:1. その日々に、全世界の住民登録をするようにとの布告が、カイザル・アウグストから出た。

2:2. これは、クレニオがシリヤの総督であった時に行なわれた、最初の登録であった。

2:3. すべての人が登録をするために、それぞれ自分の町に行った。

2:4. ヨセフもナザレの町を出て、ガリラヤからユダヤに上って行き、ベツレヘムと呼ばれるダビデの町に入った。彼がダビデの家に属し、その一族だったからであり、

2:5. 彼と婚約していた、妊娠していたマリヤと共に、登録するためであった。

2:6. 彼らがそこにいる間に、彼女の出産の日数が満ちた。

2:7. そして彼女は彼女の初の息子を産み、彼を布の帯でくるんで、彼を飼い葉おけの中に横たえた。宿屋に彼らのいる場所がなかったからである。

2:8. その同じ地方では、羊飼いたちが野宿をして、夜に自分たちの群れの番をしていた。

2:9. すると主の使いの者が彼らのそばに立ち、主の栄光が彼らの周りで輝いた。そのため彼らは非常な恐れを恐れた。

2:10. 使いの者は彼らに言った。「恐れてはいけない。見よ、わたしはあなたがたに、民の全体にとって大きな喜びとなる良い知らせを伝えるからです。

2:11. 今日、ダビデの町で、あなたがたに救い主、主なるキリストが生まれたのです。

2:12. これがあなたがたに対するしるしです。あなたがたは、布の帯にくるまり、飼い葉おけに横たえられている赤子を見つけるだろう」。

2:13. すると突然、天の大軍勢が現れ、その使いの者と一緒になって神を賛美して言った。

2:14. 「いと高き所では栄光が神に、地上では平和が善意の人々の間にあるように」。

2:15. 使いの者たちが彼らを離れて天に行った時、羊飼いたちは互いに言い合った、「ぜひベツレヘムまで行って、主がわたしたちに知らせてくださったこの出来事を見よう」。

2:16. 彼らは急いで行って、マリヤとヨセフ、そして飼い葉おけに横たわっている赤子を見つけた。

2:17. 彼らはこれを見ると、この幼子について自分たちに語られた事柄を知らせた。

2:18. 聞いた者たちはみな、羊飼いたちによって自分たちに語られた事柄を不思議に思った。

2:19. しかし、マリヤはこれらのことをよく考えながら、これらのすべての事柄を自分の心に留めた。

2:20. 羊飼いたちは、自分たちが見聞きしたすべての事柄のゆえに、神をたたえ、賛美しながら帰って行った。自分たちに告げられたとおりだったのである。

2:21. 八日が満ちて彼を割礼をほどこす時となって、彼の名はイエスと呼ばれた。これは、彼が胎内に身ごもられる前に、使いの者によって付けられた名である。

2:22. モーセの律法による彼らの清めの日々が満ちた時、彼らは彼を主にささげるために、彼をエルサレムに連れ上った。

2:23. 主の律法に、「胎を開くすべての男子は、主にとって聖なる者と呼ばれる」と書かれているとおりである。

2:24. また、主の律法で「山ばと一つがい、または、家ばとのひな二羽」と言われているところに従って、犠牲をささげるためであった。

2:25. 見よ、エルサレムにシメオンという名の人がいた。この人は正しく敬虔深く、イスラエルの慰めを待ち望んでいた。そして、聖霊が彼の上にあった。

2:26. 彼には、主のキリストを見るまでは死を見ることはないと、聖霊によって示されていた。

2:27. 彼は霊のうちに神殿に入って来た。両親が幼子イエスを、彼に関して律法の慣習どおりに行なうために連れて来ると、

2:28. 彼は彼を両腕に抱き、神をほめたたえて言った。

2:29. 「今こそあなたはご自分の奴隷を去らせてくださいます、ご主人様、あなたのお言葉どおり、平安のうちに。

2:30. わたしの目はあなたの救いを見たのですから。

2:31. それは、あなたがあらゆる民の前に備えてくださったもので、

2:32. 諸国の民々に対する啓示の光、またご自分の民イスラエルの栄光です」。

2:33. 彼の父と妻は、彼について語られた事柄を不思議に思っていた。

2:34. するとシメオンは彼らを祝福し、彼の母マリヤに言った。「見なさい。この者は、イスラエルの多くの人を倒れることと起き上がることのために、また非難を受けるしるしのために置かれている。

2:35. そして、剣があなた自身の魂を貫くでしょう。多くの者の心の思いが暴かれるためなのです」。

2:36. また、アセル族のパヌエルの娘で、アンナという女預言者がいた。彼女はずっと年をとっていた。自分の処女の時から七年間夫と共に暮らしたが、

2:37. それから、彼女がやもめぐらしをし、八十四歳になっていた。神殿を離れず、夜も昼も断食と祈願とをもって神聖な奉仕をささげていた。

2:38. 彼女はちょうどその時間に近寄って来て神に感謝をささげ、そしてエルサレムの救済を待ち望んでいるすべての人々に、彼について語った。

2:39. 主の律法に従ってすべての事柄を成し遂げると、彼らはガリラヤへ、自分たちの町ナザレへ戻って行った。

2:40. 幼子は成長して強くなり、知恵に満ち、そして神の恵みが彼の上にあった。

2:41. 彼の両親は、過ぎ越しの祭りに毎年エルサレムに行った。

2:42. 彼が十二歳の時、彼らは祭りの習慣に従って上って行ったが、

2:43. 日々を満たして彼らは帰る時、少年イエスはエルサレムに残っていた。彼の両親はそれを知れなかった。

2:44. 彼が道連れの中にいるものと思い、一日分の道のりを行ってから、親族や知人たちの中で彼を捜した。

2:45. 見つからなかったので、彼を捜しながらエルサレムに戻った。

2:46. 三日後に神殿の中で彼を見つけた。彼は教師たちの真ん中に座り、彼らの話を聞いたり、彼らに質問したりしていた。

2:47. 彼の話すことを聞いた者たちはみな、彼の理解力と答えに驚いていた。

2:48. 彼らは彼を見て驚いた。彼の母は彼に言った。「子どもよ、なぜわたしたちにこんなことをしたのですか。見なさい。あなたのお父さんとわたしは苦悩しながらあなたを捜していたのです」。

2:49. 彼は彼らに言った。「なぜわたしを捜したのですか。わたしが自分の父の所にいるはずのことを、ご存じなかったのですか」。

2:50. 彼らは、彼が自分たちに語った言葉を理解しなかった。

2:51. それから彼は彼らと共に下ってナザレに来た。彼は彼らに服していた。また彼の母はこれらのすべての言葉を自分の心に留めた。

2:52. そしてイエスは、知恵と背丈においても、また神と人からの恵みにおいても、増し加わっていった。

ルカ 第3章↑

3:1. テベリオ・カイザルの治世の第十五年、ポンテオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロデがガリラヤの領主、彼の兄弟ピリポがイツリヤとテラコニテ地方の領主、ルサニヤがアビレネの領主、

3:2. アンナスとカヤパとが祭司長であった時、神の言葉が荒野でザカリヤの息子ヨハネに臨んだ。

3:3. 彼はヨルダン周辺の全地方に行って、罪の赦しのための心変えのバプテスマを宣べ伝えた。

3:4. 預言者イザヤの言葉の書に書いてあるとおりである。「荒野で叫ぶ者の声がする、『主の道を整えよ。まっすぐに、彼の道筋をつけよ。

3:5. すべての谷間は埋められるだろう。すべての山と丘とは低くされるだろう。曲がったところはまっすぐにされ、でこぼこの道は平らにされるだろう。

3:6. すべての肉なる者は神の救いを見るだろう』」。

3:7. そこで彼は、彼によってバプテスマされようとして出て来た群衆に言った。「まむしの子らよ、差し迫ってきている怒りを逃れるようにと誰があなたがたに示したのか。

3:8. だから、心変えにふさわしい実を結べよ。わたしたちの父にアブラハムがいると自分たちの中で言い始めてはいけない。あなたがたに言っておく、神はこれらの石からアブラハムの子供を起すことができるのです。

3:9. 斧がすでに木々の根もとに置かれている。だから、良い実を結ばない木は、すべて切り倒されて、火に投げ込まれるのです。

3:10. 群衆は彼に尋ねて言った。「それでは、わたしたちは何をすればよいのですか」。

3:11. 彼は彼らに答えて言った。「二枚の上着を持っている者は、持っていない者に分け与えなさい。食物を持っている者も、同じようにしなさい」。

3:12. 取税人たちもバプテスマされるために来て、彼に言った。「先生、わたしたちは何をすればよいのですか」。

3:13. 彼は彼らに言った。「自分に定められたより多くを取り立ててはいけない」。

3:14. 兵士たちも彼に尋ねて言った。「では、わたしたちは何をすればよいのですか」。彼は彼らに言った。「誰からも乱暴にゆすり取ったり、不当に非難したりしてはいけない。自分の給料で満足しなさい」。

3:15. 民は待ち望んでおり、すべての者がヨハネについて、彼がキリストなのではないかと心の中で論じていたので、

3:16. ヨハネはすべての者に答えた、「わたしはあなたがたに水でバプテスマするが、わたしより力のある方が来られる。わたしはその方のサンダルのひもをほどく値うちもない。彼は、聖霊と火であなたがたをバプテスマされるだろう。

3:17. 箕を自分の手に持って、自分の脱穀場をきれいにし、小麦を自分の倉に集め入れて、もみ殻は消すことができない火で焼き払われるだろう」。

3:18. こうして、他にも多くのことを勧めながら、良い知らせを宣べ伝えた。

3:19. ところが、領主ヘロデは、自分の兄弟の妻ヘロデヤに関して、またヘロデが行なったすべての邪悪なことに関して彼に非難されていたので、

3:20. それらのことすべてにこのことを加えて、ヨハネを獄に閉じ込めた。

3:21. さて、民が皆バプテスマされていた時、イエスもバプテスマされた。そして、祈っていた時、天が開いて、

3:22. 聖霊がはとのような具体的な姿で彼の上に下って来た。そして、天から声があった、「あなたはわたしの愛する息子、わたしはあなたを喜ぶ」。

3:23. イエス自身は、始めた時およそ三十歳であった。法的には、ヨセフの息子、ヘリの息子、

3:24. マタテの息子、レビの息子、メルキの息子、ヤンナイの息子、ヨセフの息子、

3:25. マタテヤの息子、アモスの息子、ナホムの息子、エスリの息子、ナンガイの息子、

3:26. マハテの息子、マタテヤの息子、シメイの息子、ヨセクの息子、ヨダの息子、

3:27. ヨハナンの息子、レサの息子、ゾロバベルの息子、サラテルの息子、ネリの息子、

3:28. メルキの息子、アデイの息子、コサムの息子、エルマダムの息子、エルの息子、

3:29. ヨシュアの息子、エリエゼルの息子、ヨリムの息子、マタテの息子、レビの息子、

3:30. シメオンの息子、ユダの息子、ヨセフの息子、ヨナムの息子、エリヤキムの息子、

3:31. メレヤの息子、メナの息子、マタタの息子、ナタンの息子、ダビデの息子、

3:32. エッサイの息子、オベデの息子、ボアズの息子、サラの息子、ナアソンの息子、

3:33. アミナダブの息子、アデミンの息子、アルニの息子、エスロンの息子、パレスの息子、ユダの息子、

3:34. ヤコブの息子、イサクの息子、アブラハムの息子、テラの息子、ナホルの息子、

3:35. セルグの息子、レウの息子、ペレグの息子、エベルの息子、サラの息子、

3:36. カイナンの息子、アルパクサデの息子、セムの息子、ノアの息子、ラメクの息子、

3:37. メトセラの息子、エノクの息子、ヤレデの息子、マハラレルの息子、カイナンの息子、

3:38. エノスの息子、セツの息子、アダムの息子、神の息子であった。

ルカ 第4章↑

4:1. イエスは聖霊に満ちてヨルダンから戻り、霊によって荒野の中を連れ回されて

4:2. 四十日の間、謗魔によってためされた。それらの日々の間、何も食べなかった。それが完結されると、空腹になった。

4:3. すると、謗魔が彼に言った。「神の息子なら、この石にパンになるよう言ってください」。

4:4. イエスは彼に答えた、「『人はパンだけで生きるのではない』と書いてある」。

4:5. 謗魔は彼を高い山の上に連れて行き、瞬く間に彼に人の住む地のすべての王国を見せた。

4:6. 謗魔は彼に言った。「このいっさいの権力とこれらの栄光をあなたに与えよう。それはわたしに渡されているからです。だれでも自分の望む者にそれを与えるのです。

4:7. もしあなたがわたしを拝むなら、すべてはあなたのものになるだろう」。

4:8. イエスは答えて彼に言った。「『主、あなたの神を拝み、ただ彼にのみ神聖な奉仕をささげよ』と書いてある」。

4:9. 彼は彼をエルサレムに連れて来て、神殿の庇翼に立たせて、彼に言った。「神の息子なら、ここから下へ自身を投げてください。

4:10. こう書いてあるのだから、『あなたに関し、自分の使いの者たちに命じて、あなたを守らせるであろう』、

4:11. そして、『手々であなたを上げる、あなたの足が石に打ち当たることのないようにする』」。

4:12. イエスは答えて彼に言った。「『あなたは、あなたの神なる主をためしてはならない』と言われている」。

4:13. 謗魔はすべてのためしを完結し、ある時節まで彼から離れた。

4:14. イエスは霊の力のうちにガリラヤに帰った。すると、彼についてのうわさは周囲の地方全体に広がった。

4:15. 彼は彼らの諸会堂で教え、すべての人から栄光を与えられた。

4:16. それから彼は彼の育てられたナザレに来た。安息日々に自分の習慣どおりに会堂に入り、読むために立ち上がった。

4:17. 預言者イザヤの巻物が彼に手渡された。彼はその巻物を開き、こう書かれている箇所を見つけた。

4:18. 「主の霊がわたしの上にある。貧しい者たちに良い知らせを宣べ伝えるために、わたしに油を注いでくださったからである。彼はわたしを遣わして、捕らわれた者たちに解放を、目の見えない者たちに視力の回復を告げ知らせ、打ちひしがれた者を解放して去らせ、

4:19. 主の受け入れられる年を告げ知らせるのである」。

4:20. その巻物を巻き、それを係の者に返して、座った。会堂にいる皆の者の目が彼に注がれた。

4:21. 彼は彼らに言い始めた、「この聖句は、あなたがたが耳にしたこの日に成就した」。

4:22. 皆は彼について証しをし、彼の口から出て行く恵みの言葉に驚いた。そして言った。「これはヨセフの息子ではないか」。

4:23. 彼は彼らに言った。「あなたがたはきっとこのたとえをわたしに言うだろう、『医者よ、自分自身をいやせ。カペナウムで行われたと聞いたことすべてを、ここ、あなたの故郷でも行ないなさい』」。

4:24. しかし、彼は言った。「まことをもって、あなたがたに言っておく。自分の故郷で受け入れられた預言者はいない。

4:25. そして、本当にあなたがたに言っておく。エリヤの日々、天が三年六か月の間閉じられ、大ききんが全地を襲った時、イスラエルには多くのやもめがいた。

4:26. エリヤはそのうちのだれにも遣わされず、ただシドンのサレプタにいるやもめである一人の女にだけ遣わされた。

4:27. 預言者エリシャの時に、イスラエルには多くのうろこ症人がいたが、彼らのうち一人も清められず、ただシリヤのナアマンだけが清められた」。

4:28. これらのことを聞いて、会堂にいた者たちは皆憤りに満たされた。

4:29. 立ち上がって、彼を町の外に投げ出し、彼らの町の建っている丘のがけまで連れて行き、彼を絶壁から突き落とそうとした。

4:30. しかし、彼は、彼らの真ん中を通り抜けて、去って行った。

4:31. それから、彼はガリラヤの町カペナウムに下って行った。安息日々に彼らを教えていた。

4:32. 彼らは彼の教えに驚いた。彼の言葉には権威があったからである。

4:33. すると、会堂には汚れた悪霊の霊に取り憑かれた人がいて、大声で叫んだ、

4:34. 「ああ、ナザレのイエスよ、わたしたちとあなたと何の関係があるのか。わたしたちを滅ぼしに来たのか。わたしはあなたがだれだか知っている。神の聖なる者です」。

4:35. イエスは彼をしかりつけて言った。「黙れ、彼から出て行け」。すると、悪霊は人々の真ん中に彼を投げ倒すと、彼を傷つけずに彼から出て行った。

4:36. 驚きがすべての者に臨み、彼らは互いに語り合って言った。「この言葉は何だろう。彼は汚れた霊に権威と力をもって命じる。すると、彼らは出て行くのだ」。

4:37. 彼についてのうわさは、周囲の地方の至る所に伝わった。

4:38. 彼は会堂から立ち上がり、シモンの家に入った。シモンのしゅうとめが高い熱を病んでいて、彼らは彼女のために彼にお願いした。

4:39. 彼は彼女を見下ろして立ち、熱をしかりつけた。すると熱は引いた。すぐに彼女は起き上がって彼らに仕えた。

4:40. 日が沈むと、さまざまな疾患で病む者たちを抱えている者たちが皆、彼らを彼のところに連れて来た。彼は、そのひとりひとりの上に両手を置いて、彼らをいやした。

4:41. 悪霊たちも、多くの人々から出て来て、叫んで言った。「あなたは神の息子キリストです」。彼は彼らをしかりつけ、彼らが語ることを許さなかった。彼らが彼はキリストだと知っていたのだから。

4:42. 朝になると、彼は去って、寂しい所へ行ったが、群衆が彼を捜し回り、彼のところにやって来て、自分たちのところから去って行かないよう彼を引き止めた。

4:43. しかし、彼は彼らに言った。「わたしはほかの町々にも神の王国の良い知らせを宣べ伝えなければならない。わたしはそのために遣わされたのだから」。

4:44. そして、ユダヤの諸会堂で宣べ伝えていた。

ルカ 第5章↑

5:1. さて、群衆が彼に押し迫って、神の言葉を聞いていた時、彼はゲネサレの湖のほとりに立っていた。

5:2. 湖のほとりに二そうの舟があるのを見たが、漁師たちはそれらから下りて、自分たちの網を洗っていた。

5:3. そのうちの一そうのシモンの舟に乗り込み、彼に陸から少しこぎ出すように頼んだ。彼は座って、舟から群衆を教えた。

5:4. 彼は語り終えると、シモンに言った。「深いところにこぎ出して、漁のためにあなたがたの網を下ろしなさい」。

5:5. シモンは彼に言った。「師よ、わたしたちは夜通し働いても、何も取れませんでした。しかし、あなたのお言葉ですから、網を下ろしましょう」。

5:6. それを行なうと、彼らは非常に多くの魚を囲い込んだが、彼らの網は裂けた。

5:7. 彼らはほかの舟にいる仲間たちに、やって来て自分たちを手助けするようにと合図をした。彼らが来て、両方の舟をいっぱいにしたので、それらは沈み始めた。

5:8. それで、シモン・ペテロはこれを見て、イエスのひざもとにひれ伏し、言った。「わたしから離れてください。わたしは罪深い男なのです、主よ」。

5:9. というのは、彼も一緒にいた者たちもみな、捕れた魚の漁獲量のゆえにびっくりしたからである。

5:10. また、シモンの仲間であったゼベダイの息子たちヤコブとヨハネも同じようであった。イエスはシモンに言った。「恐れてはいけない。今から、あなたは人々を生け捕るだろう」。

5:11. 彼らは舟を陸に引き上げると、すべてを残して彼について行った。

5:12. 彼がある町にいた時、見よ、全身うろこ症の男がいた。イエスを見ると、顔を地に伏せて、彼に懇願して言った。「主よ、御意ならば、わたしを清めることができます」。

5:13. 彼は手を伸ばして彼に触って、言った。「そう望む。清くなりなさい」。すると、すぐにうろこ症は彼から去った。

5:14. 彼は彼に、だれにも言わないように命じた。「ただ行って、自分を祭司に見せ、あなたの清めのためにモーセの命じたとおりにささげ物をしなさい。人々への証明のためです」。

5:15. しかし、彼についての言葉はますます広まって行き、話を聞くため、また自分たちの病弱さをいやしてもらうために、大群衆が集まって来た。

5:16. しかし、彼は寂しい所に退いて祈っていた。

5:17. ある日、彼が教えていると、ガリラヤやユダヤの方々の村から、またエルサレムから来たパリサイ人たちや律法学者たちが、そこに座っていた。そして、彼がいやしを行なうように主の力がそこにあった。

5:18. 見よ、男たちが、まひした人を寝台に載せて運んで来た。そして、その人を運び込んで彼の前に置こうとした。

5:19. 群衆のために彼を運び入れる方法が見つからなかったので、屋根にのぼり、瓦のある所を通して寝台のまま、人々の真ん中へ、イエスの前に彼を下ろした。

5:20. 彼は彼らの信仰を見て言った。「人よ、あなたの罪は赦されている」。

5:21. 書記官たちとパリサイ人たちは、論じ始めて言った。「冒とくを語るこの者はだれなのか。神おひとりのほか、だれが罪を赦すことができるのか」。

5:22. しかしイエスは、彼らの論議を見抜いて、答えて彼らに言った。「なぜあなたがたは心の中で論じているのか。

5:23. 『あなたの罪は赦されている』と言うのと、『起きて歩きなさい』と言うのでは、どちらがたやすいか。

5:24. しかし、人の息子は地上で罪を赦す権威をもっていることが、あなたがたにわかるために―」、まひした人に言った。「あなたに言う。起きて寝台を取りあげて自分の家に行きなさい」。

5:25. すぐに彼は彼らの前で起き上がり、横たわっていたものを取り上げて、神をたたえながら自分の家に帰って行った。

5:26. 驚きがすべての者をとらえ、彼らは神をたたえた。彼らは恐れに満たされて言った。「今日は不思議なことを見た」。

5:27. これらの事の後、彼は出て行き、収税所に座っているレビという名の取税人を見て、「わたしについて来なさい」と彼に言った。

5:28. 彼はすべてを残し、立ち上がって彼について行った。

5:29. レビは彼のために自分の家で大きな宴会を催した。非常に大勢の収税人たちや他の者たちが一緒に食卓に着いていた。

5:30. パリサイ人たちと彼らの書記官たちは、彼の弟子たちにつぶやいて言った。「なぜあなたがたは、取税人たちや罪人たちと一緒に食べたり飲んだりするのか」。

5:31. イエスは答えて彼にに言った。「健康な人たちに医者はいらない。いるのはわずらっている者のです。

5:32. わたしが来たのは、義人を招くためではなく、罪人たちを心変えに招くためです」。

5:33. 彼らは彼に言った。「ヨハネの弟子たちはたびたび断食と祈りをし、パリサイ人の弟子たちも同じようにしているのに、あなたの弟子たちが食べたり飲んだりしているのはなぜですか」。

5:34. 彼は彼らに言った。「あなたがたは、婚礼の部屋の息子たちに、花婿が共にいるのに断食させることができるか。

5:35. しかし、花婿が彼らから取り去られる日々が来る。その時、それらの日々には、彼らは断食するだろう」。

5:36. そして、彼は彼らに一つのたとえを語った。「新しい衣から切り取った布切れを古い衣に当てる人はいない。もしそうすれば、新しい衣が裂くことになるし、新しい衣から取った布切れは古い衣には合わないだろう。

5:37. まただれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそうすれば、新しいぶどう酒は皮袋を破裂させ、それは流れ出て、皮袋も駄目になるだろう。

5:38. 新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきです。

5:39. また古いぶどう酒を飲んで、新しいぶどう酒を欲しがる者はいない。その者は、『古いもので満足している』と言うからです」。

ルカ 第6章↑

6:1. さて、ある安息日に、彼が麦畑の中を通って行った時、彼の弟子たちは穂を摘み、手でもみながら食べていた。

6:2. しかし、あるパリサイ人たちが言った。「なぜあなたがたは安息日に許されていないことをしているのか」。

6:3. イエスは彼らに答えて言った。「あなたがたは、ダビデが、自分も共にいた者たちも、空腹だった時に何をしたか、読んだことがないのか。

6:4. 彼がどのようにして神の家に入って、祭司たちのほかは食べることが許されていない供えのパンを取って食べ、共にいた者たちにも与えたかを」。

6:5. 彼は彼らに言った。「人の息子は安息日の主です」。

6:6. また別の安息日に、会堂に入って教えていた時のことである。一人の人がそこにいたが、彼の右手はなえていた。

6:7. 書記官たちとパリサイ人たちは、安息日にいやすかどうか、じっと見ていた。彼を訴える理由を見つけるためであった。

6:8. しかし彼は彼らの考えを知って、手のなえた男に、「起き上がって、真ん中に立ちなさい」と言った。彼は起き上がって立った。

6:9. イエスは彼らに言った。「あなたがたに尋ねよう。安息日に許されているのは、善を行なうことか、悪を行なうことか。命を救うことか、滅ぼすことか」。

6:10. 彼は彼らすべてを見回して、「あなたの手を伸ばしなさい」と彼に言った。そのようにすると、彼の手は元どおりになった。

6:11. しかし彼らは狂気に満たされ、イエスに対して何をしようかと互いに語り合った。

6:12. その日々に、彼は祈るために山に出て行き、夜通し神に祈り続けていた。

6:13. 朝になると、自分の弟子たちを呼び寄せて、彼らの中から十二人を選び出し、彼らを使徒とも名付けた。

6:14. 彼がペテロとも名付けたシモンと彼の兄弟アンデレ、ヤコブとヨハネ、ピリポとバルトロマイ、

6:15. マタイとトマス、アルパヨのヤコブと、熱心党と呼ばれたシモン、

6:16. ヤコブのユダ、裏切り者となったユダ・イスカリオテである。

6:17. 彼は彼らと共に下りて平らな所に立った。彼の弟子の大群衆、また、全ユダヤとエルサレム、ツロとシドンの海岸から来た非常に大勢の民がいた。

6:18. 彼らがやって来るのは、彼の話を聞くためであり、また自分たちの病気をいやしてもらうためであった。そして、汚れた悪霊に悩まされていた者たちもいやされた。

6:19. 群衆はみな彼に触ろうとした。彼のもとから力が出て来て、すべての者をいやしたからである。

6:20. 彼は自分の弟子たちに向かって目を上げて言った。「貧しい者は幸せです。神の王国はあなたがたのものだからです。

6:21. 今、飢えている者は幸せです。あなたがたは満たされるからです。今、泣いている者は幸せです。あなたがたは笑うようになるからです。

6:22. 人々があなたがたを憎む時、また人の息子のゆえにあなたがたを締め出し、あざけり、あなたがたの名を邪悪なものとして退ける時、あなたがたは幸せです。

6:23. その日には喜んで飛び跳ねなさい。見よ、天においてあなたがたの褒美は大きいからです。彼らの父祖たちは預言者たちに同じようにしたからです。

6:24. しかし、金持たち、あなたがたは災いです。あなたがたは自分の慰めを受けているからです。

6:25. 今、満たされている者たち、あなたがたは災いです。あなたがたは飢えるようになるからです。今、笑っている者たちは、災いです。あなたがたは悲しみ泣くようになるからです。

6:26. すべての人々があなたがたのことを良く言うときには、災いです。彼らの父祖たちは偽預言者たちに同じことをしたからです。

6:27. しかし、聞いているあなたがたにわたしは言う。あなたがたの敵を愛しなさい。あなたがたを憎む者たちに良いことをしなさい。

6:28. あなたがたをのろう者たちを祝福しなさい。あなたがたを虐待する者たちのために祈りなさい。

6:29. あなたの一方の頬を打つ者には、他の頬をも向けてやりなさい。外衣を取り去る者には、上着をも拒んではいけない。

6:30. 求めるすべての者には与えなさい。そして、あなたの物を取り去る者からは、返してもらおうとしてはいけない。

6:31. 人々にしてもらいたいと、あなたがたの思うことを、彼らにも同じようにしなさい。

6:32. 自分を愛してくれる者たちを愛したからといって、それがあなたがたに何の惠みがあるだろうか。罪人たちでさえ、自分を愛してくれる者たちを愛するのです。

6:33. 自分に良いことをしてくれる者たちに良いことをしたからといって、それがあなたがたに何の恵みがあるだろうか。罪人たちでさえ、同じことをしているのです。

6:34. 返してもらうことを期待して貸したからといって、それがあなたがたに何の恵みがあるだろうか。罪人たちでさえ、同じだけのものを返してもらおうとして、罪人たちに貸しているのです。

6:35. しかし、あなたがたの敵を愛し、良いことをし、返してもらうことを期待せずに貸しなさい。そうすれば、あなたがたの褒美は大きく、あなたがたはいと高き方の息子たちになるだろう。その方は、感謝しない者たちにも邪悪な者たちにも親切であられるのだから。

6:36. あなたがたの父もあわれみ深いように、あなたがたもあわれみ深くなりなさい。

6:37. 裁いてはいけない。そうすれば、あなたがたも決して裁かれることはない。罪に定めてはいけない。そうすれば、あなたがたも決して罪に定められることはないだろう。放免しなさい。そうすれば、あなたがたも放免されるだろう。

6:38. 与えなさい。そうすれば、あなたがたにも与えられるだろう。彼らは押し入れ、揺すり入れ、あふれ出るほどに良い量りで、あなたがたの懐に入れてくれるだろう。あなたがたが量るその量りであなたがたに量り返されるだろう」。

6:39. 彼は彼らにまた一つのたとえを言った。「盲人が盲人を手引できるだろうか。両方とも穴に落ちてしまわないだろうか。

6:40. 弟子は教師より上ではないが、十分に訓練された者は自分の教師のようになる。

6:41. なぜあなたは、自分の兄弟の目にあるちりを見ながら、自分の目にある角材を考えないのか。

6:42. また、あなた自身が自分の目にある角材を見えずに、どうして自分の兄弟に『兄弟、あなたの目からちりを取っ払わせてくれ』と言えるのか。偽善者よ、まず自分の目から角材を取っ払いなさい。そうすれば、自分の兄弟の目からちりを取っ払うために、はっきりと見えるだろう。

6:43. 良い木が腐った実をならせることはなく、腐った木が良い実をならせることもないのです。

6:44. というのは、それぞれの木はその実によって知られるからです。いばらからいちじくを集めることはないし、いばらの茂みからぶどうを切り取ることもないのです。

6:45. 良い者は自分の心の良い宝の中から良いものを取り出し、邪悪な者は自分の心の邪悪な宝の中から邪悪なものを取り出す。心にあふれ出るものの中から、彼の口は語るからです。

6:46. なぜあなたがたは、『主よ、主よ』とわたしを呼びながら、わたしの言うことを行なわないのか。

6:47. わたしのもとに来て、わたしの言葉を聞き、それらを行なうすべての者が、何に似ているかをあなたがたに示そう。

6:48. それは、深く掘り下げ、岩の上に土台を据えて家を建てる人に似ている。洪水が起こり、川がその家に打ち当たったが、それは揺り動かなかった。それはよく建てられていたからです。

6:49. しかし、聞いても行なわない者は、土台なしで地面の上に家を建てた人に似ている。川が打ち当たると、すぐに倒れ、その家の破壊はひどかった」。

ルカ 第7章↑

7:1. 彼はこれらの言葉をことごとく民に聞かせ終わると、カペナウムに入って行った。

7:2. さて、ある百人隊長の奴隷で、彼にとって大切な者が、わずらっていて死にかかっていた。

7:3. 彼はイエスについて聞くと、彼のもとにユダヤ人の長老たちを遣わし、やって来て自分の奴隷を救ってくれるよう、彼に頼んだ。

7:4. イエスのところに近づいてきて、彼らは彼に真剣に懇願して言った。「あの方は、あなたにこのことをしていただく値打ちがあります。

7:5. わたしたちの国民を愛して、わたしたちのために会堂を建ててくれたのです」。

7:6. イエスは彼らと共に行った。彼がその家からあまり遠くない所まで来た時、その百人隊長は友人たちを彼のもとに遣わして、彼に言った。「主よ、お手数をかけるには及びません。わたしの屋根の下にあなたに入っていただくほどの資格は、わたしにはございません。

7:7. そのために、あなたのもとに行く値打ちさえないと思ったのです。むしろ、お言葉を下さい。そうすればわたしの男の子はいやされるようにしてください。

7:8. というのは、わたしも権威の下に置かれた者ですが、わたしの下にも兵士たちがいます。わたしがある者に『行け』と言えば行きますし、別の者に『来い』と言えば来ます。またわたしの奴隷に『これをしろ』と言えばそれをします」。

7:9. イエスはこれらのことを聞くと、彼に驚き、自分について来る群衆に言った。「あなた方に言っておくが、イスラエルにおいて、わたしはこれほど大きな信仰を見いだしたことがない」。

7:10. 遣わされた者たちがその家に戻ってくると、その奴隷は健康になっているのを見た。

7:11. そののち、彼はナインと呼ばれる町に行った。彼の弟子たちと大群衆が彼に同行した。

7:12. 彼が町の門に近づくと、見よ、死んだ者が運び出されるところであった。それは、やもめである母親のたった一人の息子であった。町の大勢の群衆が彼女と共にいた。

7:13. 主は彼女を見ると、彼女に対して慈悲の念にかられて、彼女に言った。「泣いてはいけない」。

7:14. 近づいて棺に触れると、運んでいる者たちは立ち止まった。彼は言った。「若者よ、あなたに言う。起きなさい」。

7:15. 死んだ者が起き直り、ものを言い始めた。そして彼は彼を彼の母に渡した。

7:16. すべての者は恐れを抱き、神をたたえて言った。「偉大な預言者がわたしたちの間に起こされた」、また、「神は自分の民を訪れてくださった」。

7:17. 彼に関するこの話は、ユダヤ全土および周囲の地方全体に出て行った。

7:18. 彼の弟子たちは、これらすべてのことについてヨハネに報告した。ヨハネは自分の弟子のうちのある二人を呼び寄せて、

7:19. 主のもとに遣わして、「あなたが来たるべき方なのですか。それとも、わたしたちはほかの方を待つべきでしょうか」と言わせた。

7:20. その男たちは彼のもとに来て言った。「バプテストのヨハネがわたしたちをあなたのもとに遣わして、『あなたが来たるべき方なのですか。それとも、わたしたちはほかの方を待つべきでしょうか』と申しました」。

7:21. その時に、彼は病気や苦悩や邪悪な霊から多くの者をいやし、また多くの目の見えない者にものを見る恵みを授けていた。

7:22. 彼は答えて彼らに言った。「行って、あなたがたが見聞きしていることをヨハネに報告しなさい。目の見えない者たちは見え、足の不自由な者たちは歩き、うろこ症の者たちは清められ、耳の聞こえない者たちは聞き、死んだ者たちは起こされ、貧しい人たちには良い知らせが宣べ伝えられている。

7:23. わたしの中にいて、つまずかせられることのない者は、幸せです」。

7:24. ヨハネの使いの者たちが去って行くと、彼は群衆にヨハネについてこう言い始めた、「あなたがたは、何を見に荒野に出て行ったのか。風に揺らぐ葦か。

7:25. では、何を見に出て行ったのか。柔らかな衣を着た人か。見よ、きらびやかな衣をまとい、ぜいたくに暮らしている者たちは王たちの家にいる。

7:26. では、何を見に出て行ったのか。預言者か。そうです、あなたがたに言うが、預言者よりはるかに上回る者です。

7:27. 『見よ、わたしはあなたの顔の前にわたしの使いの者を遣わす。その者はあなたの前にあなたの道を整えるであろう』と書いてあるのは、この者のことです。

7:28. あなたがたに言っておく。女から生まれた者たちの中で、ヨハネより偉大な者はいない。しかし、神の王国で小さいほうの者も、彼よりは偉大です」。

7:29. (民のすべてと取税人たちは、それを聞いた時、ヨハネのバプテスマでバプテスマされていたので、神の正しさを宣言した。

7:30. しかし、パリサイ人たちと律法学者たちは,彼からバプテスマされることをしないで、自分たちに対する神の意図を拒否した。)

7:31. 「だから、わたしはこの世代の人々を何に例えようか。彼らは何に似ているだろうか。

7:32. 彼らは、市場に座って、互いに呼び合っている子供たちに似ている。こう言うのです。『わたしたちはあなたがたに笛を吹いたのに、踊ってくれなかった。弔いの歌を歌ったのに、悲しんでくれなかった』。

7:33. というのも、バプテストのヨハネが来て、パンを食べることもぶどう酒を飲むこともしないと、あなたがたは『彼には悪霊がいる』と言う。

7:34. 人の息子が来て食べたり飲んだりすると、あなたがたは、『見よ、食いしん坊でぶどう酒にふける人、取税人たちや罪人たちの友』と言う。

7:35. しかし、知恵は自分の子供たちすべてによって義とされる」。

7:36. パリサイ人たちのある者が、一緒に食事をするよう彼に願った。彼はそのパリサイ人の家に入り、食卓に着いた。

7:37. 見よ、罪人である一人の女がその町にいたが、彼がパリサイ人の家で食卓に着いていると知ると、香油の雪花石膏の壷を持って来た。

7:38. そして、彼女は後ろに立ち、彼の足もとで泣きながら、涙で彼の両足をぬらし始め、自分の髪でそれらをぬぐい、彼の両足に口づけし、香油を塗った。

7:39. 彼を招いたパリサイ人はこれを見て、自分の中で言った。「この人がもし預言者なら、自分に触っているこの者が誰で、どんな女なのか分かるはずだ。罪人なのだから」。

7:40. イエスは答えて彼に言った。「シモン、あなたに言うことがある」。彼は言った。「先生、おっしゃってください」。

7:41. 「ある貸し主に二人の借り主がいた。一人は五百デナリ、その他の者は五十デナリを借りていた。

7:42. 彼らが返済するものがなかったので、彼は彼ら両方を惜しみなく許してやった。では、彼らのうちどちらが彼を多く愛するだろうか」。

7:43. シモンは答えて言った。「多く許されたほうだと思います」。彼は彼に言った。「あなたは正しく判断した」。

7:44. そして、彼はその女のほうを向いて、シモンに言った。「あなたはこの女を見ているか。わたしがあなたの家に入っても、あなたはわたしに足のための水を与えてくれなかったが、この女はわたしの両足を涙でぬらし、それらを彼女の髪でぬぐった。

7:45. あなたはわたしに口づけしてくれなかったが、彼女は、わたしが入って来た時から、わたしの両足に口づけしてやまなかった。

7:46. あなたはわたしの頭にオリーブ油を塗ってくれなかったが、彼女はわたしの両足に香油を塗った。

7:47. だから、あなたに言うが、彼女の多くある罪は赦されている。彼女が多く愛したのだから。しかし、少ししか赦されていない者は、少ししか愛さないのです」。

7:48. 彼は彼女に言った。「あなたの罪は赦されている」。

7:49. すると、彼と共に食卓に着いていた者たちは自分の中で言い始めた、「罪を赦すことさえするこの人は、いったい誰なのだろう」。

7:50. しかし、彼はその女に言った。「あなたの信仰があなたを救ったのです。平安のうちに行きなさい」。

ルカ 第8章↑

8:1 その後間もなく、彼は町々や村々を通って行きながら、説教し、神の王国の良い知らせを宣べ伝えた。そして十二人は彼と一緒にいた。

8:2 また、邪悪な霊たちと病弱からいやされた何人かの女たち、すなわち、七つの悪霊たちが出て行った、マグダラと呼ばれるマリヤ、

8:3 そしてヘロデの管理人クーザの妻ヨハンナ、スザンナ、そのほか多くの女たち、これらの者が自分の持ち物をもって彼らに仕えていた。

8:4 大群衆が集まって来て、人々が町々から彼のもとに来ていた時、彼はたとえによって話した。

8:5 「種をまく者が、種をまきに出て行った。彼がまいていると、あるものは道ばたに落ちた。すると、足で踏みつけられ、天の鳥たちがそれを食べ尽くしてしまった。

8:6 ほかのものは、岩の上に落ちた。そして、生え出たが、水分がないので枯れてしまった。

8:7 ほかのものは、いばらの間に落ちた。そして、いばらも一緒に生え出て、それをふさいでしまった。

8:8 ほかのものは、良い地の上に落ちた。そして、生え出て、百倍の実を生み出した」。これらのことを話してから、彼は叫んだ、「聞く耳のある者は聞きなさい」。

8:9 彼の弟子たちは彼に尋ねた、「このたとえはどういうことでしょうか」。

8:10 彼は言った。「あなたがたには神の王国の秘密を知ることが与えられているが、残りの者たちにはたとえで与えられる。それは、『彼らが見ても見ず、聞いても理解しない』ためです。

8:11 このたとえはこういうことです。種は神の言葉です。

8:12 道ばたのものは、み言葉を聞く者たちだが、そののち謗魔が来て、信じて救われることがないように彼らの心からみ言葉を取り去るのです。

8:13 岩の上のものは、聞くと喜んでみ言葉を受け入れる者たちです。だが、これらの者たちには根がないので、しばらくは信じるが、ためしの時節には離れてしまう。

8:14 いばらの間に落ちたものは、これらはみ言葉を聞く者たちですが、行く途中で生活の思い煩いや、富や、快楽によってふさがれて、実が熟さない。

8:15 良い土のものとは、りっぱな良い心でみ言葉を聞く者たちです。そして、それをしっかり守り、忍耐もって実を結ぶ。

8:16 あかりをともしてから、それを器で覆ったり、寝台の下に置く者はいない。むしろ、入って来る者たちに光が見えるように、それを燭台の上に置く。

8:17 隠されているもので、明らかにされないものはなく、秘密にされているもので、知られず、明るみに出ないものはないのだから。

8:18 それで、どのように聞くかに注意しなさい。持っている者は、彼に与えられ、持っていない者は、自分では持っていると思うものまでも取り上げられるのだから」。

8:19 彼の母と兄弟たちが彼のところに来たが、群衆のために彼のそばに行けなかった。

8:20 そこで彼に、「あなたのお母さんと兄弟たちが外に立っていて、あなたに会うことを望んでいます」という知らせがあった。

8:21 しかし彼は彼らに答えて言った。「わたしの母、またわたしの兄弟たちとは、神の言葉を聞いて、それを行なうこれらの者たちのことです」。

8:22 ある日のこと、彼は弟子たちと舟に乗り込み、彼らに言った。「湖の向こう側に渡ろう」。そこで彼らは出航した。

8:23 しかし、彼らが帆走している間に、彼は眠りに落ちた。風あらしが湖に吹き下ろして、彼らは水をいっぱいかぶって、危険になった。

8:24 彼らは近づき、彼を起こして言った。「師よ、師よ、わたしたちは滅びてしまいます」。彼は起き上がり、風と荒れ狂う水をしかりつけた。するとそれらはやみ、なぎになった。

8:25 彼は彼らに言った。「あなたがたの信仰はどこにあるのか」。彼らは恐れ驚いて、互いに言い合った、「いったいこの方はどなただろう。彼が命じると風や水さえも彼に従うとは」。

8:26 彼らは、ガリラヤの向かい側にあるゲラサ人たちの地方に舟で下った。

8:27 彼が陸に上がると、その町から出てきた者で、悪霊たちに取り憑かれている一人の男が彼に出会った。彼は長い間、服を着ておらず、家に住まずに墓場にいた。

8:28 イエスを見ると、叫び声を上げて彼の前にひれ伏し、大声で言った。「いと高き神の息子イエスよ、わたしはあなたと何のかかわりがあるのですか。あなたにお願いする、試金石をもってわたしを試さないでください」。

8:29 というのは、彼は汚れた霊に、その人から出て行くように命じたのだから。その霊はたびたび彼に取りついていたのである。彼は鎖や足かせで縛られ、監視されていたが、縛っていたものを引きちぎり、悪霊によって荒野に追いやられるのであった。

8:30 イエスは彼に尋ねた、「あなたの名前は何か」。彼は言った。「レギオンです」。多くの悪霊たちが彼の中に入っていたのだから。

8:31 彼らは彼に、底知れぬ所に行くことを自分たちに命じないように懇願した。

8:32 ところが、その山ではたくさんの豚の群れが飼われていた。そこで彼らは、それらの中に入ることを許してくださるようにと彼に懇願した。彼は彼らに許した。

8:33 悪霊たちはその人から出て豚たちの中に入った。それでその群れは、険しいところを下って湖に突進し、おぼれ死んだ。

8:34 飼う者たちは、起きたことを見ると、逃げて行き、その町とあたりの田舎でそのことを知らせた。

8:35 人々は起きたことを見ようと出て来た。イエスのところに来て、悪霊たちが出て行った人がイエスの足もとに座り、服を着て、正気でいるのを見つけた。それで彼らは恐れた。

8:36 それを見ていた者たちは、悪霊に取り憑かれた人がどのようにして救われたかを彼らに知らせた。

8:37 ゲラサ人の周りの地方のすべての人々は、自分たちから去るようにとイエスに求めた。非常に恐れていたのだから。彼は舟に乗って戻って行った。

8:38 しかし悪霊たちが出て行った男は、彼と一緒にいたいと彼に懇願した。しかし彼は彼を去らせて言った。

8:39 「あなたの家に帰り、神があなたにしてくださったすべてのことについて告げなさい」。彼は去って行き、イエスが自分にしたことすべてを町全体で言い広めた。

8:40 イエスが戻ると、群衆は彼を歓迎した。みんなが彼を待ち望んでいたのだから。

8:41 見よ、ヤイロという名の男が来た。この者は会堂長であった。イエスの足もとにひれ伏し、自分の家に入ってくださるようにと彼に懇願した。

8:42 というのは、彼には十二歳のたった一人の娘がいて、彼女が死んだのです。しかし彼が進んで行くと、群衆が彼に押し迫った。

8:43 十二年間も血の流出をわずらっている女がいた。医者たちに全財産を使い果たしたが、誰にもいやしてもらえなかった。

8:44 彼女が後ろに近づき、彼の衣の房飾りに触った。すると、すぐに彼女の血の流出は止まった。

8:45 イエスは言った。「わたしに触ったのは誰か」。みんながそれを否定していると、ペテロが言った。「師よ、群衆があなたに押し迫り、ひしめき合っているのです」。

8:46 しかしイエスは言った。「誰かがわたしに触ったのです。力が自分から出て行くのが分かったのです」。

8:47 その女は隠れられないのを見ると、おののきながら来て、彼の前にひれ伏し、すべての民の面前で、彼に触った理由と、すぐにいやされたことを知らせた。

8:48 しかし彼は彼女に言った。「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。平安のうちに行きなさい」。

8:49 彼がまだ話しているうちに、ある人が会堂長の家から来て言った。「あなたの娘さんは亡くなりました。先生をもう煩わさないでください」。

8:50 しかし、イエスはそれを聞いて、彼に答えた、「恐れることはない。ただ信じなさい。そうすれば彼女は救われる」。

8:51 家に来ると、ペテロ、ヨハネ、ヤコブおよびその子供の父と母のほかは、誰も一緒に入ることを許さなかった。

8:52 みんなが泣いたり、彼女のために悲しんだりしていた。しかし彼は言った。「泣かなくてもよい。彼女は死んだのではなく、眠っているのです」。

8:53 彼らは、彼女が死んでいるのを知っていたので、彼をあざ笑った。

8:54 しかし彼は、彼女の手を取って呼びかけ、「子供よ、起きなさい」と言った。

8:55 彼女の霊は戻り、彼女はすぐに立ち上がった。彼は、彼女に食べ物を与えるようにと命じた。

8:56 彼女の両親は驚いた。しかし彼は、起きたことを誰にも言わないよう彼らに命じた。

ルカ 第9章↑

9:1 彼は十二人を呼び集め、彼らにすべての悪霊たちに対する、また病気をいやす力と権威を与えた。

9:2 そして神の王国を宣べ伝え、病気をいやすために彼らを遣わした。

9:3 彼は彼らに言った。「旅のために何も持ってはいけない。つえも、袋も、パンも、銀も、二枚の上着も持ってはいけない。

9:4 どこかの家に入ったら、そこにとどまり、そこから出かけなさい。

9:5 誰もあなたがたを受け入れないなら、その町から出て行く時に、彼らに対する証言のため、あなたがたの足からちりを振り払いなさい」。

9:6 彼らは去って行き、村々を巡り歩き、至る所で良い知らせを宣べ伝え、また病気をいやした。

9:7 さて、領主ヘロデは、起きているすべてのことを聞いて、ひどく当惑していた。というのは、ある人々はヨハネが死んだ者たちの中から起こされたと言い、

9:8 またある人々はエリヤが表われたと言い、さらにほかの人々は昔の預言者たちの一人が起こされたと言っていたからである。

9:9 ヘロデは言った。「ヨハネならわたしが首をはねた。だが、わたしがこうしたことについて聞くこの者は誰なのだろう」。彼は彼に会ってみようと思っていた。

9:10 使徒たちは戻って来ると、自分たちが行なったことを彼に告げた。彼は彼らを連れて、ベツサイダと呼ばれる町へひそかに退いた。

9:11 しかし群衆はそれを知って、彼について行った。彼は彼らを迎え入れ、神の王国について彼らに語り、いやしを必要としていた者たちをいやした。

9:12 日が傾き始めたので、十二人が来て彼に言った。「群衆を去らせて、彼らが周りの村や田舎に行って、宿を取り、食べ物を見つけるようにさせてください。わたしたちはこんな寂しい場所にいるのですから」。

9:13 しかし彼は彼らに言った。「あなたがたが彼らに食べ物を与えなさい」。彼らは言った。「わたしたちには五つのパンと二匹の魚しかありません。わたしたちが行って、この民全部のために食べ物を買わない限りは」。

9:14 というのは、およそ五千人の男たちがいたからである。彼は自分の弟子たちに言った。「彼らを五十人ぐらいずつ組にして座らせなさい」。

9:15 彼らはそのようにして、みんなを座らせた。

9:16 彼は五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げ、それらを祝福し、裂き、弟子たちに渡して群衆の前に置かせた。

9:17 みんなは食べて満腹した。彼らは残ったパン切れを十二のかごに集めた。

9:18 彼が一人で祈っていた時、弟子たちが彼のところに集まってきた。そして彼は彼らに尋ねて言った。「群衆はわたしを誰だと言っているか」。

9:19 彼らは答えて言った。「バプテスマのヨハネ、ほかの者たちはエリヤ、またほかの者たちは、昔の預言者たちの一人が起こされたのだと言っています」。

9:20 彼は彼らに言った。「だが、あなたがたはわたしを誰だと言うのか」。ペテロが答えて言った。「神のキリストです」。

9:21 しかし彼は彼らを戒め、このことを誰にも言わないようにと命じて、

9:22 そして言った。「人の息子は多くの苦しみを受け、長老たちや祭司長たちや書記官たちから拒まれ、かつ殺され、そして三日目に起こされなければならない」。

9:23 彼はすべての者に言った。「誰でもわたしの後ろに来たいと思うなら、自分を拒み、日々自分の十字架を取り上げて、わたしについて来なさい。

9:24 自分の魂を救いたいと思う者はそれを滅ぼし、わたしのために自分の魂を滅ぼす者は、それを救うのだから。

9:25 人が全世界をもうけても、自分を滅ぼし、あるいは損したら、何の益になるだろうか。

9:26 わたしとわたしの言葉を恥じる者は、人の息子もまた、自分の栄光、また父と聖なる使いの者たちとの栄光のうちに来る時、その者を恥じるだろう。

9:27 しかし、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。ここに立っている者の中には、神の王国を見るまでは決して死を味わわない者たちがいる」。

9:28 これらのことを話した後、八日ほどたってから、彼はペテロ、ヨハネ、ヤコブを連れて、祈るために山に登った。

9:29 彼が祈っている時、彼の顔の様子が変わり、彼の衣はきらめくほど白くなった。

9:30 すると見よ、二人の男が彼と語り合っていたが、それはモーセとエリヤであった。

9:31 彼らは栄光のうちに現れて、彼がエルサレムで遂げようとしていること、すなわち彼の出立について話していた。

9:32 ペテロと、彼と共にいた者たちは眠気に押しひしがれていたが、すっかり目を覚ますと、彼の栄光と、彼と共に立っている二人の男を見た。

9:33 彼らが彼から離れ去ろうとした時、ペテロがイエスに言った。「師よ、わたしたちがここにいるのは良いことです。幕屋を三つ作りましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために」。彼は自分が何を言っているのか分からなかった。

9:34 彼がこれらのことを言っている間に、雲ができて彼らを覆った。雲の中に入った時、彼らは恐れた。

9:35 その雲の中からの声があった、「これは、わたしの息子、選ばれた者です。彼に聞きなさい」。

9:36 この声があった時には、イエスのほか、誰も見えなかった。彼らは沈黙を守り、その日々には、自分たちが見たことを誰にも告げなかった。

9:37 次の日、彼らが山から下りて来ると、大群衆が彼を迎えた。

9:38 すると見よ、群衆の中の一人の男が叫んで言った。「先生、お願いですから、わたしの息子を見てやってください。わたしのたった一人の息子なのです。

9:39 ご覧ください、霊が取り憑くと、彼は突然に叫び出すのです。そしてそれは彼に泡を吹かせながらけいれんさせ、なかなか離れないで、彼をひどく傷つけるのです。

9:40 わたしは、あなたの弟子たちにそれを追い出してくださるように願いましたが、できませんでした」。

9:41 イエスは答えて言った。「不信仰な、曲った世代よ、いつまでわたしはあなたがたと一緒にいて、あなたがたのことを我慢しようか。あなたの息子をここに連れて来なさい」。

9:42 ところが、彼がやって来る間、その悪霊は彼を投げ倒し、けいれんさせた。しかしイエスはその汚れた霊をしかりつけ、その男の子をいやし、彼を彼の父親に渡した。

9:43 みんなは神の威光に驚いた。しかし、みんなが彼の行なったすべてのことに驚嘆している間に、彼は弟子たちに言った。

9:44 「これらの言葉をあなたがたの耳に納めておきなさい。人の息子は人々の手に引き渡されるだろう」。

9:45 しかし彼らはこの言葉を理解しなかった。彼らがそれを理解することがないように、それは彼らから隠されていた。また、彼らはこの言葉について彼に尋ねるのを恐れていた。

9:46 彼らの間で、自分たちのうちで誰が一番偉いかという議論が生じた。

9:47 イエスは彼らの心の議論を見抜き、小さい子供を連れて来て、自分のそばに立たせて、

9:48 彼らに言った。「わたしの名のゆえにこの小さい子供を受け入れる者は、わたしを受け入れるのです。わたしを受け入れる者は、わたしを遣わした方を受け入れるのです。あなたがたすべての間でより小さい者こそ偉いなのです」。

9:49 ヨハネが答えて言った。「師よ、わたしたちは、ある人があなたの名において悪霊たちを追い出しているのを見ました。それでわたしたちは、彼がわたしたちについて来ないので、彼に禁じました」。

9:50 イエスは彼に言った。「禁じてはいけない。あなたがたに反対しない者は、あなたがたの味方なのです」。

9:51 彼が上げられる日々が満ちてきたので、彼はエルサレムに行くことに顔をきっぱりと向けた。

9:52 そして彼は自分の前に使者たちを遣わした。彼らは出て行き、彼のために準備をしようと、サマリヤ人の村に入った。

9:53 彼らは彼を受け入れなかった。彼が顔をエルサレムに向けて進んで行ったからである。

9:54 それを見て、弟子たちのヤコブとヨハネは言った。「主よ、天から火が下って彼らを滅ぼすように、わたしたちが命じることをお望みですか」。

9:55 しかし彼は振り返って彼らをしかりつけた。

9:56 そして、彼らは別の村へ行った。

9:57 彼らが道を進んで行くと、ある人が彼に言った。「あなたの行かれるところなら、どこへでもついて行きます」。

9:58 イエスは彼に言った。「キツネたちには穴があり、天の鳥たちにはねぐらがある。しかし、人の息子には頭を横たえるところがない」。

9:59 彼は別の者に言った。「わたしについて来なさい」。しかし彼は言った。「主よ、まず、私が行ってわたしの父を葬ることをお許しください」。

9:60 しかし彼は彼に言った。「死んだ者たちに自分たちの死者たちを葬らせなさい。だが、あなたは行って神の王国を宣べ伝えなさい」。

9:61 また別の者が言った。「わたしはあなたについて行きます、主よ。ですが、まず、わたしの家の者たちに別れを告げることをお許しください」。

9:62 しかしイエスは彼に言った。「手をすきにかけてから後ろを見る者は、神の王国にふさわしくない」。

ルカ 第10章↑

10:1 さて、これらの事ののち、主はほかの七十二人を指名し、自分が行こうとしているすべての町と場所へ、自分の先に彼らを二人ずつ遣わした。

10:2 そして彼は彼らに言った。「収穫は確かに多いが、働き者が少ない。だから、収穫の主人に願って、彼の収穫のために働き者を送り出していただきなさい。

10:3 行きなさい。見よ、わたしはあなたがたを遣わすのは、小羊をおおかみの中に遣わすようなものです。

10:4 財布も、袋も、サンダルも持って行ってはいけない。道中では誰にもあいさつしてはいけない。

10:5 どこでも家に入ったなら、まず、『平安がこの家にあるように』と言いなさい。

10:6 平安の息子がそこにいるなら、あなたがたの平安はその者の上にとどまり、いなければ、それはあなたがたのもとに戻って来るだろう。

10:7 そして同じ家にとどまり、彼らが出す物を食べたり飲んだりしなさい。働き者は自分の報酬を受けるに値するからです。家から家に行ってはいけない。

10:8 どこでも町に入って、彼らがあなたがたを受け入れるなら、あなたがたの前に出されるものを食べなさい。

10:9 そこにいる病気の者たちをいやし、彼らに、『神の王国はあなたがたに近づいた』と言いなさい。

10:10 しかし、どこでも町に入って、彼らがあなたがたを受け入れないなら、その町の通りに出て言いなさい。

10:11 『あなたがたの町からわたしたちの足に付いたちりも、わたしたちはあなたがたに対してぬぐい捨てる。それでも、神の王国があなたがたに近づいたということは知っておきなさい』。

10:12 あなたがたに言っておく。その日には、その町よりもソドムの方が耐えやすいだろう。

10:13 「コラジンよ、あなたは災いです。ベツサイダよ、あなたは災いです。あなたがたの中でなされた力ある業がツロとシドンでなされていたなら、彼らはとうの昔に、荒布をまとい灰の中に座って心変えていただろう。

10:14 しかし、裁きの時には、ツロとシドンの方があなたがたより耐えやすいだろう。

10:15 またカペナウムよ、あなたが天に高められようとでもいうのか。あなたは墓の領域にまで落されるだろう。

10:16 あなたがたに聞く者はわたしに聞くのであり、あなたがたを拒む者は、わたしを拒むのです。わたしを拒む者は、わたしを遣わした方を拒むのです」。

10:17 七十二人が喜んで帰ってきて言った。「主よ、悪霊たちでさえ、あなたの名においてわたしたちに服従します」。

10:18 彼は彼らに言った。「わたしは、サタンが天から稲妻のように落ちたのを見た。

10:19 見よ、わたしはあなたがたに蛇やさそりを踏みつけ、敵のすべての力を制する権威を与えた。あなたがたに害をおよぼす者はまったく無いだろう。

10:20 しかし、霊たちがあなたがたに服従することを喜ぶのではなく、あなたがたの名が天々において書き記されたことを喜びなさい」。

10:21 その時、彼は聖霊において喜び、また言った。「父よ、天と地の主よ、わたしはあなたをほめたたえます。あなたはこれらの事を知恵のある者と知能のある者から隠し、それを幼子たちに啓示されたからです。そうです、父よ、このようにするのは、あなたのみ前で喜ばしいことであったからです。

10:22 すべての事が、わたしの父によってわたしに引き渡されている。息子を知っている者は父のほかにはおらず、父を知っている者は息子と息子が啓示したいと望む者のほかにはいない」。

10:23 弟子たちのほうを振り向いて、彼らだけに言った。「あなたがたが見ているものを見る目は幸せです。

10:24 あなたがたに言っておく。多くの預言者たちと王たちは、あなたがたが見ているものを見たいと願ったのにそれを見ず、あなたがたが聞いていることを聞きたいと願ったのにそれを聞かなかったのだから」。

10:25 見よ、ある律法学者が立ち上がり、彼をためして言った。「先生、わたしは何をすれば世々の特質ある命を受け継げるのでしょうか」。

10:26 彼は彼に言った。「律法には何と書いてあるか。あなたはどう読むか」。

10:27 彼は答えて言った。「あなたは、心を尽くし、魂を尽くし、力を尽くし、思いを尽くして、あなたの神なる主を愛し、自分自身のように、あなたの隣人を愛しなさい」。

10:28 彼は彼に言った。「あなたは正しく答えた。それを行ないなさい。そうすれば生きるだろう」。

10:29 しかし彼は、自分の義を立ちたいと思って、イエスに言った。「わたしの隣人とは誰ですか」。

10:30 イエスは答えて言った。「ある人がエルサレムからエリコに下って行く途中、強盗たちの手中に落ちた。彼らは彼の衣をはぎ、殴打を加え、半殺しにしたまま、去って行った。

10:31 するとたまたま、ある祭司がその道を下って来た。彼を見ると、反対側を通って行ってしまった。

10:32 同じように一人のレビ人も、その場所に来て、彼を見ると、反対側を通って行ってしまった。

10:33 ところが、旅行していたあるサマリヤ人が、彼のところにやって来た。そして彼を見ると、慈悲の念にかられた。

10:34 彼に近づいてきて、彼の傷にオリーブ油とぶどう酒を注いで包帯をしてやった。彼を自分の家畜に乗せて、宿屋に連れて行き、彼の世話をした。

10:35 そして次の日、デナリ二つを取り出して宿屋の主人に渡して、言った。『彼の世話をしてください。何でもこれ以外の出費があれば、わたしが戻って来たときに返金します』。

10:36 この三人のうちの誰が、強盗たちの手中に落ちた者の隣人になったと思うか」。

10:37 彼は言った。「彼にあわれみを示した者です」。するとイエスは彼に言った。「行って、同じようにしなさい」。

10:38 彼らが進んで行くうちに、彼はある村に入り、マルタという名の女が彼を家に迎え入れた。

10:39 彼女にはマリヤという姉妹がいたが、彼女はイエスの足もとに座って、彼の言葉を聞いていた。

10:40 しかしマルタは、多くの給仕で取り乱していた。そこで彼女は彼のもとに上がって来て言った。「主よ、わたしの姉妹がわたしだけに給仕をさせているのをあなたにとって何とも思われないのですか。わたしを手伝うよう彼女におっしゃってください」。

10:41 主は彼女に答えて言った。「マルタ、マルタ、あなたは多くのことを思いわずらって気を乱している。

10:42 しかし、必要なのはわずかなもの、というより一つだけです。マリヤは良いほうを選んだのです。それが彼女から取り去られることはないだろう」。

ルカ 第11章↑

11:1 さて、彼はある所で祈っていたが、それが終ったとき、彼の弟子たちの一人が彼に言った。「主よ、ヨハネも自分の弟子たちに教えたように、わたしたちに祈ることを教えてください」。

11:2 彼は彼らに言った。「あなたがたが祈るときにはこう言いなさい。『父よ、あなたのお名前が聖別なものとされますように。あなたの王国が来ますように。

11:3 わたしたちの日ごとのパンを日々お与えください。

11:4 わたしたちの罪をお赦しください。わたしたちも自分に負い目のある者すべてを赦しますから。わたしたちを試みに陥らせないでください』」。

11:5 そして彼は彼らに言った。「あなたがたのうちの誰かに、友人がいて、真夜中に彼のところへ行き、彼に言うとする、『友よ、パンを三つ貸してください。

11:6 わたしの友人が旅の途中でわたしのところに来たのだが、彼に出すものが何もないのだから』。

11:7 するとその者は中から答えて言うだろう、『わたしを煩わさないでくれ。戸はもう閉めてしまったし、わたしの子供たちはわたしと一緒に寝床に入っているのだ。起きて行ってあなたに物を上げることはできない』。

11:8 あなたがたに言っておく。自分の友人だということでは、起き上がって物を与えないとしても、彼のしつこさのゆえには、起きて行って、必要とするものを彼に与えるだろう。

11:9 わたしはあなたがたに言う。お願いしなさい。そうすればあなたがたに与えられるだろう。探しなさい。そうすれば見つかるだろう。叩きなさい。そうすればあなたがたには開かれるだろう。

11:10 すべてお願いする者は受け、探す者は見つけ、叩く者には開かれるのだから。

11:11 あなたがたのうちのどの父親が、自分の息子が魚をお願いしているのに、魚の代わりに彼に蛇を与えるだろうか。

11:12 また、卵をお願いしているのにさそりを与えるだろうか。

11:13 あなたがたは邪悪な者でありながら、自分の子供たちに良い贈り物を与えることを知っているのであれば、まして天からの父は、ご自分にお願いするたちに聖霊を与えてくださるだろうか」。

11:14 彼は口を利けない悪霊を追い出していた。その悪霊が出て行くと、口の利けない人は物を言い出した。それで群衆は驚いた。

11:15 しかし彼らのうちのある者たちは言った。「彼が悪霊たちを追い出すのは、悪霊たちの支配者ベルゼブルによるのだ」。

11:16 ほかの者たちは、ためそうとして、天からのしるしを彼から求めていた。

11:17 しかし彼は、彼らの考えを知って、彼らに言った。「内部分裂する王国はみな荒廃し、内部分裂する家は倒れてしまう。

11:18 もしサタンも内部分裂するなら、どうして彼の王国は立ち行くだろうか。というのは、あなたがたは、わたしがベルゼブルによって悪霊たちを追い出していると言うのだから。

11:19 わたしがベルゼブルによって悪霊たちを追い出しているのなら、あなたがたの息子たちは誰によって追い出すのだろうか。だから、彼らがあなたがたの裁判官になるだろう。

11:20 しかし、わたしが神の指によって悪霊たちを追い出しているのなら、神の王国は先にあなたがたの上に来たのです。

11:21 強い者が十分に武装して自分の邸宅を守っている時は、その持ち物は安泰です。

11:22 しかし、彼よりもっと強い者たちが向かって来て、彼に打ち勝つなら、彼の頼りにしていた全装備を彼から取り去り、彼から奪い取った物を分配する。

11:23 わたしと共にいない者は、わたしに反対する者、わたしと共に集めない者は、散らす者です。

11:24 汚れた霊が人から出ると、休み場を求めて水の無いところを通るが、見つからないので、『出て来た自分の家に戻ろう』と言う。

11:25 そして来て見ると、そこが掃除され、飾り付けられていた。

11:26 そこで出て行って、自分より邪悪な他の七つの霊を共に連れて来る。そして彼らは中に入ってそこに住みつく。その人の最後の状態は、最初よりも悪くなる」。

11:27 彼がこれらの事を話していると、ある女が群衆の中から声を上げて、彼に言った。「あなたを宿した胎と、あなたが吸った乳房とは幸せです」。

11:28 しかし彼は言った。「むしろ、神の言葉を聞いて、それを守る人たちは幸せです」。

11:29 さて群衆が群がり集まった時、彼は語り始めた、「この世代は邪悪な世代です。しるしを求める。この世代には、ヨナのしるしのほかには何のしるしも与えられないだろう。

11:30 ちょうどヨナがニネベ人に対するしるしとなったのと同じように、人の息子もこの世代に対するしるしとなるだろう。

11:31 南の女王が、裁きの際にこの世代の男たちと共に立ち上がり、彼らを罪に定めるだろう。なぜなら、彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果てから来たのだから。そして、見よ、ソロモンにまさる者がここにいる。

11:32 ニネベの人々が、裁きの際にこの世代と共に立ち上がり、この世代を罪に定めるだろう。なぜなら、彼らはヨナの宣べ伝えによって、心変えたのだから。そして、見よ、ヨナにまさる者がここにいる。

11:33 あかりをともして、それを穴ぐらの中や、かごの下に置く者はいない。むしろ、燭台の上に置いて、入って来る者たちに光が見えるようにする。

11:34 体のあかりはあなたの目です。だから、あなたの目が澄んでいれば、あなたの全身も明るいだろう。しかし、それが邪悪であれば、あなたの体も暗いだろう。

11:35 だから、あなたの内にある光が闇ではないように注意しなさい。

11:36 それで、あなたの全身が明るくて、闇の部分が少しもなければ、あかりが輝いてあなたを照らす時のように、全部が明るくなるだろう」。

11:37 彼が話していると、あるパリサイ人が、食事を彼と共にしてくださるよう彼に求めた。彼は入って行って、食卓に着いた。

11:38 そのパリサイ人は、彼が食事の前にまずバプテスマされなかったのを見て驚いた。

11:39 主は彼に言った。「ところで、あなたがたパリサイ人たちは杯と皿の外側を清めるが、あなたがたの内側は強奪と邪悪で満ちている。

11:40 愚かな者たちよ、外側を造った方は内側をも造ったのではないか。

11:41 ただ、内側にあるものを施しとして与えなさい。そうすれば、見よ、あなたがたにとってすべてのものが清くなるのです。

11:42 しかし、あなたがたパリサイ人たちは災いです。あなたがたは、はっか、うん香、すべての野菜の十分の一を納めながら、正義と神の愛を見過ごしている。これらこそ行なわなくてはいけない。もっとも、それら他のこともなおざりにしてはいけない。

11:43 あなたがたパリサイ人たちは災いです。あなたがたが好むのは、会堂での上席と市場でのあいさつなのです。

11:44 あなたがたは災いです。あなたがたは目につかない墓のようなものです。その上を歩く人々は何も気づかないのです」。

11:45 律法学者たちの一人が彼に答えて言った。「先生、このようなことを言って、わたしたちをも侮辱することです」。

11:46 彼は言った。「あなたがた律法学者たちも災いです。運びにくい重荷を人々に負わせるが、自分たちではそれらの重荷にあなたがたの指一本も触れようとしない。

11:47 あなたがたは災いです。あなたがたは預言者たちの墓を建てているが、彼らを殺したのはあなたがたの父祖たちだからです。

11:48 だから、あなたがたは、あなたがたの父祖たちのわざを証言し、同意しているのです。彼らが預言者たちを殺し、あなたがたがその墓を建てているのだから。

11:49 このゆえに、神の知恵も言っている、『わたしは彼らに預言者たちと使徒たちを遣わす。彼らはそのうちのある者たちを殺し、迫害するだろう。

11:50 こうして、世界の基が置かれて以来流されて来たすべての預言者たちの血が、この世代に要求されることになる。

11:51 すなわち、アベルの血から、祭壇と家の間で死んだザカリヤの血に至るまで』。そうです、あなたがたに言っておくが、それはこの世代に要求されるだろう。

11:52 あなたがた律法学者たちは災いです。あなたがたは知識のかぎを取り去ったのだから。自分たちが入らないばかりか、入ろうとする者たちをも妨げたのです」。

11:53 彼がそこを出て行くと、書記官たちとパリサイ人たちは激しく詰め寄り始め、彼から多くの事を問いかけた。

11:54 彼の口から何かを捕らえようとして彼を待ち構えるのであった。

ルカ 第12章↑

12:1 その間に、数えきれないほどの群衆が集まって来て、互いに踏み合うほどになったが、彼はまず自分の弟子たちに語り始めた、「パリサイ人たちのパン種に用心しなさい。それは偽善です。

12:2 しかし、覆いかぶされているもので明らかにされないものはなく、隠されているもので知られないものはない。

12:3 だから、あなたがたが闇の中で言うことは、光の中で聞かれるだろう。あなたがたが奧まった部屋で耳もとに話すことは、屋上で宣べ伝えられるだろう。

12:4 わたしの友であるあなたがたに言う。体を殺しても、その後でそれ以上、何もできない者たちを恐れてはいけない。

12:5 わたしは、誰を恐れるべきかをあなたがたに示す。殺した後で、ヒンノムの谷に投げ込む権威のある方を恐れなさい。そうです、あなたがたに言うが、その方を恐れなさい。

12:6 五羽のスズメは二アサリオンで売られているではないか。その一羽も神のみ前で忘れられてはいない。

12:7 ところが、あなたがたの頭の毛さえも、すべて数えられている。だから恐れてはいけない。あなたがたは多くのスズメよりもまさっている。

12:8 わたしたはあなたがたに言う。人々の前でわたしのことを告白する者はみな、人の息子も神の使いの者たちの前でその者のことを告白するだろう。

12:9 しかし、人々の前でわたしを否認する者は、神の使いの者たちの面で否認されるだろう。

12:10 誰でも人の息子に逆らう言葉を語る者は赦されるだろう。しかし、聖霊に対して冒とくする者は赦されないだろう。

12:11 人々があなたがたを会堂や支配者や権威者の前に連れ出す時、弁明のために何をどのように話すか、また何を言うかと思いわずらってはいけない。

12:12 言うべきことは、その時に聖霊があなたがたに教えるのだから」。

12:13 群衆の中のある者が彼に言った。「先生、わたしの兄弟に相続財産をわたしと分けるようにおっしゃってください」。

12:14 しかし、彼は彼に言った。「人よ、誰がわたしを、裁判官または分配者としてあなたがたの上に立てたのか」。

12:15 彼は彼らに言った。「見張っていて、あらゆる貪欲に警戒しなさい。たとい満ちあふれるほどの物を持っていても、人の命は、持ち物にはよらないのです」。

12:16 彼は彼らにたとえを語って言った。「ある金持の土地が豊かに産出した。

12:17 彼は自分の中で論じて言った。『どうしようか。わたしの作物を集める場所がないのだが』。

12:18 彼は言った。『こうしよう。わたしの倉を取り壊して、もっと大きなものを建てよう。そしてそこに小麦とわたしの良い物をすべて集めよう。

12:19 そして自分の魂に言おう。「魂よ、何年分もの多くの良い物が蓄えられている。くつろいで、食べて、飲んで、楽しめ」』。

12:20 「しかし、神は彼に言った。『愚か者よ、今夜、あなたの魂は求められる。あなたが用意した物は、誰のものになるのか』。

12:21 自分のために宝を積み上げ、神に対して富んでいない者は、このとおりです」。

12:22 彼は自分の弟子たちに言った。「それだから、あなたがたに言っておく。何を食べようかと魂のことで、また何を着ようかと体のことで思いわずらってはいけない。

12:23 魂は食物より、体は衣服よりまさるのだから。

12:24 ワタリガラスのことを考えなさい。蒔きもせず、刈り入れもせず、納屋も倉に持っていないが、神がそれらを養っていてくださる。あなたがたは鳥たちよりもどれほどはるかにすぐれた者ではないか。

12:25 あなたがたのうち誰が、思いわずらったからといって、自分の寿命に一キュビトを加えることができるだろうか。

12:26 一番小さな事さえできないのであれば、なぜ残りの事で思いわずらうのか。

12:27 ゆりたちがどのように育つかを考えなさい。苦労しもせず、紡ぎもしない。しかし、あなたがたに言っておく。栄光を極めたときのソロモンでさえ、ゆりたちの一つほどにも着てはいなかった。

12:28 神が今日在って明日炉に投げ込まれる野の草にこのように着てくださるのなら、ましてあなたがたになおさらのことではないか。信仰の小さい者たちよ。

12:29 だから、何を食べようか、また何を飲もうかと求めてはいけない。また、思いわずらってはいけない。

12:30 これらはすべて、世界の諸国の民々が求めているものだからです。あなたがたの父は、これらがあなたがたに必要であることを知っているのだから。

12:31 しかし、神の王国を求めなさい。そうすれば、これらはあなたがたに加えられるだろう。

12:32 恐れてはいけない、小さな群れよ。あなたがたの父は、あなたがたに王国を与えることをよしとするのだから。

12:33 あなたがたの持ち物を売って、施しをしなさい。自分のために古くなることのない財布を作り、天に尽きることのない宝を積み上げなさい。そこでは盗人たちが近づくことも、蛾が食い破ることもない。

12:34 あなたがたの宝のある所、そこにあなたがたの心もあるのだから。

12:35 あなたがたの腰に帯を締め、あかりをともしていなさい。

12:36 こうしてあなたがたは、自分たちの主人がいつ婚宴から戻って来るかと見張っている人々たちのようになりなさい。彼が来て戸を叩く時、すぐに彼のために戸を開けられるようにするためです。

12:37 主人が来た時に目を覚しているのを見いだされるそれらの奴隷たちは幸せです。まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。彼は帯を締め、彼らを食卓に着かせ、そばに来て、彼らに給仕をするだろう。

12:38 彼が第二見張り時に、あるいは第三見張り時にやって来ても、彼らがそのようにしているところを見いだされるなら、その者たちは幸せです。

12:39 しかし、このことを知っておきなさい。家の主人は、どの時刻に盗人が来るかを知っているなら、自分の家に押し入られることを許さなかっただろう。

12:40 あなたがたも用意していなさい。あなたがたの思いがけない時に人の息子は来るのだから」。

12:41 ペテロが言った。「主よ、このたとえはわたしたちに対して話すのですか、それともみんなに対してですか」。

12:42 主は言った。「それでは、主人が、自分のしもべたちの上に立てて、時節に応じてその定めの食糧を与えさせる忠実で賢い家令は、誰だろうか。

12:43 自分の主人がやって来た時、そうしているのを見られるその奴隷は幸せです。

12:44 まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。彼は彼を自分のすべての持ち物の上に任命するだろう。

12:45 しかし、その奴隷が、心の中で、『わたしの主人は来るのが遅れている』と言い、下男たちや下女たちを打ちたたき、食べたり飲んだり酔ったりし始めるならば、

12:46 その奴隷の主人は、彼の思いがけない日、彼の知らない時に来て、彼を二つに切り、彼の受け分を不信仰な者たちと共にならせるだろう。

12:47 自分の主人の意志を知りながら用意せず、また彼の意向にそって行なわなかったその奴隷は多くむち打たれるだろう。

12:48 しかし、知らずにむち打ちに値することをしてしまった者は、少なくむち打たれるだろう。誰でも多く与えられた者からは多くが要求され、多く任せられた者は多く求められるだろう。

12:49 わたしは地上に火を投げるために来た。それがすでに燃えていたならと、わたしはどんなに願っていることか。

12:50 しかし、わたしにはバプテスマされなければならないバプテスマがある。それが成し遂げられるまで、わたしはどんなに圧迫されることか。

12:51 あなたがたは、わたしが地上に平和を与えるために来たと考えているのか。そうではない。あなたがたに言うが、むしろ分裂です。

12:52 今からのち、一つの家で五人の者が分裂して、三人が二人に、二人が三人に対立することになるのだから。

12:53 彼らは分裂し、父が息子に、息子は父に、母は娘に、娘は母に、しゅうとめは自分の嫁に、嫁はしゅうとめに、対立するだろう」。

12:54 彼は群衆にも言った。「あなたがたは、雲が西に起るのを見るとすぐ、にわか雨が来る、と言う。そしてそのとおりになる。

12:55 また南風が吹くと、焦げそうなほど暑くなる、と言い。そのようになる。

12:56 偽善者たちよ、あなたがたは地と天の模様の見分け方を知っているのに、どうしてこの時節の見分け方を知らないのか。

12:57 また、あなたがたは、なぜ正しいことを自分で判断しないのか。

12:58 あなたを訴える者と共に支配者のところに行く時には、その途上にある間に、彼から解放されるように努めなさい。彼があなたを裁判官のところに引きずって行き、裁判官があなたを下役に引き渡し、下役があなたを獄に投げ込んでしまうことのないためです。

12:59 わたしはあなたに言う。あなたは最後のレプタを払い切るまで、決してそこから出ることはないだろう」。

ルカ 第13章↑

13:1 さて、ちょうどその時節に、ある者たちが居合わせて、ガリラヤ人たちのこと、つまりピラトが彼らの血を彼らのいけにえと混ぜたことについて彼に報告した。

13:2 彼は答えて彼らに言った。「あなたがたは、彼らがこの苦しみに遭ったからといって、これらのガリラヤ人たちがすべてのガリラヤ人たちよりも罪人だったと思うのか。

13:3 そうではない。あなたがたに言う。むしろ、あなたがたが心変えなければ、みな同じように滅びるだろう。

13:4 あるいは、シロアムの塔が倒れて押し殺されたあの十八人は、エルサレムに住むすべての人たちよりも、負債のある者だったと思うのか。

13:5 そうではない。あなたがたに言う。むしろ、あなたがたが心変えなければ、みな同じように滅びるだろう。

13:6 彼はこのたとえを話した。「ある人が、自分のぶどう園に植えた一本のいちじくの木を持っていた。彼はそこに実を求めに来たが、見つからなかった。

13:7 彼はぶどうの栽培人に言った。『見よ、この三年間、このいちじくの木に実を求めに来たが、見つからなかった。これを切り倒してしまいなさい。なぜこれが土地を無駄にしておくのか』。

13:8 彼は答えて彼に言った。『ご主人様、それを今年もそのままにしておいてやってください。この木の周りを掘って、肥料をやりますから。

13:9 それでこの先、実を結ぶなら、よろしいです。そうでなければ、これを切り倒してしまって構いません』」。

13:10 彼は安息日々に会堂の一つで教えていた。

13:11 見よ、十八年間も病弱の霊に取り憑かれた女がいた。彼女は腰が曲がったままで、まっすぐ立つことが全くできなかった。

13:12 イエスは彼女を見ると、呼び寄せて彼女に言った。「女よ、あなたは自分の病弱さから解き放たれている」。

13:13 彼が彼女の上に両手を置いた。すると、すぐに彼女はまっすぐになり、神をたたえた。

13:14 会堂長は、イエスが安息日にいやしたので憤慨し、群衆に答えて言った。「働くべき日は六日ある。だからそれらの日に来て、いやしてもらいなさい。安息日はいけない」。

13:15 しかし、主は彼に答えて言った。「偽善者たちよ。あなたがたはそれぞれ安息日に自分の牛やろばを飼い葉おけから解いて、飲ませに引いて行くではないか。

13:16 この女はアブラハムの娘で、サタンが、見よ、十八年間も縛っていたのです。安息日にその束縛から解かれるべきではなかったか」。

13:17 彼がこれらのことを言うと、彼の反対者たちはみな恥じ入った。しかし、群衆はみな、彼によってなされたすべての栄光ある事のために喜んだ。

13:18 それで、彼は言った。「神の王国は何に似ているだろうか。わたしはそれを何にたとえようか。

13:19 それは、一粒のからしの種のようです。人がそれを取って、自分の庭にまいた。すると、それは成長し、木になり、天の鳥たちがその枝に宿るようになる」。

13:20 また彼は言った。「わたしは神の王国を何にたとえようか。

13:21 パン種のようなものです。女がそれを取って、三升の粉の中に隠すと、ついには全体が発酵した」。

13:22 彼は町々や村々を通って行きながら、教え、エルサレムに向けて旅をしていた。

13:23 ある者が彼に言った。「主よ、救われる者は少ないのですか」。彼は彼らに言った。

13:24 「狭い門を通って入るよう精力的に努めなさい。あなたがたに言うが、多くの者は入ろうとするが、できないのだから。

13:25 家の主人が起き上がって戸を閉めてしまうと、あなたがたが外に立ち、戸をたたき始め、『ご主人様、わたしたちに開けてください』と言っても、彼は答えてあなたがたに言うだろう、『あなたがたがどこから来た者なのか、わたしは知らない』。

13:26 その時、あなたがたは言い始めるだろう、『わたしたちはあなたの前で食べ飲みました。あなたはわたしたちの通りで教えてくださいました』。

13:27 彼はあなたがたに語って言うだろう、『あなたがたがどこから来た者なのか、わたしは知らない。不義を働く者たちよ、皆わたしから離れ去れ』。

13:28 あなたがたは、アブラハム、イサク、ヤコブ、そしてすべての預言者たちが、神の王国にいるのに、自分たちが外に投げ出されているのを見るとき、そこには泣きと歯ぎしりとがあるだろう。

13:29 人々は東から、西から、また北から、南から来て、神の王国で席に着くだろう。

13:30 見よ、最後の者が最初に、最初の者が最後になるだろう。

13:31 ちょうどその時、何人かのパリサイ人たちが来て、彼に言った。「出て行って、ここから去りなさい。ヘロデがあなたを殺そうとしているのだから」。

13:32 彼は彼らに言った。「行って、あのきつねに言いなさい。『見よ、わたしは今日も明日も悪霊たちを追い出し、いやしを行なっている。そして三日目に、わたしは完全になっている。

13:33 しかし、わたしは、今日も明日も、またその次の日も、進んで行かなければならない。預言者がエルサレムの外で滅びることはあり得ないのだから』。

13:34 預言者たちを殺し、彼女のところに遣わされた者たちを石打ちにするエルサレム、エルサレムよ。めんどりが自分のひなを翼の下に集めるように、わたしは幾たびあなたの子供たちを集めたいと思ったことか。しかし、あなたがたはそれを望まなかった。

13:35 見よ、あなたがたの家はあなたがたに残される。わたしはあなたがたに言っておく。あなたがたは、『主のみ名において来る者は祝福されている者です』と言う時が来るまでは、決してわたしを見ることはないだろう」。

ルカ 第14章↑

14:1 彼が食事をするために、安息日に、パリサイ人たちの支配者たちの一人の家に入った時のこと、彼らは彼をじっと見守っていた。

14:2 すると見よ、水腫をわずらっている人が彼の前にいた。

14:3 イエスは答えて律法学者とパリサイ人たちに話して、こう言った。「安息日にいやすことは許されているかどうか」。

14:4 しかし、彼らは黙っていた。彼は彼を抱きかかえていやし、そして去らせた。

14:5 彼は彼らに言った。「あなたがたのうちだれが、息子か牛が井戸の中に落ちた場合、安息日だからといってすぐに彼を引き上げないだろうか」。

14:6 彼らはこれらの事に答えることができなかった。

14:7 招かれた人々が上席を選ぶ様子に気づくと、彼らにたとえで話して、こう言った。

14:8 「誰かから婚宴に招かれた時は、上席に着いてはいけない。あなたより身分の高い人も彼に招かれているかも知れないのだから。

14:9 そうすると、あなたと彼を招いた人が来て、『この方に場所を譲ってください』とあなたに言うだろう。その時、あなたは恥をかきながら最も低い場所に着くことになる。

14:10 むしろ、あなたが招かれた時は、行って、最も低い場所に着きなさい。そうすれば、あなたを招いた人が来た時、『友よ、もっと高い方へ進んでください』とあなたに言うだろう。その時、共に食卓に着いているみんなの前で、あなたは誉れを受けるだろう。

14:11 誰でも自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるだろう。

14:12 彼は自分を招いた人にも言った。「あなたが午餐または宴会を設ける時は、自分の友人たちも、自分の兄弟たちも、自分の親族たちも、富んでいる隣人たちも呼んではいけない。そうでないと、彼らもお返しに招いて、あなたに返礼することになるかも知れない。

14:13 むしろ、あなたが宴会を設ける時には、貧しい人たち、体の不自由な人、足の不自由な人たち、また盲人たちを招きなさい。

14:14 そうすれば、あなたは祝福される。なぜなら、彼らはあなたにお返しをするものがないのだから。あなたは義人たちの復活において返礼を受けることになるのだから」。

14:15 これらのことを聞くと、一緒に食卓に着いていた者たちの一人が彼に言った。「神の王国でパンを食べる者は幸せです」。

14:16 すると彼は彼に言った。「ある人が盛大な宴会を設けて、多くの人々を招いた。

14:17 そして宴会の時に自分の奴隷を遣わして、招いておいた者たちに言った。『おいでください。もう用意ができましたから』。

14:18 彼らは皆、一様に言い訳をして断わり始めた。「最初の者は彼に言った。『わたしは畑を買いましたので、見に行かなければなりません。お願いします、お断わりさせてください』。

14:19 別の者は言った。『五くびきの牛を買いましたので、ためすために行かなければなりません。お願いします、お断わりさせてください』。

14:20 別の者は言った。『わたしは妻をめとりましたので、そのために参ることができません』。

14:21 その奴隷はやって来て、主人にこれらのことを告げた。すると家の主人は腹を立て、奴隷に言った。『急いで町の通りや小道に出て行き、貧しい人たち、体の不自由な人たち、盲人たち、また足の不自由な人たちを連れて来なさい』。

14:22 その奴隷は言った。『ご主人様、仰せのとおりにいたしましたが、まだ場所があります』。

14:23 主人は奴隷に言った。『大通りや垣根に出て行き、無理にでも人々を入って来させて、わたしの家がいっぱいになるようにしなさい。

14:24 わたしはあなたがたに言っておくが、招かれていたその男たちのうち、わたしの宴会を味わう者は一人もいないだろう』」。

14:25 さて大群衆が彼と同行していたが、彼は振り向いて彼らに言った。

14:26 「誰でもわたしのもとに来て、自分の父、母、妻、子供たち、兄弟たち、姉妹たち、さらに自分の魂さえも憎まない者は、わたしの弟子になることはできない。

14:27 誰でも自分の十字架を運び、わたしの後について来ない者は、わたしの弟子になることはできない。

14:28 あなたがたのうちの誰が、塔を建てたいと望みながら、まず座って費用を計算し、それを完成させるだけのものがあるかを確かめないだろうか。

14:29 そうしないと、土台を据えただけで完成することができず、見ているすべての人が彼をあざけり始めて

14:30 言うことだろう、『この人は建て始めたが、完成することができなかった』。

14:31 あるいは、どんな王が、別の王と戦いを交えるために出て行く時、まず座って、二万人を率いて向かって来る者を、一万人で相対することができるかどうかを、よく考えないだろうか。

14:32 もしできないのであれば、その者がまだ遠くにいる間に使者を遣わして、和平を求めるのです。

14:33 そのように、誰でもあなたがたのうちで自分の持ち物すべてに別れを告げない者は、わたしの弟子になることはできない。

14:34 だから、塩は良いものです。しかし、塩も効き目を失うなら、何をもってそれに味を付けるでしょうか。

14:35 それは土にも堆肥にもふさわしくない。人々はそれを外に捨てるのです。聞く耳のある者は聞きなさい」。

ルカ 第15章↑

15:1 さて、取税人たちや罪人たちがみな、彼の話を聞こうとして彼の所に近づいてきた。

15:2 パリサイ人たちと書記官たちはつぶやいて言った。「この者は、罪人たちを歓迎して、彼らと一緒に食事をする」。

15:3 しかし、彼は彼らに言って、このたとえを語った。

15:4 「あなたがたのうちの誰が、百匹の羊がいて、そのうちの一匹を失ってしまったなら、九十九匹を荒野に残しておいて、失われた一匹を、それが見つかるまで捜しに行かないだろうか。

15:5 そして、見つけると、喜んでそれを自分の肩に載せる。

15:6 そして、家に着くと、自分の友人たちや隣人たちを呼び寄せて、彼らに言うのです、『わたしと一緒に喜んでください。失われていたわたしの羊を見つけたのだから』。

15:7 わたしはあなたがたに言う。このように、心変える一人の罪人については、心変える必要のない九十九人の義人たち以上の喜びが天にあるだろう。

15:8 あるいは、どの女が、十枚のドラクマ銀貨を持っていて、一枚のドラクマ銀貨を失ったなら、あかりをつけて、家を掃き、それが見つかるまで念入りに捜さないだろうか。

15:9 そして、見つけると、自分の友人たちや隣人たちを呼び集め、こう言うのです、『わたしと一緒に喜んでください。失っていたドラクマ銀貨を見つけたのだから』。

15:10 わたしはあなたがたに言う。このように、心変える一人の罪人については、神の使いの者たちの前で喜びがあるのです」。

15:11 彼は言った。「ある人に二人の息子がいた。

15:12 そのうちの年下のほうが父親に言った。『お父さん、財産のうちわたしの取り分を下さい』。父親はその身代を彼らに分けてやった。

15:13 何日もたたないうちに、年下の息子はすべてを取りまとめて遠い地方に旅立った。彼はそこで放蕩に生活して、自分の財産を浪費した。

15:14 彼がすべてを使い果たした時、その地方にひどいききんが起こって、彼は困窮し始めた。

15:15 彼はその地方の住民たちの一人のところに行って身を寄せたが、彼は彼を自分の畑に送って豚を飼わせた。

15:16 彼は、豚たちの食べている豆のさやで自分の腹を満たしたいと思ったが、誰も彼に何も与えなかった。

15:17 しかし、我に返った時、彼は言った。『父のところでは、あれほど大勢の雇い人たちにあり余るほどのパンがあるのに、わたしはここでききんのために死のうとしている。

15:18 立って、わたしの父のところに行き、彼に言おう、「お父さん、わたしは天に対しても、あなたの前でも罪を犯しました。

15:19 わたしはもはやあなたの息子と呼ばれるには値しません。あなたの雇い人の一人のようにしてください」』。

15:20 彼は立って、自分の父親のところに行った。しかし、彼がまだ遠く離れている間に、彼の父親は彼を見て、慈悲の念にかられ、走り寄って、彼の首を抱き、彼に口づけした。

15:21 息子は彼に言った。『お父さん、わたしは天に対しても、あなたの前でも罪を犯しました。わたしはもはやあなたの息子と呼ばれるには値しません』。

15:22 しかし、父親は自分の奴隷たちに言った。『最上の衣を持って来て、彼に着せなさい。手に指輪をはめ、足にサンダルをはかせなさい。

15:23 また、肥えた子牛を連れて来て、それをほふりなさい。そして、食べて、お祝いをしよう。

15:24 このわたしの息子が、死んでいたのに生き返ったのだから。失われていたのに見つかったのだ』。彼らは祝い始めた。

15:25 ところが、年上の息子は畑にいた。彼が帰って来て家に近づくと、音楽や踊りの音が聞こえた。

15:26 男の子たちの一人を呼び寄せ、これは何事なのかと尋ねた。

15:27 彼は彼に言った。『あなたの弟さんが来られたのです。それで、あなたのお父様は、彼を無事に健康な姿で迎えたというので、肥えた子牛をほふられたのです』。

15:28 ところが、彼は腹を立て、中に入ろうとしなかった。そのため、彼の父親が出て来て、彼に懇願した。

15:29 しかし、彼は答えて自分の父親に言った。『ご覧なさい。わたしは何か年もあなたに仕えてきて、一度もあなたのおきてに背いたことはありません。それでも、わたしには、わたしの友人たちと一緒に祝うために、やぎ一匹も下さったことがありません。

15:30 しかし、あなたの身代を売春婦たちと一緒に食いつぶした、このあなたの息子がやって来ると、あなたは彼のために肥えた子牛をほふられました』。

15:31 しかし、彼は彼に言った。『子よ、あなたはいつもわたしと一緒にいるし、わたしのものは全部、あなたのものです。

15:32 しかし、わたしたちは祝って喜ばないわけにはいかなかったのです。このあなたの弟が、死んでいたのに生き返ったのだから。失われていたのに見つかったのです』」。

ルカ 第16章↑

16:1 彼はまた、弟子たちに言った。「ある金持がいたが、彼には一人の家令がいた。彼の財産をこの者が浪費しているという告発が彼になされた。

16:2 彼は彼を呼んで彼言った。『わたしがあなたについて聞いているこのことは、どういうことなのか。あなたの家令職の会計報告を出しなさい。あなたはもうこの家を管理できないのです』。

16:3 その家令は自分の内で言った。『どうしようか。わたしの主人はわたしから家令職を取り上げるというのです。土を掘るほどの力はない。物ごいをするのは恥ずかしい。

16:4 どうすればよいかわかった。こうすれば、わたしが家令職から外された時、人々はわたしを自分たちの家に迎え入れてくれるだろう』。

16:5 自分の主人の借り主たちを一人ずつ呼び出して、最初の者に言った。『あなたは、わたしの主人にどのくらいの負債があるのか』。

16:6 彼は言った。『オリーブ油百バトです』。彼は彼に言った。『自分の証書を取りなさい。早く座って、五十と書きなさい』。

16:7 それから別の者に言った。『あなたの負債はどのくらいですか』。彼は言った。『小麦百コルです』。彼は彼に言った。『自分の証書を取って、八十と書きなさい』。

16:8 すると、主人はこの不義な家令が賢く行動したので、彼をほめた。というのは、この世の息子たちは、自分たちの世代に対して光の息子たちよりも賢いのだから。

16:9 わたしはあなたがたに言う。不義のマモンで自分のために友人たちを作りなさい。それが尽きたとき、彼らはあなたがたを世々の特質ある幕屋に迎え入れてくれるようにしなさい。

16:10 最も小さなことに忠実な者は、多くのことにも忠実です。最も小さなことに不義な者は、多くのことにも不義です。

16:11 だから、あなたがたが不義なマモンに関して忠実でなかったなら、誰があなたがたに真実のものを任せるだろうか。

16:12 あなたがたが他人のものに関して忠実でなかったなら、誰があなたがたにあなたがた自身のものを与えるだろうか。

16:13 どんな家僕も二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛するか、一方を重んじて他方をさげすむかのどちらかだからです。あなたがたは神とマモンに仕えることはできない」。

16:14 お金を愛するパリサイ人たちはこれらのすべてのことを聞いていたが、彼らは彼をあざ笑った。

16:15 彼は彼らに言った。「あなたがたは人々の前で自分を義とする者たちです。しかし、神はあなたがたの心を知っている。人々の間で高くされているものは、神の前では忌みきらわれるのだから。

16:16 律法と預言者たちとはヨハネに至るまでのものです。その時から、神の王国が宣べ伝えられ、すべての者がそれに無理に押し進んでいる。

16:17 しかし、律法の一画が落ちるよりは、天と地の過ぎ去るほうが易しいのです。

16:18 すべて自分の妻を解き放して他の女と結婚する者は、姦淫を犯すのです。夫から解き放された女と結婚する者は、姦淫を犯すのです。

16:19 さて、ある金持がいた。彼は紫の衣と細布を着て、毎日ぜいたくに遊び暮していた。

16:20 ところが、ラザロという名のある貧しい人が、彼の門のところに置かれ、でき物で覆われて

16:21 金持の食卓から落ちるもので腹を満たしたいと思っていた。その上、犬たちも来て、彼のでき物をなめていた。

16:22 その貧しい人は死んで、彼は使いの者たちによってアブラハムの懐に運び去られた。金持も死んで、葬られた。

16:23 墓の領域で試金石によってのように試されながら目を上げると、はるか遠くにいるアブラハムと、彼の懐にいるラザロとが見えた。

16:24 彼は叫んで言った。『父アブラハムよ、わたしをあわれんでください。そしてラザロをお遣わしになり、彼の指先を水に浸して、わたしの舌を冷やすようにさせてください。わたしはこの炎の中で苦しんでいるのだから』。

16:25 しかし、アブラハムは言った。『子よ、あなたは自分の生きている間に自分の良いものを受け、ラザロは同様に悪いものを受けたことを思い出しなさい。しかし、今ここでは、彼は慰められ、あなたは苦痛のうちにある。

16:26 そして、これらすべてに加えて、わたしたちとあなたがたとの間には大きな裂け目が設けられていて、ここからあなたがたのところに通って行こうと思う者たちもそれができず、そちらからわたしたちのところに渡って来られる者たちもできない』。

16:27 彼は言った。『それではお願いです、父よ、わたしの父の家に彼を遣わしてください。

16:28 わたしには兄弟が五人いますので、彼らもこの試金石によってのような試しの場所に来ることのないように、彼らに証言をしていただきたいのです』。

16:29 しかし、アブラハムは言った。『彼らにはモーセと預言者たちがいる。それに聞くがよい』。

16:30 しかし、彼は言った。『いいえ、父アブラハムよ。むしろ、誰かが死んだ者たちの中から彼らに行くなら、彼らは心変えるでしょう』。

16:31 しかし、彼は彼に言った。『彼らがモーセと預言者たちに聞かないなら、誰かが死んだ者たちの中から起き上がっても、彼らが説得されることはないだろう』」。

ルカ 第17章↑

17:1 彼は自分の弟子たちに言った。「つまずきのもとがやって来ないということはあり得ない。しかし、それが来るその経路となる人は災いです。

17:2 これら小さな者たちの一人をつまずかせるよりは、首に臼石をかけられて海に投げ込まれる方が、その者にとっては良いだろう。

17:3 自分自身に注意を払いなさい。あなたの兄弟が罪を犯したなら、彼を戒めなさい。そして心変えたら、赦してあげなさい。

17:4 彼が一日に七回あなたに対して罪を犯し、七回戻って来て、『心変えます』と言うなら、彼を赦してあげなさい」。

17:5 使徒たちが主に言った。「わたしたちにさらに信仰を与えください」。

17:6 主は言った。「もしあなたがたに一粒のからしの種ほどの信仰があるなら、この桑の木に、『根こそぎにされて、海に植えられよ』と言って、それはあなたがたに従うだろう。

17:7 あなたがたのうちの誰が、耕すか群れの番をする奴隷がいるとして、彼が畑から帰って来た時に、『すぐに来て食卓に着きなさい』と言うだろうか。

17:8 むしろ、『わたしが食事するために何か用意しなさい。帯を締めて、わたしが食べ飲み終わるまでわたしに仕えなさい。その後で、あなたは食べ飲みするがよい』と彼に言うのではないか。

17:9 その奴隷が命じられたことをしたからといって、彼は彼に感謝するだろうか。

17:10 同じように、あなたがたも、自分に命じられたことすべてをした時は、『わたしたちは何の役にも立たない奴隷です。わたしたちのしたことは、すべき事でした』と言いなさい」。

17:11 彼がエルサレムへ行く途中、サマリヤとガリラヤとの間を通り過ぎた。

17:12 彼がある村に入った時、十人のうろこ症人たちが彼に出会ったが、彼らは遠くに立っていた。

17:13 彼らは声を上げて言った。「師イエスよ、わたしたちをあわれんでください」。

17:14 彼は見ると、彼らに言った。「行って、自分を祭司たちに見せなさい」。すると、出かけて行く途中で、彼らは清められた。

17:15 彼らのうちの一人は、自分がいやされたのを見て、大声で神をたたえながら戻って来た。

17:16 彼の足もとにうつ伏して、彼に感謝をささげた。しかも、それはサマリヤ人であった。

17:17 イエスは答えて言った。「十人が清められたのではなかったか。しかし、あの九人はどこにいるのか。

17:18 神をたたえるために戻って来たのは、この他国人のほかには見いだせないのか」。

17:19 そして彼は彼に言った。「立ち上がって、行きなさい。あなたの信仰があなたを救ったのです」。

17:20 さて、神の王国はいつ来るのかをパリサイ人たちに尋ねられた時、彼は彼らに言った。「神の王国は、見られるかたちで来るものではない。

17:21 人々が、『見よ、ここだ』、『あそこだ』と言うこともない。というのは、見よ、神の王国はあなたがたの中にあるのです」。

17:22 彼は弟子たちに言った。「あなたがたが人の息子の日々を一日でも見たいと望む日々が来るが、見ることはない。

17:23 人々はあなたがたに、『見よ、あそこだ』、『見よ、ここだ』と言うだろう。行ってはならない。後を追いかけてはならない。

17:24 稲妻がそのひらめきによって、天の下の一ところから天の下の別のところに輝きわたるように、人の息子も自分の日にはそのようだからです。

17:25 しかし、彼はまず多くの苦しみを受け、この世代から退けられなければならない。

17:26 ノアの日々にあったように、人の息子の日々においてもそのようになるだろう。

17:27 ノアが箱舟に入る日まで、人々は食べたり飲んだり、めとったり嫁いだりしていたが、洪水が来て、彼らすべてを滅ぼした。

17:28 同じように、ロトの日々にあったように、人々は食べたり飲んだり、買ったり売ったり、植えたり建てたりしていた。

17:29 しかし、ロトがソドムから出て行ったその日に、火と硫黄が天から降ってきて、彼らすべてを滅ぼした。

17:30 人の息子が現れる日にも、ちょうどそれと同様だろう。

17:31 その日には、屋上にいる者は、家の中に自分の持ち物があっても、それらを取りに降りてはいけない。畑にいる者も同じように、後ろを振り向いてはいけない。

17:32 ロトの妻を思い出しなさい。

17:33 自分の魂を救おうと努める者はそれを滅ぼし、滅ぼす者はそれを保つのです。

17:34 あなたがたに言っておく。その夜、二人の人が一つの寝台にいるだろう。一方は取り去られ、他方は残される。

17:35 二人の女がうすをひいているだろう。一人は取り去られ,一人は残される」。

17:36 〔無し〕

17:37 彼らは答えて彼に言った。「主よ、どこでですか」。彼は彼らに言った。「どこでも体のあるところ、そこにワシたちも集まるだろう」。

ルカ 第18章↑

18:1 また、彼はいつも祈っていなければならず、失望してはならないことを、彼らにたとえで話して

18:2 言った。「ある町に、神を恐れず、人を敬わないある裁判官がいた。

18:3 その町には一人のやもめがいて、彼のもとに来て、『わたしを訴える者に対してわたしが公正な裁きを得られるようにしてください』と言っていた。

18:4 彼は、しばらくの間はそうしようとはしなかったが、その後になって自分に言った。『わたしは神を恐れず、人を敬わないが、

18:5 このやもめがわたしを煩わすので、彼女が公正な裁きを得られるようにしてやろう。そうしないと、彼女は絶え間なくやって来て、わたしを疲れ果てさせるだろう』」。

18:6 主は言った。「この不義な裁判官の言うことを聞きなさい。

18:7 まして神は、昼も夜も自分に向かって叫んでいる、自分の選ばれた者たちのために公正な裁きが行なわれるようにしてくださらないだろうか。彼は彼らに対して忍耐している。

18:8 わたしはあなたがたに言う。神は彼らのために速やかに公正の裁きが行なわれるようにしてくださるのです。しかし、人の息子が来る時、地上に信仰を見いだすだろうか」。

18:9 彼はまた、自分が義であると自分自身に信頼し、残りの者たちをさげすんでいたある人々に対して、このたとえを語った。

18:10 「二人の人が祈るために神殿に上って行った。一人はパリサイ人で、他の一人は取税人でした。

18:11 パリサイ人は立って、自分の中でこのように祈った。『神よ、わたしが残りの人々、すなわち、奪い取る者たち、不義の者たち、姦淫を犯す者たちのようでなく、さらにはこの取税人のような者でもないことを、あなたに感謝します。

18:12 わたしは安息日に二度断食しています。自分の得るすべての物の十分の一を納めています』。

18:13 しかし、取税人は、遠くに立ち、目を天に上げようともせず、自分の胸を打ちながら言った。『神よ、罪人のわたしに対してなだめとなってください』。

18:14 わたしはあなたがたに言う。この者は、あの者より義とされて自分の家に下って行った。誰でも自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるのです」。

18:15 人々はまた、彼に触ってもらおうとして、赤子たちを彼のもとに連れて来ていた。しかし、弟子たちはそれを見て、彼らをしかりつけた。

18:16 イエスは彼らを呼び寄せて言った。「小さい子供たちがわたしのところに来るままにしておきなさい。彼らをとどめてはいけない。神の王国はこのような者たちのものだからです。

18:17 まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。神の王国を小さい子供のように受け入れない者は、決してその中に入ることはない」。

18:18 ある支配者が彼に尋ねて言った。「良い先生、世々の特質ある命を受け継ぐためには、何をしたらよいでしょうか」。

18:19 イエスは彼に言った。「なぜ、わたしを良いと言うのか。ただひとり、神以外には、誰も良い者はいない。

18:20 あなたは戒めを知っている。『姦淫するな』、『殺人を犯すな』、『盗むな』、『偽証するな』、『あなたの父と母とを敬え』」。

18:21 彼は言った。「わたしはそれらをみな若い時から守ってきました」。

18:22 それを聞いてから、イエスは彼に言った。「あなたにはまだ一つのことが足りない。持ち物をすべて売り、貧しい人々に配りなさい。そうすれば、天に宝を持つことになる。そして来て、わたしについて来なさい」。

18:23 しかし、彼はこれらの事を聞いて非常に悲しんだ。彼は大金持であったからである。

18:24 彼の様子を見て、イエスは言った。「富を持っている者たちが神の王国に、何と苦労して入るだろう。

18:25 金持が神の王国に入るよりは、らくだが針の穴を通る方が易しいのです」。

18:26 聞いている人たちは言った。「それでは、誰が救われることができるのだろう」。

18:27 しかし彼は言った。「人々にはできない事も、神にはできる」。

18:28 ペテロが言った。「ご覧ください、わたしたちは自分の物を後にして、あなたについて来ました」。

18:29 彼は彼らに言った。「まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。神の王国のために、家、あるいは妻、あるいは兄弟たち、あるいは両親、あるいは子供たちを後にする者で、

18:30 この時節に何倍も受け、また来たるべき世では世々の特質ある命を受けない者は決してない」。

18:31 彼は十二人を呼び寄せて、彼らに言った。「見よ、わたしたちはエルサレムへ上って行く。そして、人の息子について、預言者たちを通して書かれたことは、すべて成し遂げられるだろう。

18:32 彼は諸国の者たちに引き渡され、あざけられ、ひどい扱いを受け、つばをかけられる。

18:33 彼らは彼をむち打ち、殺すだろう。三日目に彼は起き上がるだろう」。

18:34 彼らはこれらのことを何も理解しなかった。この言葉は彼らから隠されていて、彼らは言われたことが分かっていなかった。

18:35 彼がエリコに近づいていた時のこと、ある盲人が道ばたに座って物ごいをしていた。

18:36 彼は、群衆が通り過ぎるのを聞いて、これは何事かと尋ねた。

18:37 彼らは、ナザレのイエスが通って行くのだと彼に告げた。

18:38 すると、彼は叫んで言った。「ダビデの息子イエスよ、わたしをあわれんでください」。

18:39 先を行く者たちが彼をしかりつけ、黙らせようとしたが、彼はますます叫んだ、「ダビデの息子よ、わたしをあわれんでください」。

18:40 イエスは立ち止まって、彼に命じ、彼を連れて来るようとした。彼が近づいて来ると、イエスは彼に尋ねた、

18:41 「わたしに何をして欲しいのか」。彼は言った。「主よ、また見えるようになることです」。

18:42 イエスは彼に言った。「見えるようになりなさい。あなたの信仰があなたを救った」。

18:43 すると彼は、たちまち見えるようになった。神をたたえながらイエスについて行った。それを見て、民はすべて神をたたえた。

ルカ 第19章↑

19:1 さて、彼はエリコに入り、通っていた。

19:2 すると見よ、ザアカイという名の人がいた。彼は収税人の長であった。そして、彼は金持であった。

19:3 彼はイエスがどんな人か見ようとしたが、群衆のためにできなかった。背が低かったからである。

19:4 そこで、前方に走って行き、彼を見るためにいちじく桑の木に登った。彼がそこを通るところだったからである。

19:5 イエスはその場所に来ると、彼を見上げて、彼に言った。「ザアカイよ、急いで降りて来なさい。わたしは今日、あなたの家に泊まらなければならないのだから」。

19:6 彼は急いで降りて来て、喜んで彼を迎えた。

19:7 それを見ると、みんなは不平を言った。「彼は罪人である男のところに入って宿を取った」。

19:8 ザアカイは立ち上がって主に言った。「ご覧ください、主よ、わたしは自分の持ち物の半分を貧しい人々に与えます。誰かから何かを不正に取り立てていたなら、四倍にして返します」。

19:9 イエスは彼に言った。「今日、救いがこの家に来た。この人もアブラハムの息子なのだから。

19:10 人の息子は、失われたものを捜し出し、それを救うために来たのです」。

19:11 彼らがこれらのことを聞いているときに、彼は続けて一つのたとえを話した。彼がエルサレムに近づいていて、彼らは神の王国がすぐに現れると思っていたからである。

19:12 それで彼は言った。「ある身分の高い人が、王国を受けて戻るために、遠い土地に出かけた。

19:13 彼は自分の十人の奴隷たちを呼び、彼らに十枚のミナを渡して、彼らに言った。『わたしが来るまで商売をしなさい』。

19:14 しかし彼の国民たちは彼を憎んでいたので、彼の後から使者を遣わして、『わたしたちはこの人が自分たちを支配することを望みません』と言った。

19:15 「彼は王国を受けて帰って来ると、銀を渡しておいたそれらの奴隷たちを呼び寄せるように言った。彼らが商売をして何をもうけたかを知るためでした。

19:16 最初の者が出て来て言った。『ご主人様、あなたの一ミナはさらに十ミナを作り出しました』。

19:17 彼は彼に言った。『よくやった、良い奴隷よ。あなたは最も小さなことに忠実であったから、十の町に対する権威を持ちなさい』。

19:18 二番目の者が来て言った。『主よ、あなたの一ミナは五ミナを作り出しました』。

19:19 そこで彼はこの者にも言った。『あなたも五つの町を治めなさい』。

19:20 別の者が来て言った。『ご主人様、ご覧ください、あなたの一ミナです。ハンカチに包んで、しまっておきました。

19:21 わたしはあなたが恐かったのです。あなたは厳しい方ですから。預けなかったものを取り立て、まかなかったものを刈り取られるのです』。

19:22 彼は彼に言った。『あなたの口からあなたを裁く、邪悪な奴隷よ。あなたはわたしが厳しい者で、預けなかったものを取り立て、まかなかったものを刈り取ることを知っていた。

19:23 それではなぜ、わたしの銀を銀行に預けなかったのか。そうすれば、わたしが帰って来た時、それを利子と一緒に集めたであろうに』。

19:24 そして、彼はそばに立っている者たちに言った。『そのミナを彼から取り上げて、十ミナを持っている者に与えなさい』。

19:25 彼らは彼に言った。『ご主人様、彼は十ミナを持っています』。

19:26 『わたしはあなたがたに言う。すべて持っている者には与えられる。しかし、持っていない者からは、持っているものまでも取り上げられるだろう。

19:27 しかし、わたしがその上で支配することを望まなかった、あのわたしの敵たちをここに連れ出して、わたしの前で殺せ』」。

19:28 これらのことを言ってから、彼は先に立って進み、エルサレムに上って行った。

19:29 そしてオリブと呼ばれる山に沿ったベテパゲとベタニヤに近づいた時、彼は弟子たちのうちの二人を遣わして、

19:30 言った。「向こう側の村に行きなさい。そこに入ると、誰も乗ったことのない子ろばがつないであるのが見つかるだろう。それを解いて、連れて来なさい。

19:31 もし誰かがあなたがたに、『なぜそれを解いているのか』と尋ねるなら、『主がこれを必要としているのです』と、そう言いなさい」。

19:32 遣わされた者たちは出て行き、彼が自分たちに言ったとおりのことを見つけた。

19:33 彼は子ろばを解いていると、その持ち主たちが彼らに言った。「なぜ子ろばを解いているのか」。

19:34 彼らは言った。「主がこれを必要とされているのです」。

19:35 彼らはそれをイエスのところに連れて来た。子ろばの上に自分たちの衣を投げかけて、イエスをその上に座らせた。

19:36 彼が進んで行くと、人々は自分たちの衣を道に敷いた。

19:37 彼がオリブ山の下り坂にすでに近づくと、弟子たちの群れ全体は、自分たちが見たすべての力ある業のことで喜び、大声で神を賛美し始めて

19:38 言った。「主のみ名において来る者は祝福されている者です。天には平和、いと高き所には栄光あれ」。

19:39 すると、パリサイ人のある者たちが群衆の中から彼に言った。「先生、あなたの弟子たちをしかってください」。

19:40 彼は答えて言った。「わたしはあなたがたに言う。これらの者が黙っているなら、石が叫ぶだろう」。

19:41 そして彼は近づくと、都を見てそのために泣いて

19:42 言った。「もしあなたが、まさにあなたが、この日に、平和をもたらす事を知っていたなら。しかし今、それらはあなたの目から隠されている。

19:43 あなたには日々が来るのだから。すなわち、あなたの敵たちはあなたに対して塁壁を築き、あなたを包囲して四方から押し迫り、

19:44 あなたとあなたの中にいるあなたの子供たちを地面に打ち倒すだろう。彼らはあなたの中で、石をほかの石の上に残しておくことはないだろう。それは、あなたが自分の訪れの時節を知らなかったのだから」。

19:45 彼は神殿に入り、物を売っている者たちを追い出し始め、

19:46 彼らに言った。「『わたしの家は祈りの家だ』と書いてあるのに、あなたがたはそれを強盗の洞くつにしてしまった」。

19:47 彼は神殿で毎日教えていたが、祭司長たちと書記官たち、および民の主立った者たちは、彼を滅ぼそうとした。

19:48 しかし、どうすればよいか分からなかった。民はみな、彼の語ることを聞こうとして、彼に付きまとっていたからである。

ルカ 第20章↑

20:1 彼が神殿で民を教え、良い知らせを宣べ伝えているある日のこと、祭司長たちと書記官たちが長老たちと共に近づいてきた。

20:2 彼らは彼に話しかけて言った。「わたしたちに言いなさい。あなたは何の権威によってこれらの事をするのか。また、誰がその権威をあなたに与えたのか」。

20:3 彼は答えて彼らに言った。「わたしもあなたがたに一つのことを尋ねよう。わたしに言いなさい。

20:4 ヨハネのバプテスマは天からのものだったか、それとも人々からのものだったか」。

20:5 彼らは互いに論じ合って言った。「もし天からだと言えば、彼は『それでは、なぜ彼を信じなかったのか』と言うだろう。

20:6 しかし、もし人々からだと言えば、民はみな、わたしたちを石打ちにするだろう。彼らはヨハネが預言者だと確信しているのだから」。

20:7 そこで彼らは、どこからのものかわからないと答えた。

20:8 すると、イエスは彼らに言った。「わたしも、何の権威によってこれらの事をするのかをあなたがたに言わない」。

20:9 彼は民にこのたとえを言い始めた。「ある人がぶどう園を造り、それを農夫たちに貸して、長い間の旅に出かけた。

20:10 時節が来た時、彼は一人の奴隷を農夫たちのところに遣わした。彼らがぶどう園の実りのいくらかを彼に与えるためです。しかし、農夫たちは彼を打ちたたき、から手で送り返した。

20:11 彼はさらに別の奴隷を送ったが、彼らはその者を打ちたたき、侮辱して、から手で送り返した。

20:12 彼はさらに三人目の者を送ったが、彼らはその者に傷を負わせて追い出した。

20:13 ぶどう園の主人は言った。『どうしようか。わたしの愛する息子を送ろう。おそらく、この者なら敬うだろう』。

20:14 しかし、農夫たちは彼を見て、互いに論じ合って言った。『これは相続人だ。彼を殺して、相続財産は我々の物になるのだ』。

20:15 そして彼らは彼をぶどう園の外に追い出して殺した。それで、ぶどう園の主人は彼らにどうするだろうか。

20:16 彼はやって来てそれらの農夫たちを滅ぼし、そのぶどう園をほかの者たちに与えるだろう」。それを聞くと彼らは言った。「そんなことがあってはならない」。

20:17 しかし彼は彼らを見つめて言った。「では、こう書いてあるのはどういうことか。『建築者たちが捨てた石、それが隅のかしらになった』。

20:18 この石の上に落ちる者は皆、粉々になるだろう。それが誰かの上に落ちれば、彼をもみ殻のようにまき散らす」。

20:19 書記官たちと祭司長たちは、その時に、彼に手をかけようとしたが、民を恐れた。彼らは彼がこのたとえを彼らに当てて話したことを知っていたからである。

20:20 彼らは彼の様子をうかがって、義人のふりをしたスパイたちを遣わした。彼の言葉じりを捕らえて、総督の支配と権威に彼を引き渡すためであった。

20:21 彼らは彼に尋ねて言った。「先生、わたしたちはあなたが正しく語り、教えて、人の顔を見ないで、かえって真理に基いて神の道を教えられることを知っています。

20:22 カイザルに税を払うことは許されているでしょうか、許されていないでしょうか」。

20:23 しかし彼は、彼らのずる賢さに気づいて、彼らに言った。

20:24 「デナリをわたしに見せなさい。それには誰の肖像と銘があるのか」。彼らは答えて言った。「カイザルのです」。

20:25 すると彼は彼らに言った。「それでは、カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」。

20:26 彼らは民の前でこの言葉じりを捕らえることができなかった。彼の答えに驚いて、黙ってしまった。

20:27 復活はないと言っているサドカイ人たちのある者たちが近づいてきた。彼らは彼に尋ねて

20:28 言った。「先生、モーセはわたしたちに、『もし誰かの兄弟が妻を持っていて死に、この者に子供がなかったなら、彼の兄弟がその妻を迎え、自分の兄弟のために子孫を起こさなければならない』と書きました。

20:29 ところで、七人の兄弟がいました。最初の者が妻を迎えましたが、子供のないまま死にました。

20:30 そして二番目、

20:31 そして三番目が彼女を迎えました。同じように七人とも子供たちを残さずに死にました。

20:32 その後、その女も死にました。

20:33 それで、復活において、彼女は彼らのうち誰の妻になるのですか。その七人が彼女を妻として得たのですから」。

20:34 イエスは彼らに言った。「この世の息子たちは、めとったり嫁いだりしている。

20:35 しかし、かの世と死んだ者たちの中からの復活とを得るのにふさわしいとされた者たちは、めとることも嫁ぐこともない。

20:36 彼らはもはや死ぬことはあり得ないのだから。彼らは使いの者たちに等しいものであり、また復活の息子たちとして神の息子たちなのです。

20:37 しかし、死んだ者たちが起こされることについては、モーセもいばらの茂みに関する記述の中で、主を『アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神』と呼んでいます。

20:38 この方は死んだ者たちの神ではなく、生きている者たちの神なのです。その方にとってはすべての者が生きているのです」。

20:39 書記官たちのある者たちが答えて言った。「先生、よく言われました」。

20:40 彼らは彼にこれ以上あえて何かを尋ねることはなかった。

20:41 彼は彼らに言った。「どうして彼らはキリストがダビデの息子だと言うのか。

20:42 ダビデ自身が詩篇の書の中で言っている。『主はわたしの主に言われた、「わたしの右に座っていなさい。

20:43 わたしがあなたの敵たちをあなたの足の足台として据えるまで」』。

20:44 それで、ダビデが彼を主と呼んでいるのなら、どうして彼はダビデの息子なのか」。

20:45 すべての民が聞いているとき、彼は弟子たちに言った。

20:46 「書記官たちに用心しなさい。彼らが好むのは、長い外套を着て歩き回ることであり、彼らが愛しているのは、市場であいさつされること、そして会堂での上席や宴会での上座です。

20:47 彼らはやもめたちの家々を食い尽くし、見せかけのために長い祈りをする者たちです。これらの者たちはより重い裁きを受けるだろう」。

ルカ 第21章↑

21:1 彼は目を上げて、金持たちが宝物庫に彼らのささげ物を投げ入れるのを見た。

21:2 また、ある貧しいやもめが、そこにレプタ二つを投げ入れるのを見た。

21:3 そして、彼は言った。「まことをもって、あなたがたに言っておく。この貧しいやもめは、すべての人たちよりも多くを投げ入れたのです。

21:4 これらの者はみな自分のあり余る中からささげ物を投げ入れたが、彼女は,自分の乏しい中から、自分の持っている暮らしのもとを全部投げ入れたのだから」。

21:5 ある者たちが、神殿について、それが美しい石や奉納物で飾られていることを話していると、彼は言った。

21:6 「あなたがたが見ているこれらのものについては、石が石の上に残されて崩されないでいることはない日々が来る」。

21:7 彼らは彼に尋ねて言った。「先生、それでは、これらの事がいつあるのでしょうか。また、これらの事が起きるときのしるしは何ですか」。

21:8 彼は言った。「あなたがたは道迷わされないように注意しなさい。多くの者がわたしの名においてやって来て、『わたしがその者だ』、また『その時節が近づいた』と言うだろう。彼らについて行ってはならない。

21:9 またあなたがたは、戦争と動乱のことを聞く時、おびえてはいけない。これらのことはまず起こらなければならないが、終結はすぐには来ないのだから」。

21:10 それから、彼は彼らに言った。「国民は国民に、王国は王国に向かって立ち上がるだろう。

21:11 あちこちで大きな地震やききんや疫病がある。また恐ろしい光景や天からの大いなるしるしがある。

21:12 しかし、これらのすべてのことの前に、人々はあなたがたに彼らの手をかけ、迫害し、会堂や獄に引き渡し、わたしの名のゆえに王たちや総督たちの前に引き出すだろう。

21:13 それはあなたがたにとって証しの機会となるだろう。

21:14 だから、どのように弁明しようかと前もって考えないよう心に決めなさい。

21:15 わたしがあなたがたに、あなたがたの反対者たち全員が抵抗も反論もできないような口と知恵を与えるのだから。

21:16 あなたがたは、両親、兄弟たち、親族たち、友人たちからさえ引き渡されるだろう。彼らは、あなたがたのうちのある者たちを死に渡すだろう。

21:17 あなたがたはわたしの名のゆえにすべての者たちから憎まれるだろう。

21:18 それでも、あなたがたの頭の毛一本も決して滅びることはない。

21:19 あなたがたは自分の忍耐によって自分の魂を獲得しなさい。

21:20 しかし、エルサレムが軍隊に包囲されているのを見るなら、その時、その荒廃が近づいたことを知りなさい。

21:21 その時、ユダヤにいる者たちは山に逃げなさい。都の中にいる者たちは立ち去りなさい。田舎にいる者たちは、都に入ってはいけない。

21:22 これらは、書かれているすべてのことが成就される報復の日々だからです。

21:23 それらの日には、身ごもっている者たちと乳を飲ませている者たちは災いです。この地には非常な窮乏があり、この民に対しては憤りがあるのだから。

21:24 彼らは剣の刃に倒れ、とりことしてあらゆる国民の所へ引いて行かれるだろう。エルサレムは、諸国の民々の時節が満たされるまで、諸国の民々によって踏みつけられるだろう。

21:25 そして、太陽と月と星々にしるしがあるだろう。地上では、諸国の民々が悩み、海と大波とのとどろきにおじ惑い、

21:26 人々は恐れのゆえ、また世界に臨もうとしている事柄についての予想のゆえに、気を失うだろう。天々にあるもろもろの力が揺り動かされるのだから。

21:27 その時、彼らは、人の息子が大いなる力と栄光をもって雲のうちに来るのを見るだろう。

21:28 しかし、これらのことが起こり始めたなら、身をまっすぐに起こして頭を上げなさい。あなたがたの救出が近づいているのだから」。

21:29 彼は彼らに一つのたとえを話した。「いちじくの木とすべての木を見なさい。

21:30 すでに葉を出すと、あなたがたはそれを見て、もう夏が近いことを自分で知る。

21:31 このようにあなたがたも、これらのことが起こるのを見たなら、神の王国が近いことを知りなさい。

21:32 まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。これらのすべてのことが起こるまでは、この世代は決して過ぎ去らない。

21:33 天と地は過ぎ去るだろう。しかし、わたしの言葉は決して過ぎ去らないのです。

21:34 しかし、自分自身に注意を払いなさい。そうでないと、飲み騒ぎや泥酔や生活の思い煩いであなたがたの心が鈍くなり、その日が急にあなたがたに臨むことになるだろう。

21:35 それは全地の表に住むすべての者たちに、わなのように臨むのだから。

21:36 すべての時節に目を覚まして祈りなさい。それは、あなたがたが起ころうとしているこれらすべてのことを逃れ、人の息子の前に立つことができるように」。

21:37 彼は昼の間は神殿で教え、夜には出て行って、オリブと呼ばれる山で夜を過ごしていた。

21:38 民はみな、彼の言うことを聞くために、朝早くから、神殿にいる彼のもとに来た。

ルカ 第22章↑

22:1 さて、過ぎ越しと呼ばれる除酵祭が近づいていた。

22:2 祭司長たちと書記官たちは、どうしたら彼を殺すことができるかを探り求めていた。彼らは民を恐れていたからです。

22:3 しかし、サタンが、十二人の中に数えられていた者で、イスカリオテと呼ばれていたユダに入った。

22:4 彼は出て行き、祭司長たちや指揮官たちと、どのようにして彼を彼らに引き渡せるかについて話し合った。

22:5 すると彼らは喜び、彼に銀を与えることに同意した。

22:6 彼は承諾し、群衆のいないときに彼を彼らに引き渡す機会を探り求めた。

22:7 さて、過ぎ越しのいけにえをほふるべき除酵祭の日が来た。

22:8 そこで、彼はペテロとヨハネを遣わして言った。「行って、わたしたちが食事できるように、わたしたちのために過ぎ越しを用意しなさい」。

22:9 彼らは彼に言った。「どこに用意をすることを望んでいますか」。

22:10 彼は彼らに言った。「見よ、あなたがたが市内に入ると、水がめを運んでいる人があなたがたに出会うだろう。彼について行き、彼の入る家に行きなさい。

22:11 その家の主人に言いなさい。『先生が、「わたしがわたしの弟子たちと共に過ぎ越しの食事をする客室はどこか」と言っています』。

22:12 その者はあなたがたに、整えられた大きな階上の部屋を見せてくれるだろう。そこで用意をしなさい」。

22:13 彼らは出て行き、彼が自分たちに言ったとおりのことを見いだした。それで彼らは過ぎ越しの用意をした。

22:14 その時間になると、彼は食卓に着いた。使徒たちは彼と共にいた。

22:15 彼は彼らに言った。「わたしは、自分が苦しみを受ける前に、あなたがたと一緒にこの過ぎ越しの食事をすることを切に望んでいた。

22:16 わたしはあなたがたに言うが、神の王国でこれが成就されるまで、わたしは決してこの食事をすることはないからです」。

22:17 そして、彼は杯を受け取り、感謝をささげて言った。「これを取って、互いに分け合いなさい。

22:18 わたしはあなたがたに言うが、今からのち神の王国が来るまで、わたしは決してぶどうの木の産物を飲むことはないからです」。

22:19 また、彼はパンを取り、感謝をささげ、それを裂き、彼らに与えて言った。「これはあなたがたのために与えられるわたしの体です。わたしの思い出として、これを行ないなさい」。

22:20 同じように、食事した後、彼は杯を取って言った。「この杯は、あなたがたのために流されるわたしの血による新しい契約です。

22:21 しかし、見よ、わたしを引き渡す者の手が、わたしと共に食卓にある。

22:22 確かに人の息子は定められたことにしたがって去って行くのだから。しかし、彼を引き渡すその人は災いです」。

22:23 すると彼らは、自分たちのうちの誰がそんなことをしようとしているのか、互いに論じ始めた。

22:24 しかし彼らの間では、自分たちの中で誰が一番偉いと思われるかに関する争論も生じた。

22:25 彼は彼らに言った。「諸国の民々の王たちは彼らに対して威張り、彼らの上に権威のある者たちは恩人と呼ばれている。

22:26 しかし、あなたがたはそうではない。むしろ、あなたがたの間で一番偉い者は一番若い者のように、指導する者は仕える者のようになりなさい。

22:27 というのは、食卓に着いている者と仕える者では、どちらが偉いのか。食卓に着いている者ではないか。しかし、わたしは仕える者としてあなたがたの中にいる。

22:28 しかし、あなたがたはわたしの試練のときに、わたしと共にいてくれた者たちです。

22:29 わたしの父がわたしに王国を授けてくださったように、わたしもあなたがたに授ける。

22:30 あなたがたがわたしの王国で、わたしの食卓に着いて食べたり飲んだりするためです。あなたがたは位に座して、イスラエルの十二部族を裁くだろう。

22:31 シモン、シモン、見よ、サタンは、あなたがたを小麦のようにふるいにかけることを要求した。

22:32 しかし、わたしはあなたの信仰がなくならないように、あなたのために願った。あなたは、立ち返ったときには、あなたの兄弟たちを確立しなさい」。

22:33 しかし、彼は彼に言った。「主よ、わたしは、獄にも、死に至るまでも、あなたと一緒に行く覚悟しています」。

22:34 彼は言った。「ペテロよ、わたしはあなたに言っておく。あなたが三度わたしを知っていることを否認するまでは、今日、おんどりが鳴くことはないだろう」。

22:35 彼は彼らに言った。「わたしがあなたがたを、財布も袋もサンダルも持たせずに遣わした時、何かに不足したか」。彼らは言った。「何もありませんでした」。

22:36 すると彼は彼らに言った。「しかし今は、財布のある者はそれを取り、袋も同じようにしなさい。何も持っていない者は、自分の衣を売って、剣を買いなさい。

22:37 わたしはあなたがたに言うが、『彼は不法な者たちと共に数えられた』と書かれているこのことは、わたしにおいて成し遂げられねばならないのです。わたしに関することは終結があるのだから」。

22:38 彼らは言った。「主よ、ご覧ください。ここに剣が二振りあります」。彼は彼らに言った。「それで十分です」。

22:39 彼は出て来て、習慣どおりに、オリブ山に行った。弟子たちも彼について行った。

22:40 その場所に来ると、彼は彼らに言った。「あなたがたは試みに陥らないように、祈っていなさい」。

22:41 彼は彼らから石を投げて届くほどの所に退き、ひざまずいて祈って

22:42 言った。「父よ、もしあなたの望まれることなら、この杯をわたしから取り除いてください。それでも、わたしの意志ではなく、あなたのご意志がなされますように」。

22:43 天から一人の使いの者が彼に現われ、彼を強めた。

22:44 彼は苦しみもだえ、ますます熱烈に祈った。彼の汗は血の滴りのようになって地面に落ちた。

22:45 祈りから起き上がり、弟子たちのところに行くと、彼らが悲しみのはて眠り込んでいるのを見いだした。

22:46 彼は彼らに言った。「なぜあなたがたは眠っているのか。試みに陥らないように、起きて祈っていなさい」。

22:47 彼がまだ話しているうちに、見よ、群衆が現われた。そして、十二人の一人でユダという者が彼らの先頭に立っていた。そして彼はイエスに近づいてきて、彼を口づけをしようとした。

22:48 しかしイエスは彼に言った。「ユダ、あなたは口づけで人の息子を引き渡すのか」。

22:49 彼の周りにいた者たちは、起きようとしていることを見て、「主よ、剣で撃ちましょうか」と言った。

22:50 彼らのうちのある者が、祭司長の奴隷に撃ちかかり、彼の右耳を切り落とした。

22:51 しかしイエスは答えて言った。「それまでに許しなさい」。そして、その耳を触って、彼をいやした。

22:52 イエスは、自分に向かって来た祭司長たち、神殿の指揮官たち、および長老たちに言った。「あなたがたは強盗に対するのように、剣とこん棒を持って出て来たのか。

22:53 わたしは毎日あなたがたと一緒に神殿にいた時には、あなたがたはわたしに向かって手を出さなかった。しかし、これはあなたがたの時、また、闇の権威です」。

22:54 彼らは彼を捕まえて、引いて行き、祭司長の家に連れて行った。しかしペテロは遠くからついて行った。

22:55 人々は中庭の真ん中に火をたいて一緒に座ったので、ペテロも彼らの中に座った。

22:56 ある若い女中が、彼が明るいところに座っているのを見、彼をじっと見つめて言った。「この者も彼と一緒にいました」。

22:57 彼は否認して言った。「女よ、わたしは彼を知らない」。

22:58 しばらくして、別の者が彼を見て言った。「あなたも彼らの一人だ」。しかしペテロは言った。「人よ、わたしはそうではない」。

22:59 約一時間たってから、ほかのある者が言い張った。「確かにこの者も彼と一緒にいた。この者もガリラヤ人だから」。

22:60 しかしペトロは言った。「人よ、わたしはあなたの言っていることがわからない」。すぐに、彼がまだ話しているうちに、おんどりが鳴いた。

22:61 主は振り返ってペテロを見つめた。ペテロは、「おんどりが鳴く前に、あなたは三度わたしを否認するだろう」と、主が自分に言った言葉を思い出した。

22:62 そして彼外に出て、激しく泣いた。

22:63 彼を拘留していた男たちは、彼を嘲弄し、打ちたたいた。

22:64 そして、彼らは彼に目隠しをし、尋ねて言った。「預言せよ。あなたを打ったのは誰か」。

22:65 彼らは、彼に対してほかの多くのことを言って、冒とくした。

22:66 朝になると、民の長老たちの会は、祭司長たちも書記官たちも共に集まり、彼を彼らのサンヘドリンに引いて行って、

22:67 言った。「もしあなたがキリストなら、わたしたちに言いなさい」。しかし彼は彼らに言った。「わたしがあなたがたに言っても、あなたがたは決して信じないだろう。

22:68 またわたしが尋ねても、あなたがたは決して答えないだろう。

22:69 しかし、今からのち、人の息子は神の力の右に座るだろう」。

22:70 彼らはみな言った。「それでは、あなたは神の息子なのか」。彼は彼らに言った。「わたしはそうだとは、あなたがたが言っている」。

22:71 彼らは言った。「どうしてこれ以上証言が必要だろうか。わたしたち自身が彼の口から聞いたのだから」。

ルカ 第23章↑

23:1 彼らの群衆はみなが立ち上がり、彼をピラトのところへ連れて行った。

23:2 彼らは彼を訴え始めて言った。「わたしたちは、この者がわたしたちの国民を惑わし、カイザルに税を払うのを禁じ、また、自分がキリスト、王であると言っているのを見いだしました」。

23:3 ピラトは彼に尋ねて言った。「あなたはユダヤ人の王なのか」。彼は彼に答えて言った。「あなたがそう言っている」。

23:4 ピラトは祭司長たちと群衆に言った。「わたしはこの人に訴える根拠を何も見いださない」。

23:5 しかし彼らは言い張った。「彼は、ユダヤ全国にわたって教え、民を扇動しているのです。しかもガリラヤから始めてここまで来たのです」。

23:6 ピラトはこれを聞いて、この人はガリラヤ人かと尋ねた。

23:7 彼がヘロデの管轄内にあると知ると、彼は彼をヘロデのもとに送った。彼もその日々にエルサレムにいたのである。

23:8 ヘロデは、イエスを見ると非常に喜んだ。彼についてのことを聞いていたので、長い間、彼を見たいと思っていたからである。彼が何かしるしを行なうのを見たいと望んでいた。

23:9 彼は多くの言葉で質問したが、彼は彼に何も答えなかった。

23:10 祭司長たちと書記官たちが立って、激しく彼を訴えていた。

23:11 ヘロデも自分の兵士たちと一緒に彼をけなし、嘲弄した。鮮やかな衣を着せて、彼をピラトのところに送り返した。

23:12 ヘロデとピラトは、以前は互に敵視していたが、この日に互いに友人になった。

23:13 ピラトは祭司長たちと支配者たちと民を呼び、

23:14 彼らに言った。「あなたがたは、民を惑わす者として、この人をわたしのところに連れて来た。見よ、わたしはあなたがたの前で取り調べたが、あなたがたが彼に訴えていることについて、この人にはその根拠を何も見いだせなかった。

23:15 ヘロデも同じです。彼は彼をわたしたちのところに送り返してきたのだから。見よ、彼は死に値することを何もしていない。

23:16 だから、わたしは彼を懲戒して釈放することにする」。

23:17 〔無し〕

23:18 しかし彼らはいっせいに叫んで言った。「この者を取り除け。我々にはバラバを釈放しろ」。

23:19 この者は、都で起こったある暴動と殺人のかどで、獄に投ぜられていたのである。

23:20 ピラトは、イエスを釈放したいと思って、再び彼らに呼びかけた。

23:21 しかし彼らは叫んで言った。「はりつけにしろ。彼をはりつけにしろ」。

23:22 彼は三度目に彼らに言った。「この者がどんな悪事をしたというのか。わたしは彼に死刑の理由を何も見いださなかった。だから、わたしは彼を懲戒して釈放することにする」。

23:23 しかし、彼らは大声をあげて詰め寄り、彼をはりつけにするように求めた。彼らの声が優勢になった。

22:24 ピラトは彼らの要求が実現されるように決定した。

23:25 暴動と殺人のかどで獄に投ぜられた者、彼らが求めていた者を釈放し、イエスを彼らの意向に引き渡した。

23:26 彼らは彼を引いて行く時、田舎から出て来たクレネのシモンを捕まえ、彼に十字架を負わせ、イエスの後ろから運ばせた。

23:27 民の大群衆と、彼のために嘆き悲しむ女たちが、彼について行った。

23:28 しかしイエスは、彼女たちのほうに振り向いて言った。「エルサレムの娘たちよ、わたしのために泣いてはいけない。むしろ、自分と自分の子供たちのために泣きなさい。

23:29 見よ、人々が、『不妊の女と、生まなかった胎と、乳を飲ませなかった乳房とは幸せです』と言う日々が来るのだから。

23:30 その時、人々は山々に向かって、『我々の上に倒れてくれ』と言い、丘に向かって、『我々を覆ってくれ』と言い始めるだろう。

23:31 というのは、木に水気のある時に彼らがこれらのことをするのであれば、それが枯れた時には何が起こるだろうか」。

23:32 しかし、彼らは別の二人の犯罪者をも、死に至らせるために彼と共に引いて行った。

23:33 されこうべと呼ばれている場所にやって来た時、そこで彼をはりつけにし、犯罪者たちも、一人は右に、一人は左にしてはりつけにした。

23:34 しかしイエスは言った。「父よ、彼らをお赦しください。自分たちが何をしているかを知らないからです」。彼らは、彼の衣を分けようとしてくじを引いた。

23:35 民は立って見ていた。支配者たちも彼をあざ笑って言った。「彼はほかの者たちを救った。もしこの者が神のキリスト、選ばれた者であるなら、自分を救うがよい」。

23:36 兵士たちも彼をあざけり、近寄ってきて彼に酸いぶどう酒を差し出して

23:37 言った。「もしあなたがユダヤ人の王なら、自分を救いなさい」。

23:38 彼の上には、「これはユダヤ人の王」と書き記したものがあった。

23:39 掛けられていた犯罪者の一人は、彼を冒とくして言った。「もしあなたがキリストなら、自分自身とわたしたちを救え」。

23:40 しかし、他方の者が答えて、彼をしかりつけて言った。「お前は神を恐れないのか。同じ裁きを受けているのだから。

23:41 確かに我々には当然のことだ。自分の行ないに応じた報いを受けているのだから。しかし、この方は何も不正なことをしていないのだ」。

23:42 そして彼は言った。「イエスよ、あなたがあなたの王国に入られる時には、わたしのことを思い出してください」。

23:43 すると彼は彼に言った。「まことをもって、わたしは今日あなたに言っておく。あなたはわたしと共にパラダイスにいるだろう」。

23:44 すでに第六時ごろになっていたが、闇が全地を覆い、第九時にまで及んだ。

23:45 太陽が光を失い、聖所の幕が二つに裂けた。

23:46 イエスは大声で叫んで言った。「父よ、あなたのみ手に、わたしの霊をゆだねます」。こう言って、彼は息を引き取った。

23:47 百人隊長は、起きたことを見ると、神をたたえて、「確かにこの人は義人だった」と言った。

23:48 この光栄を見に集まって来ていた群衆は皆、起きたことを見ると、胸を打ちながら帰って行った。

23:49 彼を知っていた者たちは皆、遠い所に立っていた。それに、共にガリラヤから彼について来た女たちは、これらのことを見ていた。

23:50 見よ、議員であるヨセフという名の男がいたが、善良で正しい人であった―

23:51 彼は彼らの企てや行動には同意しなかった―彼はユダヤ人の町アリマタヤの出身で、神の王国を待ち望んでいた。

23:52 この者はピラトのところに近づいてきて、イエスの体を願った。

23:53 彼はそれを取り降ろしてきれいな亜麻布に包み、岩に掘った、まだ誰も横たえられたことのない墓にそれを納めた。

23:54 準備の日で、安息日が近づいていた。

23:55 彼と一緒にガリラヤから来ていた女たちは、後をついて行き、その墓と、彼の体が横たえられる様子とを見ていた。

23:56 彼女たちは帰って行き、香料と香油を準備した。安息日には、おきてに従って休んだ。

ルカ 第24章↑

24:1 しかし、安息日々の一つ、明け方早く、彼女たちは、準備した香料を携えて、墓に来た。

24:2 しかし、彼女たちは、墓から石が転がしてあるのを見つけた。

24:3 入ってみると、体が見つからなかった。

24:4 彼女たちがこのことで当惑していると、見よ、二人の男が輝く衣を着て彼女たちのそばに立った。

24:5 彼女たちはおびえて、地に顔を伏せた。彼らは彼女たちに言った。「あなたがたはなぜ、生きている者を死んだ者たちの間に捜しているのですか。

24:6 彼はここにはいない。起こされたのです。彼がまだガリラヤにいた時にあなたがたに言ったことを思い出しなさい。

24:7 人の息子は人々、すなわち罪人たちの手に引き渡され、はりつけにされ、三日目に起き上がらなければならない、と言いました」。

24:8 彼女たちは彼の言葉を思い出し、

24:9 墓から戻って来て、十一人と残りの全員に、これらのすべてのことを告げた。

24:10 彼女たちは、マグダラ・マリヤ、ヨハンナ、ヤコブのマリヤであり、また一緒にいた残りの女たちも、使徒たちにこれらのことを言った。

24:11 これらの言葉は、彼らにとってはたわ言のように思われて、彼らは彼女たちのことを信じなかった。

24:12 しかし、ペテロは立ち上がり、墓に走って行った。かがんで中を見ると、亜麻布だけがあった。それで彼は、起きた事を不思議に思いながら去って行った。

24:13 見よ、同じ日に、彼らのうちの二人が、エルサレムから六十スタディオン離れたエマオという村へ向かっていた。

24:14 彼らは、起きたこれらのすべての事について、互いに語り合っていた。

24:15 彼らが語り合い、論じ合っていると、イエス自身が近づいてきて、彼らと一緒に行った。

24:16 しかし彼らの目がさえぎられて、彼を認めることができなかった。

24:17 彼は彼らに言った。「あなたがたが歩きながら互に語り合っているこれらの事は、何の事なのか」。彼らは悲しそうな顔をして立ちどまった。

24:18 その一人のクレオパという名の者が、答えて彼に言った。「あなたはエルサレムの周辺に泊まっていながら、あなただけが、この都でこの日々に起ったことを知らないのですか」。

24:19 彼は彼らに言った。「どんなことですか」。彼らは彼に言った。「ナザレのイエスに関することです。彼は、神と民すべての前で、業と言葉において力ある男、預言者でした。

24:20 祭司長たちとわたしたちの支配者たちが、彼を死の裁きに引き渡し、彼をはりつけにしたのです。

24:21 しかし、わたしたちは、彼こそイスラエルを救出してくださる方だと期待していました。しかも、こうした事すべてに加えて、これらのことが起こってからこれで三日になるのです。

24:22 ところが、わたしたちのうちのある女たちも、わたしたちを驚かせました。彼女たちは朝早く墓に行きましたが、

24:23 彼の体が見つからずに戻って来て、使いの者たちが彼は生きていると告げる幻まで見たと言うのです。

24:24 わたしたちと一緒にいる者のうちの何人かが墓に行って、まさに女たちが言ったとおりなのを見たのですが、彼は見ませんでした」。

24:25 彼は彼らに言った。「ああ、愚かで、預言者たちが語ったすべてのことを信じるのに心の鈍い者たちよ。

24:26 キリストはこれらの苦しみを受けて、自分の栄光に入って行くはずではなかったのか」。

24:27 モーセとすべての預言者たちから始めて、聖書全体にわたり、自分自身に関する事柄を彼らに説明した。

24:28 彼らは向かっていた村に近づいたが、彼はさらに遠く進んで行く様子を見せた。

24:29 彼らは彼をしきりに促して言った。「わたしたちと一緒にお滞在しください。夕方になり、日もすでに傾きかけていますから」。彼は彼らと一緒に滞在するために入って行った。

24:30 彼らと共に食卓に着いた時、彼はパンを取って祝福して裂き、彼らに与えた。

24:31 彼らの目は開かれ、彼であることが分かった。すると、彼は彼らから見えなくなった。

24:32 彼らは互いに言った。「彼が道でわたしたちに語っていた時、またわたしたちに聖書を解き明かしていた時、わたしたちの心はわたしたちの内で燃えていなかっただろうか」。

24:33 同じ時刻に立ち上がって、エルサレムに戻ってみると、十一人および彼らと共にいる者たちが集まっていて、

24:34 「主は本当に起こされて、シモンに現われたのだ」と言っていた。

24:35 そこで、彼らは道の途中でのできことや、パンを裂いているときに彼のことがどのように分かったかを詳しく話した。

24:36 彼らがこれらのことを話していると、彼が彼らの真ん中に立った。

24:37 しかし彼らはおびえ、恐れていた。霊を見ているのだと思った。

24:38 彼は彼らに言った。「なぜあなたがたは動転しているのか。あなたがたの心に疑いが生じるのはどうしてか。

24:39 わたしの両手と両足を見なさい。まさしくわたしです。わたしに触り、また見なさい。霊にはあなたがたがわたしに見るような肉や骨はないのです」。

24:40 こう言って、彼は彼らに両手と両足を見せた。

24:41 彼らが喜びのあまりまだ信じられず、不思議に思っていると、彼は彼らに言った。「ここに何か食べる物があるか」。

24:42 彼らは彼に焼いた魚一切れを渡した。

24:43 彼はそれらを取って、彼らの前で食べた。

24:44 彼は彼らに言った。「これは、わたしがまだあなたがたと一緒にいた時、あなたがたに語ったわたしの言葉なのです。つまり、わたしについて、モーセの律法と預言者たちと詩篇の中で書かれているすべての事は、成就されなければならない」。

24:45 そのとき、彼は聖書を理解できるように彼らの思いを開いた。

24:46 彼は彼らに言った。「このように書いてあります。キリストは苦しみを受け、三日目に死んだ者たちの中から起き上がり、

24:47 そして、心変えと罪の赦しが、彼の名において、エルサレムから始まって、あらゆる国民に宣べ伝えられる。

24:48 あなたがたはこれらの事の証人です。

24:49 見よ、わたしはあなたがたの上に、わたしの父の約束を送る。しかし、高い所からの力を着せられるまで、あなたがたは都にとどまっていなさい」。

24:50 彼は彼らをベタニヤまで連れて行き、両手を上げて彼らを祝福した。

24:51 彼は彼らを祝福している間に、彼らから離れて行き、天に運び上げられた。

24:52 彼らは彼を拝み、大きな喜びをもってエルサレムに戻った。

24:53 絶えず神殿にいて、神を祝福していた。

ヨハネ

ヨハネ 第1章↑

1:1 始まりの中に言葉があった。言葉は神へ向かった。言葉は神性を備えたものであった。

1:2 このものは始まりの中に神へ向かった。

1:3 すべてはそのものを通して存在するようになった。そのものなしに存在するようになったものは一つもない。そのものにおいて存在するようになったものは

1:4 命であり、命は人々の光であった。

1:5 光は闇の中で輝いている。そして、闇はそれに打ち勝たなかった。

1:6 神から遣わされた一人の人が現われた。彼の名はヨハネであった。

1:7 この人は証しのために来た。光について証言するためであり、それはすべての人が彼を通して信じるためであった。

1:8 その人は光ではなく、光について証言するために来たのである。

1:9 世界に来るすべての人を照す真の光であった。

1:10 彼は世界にいた。そして、世界は彼を通して存在するようになったが、世界は彼を知らなかった。

1:11 彼は自分の所有物の所に来たが、彼自身の所有物であった者たちは彼を受け入れなかった。

1:12 しかし、彼を受け入れた者たちすべて、すなわち、彼の名を信じた者たちに、彼は神の子供たちとなる権利を与えた。

1:13 彼らは、血から、また肉の意志から、また男の意志から生まれたのではなく、神から生まれたのである。

1:14 そして言葉は肉体となってわたしたちの間に幕屋を張られた。わたしたちは彼の栄光を見た。父の独生した者に属する栄光であって、恵みと真理とに満ちていた。

1:15 ヨハネは彼について証しをし、叫んで言った。「『わたしの後に来る方は、わたしの前を進んだ。わたしより先に存在したのだから』とわたしが言ったのは、この方です」。

1:16 わたしたちは皆、彼の充満の中から受けて、恵みに恵みを加えられたからです。

1:17 というのは、律法はモーセを通して与えられ、恵みと真理とはイエス・キリストを通して存在するようになったからです。

1:18 いまだ神を見た者はいない。父の懐にいる独生した神こそ、その方が父を明らかに示したのである。

1:19 これは、ユダヤ人たちがエルサレムから祭司たちとレビ人たちを遣わして、「あなたは誰か」と尋ねさせた時の、ヨハネの証しである。

1:20 彼は告白して否まず、「わたしはキリストではない」と告白した。

1:21 彼らは彼に尋ねた。「それでは何か。あなたはエリヤか」。彼は「そうではない」と言った。「あなたはあの預言者か」。彼は「いいえ」と答えた。

1:22 それで彼らは彼に言った。「あなたは誰か。わたしたちを送った人たちに答えができるようにしてください。あなたは自分について何と言うのか」。

1:23 彼は言った。「わたしは、預言者イザヤが言ったように、『主の道をまっすぐにせよ』と荒野で叫ぶ者の声です」。

1:24 遣わされていた者たちはパリサイ人たちからであった。

1:25 彼らは彼に尋ねて、彼に言った。「あなたがキリストでもエリヤでもあの預言者でもないのなら、なぜバプテスマしているのか」。

1:26 ヨハネは彼らに答えて言った。「わたしは水の中にバプテスマするが、あなたがたの知らない方が、あなたがたの間に立っている。

1:27 わたしの後に来る方ですが、わたしは、その方のサンダルのひもをほどくにも値しない」。

1:28 これらの事は、ヨハネがバプテスマしていたヨルダンの向こう側のベタニヤであったのである。

1:29 次の日、彼はイエスが自分の方へ来るのを見て言った。「見よ、世界の罪を取り去る神の子羊です。

1:30 これこそ、『わたしの後に来る男は、わたしの前を進んだ。わたしより先に存在したのだから』とわたしが言った方です。

1:31 わたしは彼を知らなかった。しかし、彼がイスラエルに現わされるように、この理由で、わたしは水の中にバプテスマしに来たのです」。

1:32 ヨハネはまた証しをして言った。「わたしは、霊がはとのように天から下って、彼の上にとどまるのを見た。

1:33 わたしは彼を知らなかった。しかし、水の中にバプテスマするために、わたしを送ったその方がわたしに言った。『誰でも霊が下ってその上にとどまるのを見たなら、その者が聖霊の中にバプテスマする者です』。

1:34 わたしは見たので、この方が神の選ばれた者であると証しをしたのです」。

1:35 また、次の日、ヨハネは自分の弟子のうちの二人と一緒に立っていた。

1:36 彼はイエスが歩いているのを見て言った。「見よ、神の子羊だ」。

1:37 その二人の弟子は彼が話すのを聞いて、イエスについて行った。

1:38 イエスは振り向いて、彼らがついて来るのを見て、彼らに言った。「あなたがたは何を求めているのか」。彼らは彼に言った。「ラビ(翻訳して言えば、先生)、どこにお泊まりですか」。

1:39 彼は彼らに言った。「来て、見なさい」。そこで彼らは行って、彼がどこに泊まっているかを見た。そして彼らはその日、彼と共に泊まった。それは第十時ごろであった。

1:40 ヨハネから聞いて彼について行った二人のうちの一人は、シモン・ペテロの兄弟アンデレであった。

1:41 この人はまず自分の兄弟シモンを見つけて彼に言った。「わたしたちはメシア(通訳すれば、キリスト)を見つけた」。

1:42 彼は彼をイエスのもとに連れて行った。イエスは彼を見て言った。「あなたはヨハネの息子シモンです。あなたはケパ(翻訳すれば、ペテロ)と呼ばれるだろう」。

1:43 次の日、彼はガリラヤへ行こうとした。ピリポを見つけた。イエスは彼に言った。「わたしについて来なさい」。

1:44 ピリポは、アンデレとペテロとの町ベツサイダの人であった。

1:45 ピリポがナタナエルを見つけて彼に言った。「わたしたちは、律法の中でモーセが、そして預言者たちが書いた方を見つけた。すなわちヨセフの息子、ナザレのイエスです」。

1:46 ナタナエルは彼に言った。「何か良いものがナザレから出ることがあるだろうか」。ピリポは彼に言った。「来て、見なさい」。

1:47 イエスはナタナエルが自分の方へ来るのを見て、彼についてこう言った。「見よ、本当のイスラエル人、彼の内には偽りがない」。

1:48 ナタナエルは彼に言った。「どうしてわたしを知っておられるのですか」。イエスは答えて彼に言った。「ピリポがあなたを呼ぶ前に、あなたがいちじくの木の下にいた時、わたしはあなたを見た」。

1:49 ナタナエルは彼に答えた。「ラビ、あなたは神の息子です。あなたはイスラエルの王です」。

1:50 イエスは答えて彼に言った。「『あなたがいちじくの木の下にいるのを見た』と、わたしが言ったので信じるのか。あなたはこれより大きな事を見るだろう」。

1:51 そして彼は彼に言った。「まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。あなたがたは天が開けて、神の使いの者たちが人の息子の上に上り下りするのを見るだろう」。

ヨハネ 第2章↑

2:1 さて、三日目に、ガリラヤのカナで結婚式があった。イエスの母はそこにいた。

2:2 イエスと彼の弟子たちも、その結婚式に招かれていた。

2:3 ぶどう酒が足りなくなった時、イエスの母は彼に言った。「彼らにはぶどう酒がありません」。

2:4 イエスは彼女に言った、「女よ、わたしはあなたと何のかかわりがあるのですか。わたしの時はまだ来ていません」。

2:5 彼の母はしもべたちに言った。「彼があなたがたに言うことは何でもしてください」。

2:6 さて、そこには、ユダヤ人の清めの習慣に従って、それぞれ二または三メトレテスも入る石の水がめが六つ置いてあった。

2:7 イエスは彼らに言った。「水がめを水で満たしなさい」。彼らはそれらを口まで満たした。

2:8 彼は彼らに言った。「では、くんで、宴会の幹事のところに持って行きなさい」。彼らはそれを持って行った。

2:9 宴会の幹事は、ぶどう酒になった水を味わったが、彼はそれがどこから来たのか知らなかった。しかし、水をくんだしもべたちは知っていた。宴会の幹事は花婿を呼んで、

2:10 彼に言った。「どんな人でも、初めに良いぶどう酒を出して、酔いがまわったころに、より劣ったのを出すものです。あなたは今まで良いぶどう酒を取って置いた」。

2:11 イエスはこの最初のしるしをガリラヤのカナで行なって、自分の栄光を現した。そして彼の弟子たちは彼を信じた。

2:12 こののち、彼と彼の母、兄弟たち、および彼の弟子たちはカペナウムに下って行き、彼らはそこに何日もは滞在しなかった。

2:13 ユダヤ人の過ぎ越しが近づいていたので、イエスはエルサレムに上って行った。

2:14 そして彼は神殿で牛や羊やはとを売る者たち、また、座っている両替人たちを見つけました。

2:15 彼は縄でむちを作り、羊も牛もみな神殿から追い出した。両替屋の硬貨をまき散らし、その台をひっくり返した。

2:16 そして、彼ははとを売っている者たちに言った。「これらの物をここから持って行け。わたしの父の家を市場にするな」。

2:17 彼の弟子たちは、「あなたの家に対する熱心がわたしを食い尽くすであろう」と書いてあることを思い出した。

2:18 それでユダヤ人たちは答えて彼に言った。「こんな事をするからには、どんなしるしをわたしたちに見せてくれるのか」。

2:19 イエスは答えて彼らに言った。「この聖所を壊してみなさい。そうしたら、わたしは三日でそれを起すだろう」。

2:20 それでユダヤ人たちは言った。「この聖所は四十六年かかって建てられたのに、あなたは三日でそれを起すのか」。

2:21 しかし、その者は自分の体の聖所について言っていた。

2:22 それで、彼が死んだ者たちの中から起された時、彼の弟子たちは彼がこう言っていたのを思い出した。そして、聖書とイエスの言った言葉とを信じた。

2:23 さて、彼が過ぎ越しの際、祭りの間にエルサレムにいた間、大勢の人が、彼の行なっていたしるしを見て、彼の名を信じた。

2:24 しかし、イエス自身は自分を彼らにゆだねることはしなかった。なぜなら、彼はすべての人を知っていたからであり、

2:25 また人に関して証しする者を必要としなかったからである。彼自身が、人の内に何があるかを知っていたからである。

ヨハネ 第3章↑

3:1 さて、パリサイ人の一人で、彼の名をニコデモというユダヤ人の支配者があった。

3:2 この人が、夜、彼のもとに来て、彼に言った。「ラビ、わたしたちはあなたが神から来た教師だということを知っています。神が共におられなければ、あなたのなさるこれらのしるしを行なうことは誰にもできないからです」。

3:3 イエスは答えて彼に言った。「まことをもって、まことをもって、わたしはあなたに言っておく。人は上から生まれなければ、神の王国を見ることはできない」。

3:4 ニコデモは彼に言った。「人は年老いてから、どうして生まれることができるのですか。自分の母の胎にもう一度入って生まれることができないではありませんか」。

3:5 イエスは答えた。「まことをもって、まことをもって、わたしはあなたに言っておく。人は水と霊から生まれなければ、神の王国に入ることはできない。

3:6 肉から生まれたものは肉であり、霊から生まれたものは霊です。

3:7 『あなたがたは上から生まれなければならない』と、わたしがあなたに言ったからとて、不思議に思ってはならない。

3:8 風はその望むところに吹く。あなたはその音は聞くが、それがどこから来てどこへ行くのかを知らない。霊から生まれる者もみな、そのようです」。

3:9 ニコデモは答えて彼に言った。「どうしてこのような事が起こるのでしょうか」。

3:10 イエスは答えて彼に言った。「あなたはイスラエルの教師でありながら、このような事が分からないのか。

3:11 まことをもって、まことをもって、わたしはあなたに言っておく。わたしたちは自分たちが知っていることを話し、自分が見たことを証しをするのですが、あなたがたはわたしたちの証しを受け入れない。

3:12 わたしがあなたがたに地上の事柄を話しても、あなたがたは信じないのであれば、あなたがたに天上の事柄を話したとしても、どうして信じるだろうか。

3:13 天から下ってきた者、すなわち人の息子のほかには、誰も天に上った者はいない。

3:14 そして、モーセが荒野で蛇を上げたように、人の息子も上げられなければならない。

3:15 それは、彼を信じる者がみな世々の特質ある命を持つためです」。

3:16 神は独生した息子を与えるほどに世界を愛されたからである。それは、彼を信じる者がみな滅びることなく、世々の特質ある命を持つためである。

3:17 神が息子を世界に遣わしたのは、世界を裁くためではなく、世界が彼を通して救われるためである。

3:18 彼を信じる者は裁かれない。しかし彼を信じない者はすでに裁かれている。神の独生した息子の名を信じていないからである。

3:19 その裁きというのは、光が世界に来たのに、人々は光より闇を愛したことである。彼らの行ないが邪悪であったからです。

3:20 悪を行なう者はみな、光を憎んで、光に来ないからです。彼の行ないが責められないようにするためである。

3:21 しかし、真理を行なう者は光に来る。彼の行ないが、神にあってなされたことが明らかにされるためである。

3:22 これらの事ののち、イエスと自分の弟子たちはユダヤの地に行った。彼は彼らと共にそこに滞在し、バプテスマしていた。

3:23 ヨハネもサリムに近いアイノンで、バプテスマしていた。そこには水が多かったからである。人々は来て、バプテスマされた。

3:24 ヨハネはまだ獄に投ぜられていなかったからである。

3:25 そこで、ヨハネの弟子たちの一部と一人のユダヤ人との間に、清めに関する論争が起こった。

3:26 彼らは、ヨハネのところに来て、彼に言った。「ラビ、ヨルダンの向こうであなたと共にいた人で、あなたが証しした人ですが、見てください、この人がバプテスマしていて、みんなが彼のもとに行っています」。

3:27 ヨハネは答えて言った。「天から与えられているのでなければ、人は何一つ受けることができない。

3:28 『わたしはキリストではない』が『わたしはその方の前に遣わされた』とわたしが言ったが、そのことについてあなたがた自身がわたしに証ししている。

3:29 花嫁を持つ者は花婿です。立って彼の声を聞く花婿の友人は、その花婿の声のために大いに喜ぶ。こうして、わたしのこの喜びは満たされている。

3:30 あの方は増し加わり、わたしは減らなければならない。

3:31 上から来る方はすべての者の上におられる。地からの者は地からであって、地から話す。天から来る方はすべての者の上におられる。

3:32 彼は自分が見たこと聞いたこと、そのことについて証しするのであるが、誰も彼の証しを受け入れない。

3:33 彼の証しを受け入れる者は、神がまことであることに証印を押したのです。

3:34 神が遣わされた者は神の言葉を話すからであり、彼は霊を量って与えられないからです。

3:35 父は息子を愛しておられ、彼の手にすべての物を与えられた。

3:36 息子を信じる者は世々の特質ある命を持っている。しかし、息子に対して頑固である者は命を見ず、神の怒りが彼の上にとどまるのです」。

ヨハネ 第4章↑

4:1 さて、イエスがヨハネより多くの弟子を作ってバプテスマしていることがパリサイ人たちが聞き、それをイエスが知ったとき―

4:2 しかしイエス自身がバプテスマすことはせず、彼の弟子たちがそうしていたのだが―

4:3 彼はユダヤを去り、またガリラヤへ行った。

4:4 しかし、彼はサマリヤを通過しなければならなかった。

4:5 そこで、ヤコブが自分の息子ヨセフに与えた土地の近くにある、スカルと呼ばれるサマリヤの町に来た。

4:6 ヤコブの泉はそこにあった。それでイエスは、旅のために疲れていたので、そのまま泉のそばに座った。第六時ごろであった。

4:7 一人のサマリヤの女が水をくみに来た。イエスは彼女に言った。「わたしに飲ませてください」。

4:8 彼の弟子たちは食物を買いに町へ行っていたからである。

4:9 それでサマリヤの女は彼に言った。「ユダヤ人のあなたが、サマリヤ人の女のわたしから飲み物をお求めになるのはどうしてですか」。ユダヤ人はサマリヤ人と交際していないからである。

4:10 イエスは答えて彼女に言った。「あなたが神の賜物を知り、そして、『わたしに飲ませてください』と言った者が誰なのかを知っていたなら、あなたは彼に求め、彼はあなたに生ける水を与えたことだろう」。

4:11 女は彼に言った。「主よ、あなたはくむ物をお持ちでなく、しかも井戸は深いのです。それで、あなたはその生ける水をどこから手に入れられるのですか。

4:12 あなたは、わたしたちの父ヤコブよりも偉いのですか。彼はわたしたちにこの井戸を与え、彼自身も飲み、彼の息子たちも、彼の家畜も、ここから飲んだのですが」。

4:13 イエスは答えて彼女に言った。「この水を飲む者はみな再び渇く。

4:14 しかし、わたしが与える水を飲む者は誰でも、決して世に亘って渇くことがない。そして、わたしが与える水は彼の内で、世に亘ってわき上がる水の泉となるだろう」。

4:15 女は彼に言った。「主よ、わたしにその水を下さい。わたしが渇くことがなく、ここにくみに来なくてもよいようにするためです」。

4:16 彼は彼女に言った。「行って、あなたの夫を呼んで、ここに来なさい」。

4:17 女は答えて彼に言った。「わたしには夫がありません」。イエスは彼女に言った。「『わたしには夫がない』とはよく言った。

4:18 あなたには五人の夫がいたが、今いるのはあなたの夫ではない。それをあなたは正直に言った」。

4:19 女は彼に言った。「主よ、わたしはあなたが預言者であると見ます。

4:20 わたしたちの父祖たちはこの山で礼拝しましたが、あなたがたは、礼拝すべき場所はエルサレムであると言います」。

4:21 イエスは彼女に言った。「女よ、わたしを信じなさい。あなたがたがこの山でもエルサレムでもないところで、父を礼拝する時が来る。

4:22 あなたがたは自分の知らないものを礼拝している。わたしたちは自分の知っているものを礼拝している。救いはユダヤ人から出るからです。

4:23 しかし、真の礼拝者が霊と真理をもって父を礼拝する時が来ている。今がその時です。父は、ご自分をそのように礼拝する者たちを求めておられるのです。

4:24 神は霊であるから、その方を礼拝する者たちは、霊と真理をもって礼拝しなければならない」。

4:25 女は彼に言った。「わたしは、キリストと呼ばれるメシヤが来られることを知っています。その方が来られるときに、わたしたちにすべての事を告げてくださるでしょう」。

4:26 イエスは彼女に言った。「あなたに話しているわたしが、その者です」。

4:27 この時、彼の弟子たちが来た。彼らは、彼が女と話していることで不思議に思った。しかし、「何を求めておられるのですか」とか、「なぜ彼女と話しておられるのですか」とか言う者はいなかった。

4:28 そこで、女は自分の水がめを残し、町に行き、人々に言った。

4:29 「来て、わたしのしたことを何もかも言い当てた人を見てください。この者がキリストではないでしょうか」。

4:30 彼らは町から出て、彼のところにやって来た。

4:31 その間に、弟子たちは彼に尋ねて言った。「ラビ、食べてください」。

4:32 しかし彼は彼らに言った。「わたしには、あなたがたの知らない食物がある」。

4:33 それで弟子たちは互いに言った。「誰かが彼に食べる物を持って来たのだろうか」。

4:34 イエスは彼らに言った。「わたしの食物とは、わたしを遣わした方のご意志を行ない、彼のみわざを成し遂げることです。

4:35 あなたがたは、『収穫が来るまでまだ四か月ある』と言うではないか。見よ、わたしはあなたがたに言う。自分の目を上げて、畑を見なさい。すでに収穫を待って白くなっている。

4:36 刈り取る者は報酬を受け取って、世々の特質ある命に至る実を集めている。種をまく者と刈り取る者とが共に喜ぶためです。

4:37 このことにおいて、『一人はまき、もう一人は刈り取る』ということばは真実なのです。

4:38 わたしは、自分たちが労苦しなかったものを刈り取らせるために、あなたがたを遣わした。ほかの者たちが労苦したのであり、あなたがたは彼らの労苦の益にあずかっているのです」。

4:39 その町の多くのサマリヤ人は、「この方はわたしのしたことを何もかも言い当てた」と証しした女の言葉のゆえに、彼を信じた。

4:40 そこでサマリヤ人たちは彼のもとに来ると、自分たちのところに滞在するようにと頼んだ。彼はそこに二日滞在した。

4:41 彼の言葉のゆえに、さらに多くの人が信じた。

4:42 彼らはその女に言った。「わたしたちは、もはやあなたの話のゆえに信じるのではない。わたしたち自身が聞いて、この方こそまことに世界の救い主であることを知ったのだから」。

4:43 二日の後、彼はそこから去ってガリラヤへ行った。

4:44 イエス自身は、預言者が自分の故郷では敬われないということを証ししたからである。

4:45 そこでガリラヤに来ると、ガリラヤの人たちは彼を受け入れた。彼らも祭りに行ったので、彼が祭りの際にエルサレムで行なったすべての事を見ていたのである。

4:46 それで彼は再びガリラヤのカナに行った。水をぶどう酒にした所である。ある王の役人がいて、彼の息子がカペナウムで病気になっていた。

4:47 この人は、イエスがユダヤからガリラヤに来たことを聞くと、彼のもとに行き、下って来て自分の息子をいやしてくださるように頼んだ。その息子が死にそうだったからである。

4:48 それでイエスは彼に言った。「あなたがたは、しるしや不思議なわざを見なければ、決して信じないだろう」。

4:49 その王の役人は彼に言った。「主よ、わたしの男の子が死ぬ前に下っていらしてください」。

4:50 イエスは彼に言った。「行きなさい。あなたの息子は生きている」。その人は、イエスが自分に話した言葉を信じて、去って行った。

4:51 彼が下って行く途中、彼の奴隷たちが彼に出会い、彼の男の子は生きていると言った。

4:52 そこで彼は、その良くなった時刻を彼らに尋ねた。それで彼らは彼に言った。「昨日の第七時に彼の熱が引きました」。

4:53 それで父親は、それが、「あなたの息子は生きる」とイエスが彼に言ったその時刻であったことを知った。こうして、彼自身と彼の家の者全体は信じた。

4:54 これはまた、イエスがユダヤからガリラヤに出て来て行なわれた二番目のしるしである。

ヨハネ 第5章↑

5:1 これらの事ののち、ユダヤ人の祭りがあって、イエスはエルサレムに上った。

5:2 さて、エルサレムには、羊門のところに池があり、ヘブル語で「ベテスダ」と呼ばれていて、そこには五つの回廊がある。

5:3 これらの中に、大勢の病人、盲人、足の不自由な人、体のまひした人が横たわっていた。

5:4 〔無し〕

5:5 そこにある人がいたが、彼は三十八年の間、自分の病気の中にあった。

5:6 イエスは、この者が横たわっているのを見、また彼がすでに長い間その状態にあったことを知ると、彼に言った。「良くなりたいのですか」。

5:7 病気の人は彼に答えた。「主よ、わたしには水がかき乱される時、わたしを池に入れてくれる人がいません。わたしが行っている間に、ほかの人がわたしより先に降りてしまうのです」。

5:8 イエスは彼に言った。「起き上がって、あなたの寝床を取り上げて歩きなさい」。

5:9 すぐにその人は良くなり、自分の寝床を取り上げて歩いた。ところで、その日は安息日であった。

5:10 そこでユダヤ人たちはいやされた人に言った。「安息日です。あなたが寝床を取り上げることは許されていない」。

5:11 しかし彼は彼らに答えた。「わたしを良くしてくださったその方が、『あなたの寝床を取り上げて歩きなさい』とわたしに言ったのです」。

5:12 そこで、彼らは彼に尋ねた。「『取り上げて歩きなさい』とあなたに言った人は誰か」。

5:13 しかし、いやされた人はそれが誰なのか知らなかった。その場所には群衆がいたので、イエスは退いたからである。

5:14 これらののち、イエスは神殿で彼を見つけて、彼に言った。「見よ、あなたは良くなった。もう罪を犯してはいけない。もっと悪いことがあなたに起きないためです」。

5:15 その人は行って、自分を良くしてくださった方はイエスだということをユダヤ人たちに告げた。

5:16 このために、ユダヤ人たちはイエスを迫害した。彼が安息日にこれらの事をしたためであった。

5:17 しかし彼は彼らに答えた。「わたしの父は今に至るまで働いておられる。わたしも働くのです」。

5:18 この理由のために、ユダヤ人たちはますます彼を殺そうと計るようになった。安息日を破っただけでなく、神を自分の父と呼んで、自分を神と等しい者としたからである。

5:19 それでイエスは答えて彼らに言った。「まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。息子は自分からは何も行なうことができず、ただ父がなさるのを見たことだけを行なうことができるのです。その者がなさることは何でも、息子も同じようにそれらの事を行なうからです。

5:20 というのは、父は息子に愛情を抱いておられ、ご自分のなさることをみな彼にお見せになるからです。あなたがたが驚嘆するために、これらより大きなわざを彼にお見せになるだろう。

5:21 ちょうど父が死んだ者たちを起して生かされるのと同じように、息子もまた、自分の望む者を生かすからです。

5:22 というのは、父は誰をも裁かず、息子にすべての裁きをゆだねておられるからです。

5:23 それは、すべての者が父を敬うのと同じように息子を敬うためです。息子を敬わない者は、彼を送られた父を敬わない。

5:24 まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。わたしの言葉を聞いて、わたしを送られた方を信じる者は、世々の特質ある命を持っており、裁きに入ることなく、死から命へと移っているのです。

5:25 まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。死んだ者たちが神の息子の声を聞く時が来ている。今がその時です。そして、聞いた者たちは生きるだろう。

5:26 ちょうど父がご自分の内に命を持っておられるのと同じように、息子にもまた自分の内に命を持つように与えられたのです。

5:27 そして、裁きを行なう権威を彼にお与えになった。彼は人の息子だからです。

5:28 このことで驚いてはならない。時が来ると、墓の中にいる者がみな、彼の声を聞き,

5:29 善いことを行なった者は命の復活へ、悪いことを習わしにした者は裁きの復活へと出て来るだろう。

5:30 わたしは自分からは何も行なえない。わたしは自分が聞いたとおりに裁き、わたしの裁きは正しい。自分の意志ではなく、わたしを送られた父のご意志を求めるからです。

5:31 わたしが自分について証しするなら、わたしの証しは真実ではない。

5:32 わたしについて証しする別の方がおられる。その方がわたしについて証しするその証しが真実だということを、わたしは知っている。

5:33 あなたがたはヨハネに人を遣わし、彼は真理に対して証しをした。

5:34 しかし、わたしは人からの証しを受け入れない。それでも、あなたがたが救われるためにこれらの事を言うのです。

5:35 その者は燃えて輝くあかりでした。そして、あなたがたは一時間の間、彼の光のうちで喜びたいと思った。

5:36 しかし、わたしにはヨハネより大きい証しがある。父がわたしに成し遂げるように与えられたわざ、わたしが行なっているわざそれ自体が、わたしについて、父がわたしを遣わされたことを証しするからです。

5:37 わたしを送られた父ご自身が、わたしについて証ししてくださった。あなたがたは一度も彼の声を聞いたことがなく、彼の姿を見たこともない。

5:38 あなたがたの内には彼の言葉がとどまっていない。その方が遣わされた者を、あなたがたは信じないからです。

5:39 あなたがたは聖書を調べている。自分たちがそれらの内に世々の特質ある命を持っていると思っているからです。そして、それらこそ、わたしについて証しするものなのです。

5:40 しかも、あなたがたは命を得るためにわたしのところに来ようとしない。

5:41 わたしは人々からの栄光を受け入れない。

5:42 しかし、わたしはあなたがたを知っている。あなたがたの内には神の愛がないからです。

5:43 わたしは父の名において来たが、あなたがたはわたしを受け入れない。ほかの者が自らの名において来るなら、あなたがたはその者を受け入れるだろう。

5:44 互いからの栄光を受け入れて、ただ一人の神から来る栄光を求めないあなたがたは、どうして信じることができようか。

5:45 わたしがあなたがたを父に訴えると思ってはいけない。あなたがたを訴える者がいる。モーセ、すなわちあなたがたが望みを置いている者です。

5:46 あなたがたがモーセを信じたなら、わたしを信じただろう。その者はわたしについて書いたからです。

5:47 しかし、あなたがたが彼の書いたことを信じないのなら、どうしてわたしの言葉を信じるだろうか」。

ヨハネ 第6章↑

6:1 これらの事ののち、イエスはガリラヤの、すなわちテベリヤ海の向こうへ行った。

6:2 しかし、大群衆が彼について行った。彼が病気の人たちに行なったしるしを見たからである。

6:3 イエスは山へ上って行き、弟子たちと共にそこに座った。

6:4 さて、ユダヤ人の過ぎ越しの祭りが近づいていた。

6:5 それで、イエスは目を上げて、大群衆が自分のもとに来ているのを見ると、ピリポに言った。「彼らが食べられるように、どこでパンを買うだろうか」。

6:6 彼は彼をためすためにこのことを言った。自分がこれから何を行なうかを、ご自身は知っていたからである。

6:7 ピリポは彼に答えた。「みんなが少しずつ受け取るとしても、二百デナリ分のパンでも彼らのためには十分ではないでしょう」。

6:8 彼の弟子たちの一人、シモン・ペテロの兄弟アンデレが彼に言った。

6:9 「ここに、大麦のパン五つと二匹の魚を持っている少年がいます。それでも、こんなに大勢の中でこれらが何になるでしょう」。

6:10 イエスは言った。「人々を座らせなさい」。ところで、その場所には草がたくさんあった。そこで男たちは座ったが、その数はおよそ五千人であった。

6:11 イエスはパンを取り、感謝をささげてから、座っている者たちに配った。魚も同じようにして、人々が望むだけ配った。

6:12 彼らが満腹すると、彼は自分の弟子たちに言った。「余った切れを集めて、何も失わないようにしなさい」。

6:13 そこで彼らは集め、大麦のパン五つから出た切れで十二のかごを一杯にした。それは、食べた人々が残したものであった。

6:14 そのため、彼の行なったしるしを見て、人々は言った。「これこそ本当に、世界に来ることになっている預言者です」。

6:15 それでイエスは、彼らが、自分を王にするためとらえに来ようとしているのを知り、ただ一人で再び山へ退いた。

6:16 夕方になった時、彼の弟子たちは海に下りて行った。

6:17 そして彼らは舟に乗り、海の向こう側のカペナウムに行きかけた。すでに暗くなっていたが,イエスはまだ彼らのところに来ていなかった。

6:18 大風が吹いて、海は荒れていた。

6:19 それで、二十五ないし三十スタディオンほどこいできたとき、彼らは海の上を歩いて舟に近づいて来るイエスを見て、恐ろしくなった。

6:20 しかし彼は彼らに言った。「わたしです。恐れてはいけない」。

6:21 それで彼らは彼を舟の中に迎えようとした。すると、すぐに舟は彼らが向かっていた土地に着いた。

6:22 次の日、海の向こう側に立っていた群衆は、そこに一そうの小舟のほかには小舟がなく、イエスが自分の弟子たちと一緒には舟に乗らないで彼の弟子たちだけが出て行ったことを見た。

6:23 しかし、主が感謝をささげてから彼らがパンを食べた場所の近くに、テベリヤから数そうの小舟が来た。

6:24 それで群衆は、そこにイエスも彼の弟子たちもいないのを見ると、数そうの小舟に乗り、イエスを捜してカペナウムに来た。

6:25 海の向こう側で彼を見つけると、彼らは彼に言った。「ラビ、いつここにおいでになったのですか」。

6:26 イエスは彼らに答えて言った。「まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。あなたがたがわたしを捜しているのは、しるしを見たからではなく、パンを食べて満腹したからです。

6:27 滅びる食物のためではなく、世々の特質ある命へと残る食物のために働きなさい。それは人の息子があなたがたに与えるものです。神なる父がこの者に証印を押されたからです」。

6:28 それで彼らは彼に言った。「神のわざを行なうために、わたしたちは何をしたらよいでしょうか」。

6:29 イエスは答えて彼らに言った。「その方が遣わされた者を信じること、これが神のわざです」。

6:30 それで彼らは彼に言った。「わたしたちが見てあなたを信じるために、あなたはどんなしるしを行なわれるのですか。あなたはどんなわざを行なわれるのですか。

6:31 わたしたちの父祖たちは荒野でマナを食べました。『彼は天からパンを与えて彼らに食べさせた』と書いてあるとおりです」。

6:32 それでイエスは彼らに言った。「まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。あなたがたに天からのパンを与えたのはモーセではない。しかし、わたしの父はあなたがたに天からの真のパンを与えておられる。

6:33 神のパンは、天から下って来て、世界に命を与えるものだからです」。

6:34 それで彼らは彼に言った。「主よ、このパンをいつもわたしたちにお与えください」。

6:35 イエスは彼らに言った。「わたしが命のパンです。わたしのところに来る者は決して飢えることがなく、わたしを信じる者はいつまでも決して渇くことがない。

6:36 しかし、わたしはあなたがたに言った。あなたがたはわたしを見たのに信じないと。

6:37 父がわたしにお与えになる者はみな、わたしのところに来る。わたしのところに来た者を、わたしは決して追い出しはしない。

6:38 わたしが天から下って来たのは、自分の意志ではなく、わたしを遣わした方のご意志を行なうためだからです。

6:39 わたしを遣わした方のご意志とは、彼がわたしに与えられたすべてのものをわたしが一つも失わずに、最後の日にそれを起こすことです。

6:40 わたしの父のご意志とは、息子を見て彼を信じる者がみな世々の特質ある命を持ち、わたしが最後の日にその者を起こすことです」。

6:41 それでユダヤ人たちは、彼が「わたしが天から下って来たパンだ」と言ったことで、彼に関してつぶやいた。

6:42 彼らは言った。「これはヨセフの息子、イエスではないか。我々は彼の父と母を知っているではないか。『わたしは天から下って来た』と、どうして今言うのか」。

6:43 イエスは答えて彼らに言った。「互いにつぶやくのはやめなさい。

6:44 わたしを送られた父が引き寄せてくださるのでなければ、誰もわたしのところに来ることはできない。そして、わたしは最後の日にその者を起こす。

6:45 預言者たちの中に、『みなが神に教えられるだろう』と書いてある。それで、父から聞いて学んだ者はみなわたしのところへ来る。

6:46 神からの者のほかには、誰も父を見た者はいない。その者が父を見たのだ。

6:47 まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。わたしを信じる者は世々の特質ある命を持っている。

6:48 わたしは命のパンです。

6:49 あなたがたの父祖たちは荒野でマナを食べたが、死んでしまった。

6:50 これは、誰でもそれから食べてなお死なないようにするために、天から下って来るパンです。

6:51 わたしは天から下って来た生けるパンです。誰でもこのパンから食べる者は世に亘って生きるだろう。そして、世界の命のためにわたしが与えるパンは、わたしの肉です」。

6:52 それでユダヤ人たちは互いに言い争って言った。「この者はどうやって自分の肉を我々に与えて食べさせることができるのか」。

6:53 それでイエスは彼らに言った。「まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。人の息子の肉を食べ、また、彼の血を飲まないなら、あなたがたは自分の内に命を持っていない。

6:54 わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は世々の特質ある命を持っている。そして、わたしは彼を最後の日に起こす。

6:55 わたしの肉は真の食物であり、わたしの血は真の飲み物だからです。

6:56 わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者はわたしの内にとどまっており、そしてわたしは彼の内にとどまっている。

6:57 生ける父がわたしを遣わされ、わたしが父のゆえに生きているのと同じように、わたしを食べる者はわたしのゆえに生きるだろう。

6:58 これは天から下って来たパンです。父祖たちが食べてもなお死んだようなものではない。このパンを食べる者は世に亘って生きるだろう」。

6:59 カペナウムで教えていたとき、彼は会堂でこれらの事を言った。

6:60 それで彼の弟子のうち多くの者は、この事を聞いて言った。「これは、ひどい言葉だ。誰がこれを聞いていられようか」。

6:61 しかしイエスは、自分の弟子たちがこのことでつぶやいているのを自分の内で知っていて、彼らに言った。「このことがあなたがたをつまずかせるのか。

6:62 それでは、人の息子が前にいた所へ上って行くのを見たならどうなのか。

6:63 人を生かすものは霊です。肉は少しも益にならない。わたしがあなたがたに語った言葉は霊であり、命です。

6:64 しかし、あなたがたのうちのある者たちは信じていない」。というのは、イエスは初めから、誰が信じない者たちか、また誰が自分を引き渡す者かを知っていたからである。

6:65 彼は言った。「このゆえに、わたしはあなたがたに、父が与えてくださったのでなければ、誰もわたしのところに来ることはできないと言ったのです」。

6:66 このために、弟子のうち多くの者が後ろのものに退いて、もはや彼と共に歩かなかった。

6:67 それでイエスは十二人に言った。「あなたがたも去って行きたいと思っているわけではないだろう」。

6:68 シモン・ペテロが彼に答えた。「主よ、わたしたちは誰のところへ行きましょう。あなたは世々の特質ある命の言葉を持っておられます。

6:69 そしてわたしたちは、あなたが神の聖なる方であることを信じ、また知っております」。

6:70 イエスは彼らに答えた。「わたしがあなたがた十二人を選んだのではないか。それでも、あなたがたのうちの一人は謗魔です」。

6:71 ところで、彼はイスカリオテのシモンのユダに関して話したのであった。この者は、十二人の一人でありながら、彼を引き渡そうとしていたからである。

ヨハネ 第7章↑

7:1 これらの事ののち、イエスはガリラヤで歩いていた。ユダヤ人たちが彼を殺そうとしていたので、ユダヤで歩こうとはしなかったからである。

7:2 さて、ユダヤ人の仮庵の祭りが近づいていた。

7:3 それで彼の兄弟たちは彼に言った。「ここを去ってユダヤに行きなさい。あなたの弟子たちも、あなたの行なうあなたのわざを見るようにするためです。

7:4 自分が公に知られることを求めて、事をひそかに行なう者はいないからです。これらの事を行なうのなら、自分を世界に現しなさい」。

7:5 というのは、彼の兄弟たちも彼を信じていなかったからである。

7:6 それでイエスは彼らに言った。「わたしの時節はまだ来ていないが、あなたがたの時節はいつでも備わっている。

7:7 世界はあなたがたを憎むことはできないが、わたしを憎む。わたしが世界について、そのわざが邪悪であることを証しするからです。

7:8 あなたがたは祭りに上って行きなさい。わたしはこの祭りに上って行かない。わたしの時節はまだ満ちていないからです」。

7:9 彼はこれらの事を言って、ガリラヤにとどまった。

7:10 しかし、彼の兄弟たちが祭りに上って行った時、彼自身も、公にではなく、ひそかに上って行った。

7:11 そこでユダヤ人たちは祭りで彼を捜して、「あの者はどこにいるのか」と言った。

7:12 群衆の間では彼に関するささやきが多くあった。ある者たちは「彼は良い人だ」と言った。他の者たちは「そうではない。彼は群衆を道迷わしているのだ」と言っていた。

7:13 それでも、ユダヤ人たちへの恐れのために、誰も彼について公に話さなかった。

7:14 しかし、すでに祭りの半ばになった時、イエスは神殿に上って来て教えた。

7:15 それでユダヤ人たちは驚いて言った。「この者は学んだこともないのに、どうして文字を知っているのか」。

7:16 それでイエスは彼らに答えて言った。「わたしの教えはわたしのものではなく、わたしを送られた方のものです。

7:17 誰でもその方のご意志を行ないたいと思うなら、その教えについて、それが神からのものなのか、それともわたしが自分から話しているのかが分かるだろう。

7:18 自分から話す者は自分の栄光を求める。しかし、自分を送った方の栄光を求める者は真実な者であって、彼の内には不義がない。

7:19 モーセはあなたがたに律法を与えたではないか。それなのに、あなたがたのうちの誰も律法を実行していない。あなたがたはなぜわたしを殺そうとしているのか」。

7:20 群衆は答えた。「あなたは悪霊に取り憑かれている。誰があなたを殺そうとしているのか」。

7:21 イエスは答えて彼らに言った。「わたしが一つのわざを行なうと、あなたがたはみな驚いている。

7:22 このわけで、モーセはあなたがたに割礼を与えた(モーセからではなく、父祖たちからなのだが)。あなたがたは安息日にも人に割礼を施している。

7:23 モーセの律法を破らないようにと、人は安息日に割礼を受けるなら、安息日に人全身を良くしたからといってわたしに対して怒るのか。

7:24 うわべによって裁かずに、正しい裁きで裁きなさい」。

7:25 それでエルサレムの住民のある者たちが言った。「これは彼らが殺そうとしている者ではないか。

7:26 見よ、彼が公然と話しているのに、彼らは彼に何も言わない。あるいは支配者たちはこの者がキリストであることを、本当に知っているのだろうか。

7:27 だが、わたしたちはこの者がどこから来たかを知っている。キリストが来られる時には、彼がどこから来たのか誰も知らない」。

7:28 それでイエスは、神殿で叫び、教えて言った。「あなたがたはわたしを知っており、わたしがどこから来たかを知っている。わたしは自分から来たのではないが、わたしを送られた方は真実な方です。あなたがたはその方を知らない。

7:29 わたしは彼を知っている。わたしは彼から来ており、その方がわたしを遣わされたからです」。

7:30 そのため、彼らは彼を捕まえようとした。しかし、誰も彼に手をかけるものはいなかった。彼の時はまだ来ていなかったからである。

7:31 しかし、群衆の多くが彼を信じて言った。「キリストが来られる時にも、この者が行なったよりも多くのしるしは行なわないのではないだろうか」。

7:32 パリサイ人たちは、群衆が彼に関してこれらの事をささやいているのを聞いた。それで、祭司長たちとパリサイ人たちは、彼を捕えようとして、下役たちを遣わした。

7:33 それでイエスは言った。「もう少しの間、わたしはあなたがたと共にいる。それから、わたしを遣わした方のもとへ行く。

7:34 あなたがたはわたしを捜すが、見いださないだろう。そして、わたしのいる所にあなたがたは来ることができない」。

7:35 それでユダヤ人たちは互いに言い合った。「わたしたちが彼を見いださないというのは、この者がどこに行こうとしているのだろう。ギリシャ人の間の離散者のところに行って、ギリシャ人に教えようとしているのだろうか。

7:36 『あなたがたはわたしを探すが、見いださないだろう。そして、わたしのいる所にあなたがたは来ることができない』と彼が言うこの言葉はどういうことなのだろう」。

7:37 さて、祭りの大いなる最後の日に、イエスは立って叫んで言った。「誰でも渇く者がいれば、わたしのところに来て飲みなさい。

7:38 わたしを信じる者は、聖書が言っているとおり、彼の腹から生ける水の川々が流れ出るだろう」。

7:39 しかし、彼は、自分を信じる者たちが受けようとしている霊について言ったのである。というのは、その霊はまだなかったからでり、それはイエスがまだ栄光を受けていなかったからであった。

7:40 それで、群衆のうちのある者たちはこれらの言葉を聞いた時、「この者は本当にあの預言者だ」と言った。

7:41 ほかの者たちは「この者はキリストだ」と言った。しかし、ある者たちは言った。「いや、まさかキリストがガリラヤから出るだろうか。

7:42 聖書は、キリストがダビデの子孫から、またダビデのいた村ベツレヘムから来ると言っているではないか」。

7:43 そこで、彼のゆえに群衆の中で分裂が生じた。

7:44 彼らのうちのある者たちは彼を捕まえたいと思ったが、彼に手をかける者はいなかった。

7:45 それで下役たちは、祭司長たちとパリサイ人たちのところに来た。すると、その者たちは彼らに言った。「なぜ彼を連れて来なかったのか」。

7:46 下役たちは答えた。「あのように話した人はいまだかつてありません」。

7:47 それでパリサイ人たちは彼らに答えた。「あなたがたも道迷っているのではないか。

7:48 支配者たちやパリサイ人たちの中に、彼を信じた者がいるだろうか。

7:49 しかし、律法を知らないこの群衆はのろわれている」。

7:50 以前に彼の所に来たことがあり、また彼らの一人であったニコデモが彼らに言った。

7:51 「わたしたちの律法は、まず人から聞いて、彼が何をしているかを知っていなければ、裁かないではないか」。

7:52 彼らは答えて彼に言った。「あなたもガリラヤから出たのか。調べてみよ。預言者がガリラヤからは起こらないことが分かるだろう」。

7:53 そして、彼らはおのおの自分の家に行った。

ヨハネ 第8章↑

8:1 しかしイエスはオリーブ山に行った。

8:2 さて、朝早く、彼は再び神殿に来た。そして民はみな彼のもとに来た。彼は座って彼らを教えた。

8:3 書記官たちとパリサイ人たちが、姦淫の場で捕まった女を彼のもとに連れて来た。彼女を真ん中に立たせて、

8:4 ためすために彼に言った。「先生、わたしたちはこの女を姦淫の真っ最中に捕まった。

8:5 さて、モーセは律法の中で、このような者を石打ちにすることをわたしたちに命じました。それで、あなたは何と言いますか」。

8:6 彼らがそう言ったのは、彼をためして、彼を訴える口実を得るためであった。しかしイエスは身をかがめ、何も知らないふりをして、指で地面に書いていた。

8:7 しかし彼らが問い続けると、彼は立ち上がって彼らに言った。「あなたがたの間で罪のない者が、彼女に向かって最初に石を投げなさい」。

8:8 そして再び身をかがめ、地面に書いていた。

8:9 これを聞くと彼らは良心に責められ、年長者から始めて一人また一人と出て行った。イエス一人が残され、女もその真ん中にいた。

8:10 イエスは立ち上がり、その女のほかに誰をも見なかった。彼は彼女を言った。「あなたのこの告訴人たちはどこにいるのか。誰もあなたを罪に定めなかったのか」。

8:11 彼女は言った。「誰も、主よ」。イエスは言った。「わたしもあなたを裁かない。行きなさい。もう罪を犯してはならない」。

8:12 それでイエスは再び彼らに話して言った。「わたしは世界の光です。わたしについて来る者は闇の中を歩くことがなく、命の光を持つだろう」。

8:13 それでパリサイ人たちは彼に言った。「あなたは自分について証しをしている。あなたの証しは真実ではない」。

8:14 イエスは答えて彼らに言った。「たとえわたしが自分について証しをするとしても、わたしの証しは真実です。自分がどこから来たか、そしてどこへ行くかを知っているからです。しかしあなたがたはわたしがどこから来るか、またどこへ行くかを知らない。

8:15 あなたがたは肉によって裁く。わたしは誰をも裁かない。

8:16 しかし、わたしが裁くとしても、わたしの裁きは真実です。わたしはひとりではなく、わたしを遣わされた父と共にいるからです。

8:17 あなたがたの律法に、二人の人の証しは真実だと書いてある。

8:18 わたしは自分について証しをする者であり、わたしを遣わされた父もわたしについて証しをしてくださる」。

8:19 それで彼らは彼に言った。「あなたの父はどこにいるのか」。イエスは答えた。「あなたがたはわたしもわたしの父も知っていない。もしあなたがたがわたしを知っていたなら、わたしの父をも知っていただろう」。

8:20 神殿の中で教えていたとき、宝物庫の所で、彼はこれらの言葉を語った。それでも、誰も彼を捕らえなかった。彼の時がまだ来ていなかったからである。

8:21 それで彼は再び彼らに言った。「わたしは去って行く。そしてあなたがたはわたしを捜すが、自分の罪のうちに死ぬだろう。わたしが行く所に、あなたがたは来ることができない」。

8:22 それでユダヤ人たちは言った。「彼は自殺するつもりなのだろうか。『わたしが行く所に、あなたがたは来ることができない』と言うのだから」。

8:23 彼は彼らに言った。「あなたがたは下からの者だが、わたしは上からの者です。あなたがたはこの世界からの者だが、わたしはこの世界からの者ではない。

8:24 そのためわたしは、あなたがたは自分の罪のうちに死ぬだろうとあなたがたに言った。わたしがその者だと信じないなら、あなたがたは自分の罪のうちに死ぬからです」。

8:25 それで彼らは彼に言った。「あなたは誰なのか」。イエスは彼らに言った。「まさしくわたしが初めからあなたがたに言っているものです。

8:26 わたしには、あなたがたに関して言うべき、また裁くべきことがたくさんある。しかし、わたしを送られた方は真実であり、わたしはその方から聞いたことを世界に向かって話すのです」。

8:27 彼らは、彼が父について彼らに話していることを理解しなかった。

8:28 それでイエスは言った。「あなたがたは、人の息子を挙げると、その時、わたしがその者であること、また、わたしが自分からは何も行なわず、父がわたしに教えてくださったとおりに、これらの事を話すことを知るだろう。

8:29 わたしを送られた方はわたしと共におられる。彼はわたしをひとりで残してはおかれなかった。わたしはいつでもその方の喜ばれる事を行なうからです」。

8:30 彼がこれらの事を話していた時、多くの者が彼を信じた。

8:31 それでイエスは、自分を信じたそれらのユダヤ人たちに言った。「あなたがたがわたしの言葉にとどまるなら、あなたがたは本当にわたしの弟子です。

8:32 あなたがたは真理を知り、真理はあなたがたを自由にするだろう」。

8:33 彼らは彼に答えた。「わたしたちはアブラハムの子孫であり、決して誰かの奴隷になったこともない。『あなたがたは自由になる』と言うのはどうしてか」。

8:34 イエスは彼らに答えた。「まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。罪を犯す者はみな罪の奴隷です。

8:35 そして、奴隷は世に亘って家にとどまることはない。しかし息子は世に亘ってとどまる。

8:36 だから、もし息子があなたがたを自由にするなら、あなたがたは本当に自由になるのです。

8:37 わたしはあなたがたがアブラハムの子孫であることを知っている。しかし、あなたがたはわたしを殺そうとしている。わたしの言葉があなたがたの内に場所を見いだせないからです。

8:38 わたしは父のもとで見てきた事を話している。それであなたがたも父から聞いた事を行なっている」。

8:39 彼らは答えて彼に言った。「わたしたちの父はアブラハムです」。イエスは彼らに言った。「もしあなたがたがアブラハムの子供であったなら、あなたがたはアブラハムのわざを行なうだろう。

8:40 ところが今、あなたがたはわたしを、神から聞いた真理を語ってきた人を殺そうとしている。アブラハムはこのようなことをしなかった。

8:41 あなたがたは自分たちの父のわざを行なっているのです」。彼らは彼に言った。「わたしたちは淫売によって生まれたのではない。わたしたちには一人の父、神がいるのです」。

8:42 イエスは彼らに言った。「もし神があなたがたの父であったなら、あなたがたはわたしを愛するだろう。わたしは神から出て来た、また来ているからです。わたしは自分から来たのではなく、その方がわたしを遣わされたのです。

8:43 あなたがたがわたしの話すことを理解しないのはなぜなのか。それはあなたがたがわたしの言葉を聞くことができないからです。

8:44 あなたがたは父、謗魔からの者であり、自分たちの父の欲望を行ないたいと思っている。その者は初めから人殺しであって、真理の内に立たない。彼の内には真理がないからです。彼が偽りを語るときには、彼自身のものに従って語る。彼は偽り者であり、偽りの父だからです。

8:45 しかし、わたしは真理を語るので、あなたがたはわたしを信じない。

8:46 あなたがたのうちの誰が、わたしに罪があると責めるのか。わたしが真理を話しているなら、なぜあなたがたはわたしを信じないのか。

8:47 神からの者は神の言葉を聞く。この理由であなたがたは聞かない。あなたがたが神からの者ではないからです」。

8:48 ユダヤ人たちは答えて彼に言った。「わたしたちが、あなたはサマリア人で、悪霊に取り憑かれていると言うのは正しいのではないか」。

8:49 イエスは答えた。「わたしは悪魔に取り憑かれてはいない。わたしはわたしの父を敬うのに、あなたがたはわたしを軽蔑している。

8:50 しかし、わたしは自分の栄光を求めない。求め、かつ裁く方がおられる。

8:51 まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。誰でもわたしの言葉を守るなら、その者は世に亘って決して死を見ることがない」。

8:52 ユダヤ人たちは彼に言った。「あなたが悪霊に取り憑かれていることが今こそ分かった。アブラハムは死に、預言者たちも死んだ。それなのにあなたは、『わたしの言葉を守るなら、その者は世に亘って決して死を味わうことがない』と言う。

8:53 あなたは、わたしたちの父アブラハムより偉いのか。彼は死に、預言者たちも死んだ。あなたは自分を何者としているのか」。

8:54 イエスは答えた。「もしわたしが自分に栄光を与えるなら、わたしの栄光はむなしいものです。わたしに栄光を与えてくださるのはわたしの父であって、あなたがたが自分の神だと言っているその方です。

8:55 あなたがたは彼を知っていないが、わたしは彼を知っている。もしわたしが彼を知らないと言うなら、わたしはあなたがたと同じように偽り者になるだろう。しかしわたしは彼を知っており、彼の言葉を守っている。

8:56 あなたがたの父アブラハムはわたしの日を見ることを喜んだ。彼はそれを見て歓喜した」。

8:57 それでユダヤ人たちは彼に言った。「あなたはまだ五十歳にもなっていないのに、アブラハムを見たことがあるのか」。

8:58 イエスは彼らに言った。「まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。アブラハムが存在する前からわたしはいるのです」。

8:59 そのため彼らは彼に投げつけるために石を拾い上げた。しかしイエスは隠され、神殿から出て行った。

ヨハネ 第9章↑

9:1 さて、通り過ぎる際、彼は生まれつきの盲人を見た。

9:2 彼の弟子たちは彼に尋ねて言った。「ラビ、彼が盲人として生まれたのは、誰が罪を犯したからですか。この者ですか。それとも彼の両親ですか」。

9:3 イエスは答えた。「この者が罪を犯したのでもなく、彼の両親でもない。神のわざが彼において現れるためです。

9:4 わたしたちは昼の間に自分を送られた方のわざを行なわなければならない。誰も働くことができない夜が来ようとしている。

9:5 わたしは世界にいる間、わたしは世界の光です」。

9:6 これらのことを言ってから、地面につばをはき、つばで粘土を作り、彼の両目に粘土を塗り、

9:7 彼は彼に言った。「行って、シロアム(遣わされたと訳される)の池で洗いなさい」。そこで彼は行って洗い、見えるようになって戻って来た。

9:8 それで隣人たちや、彼が乞食であるのを以前に見ていた者たちは言った。「これは座って物ごいをしていた者ではないか」。

9:9 ある者たちは、「これはその者だ」と言っていた。他の者たちは、「いや、ただ彼に似ているだけだ」と言っていた。その者は言った、「わたしがその者です」。

9:10 それで彼らは彼に言った。「あなたの目はどうして開いたのか」。

9:11 その者は答えた。「イエスと呼ばれる人が粘土を作り、わたしの両目に塗って、わたしに『シロアムに行って洗いなさい』と言いました。それでわたしが行って洗うと、見えるようになったのです」。

9:12 すると彼らは彼に言った。「その者はどこにいるのか」。彼は言った。「わたしは知りません」。

9:13 彼らはかつて盲人であった人をパリサイ人たちのところへ連れて行った。

9:14 しかしイエスが粘土を作って彼の目を開いたその日は、安息日であった。

9:15 そのためパリサイ人たちも再び、どのようにして見えるようになったのかを彼に尋ねた。彼は彼らに言った。「彼はわたしの両目の上に粘土を付け、わたしは洗いました。そして見えるのです」。

9:16 それでパリサイ人のある者たちは言った。「この人は神からの者ではない。彼は安息日を守らないからです」。他の者たちは言った。「罪人である人が、どうしてこのようなしるしを行なうことができるだろうか」。彼らの間には分裂があった。

9:17 それで彼らは再びその盲人に言った。「彼があなたの目を開けたことで、あなたは彼について何と言うのか」。彼は言った。「彼は預言者です」。

9:18 そのためユダヤ人たちは彼に関して、彼が盲目であったのに見えるようになったことを信じなかった。ついに彼らは見えるようになった人の両親を呼んで、

9:19 彼らは彼らに尋ねて言った。「これはあなたがたが生まれつき盲人であったと言うあなたがたの息子か。それで、どうして今は見えるのか」。

9:20 すると、彼の両親は答えて言った。「わたしたちはこの者がわたしたちの息子で、生まれつき盲人であったことは知っています。

9:21 しかし、どうして今は見えるのかは知りません。また誰が彼の目を開けたのかも知りません。彼に尋ねてください。彼は大人です。自分のことは自分で話すでしょう」。

9:22 彼の両親は、ユダヤ人たちを恐れていたので、これらの事を言った。ユダヤ人たちはすでに、誰かが彼をキリストだと告白するなら、会堂から追放されることに決めていたからである。

9:23 そのために彼の両親は、「彼は大人です。彼に尋ねてください」と言った。

9:24 そこで彼らは、盲人であった人を二度目に呼んで、彼に言った。「神に栄光をささげなさい。わたしたちはこの人が罪人だということを知っているのです」。

9:25 それでその者は答えた。「わたしは彼が罪人かどうかは知りません。一つのことは知っています。わたしは盲人であったのに、今は見えるということです」。

9:26 そこで彼らは彼に言った。「彼はあなたに何をしたのか。どうやってあなたの目を開けたのか」。

9:27 彼は彼らに答えた。「わたしはもうあなたがたに言ったのに、あなたがたは聞きませんでした。なぜ再び聞こうとするのですか。あなたがたも彼の弟子になりたいわけではないでしょうに」。

9:28 彼らは彼をののしって言った。「あなたはあの者の弟子ですが、わたしたちはモーセの弟子です。

9:29 わたしたちは、神がモーセに話されたことを知っている。しかしこの者については、彼がどこから来たのか知らない」。

9:30 その人は彼らに答えた。「これは何とも驚いたことです。彼がわたしの目を開けたのに、彼がどこから来たのかご存じないとは。

9:31 わたしたちは、神が罪人たちにはお聴きにならないことを知っています。しかし、誰でも神を礼拝して彼のご意志を行なうなら、その者にはお聴きになります。

9:32 生れつき盲人であった者の目をあけた者があるということは、世が始まって以来、聞いたことがありません。

9:33 もしこの方が神からの者でなかったなら、何もできなかったはずです」。

9:34 彼らは答えて彼に言った。「あなたは全く罪のうちに生まれながら、わたしたちを教えるのか」。彼らは彼を追い出した。

9:35 イエスは彼らが彼を追い出したことを聞くと、彼を見つけて言った。「あなたは人の息子を信じるか」。

9:36 その者は答えて言った。「それはどなたですか、主よ、わたしがその方を信じることができますように」。

9:37 イエスは彼に言った。「あなたは彼を見た。しかも、あなたと話しているのがその者です」。

9:38 彼は、「主よ、信じます」と言って、イエスを拝んだ。

9:39 イエスは言った。「わたしは裁きのためにこの世界に来た。見えない者が見えるようになり、また、見える者が盲目になるためです」。

9:40 パリサイ人のうち彼と一緒にいた者たちがこれらのことを聞いて、彼に言った。「わたしたちも盲目なのですか」。

9:41 イエスは彼らに言った。「あなたがたが盲目であったなら、あなたがたには罪がなかっただろう。しかし今、あなたがたは『わたしたちは見える』と言っているので、あなたがたの罪は残るのです」。

ヨハネ 第10章↑

10:1 「まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。羊たちの囲いに戸口から入らず、どこかほかの所を乗り越える者、その者は盗人であり、強盗です。

10:2 しかし、戸口から入る者はその羊たちの羊飼いです。

10:3 戸口番はこの者のために開き、羊たちは彼の声を聞く。彼は自分の羊たちを名で呼んでそのものたちを連れ出す。

10:4 彼が自分のものをみな出すと、彼はそのものたちの前を行き、羊たちは彼について行く。彼の声を知っているからです。

10:5 しかし、よその者には決してついて行かず、その者から逃げる。そのものたちは、よその者たちの声を知らないからです」。

10:6 イエスはこのたとえを彼らに話したが、この者たちは自分たちに話されたことを理解しなかった。

10:7 それでイエスは再び彼らに言った。「まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。わたしが羊たちの戸口です。

10:8 わたしより前に来た者はみな盗人であり、強盗です。しかし、羊たちは彼らの言うことを聞かなかった。

10:9 わたしが戸口です。誰でもわたしを通って入るなら、その者は救われ、また入ったり出たりして、牧草を見つけるだろう。

10:10 盗人は、盗み、殺し、滅ぼしたりするためにほかならない。わたしが来たのは、そのものたちが命を得、それを豊かに得るためです。

10:11 わたしが良い羊飼いです。良い羊飼いは羊たちのために自分の魂を捨てる。

10:12 雇人であって、羊飼いではなく、羊たちが自分のものではない者は、やって来るおおかみを見ると、羊たちを残して逃げる。おおかみはそれらを奪い、また追い散らす。

10:13 彼が雇人であって、羊たちのことを心にかけていないからです。

10:14 わたしが良い羊飼いです。わたしはわたしのものたちを知っており、わたしのものたちはわたしを知っている。

10:15 ちょうど父がわたしを知っておられ、わたしが父を知っているのと同じです。わたしは羊たちのために自分の魂を捨てる。

10:16 わたしにはこの囲いのものではないほかの羊たちがいる。それらもわたしは連れて来なければならず、そのものたちはわたしの声を聞く。そして、一つの群れ、一人の羊飼いとなる。

10:17 それゆえに父はわたしを愛しておられる。わたしが自分の魂を捨てるからです。それは、わたしがそれを再び受けるためです。

10:18 誰かがわたしからそれを取り去るのではなく、わたしは自分でそれを捨てるのです。わたしには、それを捨てる権限があり、またそれを再び受ける権限がある。わたしはこのおきてを父から受けた」。

10:19 これらの言葉のゆえに、ユダヤ人たちの間に再び分裂が生じた。

10:20 彼らのうち多くの者は言った。「彼は悪霊に取り憑かれて、気が狂っている。なぜあなたがたは彼の言うことを聞くのか」。

10:21 他の者たちは言った。「これは悪霊に取り憑かれた者の言うことではない。悪霊が盲人の目を開けることができようか」。

10:22 その時、エルサレムで奉献の祭りがあった。それは冬期であった。

10:23 イエスは神殿の中でソロモンの廊を歩いていた。

10:24 それでユダヤ人たちは彼を取り囲んで言った。「いつまであなたは、わたしたちの魂をどっちつかずにしておくのですか。あなたがキリストなら、わたしたちにはっきり言ってください」。

10:25 イエスは彼らに答えた。「わたしはあなたがたに言った。あなたがたは信じない。わたしがわたしの父の名において行なうわざ、それらがわたしについて証しする。

10:26 しかし、あなたがたは信じない。あなたがたはわたしの羊たちに属していないからです。

10:27 わたしの羊たちはわたしの声を聞き、わたしはそのものたちを知っており、そのものたちはわたしについて来る。

10:28 わたしはそのものたちに世々の特質ある命を与える。そのものたちは世に亘って決して滅びることなく、そのものたちをわたしの手から奪い取る者はいない。

10:29 わたしに与えられたわたしの父は、すべてのものよりも偉大です。父の手から奪い取ることができる者はいない。

10:30 わたしと父とは一つです」。

10:31 それでユダヤ人たちは、彼を再び石打ちしようとして石を拾い上げた。

10:32 イエスは彼らに答えた。「わたしは父からの多くの良いわざをあなたがたに見せた。その中のどのわざのためにあなたがたはわたしを石打ちにするのか」。

10:33 ユダヤ人たちは彼に答えた。「わたしたちがあなたを石打ちにするのは、良いわざのためではなく、冒とくのためです。あなたは人間でありながら、自分を神性を備えたものとしているからです」。

10:34 イエスは彼らに答えた。「あなたがたの律法の中に、『わたしは言った。「あなた方は神々である」』と書いていないだろうか。

10:35 神の言葉の臨んだそのものたちを神々と呼んでいるとすれば(そして聖書は破られることがあり得ない)、

10:36 『わたしは神の息子だ』とわたしが言ったことのために、父が聖別して世界に遣わされた者に関して、『あなたは冒とくしている』と言うのか。

10:37 わたしがわたしの父のわざを行なっていないのなら、わたしを信じなくてもよい。

10:38 しかし、わたしがそれを行なっているのなら、たとえわたしを信じないとしても、そのわざを信じなさい。父がわたしにおり、わたしが父にいることを知るようになり、また知り続けるためです」。

10:39 彼らは再び彼を捕まえようとした。しかし、彼は彼らの手から出て行った。

10:40 彼は再びヨルダンの向こう側、ヨハネが最初にバプテスマしていた場所へ去って行き、そこに滞在した。

10:41 多くの人が彼のところにやって来た。彼らは言った。「ヨハネは確かに何のしるしも行なわなかったが、ヨハネがこの者について言ったことはすべて真実だった」。

10:42 そして、そこでは多くの人が彼を信じた。

ヨハネ 第11章↑

11:1 さて、ある人が病気であった。マリヤと彼女の姉妹マルタの村、ベタニヤ出身のラザロである。

11:2 主に香油を塗り、彼の両足を自分の髪でぬぐったのはこのマリヤであり、彼女の兄弟ラザロが病気であった。

11:3 それで姉妹たちは彼のもとに人を遣わして言った。「主よ、ご覧ください。あなたが愛情を抱いてくださっている者が病気です」。

11:4 しかしイエスは聞いて言った。「この病気は死に至るものではなく、神の栄光のため、神の息子がそれによって栄光を受けるためのものです」。

11:5 さて、イエスはマルタと彼女の姉妹とラザロを愛していた。

11:6 それで、彼が病気だと聞いたとき、自分のいた所に二日間とどまっていた。

11:7 それから、そののち、彼は弟子たちに言った。「もう一度ユダヤに行こう」。

11:8 弟子たちは彼に言った。「ラビ、たった今ユダヤ人たちはあなたを石打ちにしようとしたのに、またあそこに行こうとされるのですか」。

11:9 イエスは答えた。「日中の十二時間があるではないか。誰でも日中に歩けば、つまずくことはない。この世界の光を見ているからです。

11:10 しかし、誰でも夜の間に歩けばつまずく。光が彼の内にないからです」。

11:11 彼はこれらの事を言って、そののち、彼らに言った。「わたしたちの友ラザロは眠っている。しかしわたしは彼を眠りから覚ましに行く」。

11:12 それで彼の弟子たちは彼に言った。「主よ、眠っているのでしたら、救われるでしょう」。

11:13 しかし、イエスは彼の死について話していたが、その者たちは眠って休息をとることについて話しているものだと思っていた。

11:14 そこでイエスはその時、彼らにはっきりと言った。「ラザロは死んだのです。

11:15 わたしは、自分がそこにいなかったことを、あなたがたのために喜ぶ。それはあなたがたが信じるようになるためです。それでも、彼のところに行こう」。

11:16 それで、デドモと呼ばるトマスが、仲間の弟子たちに言った。「わたしたちも行って、彼と共に死のう」。

11:17 そこでイエスが行ってみると、彼は墓の中にいてすでに四日たっていた。

11:18 ところで、ベタニヤはエルサレムに近く、およそ十五スタディオン離れていた。

11:19 多くのユダヤ人たちが、マルタとマリヤの所に来ていた。兄弟に関して彼女たちを慰めようとしてであった。

11:20 それで、マルタはイエスが来ていると聞くと、彼を出迎えに行った。しかしマリヤは家の中に座っていた。

11:21 それでマルタはイエスに言った。「主よ、あなたがここにいてくださったなら、わたしの兄弟は死ななかったでしょう。

11:22 今でもわたしは、あなたが神にお求めになることは何でも、神はあなたにお与えになることを知っています」。

11:23 イエスは彼女に言った。「あなたの兄弟は起き上がるだろう」。

11:24 マルタは彼に言った。「わたしは、彼が最後の日の復活の時に起き上がることを知っています」。

11:25 イエスは彼女に言った。「わたしは復活であり、命です。わたしを信じる者は、たとえ死んでも生きる。

11:26 また、生きていてわたしを信じる者はすべて、世に亘って決して死なない。あなたはこれを信じるか」。

11:27 彼女は彼に言った。「はい、主よ。わたしはあなたが世界に来られるキリスト、神の息子であると信じております」。

11:28 そして、このことを言うと、彼女は去って行き、そっと自分の姉妹マリヤを呼んで言った。「先生が来ておられ、あなたを呼んでおられます」。

11:29 この者はこれを聞くと、急いで立ち上がり、彼のもとに行った。

11:30 ところで、イエスはまだ村に入らないで、マルタが彼と会った場所にいた。

11:31 それで、家の中で彼女と共にいて、彼女を慰めていたユダヤ人たちは、急いで立ち上がって出て行くマリヤを見たとき、墓に行ってそこで泣こうとしているのだと思い、彼女について行った。

11:32 それでマリヤはイエスがいる所に来て、彼を見ると、彼の足もとにひれ伏して、彼に言った。「主よ、あなたがここにいてくださったなら、わたしの兄弟は死ななかったでしょう」。

11:33 それでイエスは、彼女が泣き、彼女と共に来たユダヤ人たちも泣いているのを見ると、霊においてうめき、また心を騒がせ、

11:34 そしてこう言った。「あなたがたは彼をどこに置いたのか」。彼らは彼に言った。「主よ、来て、ご覧ください」。

11:35 イエスは涙を流した。

11:36 それでユダヤ人たちは言った。「見よ、彼にどれほど愛情を抱いていたのでしょう」。

11:37 しかし、彼らのうちのある者たちは言った。「盲人の目を開けたこの人が、この者を死なないようにすることはできなかったのか」。

11:38 それでイエスは、再び自分の内でうめき、墓に来た。ところでそれは洞くつであって、それに石が置かれていた。

11:39 イエスは言った。「石を取りのけなさい」。死んでいた者の姉妹マルタが彼に言った。「主よ、もう臭くなっています。四日たちますから」。

11:40 イエスは彼女に言った。「信じれば神の栄光を見ると、わたしはあなたに言ったではないか」。

11:41 そこで彼らは石を取りのけた。イエスは目を上げて言った。「父よ、わたしに耳を傾けてくださったことに感謝します。

11:42 わたしは、あなたがいつもわたしに耳を傾けてくださっていることを知っていました。しかし、周りに立っているこの群衆のために、わたしはこう言いました。あなたがわたしを遣わされたことを彼らが信じるためです」。

11:43 これらの事を言ってから、大声で叫んだ。「ラザロよ、出て来なさい」。

11:44 死んでいた人が、手と足を覆い布で巻かれたまま出て来たのである。彼の顔も布で包まれていた。イエスは彼らに言った。「彼を解いて、そして彼を行かせなさい」。

11:45 それで、マリヤのところに来てイエスの行なったことを見た多くのユダヤ人が、彼を信じた。

11:46 しかし、彼らのうちの何人かはパリサイ人たちのところに去って行き、イエスが行なった事を彼らに話した。

11:47 それで、祭司長たちとパリサイ人たちはサンヘドリンを招集して言った。「わたしたちは何をしているのだ。この人が多くのしるしを行なっているというのに。

11:48 わたしたちが彼をこのままほうっておくなら、みんなが彼を信じるだろう。そして、ローマ人たちがやって来て、わたしたちの場所も国民も奪い去ってしまうだろう」。

11:49 しかし彼らのうちのある者、その年に祭司長であったカヤパが彼らに言った。「あなたがたは何も分かっていない。

11:50 そして、一人の人が民のために死んで、国民全体が滅びないことが、あなたがたにとって益になることを考えていない」。

11:51 ところで、彼はこれを自分から言ったのではなく、その年に祭司長であったので、このことを預言したのである。すなわち、イエスが国民のために死ぬことになること、

11:52 また、それが国民のためだけではなく、散らされている神の子らを一つに集めるためでもあるということである。

11:53 そこで彼らはその日以来、彼を殺そうと相談した。

11:54 そのためイエスは、もはや公然とユダヤ人の間を歩かないで、そこから、荒野に近い地方、エフライムと呼ばれる町に行った。彼は弟子たちと共にそこにとどまっていた。

11:55 さて、ユダヤ人の過ぎ越しが近づいていた。多くの人が身を清めるために、過ぎ越しの前にその地方からエルサレムに上って行った。

11:56 それで彼らはイエスを捜し、神殿の中に立ちながら互いに言い合った。「あなたがたはどう思うか。彼は祭りに全然来ないのだろうか」。

11:57 しかし、祭司長たちとパリサイ人たちは、誰でも彼がどこにいるかを知ったなら報告するように命じていた。彼を捕まえるためであった。

ヨハネ 第12章↑

12:1 それから、過ぎ越しの六日前、イエスはベタニヤに来た。そこは、イエスが死んだ者たちの中から起こさせたラザロがいた所である。

12:2 それで彼らは彼のためにそこで夕食を用意した。マルタが給仕していたが、ラザロは彼と共に食卓に着いていた者たちの一人であった。

12:3 そこでマリヤは、高価な純粋なナルド香油一ポンドを取り、イエスの両足に塗り、自分の髪で彼の両足をぬぐった。家は香油の香りでいっぱいになった。

12:4 しかし、彼の弟子の一人で、彼を引き渡そうとしていたイスカリオテのユダが言った。

12:5 「なぜこの香油を三百デナリで売って、貧しい人々に与えなかったのか」。

12:6 ところで、彼がこのことを言ったのは、貧しい人々のことを気にかけていたからではなく、彼が盗人であり、金箱を持っていたが、そこに入れられるものをごまかしていたからであった。

12:7 それでイエスは言った。「彼女をそのままにしておきなさい。彼女はわたしの埋葬の日のためにこのことを守ったのだから。

12:8 あなたがたには、貧しい人々はいつでも一緒にいるが、わたしはいつでもいるわけではないからです」。

12:9 それで、ユダヤ人たちからなる大群衆は、彼がそこにいるのを知って、やって来た。それはイエスのためだけでなく、死んだ者たちの中から起こさせたラザロを見るためでもあった。

12:10 しかし祭司長たちは、ラザロをも殺そうと相談した。

12:11 彼のために多くのユダヤ人たちが去って行き、イエスを信じたからであった。

12:12 次の日、祭りに来ていた大群衆は、イエスがエルサレムに来られることを聞いて、

12:13 しゅろの木の枝を取り、彼を出迎えるために出て行き、叫んだ。「ホサナ、主の名において来る者に祝福れ、イスラエルの王に」。

12:14 イエスは、子ろばを見つけて、それに座った。こう書いてあるとおりである。

12:15 「シオンの娘よ、恐れてはならない。見よ、あなたの王が来る。ろばの子に座って」。

12:16 彼の弟子たちはこれらの事を初めには理解しなかったが、イエスが栄光を受けた時、これらの事が彼について書かれていたこと、また自分たちが彼にこれらの事を行なったということを思い出した。

12:17 それで、彼がラザロを墓から呼び出して死んだ者たちの中から起こさせた時に、彼と共にいた群衆は証しをした。

12:18 この理由のためにも、群衆は彼を迎えに出た。彼がこのしるしを行なったことを聞いたからである。

12:19 それでパリサイ人たちは互いに言い合った。「あなたがたが何も成し遂げていないのを見なさい。見よ、世界は彼を追って行ってしまった」。

12:20 ところで、祭りで礼拝するために上って来た者たちの中に、あるギリシャ人たちがいた。

12:21 それでこれらの者たちは、ガリラヤのベツサイダ出身のピリポのところに来て、「イエスにお目にかかりたいのですが」と言って彼に頼んだ。

12:22 ピリポはやって来てアンデレに話し、アンデレとピリポは来て、彼らはイエスに話した。

12:23 しかしイエスは彼らに答えて言った。「人の息子が栄光を受ける時が来た。

12:24 まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。一粒の小麦は地に落ちて死ななければ、それはそのままで残る。しかしそれが死ぬなら、多くの実を結ぶ。

12:25 自分の魂を愛している者はそれを滅ぼす。この世界において自分の魂を憎む者は、それを保って世々の特質ある命に至るだろう。

12:26 誰でもわたしに仕えるなら、その者はわたしについて来なさい。わたしがいる所、そこにわたしに仕える者もいることになる。誰でもわたしに仕えるなら、父はその者を尊ばれる。

12:27 今、わたしの魂は騒いでいる。わたしは何と言おうか。父よ、わたしをこの時から救ってください。しかし、このゆえにわたしはこの時に至ったのです。

12:28 父よ、あなたのみ名の栄光をお示しください」。すると天から声があった。「わたしはその栄光を現わした。そして再び栄光を現わそう」。

12:29 そのため、そこに立っていた群衆がそれを聞いて、「雷が鳴ったのだ」と言った。他の者たちは、「使いの者が彼に話したのだ」と言った。

12:30 イエスは答えて言った。「この声は、わたしのためではなく、あなたがたのために生じたのです。

12:31 今は、この世界の裁きの時です。今、この世界の支配者は追い出されるのです。

12:32 そしてわたしは、地から上げられるなら、すべての人をわたし自身に引き寄せるだろう」。

12:33 彼はこう言って、自分がどんな死に方で死のうとしているかを示すためです。

12:34 それで群衆は彼に答えた。「わたしたちは律法から、キリストが世に亘ってとどまることを聞いています。あなたが、『人の息子は上げられねばならない』と言われるのはどうしてですか。この人の息子とは誰なのですか」。

12:35 それでイエスは彼らに言った。「もう少しの間、光はあなたがたの間にある。闇があなたがたに追いつかないために、自分たちに光があるうちに歩きなさい。闇の中を歩く者は、自分がどこへ行くのかを知らない。

12:36 あなたがたが光の息子たちとなるために、自分たちに光があるうちに光を信じなさい」。イエスはこれらの事を言ってから立ち去り、彼らから身を隠した。

12:37 しかし、彼は彼らの前で多くのしるしを行なったのに、彼らは彼らを信じなかった。

12:38 それは、預言者イザヤの言葉が成就するためであった。彼はこう言った。「主よ、誰がわたしたちの知らせを信じたでしょうか。誰に主のみ腕が示されたでしょうか」。

12:39 こういうわけで、彼らは信じることができなかった。イザヤはまたこう言ったからである。

12:40 「彼は彼らの目を盲目にし、彼らの心をかたくなにした。彼らが目で見ず、心で理解せず、立ち返らず、わたしが彼らをいやすことがないためである」。

12:41 イザヤがこれらの事を言ったのは、彼の栄光を見たからであって、彼について語ったのである。

12:42 それでも、支配者の中にも、多くの者が彼を信じた。しかし、パリサイ人たちのために、彼らはそれを告白しなかった。会堂から追放されないようにするためであった。

12:43 彼らは神の栄光よりも、人の栄光を愛したからである。

12:44 イエスは叫んで言った。「わたしを信じる者は、わたしではなく、わたしを送られた方を信じている。

12:45 また、わたしを見る者はわたしを送られた方を見ている。

12:46 わたしは光として世界に来た。それは、わたしを信じる者がすべて、闇の中にとどまらないようにするためです。

12:47 誰かがわたしの言葉を聞いて、それを守らないとしても、わたしは彼を裁かない。わたしは世界を裁くためではなく、世界を救うために来たからです。

12:48 わたしを拒み、わたしの言葉を受け入れない者には、彼を裁くものがある。わたしの話したその言葉が、最後の日に彼を裁くだろう。

12:49 わたしは自分から話したのではなく、わたしを送られた父ご自身が、何を言うべきか、何を話すべきか、わたしに命令を与えられたからです。

12:50 わたしは、彼の命令が世々の特質ある命であることを知っている。それゆえに、わたしが話していることは、ちょうど父がわたしに話されたように、そのとおりにわたしは話すからです」。

ヨハネ 第13章↑

13:1 さて、過ぎ越しの祭りの前に、イエスはこの世界を去って父のみもとに行くべき自分の時が来たことを知り、世界にいた自分の者たちを愛して、彼らを終結まで愛した。

13:2 夕食が進んでいる間に、謗魔はすでにシモンのイスカリオテのユダの心に彼を引き渡す考えを入れていたが、

13:3 彼は、父がすべてのものを自分の手に与えられたこと、そして自分が神から出て来て、神のもとに行こうとしていることを知り、

13:4 夕食の席から立ち上がり、上着をわきに置いた。手ぬぐいを取って身に帯びた。

13:5 それから、たらいに水を入れて、弟子たちの足を洗い、身に帯びた手ぬぐいでふき始めた。

13:6 こうして、シモン・ペテロのところに来た。彼は彼に言った。「主よ、わたしの足をお洗いになるのですか」。

13:7 イエスは答えて彼に言った。「あなたはわたしがしていることを今は分からないが、これらの事の後で理解するだろう」。

13:8 ペテロは彼に言った。「わたしの足を、世に亘って決して洗わないでください」。イエスは彼に答えた。「わたしがあなたを洗わないなら、あなたはわたしと何の関係もない」。

13:9 シモン・ペテロはイエスに言った。「主よ、わたしの足だけでなく、手も頭も」。

13:10 イエスは彼に言った。「水浴びした者は、足のほかは洗う必要がない。全身清いのです。あなたがたは清いが、みんながそうなのではない」。

13:11 彼は自分を引き渡す者を知っていたので、そのために、「あなたがたのすべてが清いのではない」と言ったのである。

13:12 そこで彼らの足を洗ってから、上着を着け、再び食卓に着き、彼らに言った。「わたしがあなたがたにしたことが分かるか。

13:13 あなたがたはわたしを『先生』また『主』と呼ぶ。そう言うのは正しいことです。わたしはそうだからです。

13:14 それで、主また先生であるわたしがあなたがたの足を洗ったのなら、あなたがたも互いに足を洗い合うべきです。

13:15 わたしがあなたがたに模範を与えたのは、あなたがたも、わたしがあなたがたにしたのと同じようにするためだからです。

13:16 まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。奴隷は自分の主人より偉大ではなく、使徒は自分を送られた者より偉大ではない。

13:17 もしこれらの事を知って、それを行なうなら、あなたがたは幸せです。

13:18 わたしはあなたがたのすべてに関して話しているのではない。わたしは自分の選んだ者を知っている。しかしそれは、『わたしのパンを食べている者が、わたしに向かってかかとを上げた』という聖書が成就するためなのです。

13:19 今から、それが起きる前にあなたがたに言っておく。それが起きる時、わたしがその者であることを信じるためです。

13:20 まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。わたしが送る者を受け入れる者はわたしを受け入れるのであり、わたしを受け入れる者はわたしを送られた方を受け入れるのです」。

13:21 イエスはこれらのことを言うと、霊において騒ぎ、証しして言った。「まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。あなたがたのうちの一人がわたしを引き渡すだろう」。

13:22 弟子たちは、彼が誰について話しているのかと当惑して、互いに見つめ合った。

13:23 彼の弟子の一人で、イエスが愛していた者が、イエスの胸にもたれていた。

13:24 それで、シモン・ペテロはこの者にうなずいて合図して、彼が誰のことを言っているのかと尋ねさせた。

13:25 その者はそのままイエスの胸もとにもたれかかって、「主よ、それは誰ですか」と言った。

13:26 イエスは答えた。「わたしが一口の食物を浸して与える者がその者です」。そこで彼は一口の食物を浸して、それをシモンのイスカリオテのユダに与えた。

13:27 一口の食物の後で、そのとき、サタンがその者の中に入った。それで、イエスは彼に言った。「あなたのすることを早くしなさい」。

13:28 しかし、食卓に着いている者は誰も、イエスがなぜ彼にこのことを言ったのかを知らなかった。

13:29 というのは、ある者たちは、ユダが金箱を持っていたので、イエスは彼に、「祭りのためにわたしたちが必要とする物を買いなさい」と言った、あるいは、貧しい人々に何かを与えるようとしたのだと思っていたのである。

13:30 それで、一口の食物を受け取ると、その者はすぐに出て行った。それは夜であった。

13:31 彼が出て行くと、イエスは言った。「今や人の息子は栄光を受け、神は彼において栄光を受けられた。

13:32 神が彼において栄光を受けられたのなら、神は彼にもご自身において栄光を与えられ、すぐに彼に栄光をお与えになる。

13:33 小さな子供たちよ、わたしはあと少しの間あなたがたと共にいる。あなたがたはわたしを捜すが、『わたしが行く所に、あなたがたは来ることができない』とユダヤ人たちに言ったそのとおりに、今わたしはあなたがたにも言う。

13:34 わたしは新しい戒めをあなたがたに与える。それは、あなたがたが互いに愛し合うことです。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いを愛することです。

13:35 あなたがたの間に愛があれば、これによってすべての人は、あなたがたがわたしの弟子であることを知るだろう」。

13:36 シモン・ペテロは彼に言った。「主よ、あなたはどこへ行かれるのですか」。イエスは答えた。「わたしが行く所に、あなたは今ついて来ることができないが、後でついて来るだろう」。

13:37 ペテロは彼に言った。「主よ、なぜ今はあなたについて行けないのですか。わたしはあなたのために自分の魂を捨てます」。

13:38 イエスは答えた。「あなたはわたしのために自分の魂を捨てるのか。まことをもって、まことをもって、わたしはあなたに言っておく。あなたがわたしを三度否認するまで、決しておんどりは鳴かないだろう」。

ヨハネ 第14章↑

14:1 「あなたがたの心を騒がせてはいけない。神を信じ、またわたしを信じなさい。

14:2 わたしの父の家にはたくさんの住まいがある。そうでなかったなら、わたしはあなたがたに話しただろう。わたしはあなたがたのために場所を用意しに行くのだから。

14:3 わたしは、行ってあなたがたのために場所を用意したら、また来て、あなたがたをわたしのところに迎える。わたしのいる所に、あなたがたもいるようになるためです。

14:4 そしてわたしがどこへ行くのか、あなたがたはその道を知っている」。

14:5 トマスがイエスに言った。「主よ、わたしたちはあなたがどこへ行かれるのか知りません。わたしたちはどうしてその道を知ることができるでしょう」。

14:6 イエスは彼に言った。「わたしは道であり、真理であり、命です。わたしを通してでなければ、誰も父のもとに来ることはない。

14:7 あなたがたは、わたしを知っていたなら、父をも知っていただろう。今から、あなたがたはその方を知っており、またその方を見たのです」。

14:8 ピリポがイエスに言った。「主よ、わたしたちに父をお示しください。わたしたちにとってはそれで十分です」。

14:9 イエスは彼に言った。「こんなに長い間、わたしはあなたがたと共にいたのに、ピリポよ、あなたはわたしを知っていないのか。わたしを見た者は父を見たのです。どうしてあなたは、『わたしたちに父を示してください』と言うのか。

14:10 わたしが父のうちにおり、父がわたしのうちにおられることをあなたは信じないのか。わたしがあなたがたに言う言葉は、わたしが自分から話すのではない。わたしのうちにとどまられる父がご自分のわざを行なっておられるのです。

14:11 わたしが父のうちにおり、父がわたしのうちにおられるというわたしを信じなさい。そうでなければ、わざそのもののゆえに信じなさい。

14:12 まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。わたしを信じる者は、わたしの行なうわざをも行なうだろう。しかも、それより大きなわざを行なうだろう。わたしは父のもとへ行くからです。

14:13 あなたがたがわたしの名において求めることは何でも、わたしはそれを行なう。父が息子において栄光をお受けになるためです。

14:14 あなたがたがわたしの名においてわたしに何かを求めるなら、わたしはそれを行なう。

14:15 あなたがたがわたしを愛しているなら、わたしの戒めを守りなさい。

14:16 わたしは父にお願いし、彼はあなたがたにほかの助け手を与えて、世に亘ってあなたがたと共にいるようにくださる。

14:17 それは真理の霊であり、世界はそれを見ることも知ることもないので、受け入れることができない。あなたがたはそれを知っている。それがあなたがたと共にとどまり、あなたがたのうちにあることになるからです。

14:18 わたしはあなたがたを孤児にしてはおかない。わたしはあなたがたのところに来る。

14:19 もうしばらくすると、世界はもはやわたしを見ないだろう。しかし、あなたがたはわたしを見る。わたしは生きているので、あなたがたも生きるようになる。

14:20 その日には、わたしがわたしの父のうちにおり、あなたがたがわたしのうちにおり、わたしがあなたがたのうちにいることを、あなたがたは知るだろう。

14:21 わたしの戒めを持ってそれらを守る者、その者はわたしを愛している者です。わたしを愛する者はわたしの父に愛されるだろう。そして、わたしは彼を愛し、彼に自分を現すだろう」。

14:22 イスカリオテでないユダが彼に言った。「主よ、わたしたちにご自分を現そうとしておられるのに、世界にはそうしようとされないとは、どうしてですか」。

14:23 イエスは答えて彼に言った。「人がわたしを愛しているなら、彼はわたしの言葉を守る。わたしの父は彼を愛され、わたしたちはその者のもとに行き、その者と共に住まいを造る。

14:24 わたしを愛していない者は、わたしの言葉を守らない。あなたがたが聞いている言葉はわたしのものではなく、わたしを送られた父のものです。

14:25 わたしは、まだあなたがたと共にとどまっている間に、これらの事をあなたがたに言ってきた。

14:26 しかし助け手、すなわち父がわたしの名において送られる聖霊のことですが、そのものはあなたがたにすべての事を教え、わたしがあなたがたに言ったことすべてを思い起こさせるだろう。

14:27 わたしは平和をあなたがたに残し、わたしの平和をあなたがたに与える。わたしはあなたがたに、世界が与えるのと同じようにして与えるのではない。あなたがたの心を騒がせてはならず、おじけてはならない。

14:28 あなたがたは、『わたしは去って行くが、あなたがたのところに戻って来る』と、わたしが言ったのを聞いた。あなたがたは、わたしを愛しているなら、わたしが父のもとに行くことを喜ぶはずです。父はわたしより偉大だからです。

14:29 今わたしは、それが起きる前にあなたがたに告げてきた。それが起きる時にあなたがたが信じるためです。

14:30 わたしはもはや、あなたがたと多くを話さないだろう。世界の支配者がやって来るからです。彼はわたしのうちに何も持っていない。

14:31 しかし、わたしが父を愛していることを世界が知るために、父がわたしに命じられたそのとおりにわたしは行なう。立ちなさい。ここから出て行こう」。

ヨハネ 第15章↑

15:1 「わたしが真のぶどうの木であり、わたしの父は耕作者です。

15:2 その方は、わたしにある実を結ばない枝をすべて取り去り、実を結ぶ枝をすべて、それがもっと実を結ぶようにするために刈り込まれる。

15:3 あなたがたは、わたしがあなたがたに話してきた言葉によって、すでに清いのです。

15:4 わたしのうちにとどまりなさい。わたしもあなたがたのうちにとどまっている。枝がぶどうの木のうちにとどまっていなければ、自分では実を結ぶことができないように、あなたがたもわたしのうちにとどまっていなければ、実を結ぶことはできない。

15:5 わたしはぶどうの木であり、あなたがたはその枝です。わたしのうちにとどまり、わたしもそのうちにとどまる者は、たくさんの実を結ぶ。あなたがたは、わたしを離れては何もできないからです。

15:6 わたしのうちにとどまらないなら、その者は枝のように投げ出されて枯らされる。そして人々はそれらを集め、火の中に投げ込み、それらは燃やされる。

15:7 あなたがたがわたしのうちにとどまり、わたしの言葉があなたがたのうちにとどまるなら、あなたがたは自分たちの望むことを何でも求め、それはあなたがたのためにそのとおりになる。

15:8 あなたがたが多くの実を結び、そしてわたしの弟子となるならば、これによってわたしの父は栄光をお受けになる。

15:9 ちょうど父がわたしを愛されたように、わたしもあなたがたを愛したのです。わたしの愛のうちにとどまりなさい。

15:10 あなたがたがわたしの戒めを守るなら、あなたがたはわたしの愛のうちにとどまるだろう。ちょうどわたしが父の戒めを守っており、その方の愛のうちにとどまっているのと同じです。

15:11 わたしはこれらのことをあなたがたに話したのは、わたしの喜びがあなたがたのうちにあり、あなたがたの喜びが満たされるためです。

15:12 わたしがあなたがたを愛したとおりに、あなたがたが互いに愛し合うこと、これがわたしの戒めです。

15:13 誰かが自分の友人たちのために自分の魂を捨てること、これより大きな愛は誰にもない。

15:14 わたしがあなたがたに命じることを行なうなら、あなたがたはわたしの友です。

15:15 わたしはもはや、あなたがたを奴隷とは呼ばない。奴隷は自分の主人が行なうことを知らないからです。しかし、わたしはあなたがたを友と呼ぶ。わたしの父から聞いたことすべてを、わたしはあなたがたに知らせたからです。

15:16 あなたがたがわたしを選んだのではなく、わたしがあなたがたを選んだのです。そして、あなたがたを立てた。それは、あなたがたが行って実を結び、あなたがたの実が残るため、また、あなたがたがわたしの名において父に求めるものは何でも、彼があなたがたに与えてくださるためです。

15:17 わたしがこれらのことをあなたがたに命じるのは、あなたがたが互いに愛し合うためです。

15:18 もし世界があなたがたを憎むなら、それがあなたがたを憎む前にわたしを憎んだことを、あなたがたは知っている。

15:19 あなたがたが世界から出たものであったなら、世界はそれ自身のものを愛するだろう。しかし、あなたがたは世界のものではなく、わたしがあなたがたを世界から選び出したので、そのために世界はあなたがたを憎むのです。

15:20 『奴隷は自分の主人より偉大ではない』と、わたしがあなたがたに言った言葉を思い出しなさい。彼らがわたしを迫害したのであれば、あなたがたをも迫害するだろう。彼らがわたしの言葉を守ったのであれば、あなたがたの言葉も守るだろう。

15:21 しかし彼らは、わたしの名のゆえに、あなたがたに対してこれらの事すべてを行なうだろう。彼らはわたしを送られた方を知っていないからです。

15:22 わたしがやって来て彼らに話していなかったなら、彼らには罪がなかっただろう。しかし今は、彼らには自分たちの罪について言い訳がない。

15:23 わたしを憎む者は、わたしの父をも憎む。

15:24 わたしが、ほかの誰も行なわなかったわざを彼らの間で行なわなかったなら、彼らには罪がなかっただろう。しかし今は、彼らはわたしもわたしの父をも見て、憎んだのです。

15:25 しかしそれは、彼らの律法の中で『彼らは理由なくわたしを憎んだ』と書いてある言葉が成就するためです。

15:26 わたしが父のもとからあなたがたに送る助け手、すなわち父から出る真理の霊が来る時、その者はわたしについて証しするだろう。

15:27 あなたがたも、初めからわたしと共にいたのだから、証しするだろう。

ヨハネ 第16章↑

16:1 あなたがたがつまずかないために、わたしはこれらの事をあなたがたに話してきた。

16:2 彼らはあなたがたを会堂から追い出すだろう。更にあなたがたを殺す者がみな、自分は神に神聖な奉仕をささげたのだと思う時が来る。

16:3 彼らは父もわたしも知っていないので、これらの事を行なうことになる。

16:4 しかし、わたしはこれらの事をあなたがたに話したのは、彼らの時が来るとき、わたしが彼らについて話したことを、あなたがたが思い出すためです。これらの事を初めから言わなかったのは、わたしがあなたがたと共にいたからです。

16:5 しかし今、わたしは自分を送られた方のもとに行こうとしている。それでも、あなたがたのうちの誰も、『どこへ行くのか』とは尋ねない。

16:6 しかし、わたしがこれらの事をあなたがたに話したために、悲嘆があなたがたの心を満たしている。

16:7 しかし、わたしはあなたがたに真実を言う。わたしが去って行くことはあなたがたの益になるのです。わたしが去って行かなければ、助け手は決してあなたがたのところに来ないからです。しかし、わたしが行けば、わたしはそのものをあなたがたに送ろう。

16:8 そしてそのものが来ると、罪に関し、義に関し、また裁きに関して、世界を責めるだろう。

16:9 罪に関してとは、彼らがわたしを信じていないからです。

16:10 義に関してとは、わたしが父のもとに行き、あなたがたがもはやわたしを見ないからです。

16:11 裁きに関してとは、この世界の支配者が裁かれたからです。

16:12 わたしには、まだあなたがたに言うべきたくさんの事があるが、あなたがたは今はそれに耐えられない。

16:13 しかし、そのもの、すなわち真理の霊が来るとき、そのものはあなたがたをすべての真理に導くだろう。そのものは自分から語るのではなく、すべて自分が聞くことを話すことになるからです。そしてそのものはあなたがたに来たるべき事を知らせるだろう。

16:14 そのものはわたしの栄光を現わすだろう。そのものはわたしのものから受けて、それをあなたがたに知らせるからです。

16:15 父が持っておられるものはすべてわたしのものです。それでわたしは、そのものがわたしのものから受けて、それをあなたがたに知らせると言ったのです。

16:16 しばらくすると、あなたがたはもはやわたしを見ない。またしばらくすると、あなたがたはわたしを見るだろう」。

16:17 それで、弟子たちのうちのある者たちは互いに言い合った。「『しばらくすると、あなたがたはわたしを見ない。またしばらくすると、あなたがたはわたしを見るだろう』、そして、『わたしは父のもとに行くからです』と言われるが、これは何のことだろう」。

16:18 それで彼らは言った。「彼が『しばらくすると』と言われるが、これは何のことだろう。わたしたちは彼の言われることが分からない」。

16:19 それでイエスは、彼らが自分に尋ねたがっているのを知って、彼らに言った。「あなたがたは互いに、『しばらくすると、あなたがたはわたしを見ない、そしてまたしばらくすると、あなたがたはわたしを見るだろう』とわたしが言ったこのことに関して尋ね合っているのか。

16:20 まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。あなたがたは泣き悲しむが、世界は喜ぶだろう。あなたがたは悲しむが、あなたがたの悲しみは喜びに変わるだろう。

16:21 女は出産するとき、自分の時が来たので悲しむ。しかし、子供を産んでしまうと、一人の人が世界に生まれた喜びのために、もはやその苦しみを覚えていない。

16:22 だから、あなたがたには今は悲しみがあるが、わたしは再びあなたがたを見るので、あなたがたの心は喜ぶことでしょう。そして、誰もあなたがたの喜びをあなたがたから取り去る者はいない。

16:23 その日には、あなたがたはわたしに何も尋ねないだろう。まことをもって、まことをもって、わたしはあなたがたに言っておく。あなたがたが父に求めることは何でも、彼はわたしの名においてあなたがたに与えてくださる。

16:24 今まで、あなたがたはわたしの名において何も求めたことがない。求めなさい。そうすればあなたがたは受けるだろう。それは、あなたがたの喜びが満たされるためです。

16:25 わたしはこれらの事をあなたがたに比喩で話してきた。わたしがもはやあなたがたに比喩で話すのではなく、父についてはっきりと告げる時が来ようとしている。

16:26 その日には、あなたがたはわたしの名において求めるだろう。そしてわたしはあなたがたに、わたしがあなたがたのために父に願うとは言わない。

16:27 父ご自身があなたがたに愛情を抱いておられるからです。あなたがたがわたしに愛情を抱き、わたしが神のもとから出て来たことを信じているからです。

16:28 わたしは父のもとから出て来て、世界に来た。再び、わたしは世界を去り、父のもとに行く」。

16:29 弟子たちは彼に言った。「ご覧ください。今、あなたははっきりと話しておられ、何の比喩も話されません。

16:30 今わたしたちは、あなたがすべての事を知っておられ、誰もあなたに尋ねる必要のないことが分かります。これによって、わたしたちはあなたが神のもとから出て来られたことを信じます」。

16:31 イエスは彼らに答えた。「あなたがたは今信じているのか。

16:32 見よ、あなたがたがそれぞれ自分の所に散らされて、わたしを独りにする時が来ようとしている。いや、今来ている。それでも、わたしは独りではない。父がわたしと共におられるからです。

16:33 わたしの中であなたがたに平和があるように、わたしはあなたがたにこれらの事を言った。世界にあってあなたがたには苦しみがあるが、勇気を出しなさい。わたしは世界に打ち勝ったのです」。

ヨハネ 第17章↑

17:1 イエスはこれらの事を話し、目を天に上げて言った。「父よ、時が来ました。あなたの息子に栄光を現わしてください。息子もあなたに栄光を現わすためです。

17:2 それは、あなたが彼に肉なるものすべてに対する権威を与え、彼がお与えになったものすべてを彼らに与え、すなわち世々の特質ある命を与えるためです。

17:3 彼らが、唯一のまことの神であるあなたと、あなたが遣わされたイエス・キリストを知るようになること、これが世々の特質ある命です。

17:4 わたしは地上であなたに栄光を現わしました。わたしは、行なうために与えてくださったわざを成し遂げてきました。

17:5 今、父よ、世界が存在する前にわたしがあなたのそばで持っていたあの栄光で、ご自身のそばでわたしに栄光を与えてください。

17:6 わたしは、世界から与えてくださった人々に、あなたのみ名を示しました。彼らはあなたのものであり、あなたは彼らをわたしに与えてくださいました。彼らはあなたのみ言葉を守ってきました。

17:7 今、彼らは、あなたがわたしに与えてくださったものがすべて、あなたから出たことを知っています。

17:8 あなたがわたしに与えてくださった言葉を、わたしは彼らに与えてきたからです。そして、彼らはそれを受け入れて、わたしがあなたから出て来たことを真に知り、あなたがわたしを遣わされたことを信じてきました。

17:9 わたしは彼らに関してお願いします。わたしは世界に関してではなく、わたしに与えてくださった者たちに関してお願いするのです。彼らはあなたのものだからです。

17:10 わたしのものはみなあなたのものであり、あなたのものはわたしのものです。そして、わたしは彼らの中で栄光を受けています。

17:11 わたしはもはや世界にいませんが、これらの者たちは世界にいます。そして、わたしはあなたのもとに行きます。聖なる父よ、わたしに与えてくださったあなたのみ名において彼らを守ってください。それは、わたしたちのように、彼らが一つとなるためです。

17:12 わたしが彼らと共にいた間は、あなたがわたしに与えてくださったあなたのみ名において彼らを守り、保護しました。彼らのうち、滅びの息子のほかには、誰も滅びませんでした。それは聖書が成就するためでした。

17:13 しかし今、わたしはあなたのもとに行きます。わたしが世界にあってこれらの事を話すのは、彼らが自分の内に満ちるわたしの喜びを持つためです。

17:14 わたしは彼らにあなたの言葉を与えてきました。そして世界は彼らを憎みました。わたしが世界のものでないように、彼らも世界のものではないからです。

17:15 わたしは、彼らを世界から取り去ることではなく、彼らを邪悪な者から守ってくださるようお願いします。

17:16 わたしが世界のものではないように、彼らも世界のものではありません。

17:17 彼らを真理の中で聖別してください。あなたのみ言葉は真理です。

17:18 あなたがわたしを世界に遣わされたように、わたしも彼らを世界に遣わしました。

17:19 わたしは彼らのために自分を聖別するからです。それは、彼ら自身も真理のうちに聖別されるためです。

17:20 これらの者のためだけではなく、彼らの言葉を通してわたしを信じる者のためにも、わたしはお願いします。

17:21 彼らがみな一つになるためです。ちょうど、父よ、あなたがわたしのうちにおられ、わたしがあなたのうちにいるのように、彼らもわたしたちのうちで一つになるためであり、あなたがわたしを遣わされたことを世界が信じるためです。

17:22 あなたがわたしに与えてくださった栄光を、わたしは彼らに与えました。わたしたちが一つであるように、彼らも一つになるためです。

17:23 わたしは彼らのうちにおり、あなたはわたしのうちにおられます。彼らが完全に一つになるためであり、また、あなたがわたしを遣わされ、あなたがわたしを愛されたように彼らを愛されたことを、世界が知るためです。

17:24 父よ、わたしに与えてくださったものについて、わたしのいる所に彼らも共にいて欲しいと思います。あなたがわたしに与えてくださったわたしの栄光を見るためです。世界の基が置かれる前から、あなたがわたしを愛してくださったからです。

17:25 義なる父よ、世界はあなたを知っていませんが、わたしはあなたを知っていました。そして、これらの者たちはあなたがわたしを遣わされたことを知っています。

17:26 わたしはあなたのみ名を彼らに知らせました。また、これからも知らせます。あなたがわたしを愛してくださったその愛が彼らのうちにあり、わたしが彼らのうちにいるようになるためです」。

ヨハネ 第18章↑

18:1 イエスはこれらの言葉を話すと、自分の弟子たちと共にケデロンの谷の向こう側へ出て行った。そこには園があって、彼と彼の弟子たちはその中に入った。

18:2 さて、彼を引き渡す者であるユダもその場所を知っていた。イエスは自分の弟子たちと共にそこにたびたび集まっていたからです。

18:3 そこでユダは、一隊の兵士および祭司長とパリサイ人たちからの下役たちを連れ、明かりとたいまつと武器を持って、そこにやって来た。

18:4 それでイエスは、自分に起ころうとするすべての事を知っていたので、出て行って彼らに言った。「誰を捜しているのか」。

18:5 彼らは彼に「ナザレのイエスを」と答えた。彼は彼らに言った。「わたしが、それです」。彼を引き渡す者であるユダも、彼らと共に立っていた。

18:6 それで彼が「わたしが、それです」と彼らに言うと、彼らは後ずさりして地面に倒れた。

18:7 それで彼は再び彼らに尋ねた。「誰を捜しているのか」。彼らは「ナザレのイエスを」と言った。

18:8 イエスは答えた。「わたしがそれですと、あなたがたに言ったではないか。だから、あなたがたがわたしを捜しているのなら、これらの者たちは去らせなさい」。

18:9 それは、「あなたがわたしに与えてくださった者たちのうち、わたしは一人も失いませんでした」と彼の言った言葉が成就するためであった。

18:10 それでシモン・ペテロは、剣を持っていたが、それを抜き、祭司長の奴隷に撃ちかかり、彼の右の耳を切り落とした。その奴隷の名はマルコスであった。

18:11 それでイエスはペテロに言った。「剣をさやに納めなさい。父がわたしに与えられた杯、わたしはそれを飲むべきではないか」。

18:12 それでその一隊の兵士、千人隊長,およびユダヤ人の下役たちは、イエスを捕まえて彼を縛り、

18:13 まずアンナスのところに連れて行った。その年に祭司長であったカヤパのしゅうとであったからである。

18:14 ところで、カヤパは、一人の人が民のために死ぬことが益であると、ユダヤ人たちに助言した者であった。

18:15 シモン・ペテロともうひとりの弟子とが、イエスについて行った。さて、その弟子は祭司長に知られていたので、イエスと共に祭司長の中庭に入った。

18:16 しかし、ペテロは外で戸口に立っていた。そこで祭司長に知られていたそのほかの弟子が出て来て門番の女に話し、ペテロを中に連れて来た。

18:17 すると、門番の女中がペテロに言った。「あなたもこの人の弟子の一人ではないでしょうね」。その者は「わたしはそうではない」と言った。

18:18 さて、寒かったので、奴隷たちや下役たちはそこに立って炭火をおこしていた。彼らは身を暖めていた。ペテロも彼らと一緒に立って身を暖めていた。

18:19 それで、祭司長はイエスに、彼の弟子たちと彼の教えについて尋ねた。

18:20 イエスは彼に答えた。「わたしは世界に対して公然と語った。わたしはいつも、すべてのユダヤ人たちが集まる会堂や神殿で教えた。ひそかに話したことは何もない。

18:21 なぜあなたはわたしに尋ねるのか。わたしが彼らに言ったことを聞いてきた人たちに尋ねなさい。見よ、これらの人たちはわたしが言った事を知っている」。

18:22 彼がこのことを言うと、そばに立っていた下役の一人がイエスに平手打ちを加えて、「祭司長にそのような答えをするのか」と言った。

18:23 イエスは彼に答えた。「わたしが悪いことを言ったのなら、その悪について証ししなさい。だが、正しいのなら、なぜわたしを打つのか」。

18:24 それからアンナスは彼を縛ったまま、祭司長カヤパのところに遣わした。

18:25 さて、シモン・ペテロは立って身を暖めていた。それで彼らは彼に言った。「あなたも彼の弟子のうちの一人ではないか」。その者は否定して、「わたしはそうではない」と言った。

18:26 祭司長の奴隷の一人で、ペテロが耳を切り落とした者の親族の者が言った。「わたしはあなたが園で彼と共にいるのを見なかっただろうか」。

18:27 それでペテロは再び否定した。するとすぐにおんどりが鳴いた。

18:28 それで彼らは、イエスをカヤパのところから官邸に連れて行った。早朝のことであった。そして彼ら自身は、汚れることなく過ぎ越しの食事ができるように、官邸の中に入らなかった。

18:29 それでピラトが彼らのいる外に出て来て言った。「この人に対してどんな訴えをするのか」。

18:30 彼らは答えて彼に言った。「この者が悪を行なう者でなかったなら、わたしたちは彼をあなたに引き渡しはしなかったでしょう」。

18:31 それでピラトは彼らに言った。「あなたがたは彼を引き取って、自分たちの律法に従って彼を裁くがよい」。それでユダヤ人たちは彼に言った。「わたしたちが人を殺すことは許されていません」。

18:32 それは、自分がどのような死に方で死のうとしているかを示して言ったイエスの言葉が成就するためであった。

18:33 それでピラトは再び官邸に入って、イエスを呼び、彼に言った。「あなたはユダヤ人の王ですか」。

18:34 イエスは答えた。「あなたは自分でこのことを言うのか。それともほかの人たちがわたしについてあなたに告げたのか」。

18:35 ピラトは答えた。「わたしはユダヤ人ではないではないか。あなたの国民と祭司長たちがあなたをわたしに引き渡したのだ。あなたは何をしたのか」。

18:36 イエスは答えた。「わたしの王国はこの世界のものではない。わたしの王国がこの世界のものだったなら、わたしの下役たちがわたしをユダヤ人たちに引き渡さないように戦っただろう。しかし今、わたしの王国はここからのものではない」。

18:37 それでピラトは彼に言った。「それではあなたは王なのか」。イエスは答えた。「あなたがわたしを王だと言っている。このためにわたしは生まれ、このためにわたしは世界に来た。それは、真理を証しするためです。真理に属する者はみな、わたしの声を聞く」。

18:38 ピラトは彼に言った。「真理とは何か」。これを言ってから、再びユダヤ人たちのところへ出て行って、彼らに言った。「わたしは彼に対して訴える根拠を何も見いださない。

18:39 しかしあなたがたには、過ぎ越しの際にわたしがあなたがたに一人を釈放する習慣がある。それであなたがたは、ユダヤ人の王を釈放して欲しいのか」。

18:40 すると彼らは再び叫んで「この人ではない。バラバを」と言った。ところでバラバは強盗であった。

ヨハネ 第19章↑

19:1 そこでその時、ピラトはイエスを引き取ってむち打った。

19:2 兵士たちはいばらで冠を編んで彼の頭に載せ、彼に紫の衣を着せた。

19:3 そして彼のもとに寄って来て、「ユダヤ人の王、喜びなさい」と言い、彼を平手打ちを加えた。

19:4 それからピラトは再び外に出て、彼らに言った。「見よ、わたしは彼をあなたがたのところに連れて来る。わたしが彼に対して訴える根拠を何も見いださないことをあなたがたが知るためです」。

19:5 それでイエスは、いばらの冠と紫の衣を身に着けて、外に出た。彼は彼らに言った。「見よ、この人だ」。

19:6 それで祭司長たちと下役たちは彼を見ると、叫んで「はりつけにしろ、はりつけにしろ」と言った。ピラトは彼らに言った。「あなたがたが彼を引き取って、はりつけにするがよい。わたしは彼に対して訴える根拠を何も見いださないからだ」。

19:7 ユダヤ人たちは彼に言った。「わたしたちには律法があります。その律法によれば、彼は死ぬべきです。自分を神の息子としたからです」。

19:8 それでピラトはこの言葉を聞くとますます恐れた。

19:9 彼は再び官邸に入って、イエスに言った。「あなたはどこから来たのか」。しかしイエスは彼に何の答えもしなかった。

19:10 それでピラトは彼に言った。「あなたはわたしに話さないのか。わたしにはあなたを釈放する権限があり、あなたをはりつけにする権限もあることを、あなたは知らないのか」。

19:11 イエスは答えた。「上から与えられたのでなければ、あなたはわたしに対して何の権限もないだろう。そのために、わたしをあなたに引き渡した者の罪は、もっと大きい」。

19:12 このときから、ピラトは彼を釈放しようとした。しかし、ユダヤ人たちは叫んで言った。「もしあなたがこの者を釈放するなら、あなたはカイザルの友ではない。自分を王とする者は皆カイザルに逆らって語っているのです」。

19:13 それでピラトはこれらの言葉を聞くと、イエスを連れ出し、「敷石」、ヘブル語で「ガバタ」と呼ばれる場所で、裁判の席に着いた。

19:14 ところで、それは過ぎ越しの準備の日で、およそ第六時であった。彼はユダヤ人たちに言った。「見よ、あなたがたの王だ」。

19:15 するとその者たちは叫んだ。「取り除け、取り除け、彼をはりつけにしろ」。ピラトは彼らに言った。「わたしがあなたがたの王をはりつけにするのか」。祭司長たちは答えた。「わたしたちにはカイザルのほかに王はいません」。

19:16 こうしてその時、彼は彼をはりつけにするために彼らに引き渡した。そこで彼らはイエスを引き取った。

19:17 彼は自分の十字架を背負って、「されこうべの場所」、ヘブル語で「ゴルゴタ」と呼ばれる場所へ出て行った。

19:18 その所で、彼らは彼をはりつけにした。彼と共にほかの二人をはりつけにした。こちら側とこちら側に、イエスを真ん中にした。

19:19 ピラトは広告札も書いて、十字架の上に付けた。そこには「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」と書かれていた。

19:20 それで多くのユダヤ人たちがこの広告札を読んだ。イエスがはりつけにされた場所は都に近かったからであり、それがヘブル語、ラテン語、およびギリシャ語で書かれていたからであった。

19:21 そのため、ユダヤ人の祭司長たちはピラトに言った。「『ユダヤ人の王』と書かないで、『この者は「わたしはユダヤ人の王だ」と言った』と書いてください」。

19:22 ピラトは答えた。「わたしが書いたことは、わたしが書いたのだ」。

19:23 さて、兵士たちは、イエスをはりつけにした時、彼の衣を取って四つに分け、それぞれの兵士たちに一つずつとした。また上着も取った。しかし、その上着は縫い目がなく、上からそっくり織ったものであった。

19:24 それで彼らは互いに言い合った。「これは裂かないで、誰のものにするか、くじを引こう」。それは、聖書が成就するためであった。こう述べている。「彼らは互いにわたしの衣を分けた。わたしの衣服のために彼らはくじを引いた」。そのために兵士たちはこれらの事をした。

19:25 しかし、イエスの十字架のそばには、イエスの母と、彼の母の姉妹と、クロパのマリヤと、マリヤ・マグダラが立っていた。

19:26 それでイエスは、母と、自分が愛していた弟子がそばに立っているのを見ると、母に言った。「女よ、見なさい。あなたの息子です」。

19:27 次に、その弟子に言った。「見なさい。あなたの母だ」。その時から、その弟子は彼女を自分の家に引き取った。

19:28 こののちイエスは、すべての事がすでに成し遂げられたのを知って、聖書が果たされるために、「わたしは渇く」と言った。

19:29 そこには酸いぶどう酒の満ちた器が置いてあった。そこで彼らは酸いぶどう酒をたっぷり含ませた海綿をヒソプに付け、彼の口もとに持って行った。

19:30 それでイエスは酸いぶどう酒を受けると、「完了した」と言った。そして、頭を垂れて、霊を引き渡した。

19:31 それでユダヤ人たちは、準備の日であったため、(その安息日は大いなる日だったので、)安息日に体が十字架の上に残らないよう、彼らの足を折って取り降ろすことをピラトに願った。

19:32 それで兵士たちは来て、最初の者の足を折り、また彼と共にはりつけにされたもう一方の者の足を折った。

19:33 しかし、イエスのところに来て、彼がすでに死んでいたのを見ると、彼の足を折ることはしなかった。

19:34 しかし、兵士たちの一人が彼の脇を槍で突き刺した。するとすぐに血と水が出て来た。

19:35 見た者が証しをした。そして、彼の証しは真実である。その者は自分が真実を言っていることを知っている。それは、あなたがたが信じるためである。

19:36 これらの事が起こったのは、「彼の骨は一つも砕かれないであろう」という聖句が成就するためである。

19:37 そして、また別の聖句は、「彼らは自分たちが突き刺した者を見つめるだろう」と言う。

19:38 これらの事ののち、イエスの弟子ではあったがユダヤ人たちへの恐れのために秘密にしていたアリマタヤから来ているヨセフが、イエスの体を取りおろしたいとピラトに願い出た。ピラトは彼に許可を与えた。それで彼は来て、彼の体を取りおろした。

19:39 最初の時は夜にイエスのもとに来たニコデモも、没薬とアロエとを混ぜた物を約百ポンド持って来た。

19:40 こうして彼らはイエスの体を引き取り、埋葬に備えて行なうユダヤ人の習慣どおり、それを香料と共に亜麻布で巻いた。

19:41 ところで、彼がはりつけにされた場所には園があり、園にはまだ誰も横たえられたことのない新しい墓があった。

19:42 それで、ユダヤ人の準備の日であったため、その墓が近かったので、彼らはイエスをそこに横たえた。

ヨハネ 第20章↑

20:1 さて、安息日々の一つに、マリヤ・マグダラは朝早く、まだ暗いうちに墓にやって来た。そして、墓から石が取りのけられているのを見た。

20:2 それで彼女は、走ってシモン・ペテロとイエスが愛情を抱いておられたもう一人の弟子のところに行き、彼らに言った。「彼らが主を墓から取り去ってしまい、どこに置いたのか、わたしたちには分かりません」。

20:3 それでペテロともう一人の弟子は出て行き、墓へ行った。

20:4 二人は一緒に走っていた。もう一人の弟子はペテロよりも早く走って、最初に墓に着いた。

20:5 そして、身をかがめて中をのぞくと、亜麻布が置いてあるのを見たが、中には入らなかった。

20:6 それで、シモン・ペテロも彼に続いてやって来て、墓の中に入った。彼は亜麻布が置いてあるのを見た。

20:7 また、彼の頭にあった布が、亜麻布と一緒には置いてなく、一つの場所に別にして巻いてあるのを見た。

20:8 こうしてその時、最初に墓に来たもう一人の弟子も中に入り、見て信じた。

20:9 彼らはまだ、彼が死んだ者たちの中から復活しなければならないという聖句を知っていなかったからである。

20:10 そこで弟子たちはまた自分たちの家に去って行った。

20:11 しかし、マリヤは墓の外で立って泣いていた。それで、泣きながら、身をかがめて墓の中を見た。

20:12 そして彼女は、イエスの体が横たえられていた所に、白い衣を着た二人の使いの者が、一人は頭のところに、もう一人は足のところに座っているのを見た。

20:13 するとその者たちは彼女に言った。「女よ、なぜ泣いているのか」。彼女は彼らに言った。「彼らがわたしの主を取り去ってしまい、彼をどこに置いたのか分からないのです」。

20:14 彼女はこれらのことを言ってから、後ろを振り向いてイエスが立っているのを見た。しかし、それがイエスだとは分からなかった。

20:15 イエスは彼女に言った。「女よ、なぜ泣いているのか。誰を捜しているのか」。その者は、彼を庭師だと思っていたので、彼に言った。「ご主人さま、あなたが彼を運び去ったのでしたら、彼をどこに置いたのか、わたしに言ってください。わたしが彼を引き取ります」。

20:16 イエスは彼女に言った。「マリヤよ」。その者は振り向いて、彼にヘブル語で「ラボニ」と言った。これは「先生」と言うことである。

20:17 イエスは彼女に言った。「わたしに触ってはいけない。わたしはまだ、わたしの父のもとに上っていないのだから。しかし、わたしの兄弟たちのところに行って、『わたしは、わたしの父またあなたがたの父のもとへ、わたしの神またあなたがたの神のもとへ上って行く』と彼らに言いなさい」。

20:18 マリヤ・マグダラは行って、「わたしは主を見ました」、そして、彼が彼女にこれらの事を言ったと弟子たちに告げた。

20:19 それで、その日の夕方、すなわち安息日々の一つ、弟子たちのいた所は、ユダヤ人たちに対する恐れのため、戸が閉められていた。するとイエスが来て真ん中に立ち、彼らに言った。「あなたがたに平安があるように」。

20:20 このことを言ってから、両手と脇を彼らに見せた。それで弟子たちは主を見て喜んだ。

20:21 それでイエスは再び彼らに言った。「あなたがたに平安があるように。父がわたしを遣わされたように、わたしもあなたがたを送る」。

20:22 そしてこのことを言ってから、彼らの上に息を吹きかけて言った。「聖霊を受けなさい。

20:23 あなたがたが誰かの罪を赦すなら、彼らの罪は赦される。あなたがたが誰かの罪をとどめておくなら、それはとどめておかれる」。

20:24 しかし、十二人のうちの一人でデドモと呼ばれるトマスは、イエスが来た時、彼らと共にいなかった。

20:25 それで、ほかの弟子たちは彼に言った。「わたしたちは主を見た」。しかし彼は言った。「彼の手にくぎの跡を見、わたしの指をくぎの跡に差し入れ、わたしの手を彼の脇に入れるのでなければ、わたしは決して信じない」。

20:26 さて、八日後、弟子たちは再び中におり、トマスも彼らと共にいた。戸は閉ざされていたが、イエスが来て真ん中に立ち、「あなたがたに平安があるように」と言った。

20:27 それから彼はトマスに言った。「あなたの指をここにつけて、わたしの手を見なさい。あなたの手を伸ばし、わたしの脇に差し入れなさい。信じない者にならないで、信じる者になりなさい」。

20:28 トマスは答えて彼に言った。「わたしの主、そしてわたしの神よ」。

20:29 イエスは彼に言った。「あなたはわたしを見たので信じたのか。見なくても信じる者は幸せです」。

20:30 それで、イエスは弟子たちの前でほかにも多くのしるしを行なったが、それはこの書には書かれていない。

20:31 しかし、これらの事が書かれたのは、あなたがたが、イエスがキリスト、神の息子であると信じるため、また、そう信じて、彼の名において命を得るためである。

ヨハネ 第21章↑

21:1 これらの事ののち、テベリヤの海で、再び自分を弟子たちにを現わした。彼はこのやり方で自分を現わした。

21:2 シモン・ペテロと、デドモと呼ばれるトマス、ガリラヤのカナから来たナタナエル、ゼベダイの者たちと彼の弟子たちのうちのもう二人が一緒にいた。

21:3 シモン・ペテロが彼らに言った。「わたしは漁に行く」。彼らはペテロに言った。「わたしたちもあなたと共に行く」。彼らは出て行き、舟に乗り込んだ。その夜は何も捕れなかった。

21:4 しかし、すでに日が昇って来た時、イエスが浜辺に立ったが、弟子たちはそれがイエスだと分からなかった。

21:5 それでイエスは彼らに言った。「小さい子供たち、何か食べる物があるか」。彼らは彼に「ありません」と答えた。

21:6 彼は彼らに言った。「網を舟の右側に投じなさい。そうすれば見つかるだろう」。それで彼らはそれを投じた。すると、多くの魚のために、彼らはもはやそれを引き上げることができなかった。

21:7 それで、イエスが愛していた弟子がペテロに「主だ」と言った。そこでシモン・ペテロは、主だと聞くと、裸だったので上着をまとい、海の中に飛び込んだ。

21:8 しかし、ほかの弟子たちは(陸から遠くなく、二百キュビトほどだったので)、魚の入った網を引いて、小舟でやって来た。

21:9 そこで彼らが陸に上がると、そこに炭火があり、その上に魚が置いてあり、またパンがあるのを見た。

21:10 イエスは彼らに言った。「今捕った魚を少し持って来なさい」。

21:11 シモン・ペテロは舟に上がり、百五十三匹の大きな魚でいっぱいになった網を陸に引き寄せた。そして、それほど多かったが、網は裂けていなかった。

21:12 イエスは彼らに言った。「来て、朝の食事をしなさい」。弟子たちのうちの誰も、「あなたはどなたですか」とあえて尋ねる者はいなかった。主だと分かっていたからである。

21:13 イエスは来て、パンを取り、彼らに与え、魚も同じようにした。

21:14 イエスが死んだ者たちの中から起こされたのち、弟子たちに現われたのは、これで既に三度目である。

21:15 そこで彼らが朝食を済ませると、イエスはシモン・ペテロに言った、「ヨハネのシモンよ、あなたはこれら以上にわたしを愛しているか」。彼は彼に言った。「はい、主よ。わたしがあなたに愛情を抱いていることを、あなたは知っておられます」。イエスは彼に言った。「わたしの子羊たちを養いなさい」。

21:16 また二度目に彼は彼に言った。「ヨハネのシモンよ、あなたはわたしを愛しているか」。彼は彼に言った。「はい、主よ。わたしがあなたに愛情を抱いていることを、あなたは知っておられます」。イエスは彼に言った。「わたしの羊たちを飼いなさい」。

21:17 三度目に彼は彼に言った。「ヨハネのシモンよ、あなたはわたしに愛情を抱いているか」。ペテロは、彼が三度目に「あなたはわたしに愛情を抱いているか」と言ったことで悲しんだ。そして彼は彼に言った。「主よ、あなたはすべてのことを知っておられます。わたしがあなたに愛情を抱いていることを、あなたは知っておられます」。イエスは彼に言った、「わたしの羊たちを養いなさい。

21:18 まことをもって、まことをもって、わたしはあなたに言っておく。あなたは若かったとき、自分で帯を締めて、自分の望む所を歩いた。しかし、年を取ると、あなたは手を伸ばし、ほかの者があなたに帯を締めて、自分の望まない所に連れて行くだろう」。

21:19 しかし、彼がこのことを言ったのは、ペテロがどんな死に方で神に栄光を帰するかを示すためであった。このことを言ってから、彼は言った。「わたしについて来なさい」。

21:20 ペテロは振り向いて、イエスの愛しておられた弟子が、ついて来るのを見た。その者は夕食の時に彼の胸にもたれて、「主よ、あなたを引き渡す者は、誰なのですか」と言った者でもあった。

21:21 それでこの者を見て、ペテロはイエスに言った。「主よ、この者はどうなのですか」。

21:22 イエスは彼に言った。「わたしが来るまで彼がとどまることをわたしが望むとしても、それがあなたにとって何なのか。あなたはわたしについて来なさい」。

21:23 それで、その弟子は死なないというこの言葉が兄弟たちの間に広まった。しかしイエスは、彼は死なないと彼に言ったのではなく、「わたしが来るまで彼がとどまることをわたしが望むとしても、それがあなたにとって何なのか」と言ったのである。

21:24 この者が、これらの事について証しをし、またこれらの事を書いた弟子である。わたしたちは、彼の証しが真実であることを知っている。

21:25 しかし、イエスが行なった事はほかにも多くあるが、もしいちいち書かれるとすれば、世界そのものでさえも、その書かれる書物を収めることはできないであろうと、わたしは思う。

使徒の働き

使徒の働き 第1章↑

1:1 テオピロ様、わたしは先に、イエスが行ない、また教え始めたすべての事柄について、記述をまとめ、

1:2 彼が選んだ使徒たちに聖霊を通して命じたのち、彼の上げられた日までのことを書きました。

1:3 彼はまた、四十日にわたって彼らに現われて、神の王国について語り、自分が苦しみを受けたのちに生きていることを、多くの証拠によってそれらの者たちに示しました。

1:4 そして彼らと共に集まっていた時、彼らにこう命じました。「エルサレムから離れないで、あなたがたがわたしから聞いていた父の約束を待っていなさい。

1:5 ヨハネは確かに水でバプテスマしたが、あなたがたはこれらから幾日もたたないうちに、聖霊の中にバプテスマされるからである」。

1:6 それで彼らは、集まり合ったとき、彼に尋ねて言った。「主よ、あなたは今この時にイスラエルに王国を復興されるのですか」。

1:7 彼は彼らに言った。「父がご自分の権威の内に置いておられる時々間々や時々節々は、あなたがたの知るところではない。

1:8 しかし、聖霊があなたがたの上に臨むとき、あなたがたは力を受けるだろう。あなたがたはエルサレム、ユダヤとサマリアの全土、そして地の果てまで、わたしの証人となるだろう」。

1:9 これらのことを言ってから、彼らが見つめている間に引き上げられ、雲が彼らの目から彼を取り去った。

1:10 そして、彼が進んで行く間、彼らは天をじっと見つめていたが、見よ、白い衣を着た二人の男が彼らのそばに立って、

1:11 そして言った。「ガリラヤの男たちよ、なぜ立って天を見つめているのか。あなたがたから天へ迎え上げられたこのイエスは、天に上って行くのをあなたがたが見たのと同じ仕方で来られるだろう」。

1:12 それから彼らは、オリブと呼ばれる山からエルサレムに帰った。この山はエルサレムに近く、安息日の道のりのところにある。

1:13 彼らは入って来ると、泊まっていた階上の部屋に上がった。それは、ペテロ、ヨハネ、ヤコブ、アンデレ、ピリポとトマス、バルトロマイとマタイ、アルパヨのヤコブと熱心党のシモンとヤコブのユダであった。

1:14 これらの者たちはみな、女たちやイエスの母マリヤ、および彼の兄弟たちと共に、心を合わせて、ひたすら祈り続けていた。

1:15 その日々に、ペテロが兄弟たちの真ん中に立って(その所にいったその群れの人々は百二十人ほどであった)、こう言った。

1:16 「男たちよ、兄弟たちよ、イエスを捕らえた者たちを手引きしたユダについては、聖霊がダビデの口を通して前もって語られた聖句は、成就しなければならなかった。

1:17 彼はわたしたちと共に数えられ、この奉仕の務めの分を割り当てられていたからです。

1:18 (それで、この者は不義に対する報酬で地所を手に入れましたが、まっさかさまに落ちて、その身は真ん中から裂け、彼の腸はみな流れ出てしまった。

1:19 そして、このことはエルサレムに住むすべての人に知れ渡り、その地所は彼らの言語で『アケルダマ』、すなわち『血の地所』と呼ばれるようになりました。

1:20 詩篇の書の中にこう書いてあるのです。『彼の住まいは荒れ果てるように。そこに住む者はいなくなるように』。また、『彼の職はほかの者に取らせるように』。

1:21 ですから、主イエスがわたしたちの間に入って来て、出て行かれた全期間中、

1:22 ヨハネのバプテスマから始まって、わたしたちから迎え上げられた日に至るまで、わたしたちに伴っていた人々のうち、その人々のうちの一人が、わたしたちと共に主の復活の証人にならなければなりません」。

1:23 彼らは二人の者、バルサバと呼ばれ、またの名をユストというヨセフと、マッテヤとを立てた。

1:24 そして彼らは祈って言った。「すべての者の心をご存じである主よ、あなたがこの二人の中から選ばれた一人をお示しください。

1:25 ユダが自分の場所に行くために離れてしまった、この奉仕の務めと使徒職の地位をお取らせになるためです」。

1:26 彼らが彼らのためにくじを引くと、くじはマッテヤに当たった。そこで、彼は十一人の使徒たちと共に数えられた。

使徒の働き 第2章↑

2:1 さて、ペンテコステの日が満ちた時、彼らはみな一緒に同じ場所にいた。

2:2 すると突然、激しい風が吹きつけるような音が天から起こり、彼らが座っていた家全体を満たした。

2:3 そして、火のような舌が彼らに現われて彼らに配られ、彼らひとりびとりの上にとどまった。

2:4 するとみんなは聖霊に満たされ、その霊が彼らに語らせるままに、さまざまな言語で話し始めた。

2:5 さて、エルサレムには、天下のあらゆる国から来たユダヤ人で、敬けんな男たちが住んでいた。

2:6 この音が起こると、群衆が集まって来て、あっけに取られた。おのおの自分の言語で彼らが話しているのを聞いたからである。

2:7 彼らは驚き、不思議に思って言った。「見よ、話しているこの人たちは皆ガリラヤ人ではないか。

2:8 それなのに、わたしたちがおのおの自分の生まれ故郷の言語で聞くとは、どうしてなのか。

2:9 パルテヤ人、メジヤ人、エラム人、そして、メソポタミヤ、ユダヤ、カパドキヤ、ポントとアジヤ、

2:10 フルギヤとパンフリヤ、エジプトとクレネのほうにあるリビヤ地方などに住む者も、またローマ人で旅にきている者、

2:11 ユダヤ人と改宗者、クレテ人とアラビヤ人もいるのだが、わたしたちは彼らがわたしたちの言語で神の壮大な事柄について話すのを聞いているのだ」。

2:12 みんなは驚き、当惑して互いに言った。「これはどういうことだろう」。

2:13 ほかの者たちはあざけって言った。「彼らは甘いぶどう酒に満たされているのだ」。

2:14 しかし、ペテロが十一人と共に立ち上がり、自分の声を上げて彼らに語りかけた。「男たちよ、ユダヤの人たちよ、またエルサレムに住むすべての人たちよ、このことを知ってください。そして、わたしの言葉に耳を傾けてください。

2:15 今は昼間の第三時なのですから、この者たちは、あなたがたが思っているように、酒に酔っているのではありません。

2:16 そうではなく、これは預言者ヨエルを通して語られていたことなのです。

2:17 『神は言われる。最後の日々に、わたしはすべての肉なる者の上にわたしの霊を注ぎ出す。あなたがたの息子たちとあなたがたの娘たちは預言するだろう。あなたがたの若者たちは幻を見るだろう。あなたがたの老人たちは夢を見るだろう。

2:18 また、その日々には、わたしの男の奴隷たちとわたしの女の奴隷たちにも、わたしの霊を注ぎ出す。すると、彼らは預言するだろう。

2:19 また、わたしは、上では天に不思議なわざを、下では地にしるしを、血と火と煙の霧とを与える。

2:20 主の大いなる際立った日が来る前に、太陽は闇に、月は血に変わるだろう。

2:21 そして、主の名を呼び求める者はみな救われるだろう』。

2:22 「男たちよ、イスラエルの人たちよ、この言葉を聞きなさい。ナザレ人のイエス、それは、あなたがた自身が知っているように、神が彼を通してあなたがたの間で行なわれた力あるわざと不思議なわざとしるしとによって、神からあなたがたに証明されたこの男ですが、

2:23 神の定められた計画と予知とによって引き渡されたこの方を、あなたがたは不法な者たちの手によって、はりつけにして殺しました。

2:24 神は彼を死の苦痛から解放して、起き上がらせたのです。彼がそれに支配されたままでいることはあり得なかったからです。

2:25 ダビデは彼に言っているからです。『わたしはすべてを通して目の前に主を見た。わたしが揺り動かされないように、わたしの右にいてくださるからである。

2:26 それゆえに、わたしの心は楽しみ、わたしの舌は喜んだ。さらに、わたしの肉体までが期待のうちに住むだろう。

2:27 あなたはわたしの魂を墓の領域に捨て置かず、あなたの聖なる者が腐敗を見ることもお許しにならないからです。

2:28 あなたはわたしに命の道を知らせてくださいました。あなたはあなたのみ顔をもってわたしを喜びに満たしてくださるであろう』。

2:29 男たちよ、兄弟たちよ、族長ダビデについては、彼が死んで葬られ、彼の墓は今日に至るまでわたしたちのところにあると、はばからずに言うことができます。

2:30 ですから、彼は預言者であって、神が自分に、自分の腰の実の一人を彼の王座に着かせると、誓言をもって誓ってくださったことを知っていて、

2:31 前もって見て、キリストの復活について、『彼は墓の領域に捨て置かれることはなく、また彼の肉体が腐敗を見ることもない』と語ったのです。

2:32 このイエスを、神は起き上がらせた。わたしたちは皆そのことの証人です。

2:33 それで、彼は神の右に上げられ、父から約束の聖霊を受けて、それを注ぎ出されたのです。あなたがたが見聞きしているのはそれなのです。

2:34 ダビデは天々に上りませんでしたが、彼自ら言っています。『主はわたしの主に言われた。「わたしの右に座っていなさい。

2:35 わたしがあなたの敵たちをあなたの足の足台とするまで」』。

2:36 「ですから、イスラエルの全家ははっきりと知っておきなさい。あなたがたがはりつけにしたこのイエスを、神は主ともキリストともされたのです」。

2:37 さて、これを聞くと、彼らは心を刺され、ペテロとほかの使徒たちに言った。「男たちよ、兄弟たちよ、わたしたちはどうしたらよいのでしょうか」。

2:38 すると、ペテロは彼らに言った。「心変えなさい。そして、あなたがたはそれぞれ、あなたがたの罪の赦しのためにイエス・キリストの名においてバプテスマされなさい。そうすれば、聖霊を贈り物として受けるでしょう。

2:39 なぜならこの約束は、わたしたちの神なる主がそのもとに召されるすべての者、すなわちあなたがたと、あなたがたの子供たち、そして遠くにいるすべての者たちに対するものなのです」。

2:40 彼はほかにも多くの言葉で厳かに証しをし、彼らに勧めて言った。「この曲がった世代から救われなさい」。

2:41 それで、彼の言葉を受け入れた者たちはバプテスマされた。その日におよそ三千人の魂が加えられた。

2:42 そして、彼らははひたすら、使徒たちの教えと、交わりと、パンを裂くことと、祈りに専念していた。

2:43 また、恐れがすべての魂に生じ、多くの不思議なわざとしるしが使徒たちを通して行なわれた。

2:44 信じた者たちは皆一緒にいて、すべての物を共有した。

2:45 所有物や持ち物を売り、それらをすべての者に、それぞれの必要に応じて分配した。

2:46 日ごとに心を合わせて神殿にひたすらとどまっており、家ごとにはパンを裂き、喜びとまごころをもって食事にあずかっていた。

2:47 神を賛美し、民のすべてから好意を持たれていた。主は、救われてゆく者たちを日ごとに仲間に加えてゆかれた。

使徒の働き 第3章↑

3:1 さて、ペテロとヨハネは第九時の祈りの時間に神殿に上って行った。

3:2 母の胎を出た時から足の不自由な男が運ばれて来た。神殿に入る人たちから施しを求めるために、神殿の「美し」と呼ばれる門のところに毎日置いてもらっていたのである。

3:3 彼は、ペテロとヨハネが神殿に入ろうとするのを見て、施しをもらいたいと頼んだ。

3:4 ペテロはヨハネと共に彼をじっと見つめて、「わたしたちを見なさい」と言った。

3:5 彼は、彼らから何かをもらえることを期待して、彼らに注目した。

3:6 しかしペテロは言った。「銀や金はわたしにはないが、わたしが持っているもの、それをあなたにあげよう。ナザレ人イエス・キリストの名において、歩きなさい」。

3:7 彼の右手をつかんで彼を起き上がらせた。すぐに彼の足の裏とくるぶしの骨とは強くされた。

3:8 彼は跳び上がって立ち、歩き出した。そして歩き、躍り上がり、神を賛美しながら、彼らと共に神殿の中に入って行った。

3:9 民はみな、彼が歩き回って神を賛美しているのを見た。

3:10 これが神殿の「美しの門」のところに座って施しを求めていた者であると知った。彼に起きたことについて、驚きと仰天とに満たされた。

3:11 彼がペテロとヨハネにつきまとっていると、民はみな、「ソロモン」と呼ばれる廊にいた彼らのところに走り寄ってき、非常に驚いた。

3:12 これを見て、ペテロは民に答えた。「男たちよ、イスラエルの人たちよ、なぜこのことで驚いているのですか。どうして、わたしたちが自分の力や敬虔によってこの者を歩かせたかのように、わたしたちを見つめているのですか。

3:13 アブラハム、イサク、ヤコブの神、わたしたちの父祖たちの神は、ご自分の男の子イエスに栄光を与えられましたが、あなたがたは彼を引き渡し、ピラトが釈放しようと決めていたのに、彼の面前で否認しました。

3:14 そして、あなたがたは聖なる義なる方を否認して、人殺しの男を自分たちに許すように求め、

3:15 命の君主を殺しました。しかし、神は彼を死んだ者たちの中から起こされました。わたしたちはそのことの証人です。

3:16 その方の名が、その名に対する信仰によって、あなたがたが見知っているこの者を強くしたのです。彼を通しての信仰が、あなたがたすべての前で彼に完全な健康を与えたのです。

3:17 さて、兄弟たちよ、あなたがたが無知のためにあのようなことをしたのであり、あなたがたの支配者たちも同様だったことを、わたしは知っています。

3:18 しかし神は、すべての預言者たちの口を通して、予告されていた事柄、すなわち、ご自分のキリストが苦しみを受けることを、このようにして成就されたのです。

3:19 ですから、あなたがたの罪を塗り消していただくために、心変えて立ち返りなさい。

3:20 それは、主のみ前からさわやかにする時々節々が来て、あなたがたのために前もって任命されたキリスト・イエスを遣わしていただけるようにするためです。

3:21 神が世からご自分の聖なる預言者たちの口を通して語られたすべてのものの復興の時々間々まで、天はこの方を受け入れておかなければならないのです。

3:22 実際、モーセは言いました。『主なる神は、あなたがたの兄弟たちの中から、わたしのような預言者をあなたがたのために起こされるだろう。あなたがたは、彼があなたがたに語るすべての事柄について、彼に聞くべきである。

3:23 その預言者に聞かない魂はすべて、民の中から完全に滅ぼされるだろう』。

3:24 また、サムエルをはじめとするすべての預言者たちも、後に続いて語った者たちも、この日々のことを告げ知らせました。

3:25 あなたがたは預言者たちの息子たちであり、神がアブラハムに、『あなたの子孫の中で、地上のすべての家族は祝福されるだろう』と言って、あなたがたの父祖たちと結ばれた契約の息子たちです。

3:26 神は、まずあなたがたのために、ご自分の男の子を起こして、彼を遣わしになったのは、彼があなたがた一人一人をあなたがたの悪から立ち返らせて、あなたがたを祝福するためなのです」。

使徒の働き 第4章↑

4:1 彼らが民に話している間に、祭司たち、神殿の指揮官、サドカイ人たちが彼らの所に来たが、

4:2 彼らが民を教え、また、イエスに起った死んだ者たちからの復活を告げ知らせているので、いらだっていた。

4:3 彼らに手をかけて、翌日まで留置場に入れた。すでに夕方だったからである。

4:4 しかし、話を聞いた者の多くが信じた。そして、男の数はおよそ五千人になった。

4:5 翌日、彼らの支配者たち、長老たち、書記官たちがエルサレムに集まった。

4:6 (祭司長アンナス、それにカヤパ、ヨハネ、アレキサンデル、また祭司長の親族たち全員もいた。)

4:7 彼らは彼らを真ん中に立たせて尋ねた。「あなたがたは何の力によって、またどういう名によってこんなことをしたのか」。

4:8 その時、ペテロは聖霊に満たされて彼らに言った。「民の支配者たち、また長老たちよ、

4:9 わたしたちが今日、病気の人に対する善い行ないのために、何によってこの者が救われたかについて取り調べを受けているのであれば、

4:10 あなたがたのすべてとイスラエルの民すべては知ってください。あなたがたがはりつけにし、神が死んだ者たちの中から起こされたナザレのイエス・キリストの名において、この方によってこの者はあなたがたの前に健やかに立っているのです。

4:11 この方は、『あなたがた建築者たちによって取るに足りないものとみなされたが、隅のかしらになった石』なのです。

4:12 ほかの誰にも救いはありません。天下には、人々の間に与えられ、わたしたちがそれによって救われるべき名は、ほかにないからである」。

4:13 さて、ペテロとヨハネの大胆な態度を見、しかも彼らが無学な普通の人たちであることを知って、彼らは驚いた。彼らは、彼らがかつてイエスと共にいたことを認めた。

4:14 また、いやされた人が彼らと共に立っているのを見ると、まったく返す言葉がなかった。

4:15 そこで、彼らにサンヘドリンの外に出るよう命じて、互いに協議して

4:16 言った。「この人たちをどうすればよいだろうか。目覚ましいしるしが彼らを通して起きたことは、エルサレムに住むすべての人に明らかなので、我々はそれを否定できない。

4:17 しかし、これ以上このことが民の間に広まることのないよう、今後はこの名によって誰にも語ってはならないと、彼らを脅しつけておくことにしよう」。

4:18 彼らを呼び入れて、イエスの名によって一切語ったり教えたりしないようにと命じた。

4:19 しかしペテロとヨハネは彼らに答えた。「神よりもあなたがたに聞き従うほうが、神のみ前において正しいことなのかどうか、判断していただきたい。

4:20 わたしたちとしては、自分の見たこと聞いたことを、語らないわけにはいかない」。

4:21 彼らは、彼らをさらに脅しつけた上で釈放した。彼らを罰する方法が見つからなかったからであり、民のためでもあった。起きたことのために、みんなが神の栄光をたたえていたからである。

4:22 このいやしのしるしが起こった人は、四十歳を過ぎていたのである。

4:23 彼らは、釈放されると自分たちの仲間のところに来て、祭司長たちや長老たちが自分たちに言ったことをすべて報告した。

4:24 彼らはこれを聞くと、心を合わせて神に声を上げて言った。「主よ、あなたは天と地と海とそれらの中にあるすべてのものを造られた方であり、

4:25 また、聖霊を通じ、あなたの男の子、わたしたちの父祖ダビデの口によって言われた。『なぜ諸国の民々は騒ぎ立ち、もろもろの民はむなしいことを企てるのか。

4:26 地の王たちは立ち上がり、支配者たちは共に集まって、主に逆らい、彼のキリストに逆らった』。

4:27 まさしく、ヘロデとポンテオ・ピラトは、諸国の人々と共に、またイスラエルの諸民と共に、あなたから油を注がれた聖なる男の子イエスに逆らい、この都で集まりました。

4:28 あなたのみ手とみ旨によって、起こることがあらかじめ定められていたことを行なうためでした。

4:29 主よ、今、彼らの脅しをご覧になり、あなたの奴隷たちがあらん限りの大胆さをもってあなたの言葉を語ることができるようにしてください。

4:30 み手を伸ばしていやしを行ない、あなたの聖なる男の子イエスの名によって、しるしや不思議なわざを行なわせてください」。

4:31 彼らが祈っていると、彼らの集まっていた場所が揺れ動いた。みんなは聖霊に満たされて、大胆さをもって神の言葉を語った。

4:32 信じた人たちの群れは、心と魂が一つであった。彼らのうちの誰も、自分の所有物を自分のものだととは言わなかった。彼らはすべての物を共有していた。

4:33 使徒たちは大きな力をもって、主イエスの復活について証しをした。大きな恵みが彼らすべての上にあった。

4:34 彼らの中には、欠乏している者は一人もいなかったのである。というのは、土地や家を持っている者はみな、それらを売り、売ったものの代金を持って来て、

4:35 使徒たちの足もとに置いた。それらは各人の必要に応じてそれぞれに分配されたからである。

4:36 クプロ生れのレビ人で、使徒たちにバルナバ(翻訳せば、慰めの息子)と呼ばれていたヨセフは、

4:37 畑を持っていたのでそれを売り、その代金を持って来て使徒たちの足もとに置いた。

使徒の働き 第5章↑

5:1 しかしながら、アナニヤという名の男が、彼の妻サッピラと共に資産を売り、

5:2 代金の一部を隠しておき、それについては妻も知っていた。彼はその一部分を持って来て使徒たちの足もとに置いた。

5:3 しかしペテロは言った。「アナニヤよ、どうしてサタンがあなたの心を満たして、聖霊に対して偽らせ、土地の代金の一部を隠しておかせたのか。

5:4 あなたのもとにある間、それはあなたのものだったのではないか。売っても、それはあなたの権利の下になかったか。どうしてあなたはこんなことをあなたの心の中で企てたのか。あなたは人ではなく、神に対して偽ったのだ」。

5:5 アナニヤはこれらの言葉を聞くと、倒れて息絶えた。これらのことを聞いたすべての者の上に大きな恐れが臨んだ。

5:6 しかし、若者たちが立って彼を包み、運び出して葬った。

5:7 さて、三時間ほどたってから、彼の妻が、起きたことを知らずに入って来た。

5:8 そこで、ペテロは彼女に答えた。「わたしに言いなさい。あなたがたは土地をこれだけの値段で売ったのか」。彼女は言った。「そうです、それだけの値段です」。

5:9 しかしペテロは彼女に言った。「どうしてあなたがたは示し合わせて主の霊をためしたのか。見よ、あなたの夫を葬った者たちの足が戸口のところにあり、彼らはあなたを運び出すだろう」。

5:10 彼女はすぐに彼の足もとに倒れて息絶えた。若者たちは入って来て、彼女が死んでいるのを見つけた。そこで彼女を運び出して、彼女の夫のそばに葬った。

5:11 集会全体およびこれらのことを聞いたすべての者の上に大きな恐れが臨んだ。

5:12 使徒たちの手を通して多くのしるしや不思議なわざが民の間に起こった。みんなは心を合わせてソロモンの廊にいた。

5:13 残りの者たちは誰も、敢えて彼らに加わろうとはしなかったが、民は彼らをほめたてるのであった。

5:14 そればかりか、信じる者たち、すなわち大勢の男と女が主に加えられていった。

5:15 そのため、人々は病気の者たちを大通りに運び出し、寝台や寝床の上に置いて、ペテロが通るときに、せめて彼の影がそのうちの誰かにかかるようにした。

5:16 またエルサレムの周囲の町々からも群衆が集まって来て、病気の者たちや汚れた霊に苦しめられている者たちを連れて来たが、彼らは皆いやされた。

5:17 しかし、祭司長および共にいたすべての者たち(すなわちサドカイ人の党派)は立ち上がり、ねたみに満たされて、

5:18 使徒たちに手をかけ、彼らを公共の留置場に入れた。

5:19 ところが、主の使いの者が夜中に牢の戸を開け、彼らを連れ出して言った。

5:20 「行きなさい。そして、神殿で立ち、この命の言葉をすべて民に語りなさい」。

5:21 彼らはこれを聞くと、夜明けごろ神殿に入って教えた。しかし祭司長および共にいた者たちがやって来て、サンヘドリン、またイスラエルの息子たちの長老会議の全体を招集し、彼らを連れて来させるために獄に人を遣わした。

5:22 しかし、出かけて行った下役たちは、牢の中に彼らを見つけなかったので、戻って来て報告した。

5:23 こう言った。「わたしたちが見ましたところ、獄にはしっかり錠がかけてあり、戸のところには番人たちが立っていましたが、開けてみると、中には誰も見つけませんでした」。

5:24 そこで、神殿の指揮官も祭司長たちもこれらの言葉を聞いて、これはいったいどんなことになるのかと、彼らのことで途方に暮れていた。

5:25 ある人が来て、彼らに報告した。「ご覧なさい、あなたがたが牢に入れた男たちは神殿にいて、立って民を教えています」。

5:26 それで指揮官は下役たちと一緒に出て行って、彼らを連れて来たが、手荒なことはしなかった。民に石打ちにされるのを恐れていたからである。

5:27 彼らを連れて来て、サンヘドリンの中に立たせた。祭司長が彼らを尋問して

5:28 言った。「わたしたちは、この名において教えないようにと、あなたがたに命令をもって命じておいたのに、見よ、あなたがたはエルサレムをあなたがたの教えで満たしてしまい、しかも、この人の血をわたしたちに負わせようと企んでいる」。

5:29 しかし、ペテロと使徒たちは答えて言った。「わたしたちは、人より神に従わなければなりません。

5:30 わたしたちの父祖たちの神は、あなたがたが手をかけて木に架けたイエスを起こされました。

5:31 神はこの方を、イスラエルに心変えと罪の赦しとを与えるために、君主また救い主としてご自分の右に高められました。

5:32 わたしたちは、これらの言葉の証人です。神がご自分に従う者たちに与えられた聖霊もまたそうです」。

5:33 しかし、これを聞くと、彼らはのこぎりで引き切られるように感じ、彼らを殺そうと決心した。

5:34 しかし、ガマリエルという名のパリサイ人で、民のすべてから尊敬されていた律法の教師が、サンヘドリンの中で立ち上がり、この人々をしばらく外に出すよう命じた。

5:35 彼らに言った。「男たちよ、イスラエルの人たちよ、この人たちについては、自分が何をしようとしているのかに注意しなさい。

5:36 というのは、この日々の前にチゥダが立ち上がり、自分を何者かであるように言い、多数の男たち、およそ四百人が仲間に加わりましたが、彼は殺され、彼に従った者たちもみな散らされて、跡形もなくなったからです。

5:37 そののち、ガリラヤ人ユダが登録のころに立ち上がり、民を引き込んで自分に付かせましたが、この者も滅び、彼に従っていた者たちもみな散らされてしまったのです。

5:38 それで今、あなたがたに言いますが、この人たちから手を引き、彼らをそのままにしておきなさい。この企て、またこのわざが人から出たものであれば、それは覆されるからです。

5:39 しかし、もしも神から出たものであれば、あなたがたは彼らを覆すことはできない。もしかしたら、神に対して闘うことになってしまうかも知れません」。彼らは彼に説得された。

5:40 そこで、彼らは使徒たちを呼んで、打ちたたき、イエスの名によって語らないよう命じてから、釈放した。

5:41 それで彼らは、イエスの名のために辱めを受けるに値する者とされたことを喜びながら、サンヘドリンの前から出て行った。

5:42 そして、毎日、神殿、また家から家でやめることなく教え、キリスト、イエスについての良い知らせを宣べ伝えていた。

使徒の働き 第6章↑

6:1 その日々に、弟子たちが増えていた時、ヘレニストたちからヘブライ人たちに対して苦情が起こった。彼らのやもめたちが日々の配給において見過ごされていたからである。

6:2 そこで、十二人は大勢いた弟子たちを呼び集めて言った。「わたしたちが神の言葉を放っておいて、食卓のために仕えるのはふさわしくありません。

6:3 そこで、兄弟たちよ、あなたがたの中から、聖霊と知恵とに満ちた評判の良い人を七人選び出しなさい。わたしたちがその人たちをこの必要な仕事に任命しましょう。

6:4 わたしたちのほうは、祈りとみ言葉の奉仕とに専念することにします」。

6:5 この言葉は大勢の者全員の喜ぶところとなった。そして彼らは、信仰と聖霊とに満ちた男ステパノ、またピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、およびアンテオケの改宗者ニコラオを選び出して、

6:6 使徒たちの前に立たせた。すると彼らは祈って彼らの上に手を置いた。

6:7 神の言葉はますます広まり、弟子たちの数もエルサレムにおいて非常に増えていった。そして大勢の祭司たちがこの信仰に従っていた。

6:8 さて、ステパノは恵みと力とに満ちて、民の間で大いなる不思議なわざやしるしを行なっていた。

6:9 すると、「リベルテン」と呼ばれる会堂に属する者たち、クレネ人、アレキサンドリヤ人、キリキヤやアジヤから来た者たちのうちのある人々が立ち上がり、ステパノと議論したが、

6:10 彼らは彼が語った知恵とその霊に対抗できなかった。

6:11 そこで、彼らは男たちをそそのかして、「わたしたちは、彼がモーセと神に対して冒とくの言葉を語っているのを聞いた」と言わせた。

6:12 また彼らは、民や長老たちや書記官たちを扇動し、彼を襲って捕らえ、サンヘドリンに引いて行った。

6:13 そして偽りの証人たちを立てて言わせた。「この人は、この聖なる場所と律法に対して逆らう言葉をを語ってやめません。

6:14 というのも、わたしたちは彼が、このナザレ人イエスはこの場所を壊し、モーセがわたしたちに与えた慣習を変えるだろう、と言うのを聞いたのです」。

6:15 サンヘドリンに座っている者たちはみな彼を見つめたが、彼の顔は使いの者の顔のように見えた。

使徒の働き 第7章↑

7:1 祭司長は言った。「これらのことはそのとおりなのか」。

7:2 そこで彼は言った。「男たち、兄弟たち、また父たちよ、聞いてください。わたしたちの父祖アブラハムがカランに住む前、まだメソポタミヤにいた時に、栄光の神が彼に現われて、

7:3 彼にこう言われました。『あなたの土地、またあなたの親族から出て、わたしがあなたに示す土地に来なさい』。

7:4 そこで、彼ははカルデヤ人の地を出て、カランに住んだ。彼の父が死んだのち、彼はそこから、あなたがたが今住んでいるこの土地へ、彼を移されました。

7:5 そこでは、彼は相続財産を、足を置く場所さえも、彼に与えられませんでした。そこを所有物として彼に、また彼の後でその子孫に与えると約束されましたが、それはまだ彼に子供がいない時でした。

7:6 神はこのように語られました。彼の子孫は見知らぬ土地で外人居留者として住む。彼らは彼らを奴隷にして四百年のあいだ苦しめるであろう、と。

7:7 『彼らを奴隷にする民族を、わたしは裁くだろう』と神は言われました。『そしてこれらののち、彼らは出て来て、この場所でわたしに神聖な奉仕をささげるだろう』。

7:8 彼は彼に割礼の契約を与えられました。こうして、彼はイサクをもうけ、八日目に彼を割礼しました。イサクはヤコブをもうけ、ヤコブは十二人の族長たちをもうけました。

7:9 この族長たちは、ヨセフねたむようになり、彼をエジプトに売りました。神は彼と共におられ、

7:10 そのあらゆる苦難から彼を救い出し、エジプトの王パロの前で彼に恵みと知恵を与えられました。彼は、エジプトと王の家全体を治めるように彼を任命したのです。

7:11 さて、エジプトとカナンの全土にききんが起こり、大きな苦難が臨みました。わたしたちの父祖たちは食糧を見つけることができなくなりました。

7:12 しかし、ヤコブはエジプトに穀物があると聞いて、わたしたちの父祖たちを最初に遣わしました。

7:13 二度目の時、ヨセフのことが彼の兄弟たちに知らされ、ヨセフの一族のことがパロに明らかにされました。

7:14 ヨセフは人を遣わして、自分の父ヤコブ、また親族全体、すなわち七十五人の魂を呼び寄せました。

7:15 ヤコブはエジプトに下って行きました。そして、彼自身もわたしたちの父祖たちも死にました。

7:16 それから彼らは、シケムに移されて、アブラハムが銀を支払ってシケムのハモルの息子たちから買っておいた墓に横たえられました。

7:17 神がアブラハムに誓われた約束の時が近づくにつれ、民はエジプトで大きくなって殖えてゆき、

7:18 やがて、ヨセフのことを知らない別の王がエジプトに起こりました。

7:19 この者はわたしたちの同族に対して悪巧みをし、わたしたちの父祖たちを虐げ、彼らの赤子たちを捨てさせ、生かしておけないようにしました。

7:20 そうした時節にモーセが生まれましたが、彼は神には非常に美しかった。彼は三か月の間、自分の父の家で養われました。

7:21 しかし、彼が捨てられた時、パロの娘が彼を拾い上げ、彼を自分の息子として養いました。

7:22 モーセはエジプト人のあらゆる知恵を教え込まれました。彼は言葉にもわざにも強力な者でした。

7:23 しかし、彼の第四十年目が満ちようとしていた時、自分の兄弟たち、すなわちイスラエルの息子たちのもとを訪ねようという気持ちが彼の心に起こりました。

7:24 そしてある者が不当な扱いを受けているのを見た時、彼はその者をかばい、エジプト人を撃って、虐げられていたその者のためにあだを討ちました。

7:25 自分の手を通して神が彼らに救いを与えられることを、兄弟たちが理解してくれるものと思っていたのですが、彼らは理解しませんでした。

7:26 次の日、彼は彼らが争い合っているところに現れ、彼らを仲直りさせて言いました。『男たちよ、あなたがたは兄弟です。どうして互いに対して不当な扱いをするのか』。

7:27 しかし、自分の隣人を不当に扱っていた者が彼を押しのけて言いました。『誰があなたを支配者また裁判官としてわたしたちの上に立てたのか。

7:28 あなたは昨日エジプト人を除き去ったのと同じようにしてわたしを除き去りたいのか』。

7:29 この言葉を聞いてモーセは逃げ、ミディアンの地で外人居留者となり、二人の息子をもうけた。

7:30 そして四十年が満ちた時、シナイ山の荒野において、燃える茂みの炎の中で、使いの者が彼に現われました。

7:31 これを見て、モーセはその光景を不思議に思いました。調べようとして近づくと、主の声がしました。

7:32 『わたしはあなたの父祖たちの神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である』。モーセはおののいて、もはや調べようとしませんでした。

7:33 主は彼に言われました。『あなたの足のサンダルを脱ぎなさい。あなたが立っている場所は聖なる地だからである。

7:34 わたしは、エジプトにいるわたしの民の虐待を確かに見、彼らのうめきを聞いた。彼らを救い出すために下って来たのである。そして今、来なさい。わたしはあなたをエジプトに遣わそう』。

7:35 「このモーセ、すなわち、『誰があなたを支配者や裁判官に立てたのか』と言って彼らが拒んだこの人を、神は、茂みの中で彼に現われた使いの者の手によって、支配者また救出者として遣わされたのです。

7:36 この人が、エジプトにおいても、紅海においても、また荒野での四十年間においても、不思議なわざとしるしを行なって、彼らを導き出したのです。

7:37 この人が、イスラエルの息子たちに、『神は、あなたがたの兄弟たちの中からあなたがたのためにわたしのような預言者を起こされるだろう』と言ったモーセなのです。

7:38 この人が、荒野での集会において、シナイ山で彼に語りかけた使いの者やわたしたちの父祖たちと共にいて、生ける託宣を受け、わたしたちに与えたのです。

7:39 わたしたちの父祖たちは彼に従おうとはせず、かえって彼を押しのけ、心の中でエジプトに引き返し、

7:40 アロンに言いました。『わたしたちの前を行く神々を造ってください。わたしたちをエジプトの地から導き出したこのモーセについては、彼がどうなったか分からないからです』。

7:41 彼らはその日々に子牛を造り、その偶像に犠牲を携えて行き、自分たちの手のわざのうちで喜びました。

7:42 しかし、神は背を向け、彼らが天の軍勢に神聖な奉仕をささげるように引き渡されました。預言者たちの書に書かれているとおりです。『イスラエルの家よ、あなたがたは荒野にいた四十年の間に、ほふられた獣と犠牲とをわたしにささげたことがあったか。

7:43 あなたがたが担ぎ上げたのは、モロクの幕屋、神ロンパの星、それらを礼拝するために自分で造った像であった。わたしはあなたがたをバビロンのかなたに運び去るだろう』。

7:44 「わたしたちの父祖たちには、荒野に証しの幕屋がありました。それは、モーセに語った方が、彼の見たままの形に従ってそれを造るようにと命じられたとおりのものでした。

7:45 わたしたちの父祖たちもこれを受け継いで、ヨシュアと共に、諸国民の所有していた地に入る時、それを持ち込みました。神はそれら諸国民をわたしたちの父祖の前から追い払われたのです。それはダビデの日々に及びました。

7:46 彼は神のみ前で恵みを受け、ヤコブの神のために住まいを設けたいと願いました。

7:47 しかし、ソロモンが彼のために家を建てました。

7:48 しかし、いと高き方は手で造ったものの中には住まわれません。預言者が言っているとおりです。

7:49 『天はわたしの王座、地はわたしの足の足台である。あなたがたはわたしのためにどんな家を建てるのか』と、主は言われる。『あるいは、わたしの休む場所とは何か。

7:50 わたしの手がこれらのすべてのものを造ったのではないか』。

7:51 強情で、心にも耳にも割礼を受けていない人たちよ。あなたがたはいつも聖霊に抵抗しています。あなたがたの父祖たちが行なったとおりに、あなたがたも行なっているのです。

7:52 預言者たちの中で、あなたがたの父祖たちが迫害しなかった人がいるでしょうか。彼らは、義なる方の到来を予告した人たちを殺し、あなたがたは今や、その方を裏切る者たち、また殺す者たちとなりました。

7:53 あなたがたは、使いの者たちの定めた律法を受けたのに、それを守らなかったのです」。

7:54 さて、これを聞くと、彼らは心臓までのこぎりで引き切られるように感じ、彼に向かって歯ぎしりをした。

7:55 しかし、彼は聖霊に満たされ、天をじっと見つめ、神の栄光と、神の右に立っているイエスを見て、

7:56 こう言った。「ご覧なさい。天が開けて、人の息子が神の右に立っておられるのが見えます」。

7:57 すると、彼らは大声で叫んで、耳をふさぎ、彼に向かっていっせいに突進した。

7:58 彼を町の外に投げ出して、石打ちにした。そして証人たちは、自分の衣をサウロという若者の足もとに置いた。

7:59 彼らがステパノを石打ちにしている間、彼は叫んで言った。「主イエスよ、わたしの霊をお受けください」。

7:60 そして、ひざまずいて、大声で叫んだ。「主よ、この罪を彼らに負わせないでください」。こう言ってから、眠りについた。

使徒の働き 第8章↑

8:1 サウロは彼を殺すことに賛成していた。その日、エルサレムにあった集会に対して大迫害が起こった。使徒たちのほかは皆、ユダヤとサマリヤの地方全域に散らされていった。

8:2 敬けんな男たちはステパノを葬り、彼のために大いに嘆き悲しんだ。

8:3 しかし、サウロは集会を荒し回って、すべての家に押し入り、男も女も引きずり出して牢に引き渡した。

8:4 それで、散らされた者たちは、み言葉を良い知らせとして宣べ伝えながら、めぐり歩いた。

8:5 ピリポはサマリヤの町に下って行き、彼らにキリストを宣べ伝えはじめた。

8:6 群衆は、ピリポが行なったしるしを見聞きすると、彼の語る事柄に心を合わせて注意を払っていた。

8:7 汚れた霊に取り憑かれていた多くの者から、その霊たちが大声で叫びながら出て来た。また、体がまひした人や足の不自由な人が大勢いやされた。

8:8 それで、その町には大きな喜びが起こった。

8:9 ところで、その町には以前からある男がいたが、名をシモンといい、彼は魔術を行なってサマリヤの国民を驚かせ、自分を何か偉い者のように言いふらしていた。

8:10 最も小さな者から最も大きな者に至るまで、みんなが彼に注目し、「この者は『偉大』と呼ばれる神の力である」と言っていた。

8:11 彼らが彼に注意を払っていたのは、彼が長い間、その魔術によって彼らを驚かせてきたためであった。

8:12 しかし、彼らは、神の王国とイエス・キリストの名についての良い知らせを宣べ伝えるピリポを信じた時、男も女もバプテスマされた。

8:13 シモン自身も信じた。彼はバプテスマされると、絶えずピリポに付き添っていた。しるしや大いなる力あるわざが起こるのを見て、驚いていた。

8:14 さて、エルサレムにいた使徒たちは、サマリヤが神の言葉を受け入れたと聞くと、ペテロとヨハネを彼らのもとに遣わした。

8:15 彼らは下って行き、彼らが聖霊を受けるようにと彼らのために祈った。

8:16 それがまだ彼らの中の誰にも下っていなかったからである。彼らは、ただキリスト・イエスの名においてバプテスマされただけであった。

8:17 それで、彼らが彼らの上に手を置くと、彼らは聖霊を受けた。

8:18 しかしシモンは、使徒たちが手を置くことによって霊が与えられるのを見ると、彼らにお金を差し出して

8:19 言った。「わたしにもこの権威を与えて、誰でもわたしが手を置く者が聖霊を受けられるようにしてください」。

8:20 しかしペテロは彼に言った。「あなたの銀はあなたと共に滅びてしまうがよい。あなたは神の贈り物をお金で得られると考えたからです。

8:21 あなたはこの事において受け分も分け前も持っていない。あなたの心が神の前にまっすぐでないからです。

8:22 だから、この悪事について心変え、主に請い求めなさい。そうすれば、あなたの心の思いが赦されることになるかも知れない。

8:23 わたしは、あなたが苦い胆汁と不義の束縛との中にいるのを見ているからです」。

8:24 しかし、シモンは答えて言った。「あなたがた、わたしのために主に祈ってください。あなたがたの言われたことが何一つわたしに起こらないようにするためです」。

8:25 このようにして、彼らは厳かに証しをし、主の言葉を語ってから、エルサレムに引き返し、サマリヤ人の多くの村に良い知らせを宣べ伝えた。

8:26 一方、主の使いの者がピリポに語りかけて言った。「立って、南の方へ行き、エルサレムからガザに下る道に出なさい。これは荒野の道です」。

8:27 彼は立って出かけて行った。すると見よ、一人のエチオピヤ人の男がいた。エチオピヤ人の女王カンダケのもとで権力を持つ宦官で、彼女の全財宝を管理していたが、礼拝のためにエルサレムに来ていた。

8:28 その帰りに、自分の馬車の中に座り、預言者イザヤを朗読していた。

8:29 すると霊がピリポに言った。「近づいて、あの馬車と一緒になりなさい」。

8:30 そこでピリポは走り寄り、彼が預言者イザヤを朗読しているのを聞いて、こう言った。「読んでいることが分かりますか」。

8:31 彼は言った。「誰かがわたしを導いてくださるのでなければ、どうして分かるでしょうか」。そして、上がって来て自分と一緒に座るように、ピリポに懇願した。

8:32 ところで、彼が朗読していた聖書の箇所は、これであった。「彼は羊のようにほふり場に引かれて行った。自分の毛を刈る者の前で黙っている子羊のように、彼は口を開かない。

8:33 辱めを受けている間、裁きは彼から取り去られた。誰が彼の世代のことを語るだろうか。彼の命は地から取り去られるからです」。

8:34 宦官は答えてピリポに言った。「あなたにお願いします。この預言者は誰について語っているのでしょうか。自分自身についてですか。それとも誰かほかの人についてですか」。

8:35 ピリポは口を開き、この聖句から始めて、彼にイエスについての良い知らせを宣べ伝えた。

8:36 彼らが道を進んで行くと、水のある所に来た。そこで宦官は言った。「ご覧ください。水があります。わたしがバプテスマされるのに、何の妨げがあるでしょうか」。

8:37 〔無し〕

8:38 彼は馬車に止まるよう命じた。そして、ピリポと宦官は二人とも水の中に下りて行き、彼は彼をバプテスマした。

8:39 彼らが水から上がると、主の霊がピリポをさらって行った。宦官はもはや彼を見なかったが、喜びながら自分の道を進んで行った。

8:40 しかし、ピリポはアゾトに現われた。すべての町々を通りすぎ、良い知らせを宣べ伝えて、ついにカイザリヤに着いた。

使徒の働き 第9章↑

9:1 さてサウロは、主の弟子たちに対する脅迫と殺害の息をなおもはずませながら、祭司長のもとに近づいていって、

9:2 彼からダマスコの諸会堂あての手紙を求めた。この道に属する者を見つけたなら、男も女も縛り上げて、エルサレムに引いて来るためであった。

9:3 そして彼が出かけて行って、ダマスコに近づいた時、突然、天からの光が彼の周りを照らした。

9:4 彼は地に倒れ、「サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか」と自分に言う声を聞いた。

9:5 彼は言った。「主よ、あなたはどなたですか」。彼は言った。「わたしはイエス、あなたが迫害している者です。

9:6 しかし、立ち上がって、町に入りなさい。そうすれば、あなたのなすべきことが告げられるだろう」。

9:7 彼と同行していた者たちは、何も言えずに立っていた。声は聞こえたが、誰も見えなかったからである。

9:8 サウロは地面から起き上がったが、目を開いても何も見えなかった。人々は彼の手を引いてダマスコに連れて行った。

9:9 彼は三日のあいだ目が見えず、食べることも飲むこともしなかった。

9:10 さて、ダマスコにアナニヤという名のある弟子がいた。主は幻の中で彼に言った。「アナニヤよ」。そこで彼は言った。「主よ、わたしでございます」。

9:11 そこで主は彼に言った。「立って、『まっすぐ』と呼ばれる通りへ行き、ユダの家で、サウロという名のタルソ人を捜しなさい。見よ、彼は祈っているからです。

9:12 彼は、幻の中で、アナニヤという名の男が入って来て、視力を取り戻させるため、自分の上に手を置くのを見たからです」。

9:13 しかしアナニヤは答えた。「主よ、わたしはこの男について、彼がエルサレムであなたの聖徒たちにどれほど悪いことをしたか、多くの人から聞いています。

9:14 しかもここでは、あなたのみ名を呼び求める者をすべて縛り上げる権限を祭司長たちから得ているのです」。

9:15 しかし主は彼に言った。「行きなさい。この者は、諸国の民々や王たち、またイスラエルの息子たちの前でわたしの名を担う、わたしが選んだ器だからです。

9:16 彼がわたしの名のためにどれほど多くの苦しみを受けなければならないかを、わたしは彼に示そう」。

9:17 そこでアナニヤは、出かけて行ってその家に入った。彼の上に手を置いて言った。「兄弟サウロよ、来る道であなたに現われたイエス、すなわち主が、わたしを遣わされました。あなたが視力を取り戻し、聖霊で満たされるためです」。

9:18 すぐに、彼の両目からうろこのような物が落ち、彼は視力を取り戻した。彼は起き上がってバプテスマされた。

9:19 食事をとって元気づいた。サウロは数日の間、ダマスコにいる弟子たちと共にいた。

9:20 すぐに諸会堂で、イエスのことを、これこそ神の息子であると宣べ伝えた。

9:21 これを聞いた人々は皆びっくりして言った。「これは、エルサレムでこの名を呼び求める者たちを荒らした者であり、そして、彼らを縛り上げて、祭司長たちに引いて行くという目的のためにここに来たのではなかったか」。

9:22 しかし、サウロはますます力づけられ、この方がキリストであることを論証して、ダマスコに住んでいるユダヤ人たちをうろたえさせた。

9:23 かなりの日数が満ちた時、ユダヤ人たちは彼を除き去ってしまおうと相談をした。

9:24 彼らの陰謀はサウロの知るところとなった。彼らは彼をを除き去ってしまおうとして、昼も夜も門を見張っていた。

9:25 そこで、彼の弟子たちは夜の間に彼を連れ出し、かごに乗せて城壁づたいにつり降ろした。

9:26 サウロは、エルサレムに来ると、弟子たちに加わろうと努めたが、みんなは彼が弟子であると信じないで、彼を恐れていた。

9:27 しかし、バルナバは彼を受け入れて、使徒たちのもとに連れて行き、彼が道中で主を見た様子や、彼が彼に語りかけたこと、また、ダマスコでイエスの名において大胆に語った様子を話して聞かせた。

9:28 彼は彼らと共にエルサレムに出入りし、主の名において大胆に語り、

9:29 彼はヘレニストたちと語り合い、議論をしたが、彼らは彼を除き去ってしまおうとしていた。

9:30 兄弟たちはそれを知って、彼をカイザリヤに連れ下り、また彼をタルソへ送り出した。

9:31 こうして集会は、ユダヤ、ガリラヤ、サマリヤの全地にわたって平和を保ち、築き上げられていった。彼らは、主への恐れと聖霊の慰めとのうちに歩みつつ、増し加えられていった。

9:32 ペトロは、あらゆる地方を巡っていた際、ルダに住んでいる聖徒たちのところにも下って行った。

9:33 彼はそこでアイネヤという名の人を見つけたが、体がまひしていたために八年間も寝台に横たわったままであった。

9:34 ペテロは彼に言った。「アイネヤよ、イエス・キリストがあなたをいやされます。起きて、自分の寝床を整えなさい」。すぐに彼は起き上がった。

9:35 ルダとサロンに住むすべての人たちは彼を見て、主のもとに立ち返った。

9:36 さて、ヨッパにはタビタという名の弟子がいた。この名は、訳せば、ドルカスという意味である。彼女は、良いわざと自分が行なった憐れみの施しで満ちていた。

9:37 その日々に、彼女は病気になって死んだ。それで、人々は彼女を洗い、階上の部屋に横たえた。

9:38 ルダはヨッパに近かったので、弟子たちは、ペテロがそこにいると聞いて、二人の男を彼のもとに遣わし、急いで自分たちのところに来てくれるよう嘆願した。

9:39 ペテロは立って、彼らと共に出かけた。そこに着くと、人々は彼を階上の部屋に連れて行った。やもめたちはみな彼のそばにやって来て、泣きながら、自分たちと共にいた間にドルカスが作った上着や衣を見せた。

9:40 ペテロはみんなを外に出し、ひざまずいて祈った。その体のほうに向き直って言った。「タビタよ、起きなさい」。すると彼女は目を開き、ペテロを見ると起き直った。

9:41 彼は彼女に手を貸して彼女を起き上がらせた。聖徒たちとやもめたちを呼んで、彼女が生きているのを見せた。

9:42 すると、このことはヨッパ全体に知れ渡り、多くの者が主を信じた。

9:43 彼はかなりの日数ヨッパにとどまって、皮なめしシモンという人のところにいた。

使徒の働き 第10章↑

10:1 さて、カイザリヤに、コルネリオという名の男がいた。「イタリア隊」と呼ばれる部隊の百人隊長であったが、

10:2 敬けんな人であり、彼の家族全員と共に神を恐れており、民に多くの憐れみの施しをし、いつも神に祈っていた。

10:3 ある日の第九時ごろ、神の使いの者が彼のもとに来て、「コルネリオよ」と言うのを、幻の中ではっきりと見た。

10:4 彼をじっと見つめて、恐ろしくなって言った。「主よ、なにごとでしょうか」。彼は彼に言った。「あなたの祈りと憐れみの施しは記念として神のみ前に上りました。

10:5 さあ、今ヨッパに人々を送って、またの名をペテロと呼ばれるシモンを呼びなさい。

10:6 彼は、海辺に家を持つ皮なめしシモンという者のところに宿泊している」。

10:7 自分に語った使いの者が立ち去ると、彼は家の召使いふたりと、絶えず自分に仕えている者の中の敬けんな兵士ひとりを呼び、

10:8 彼らにすべてのことを説明して、彼らをヨッパに遣わした。

10:9 さて、翌日、この者たちが旅を続けてその町に近づいたころ、ペテロは祈るために第六時ごろ屋上に上った。

10:10 彼は空腹になり、何か食べたいと思った。ところが、人々が準備している間に、彼は夢心地になった。

10:11 すると、天が開け、大きな亜麻布のような器が四隅をつるされて、地の上に降りて来るのを見た。

10:12 その中には、あらゆる四つ足の獣、地の這うもの、天の鳥がいた。

10:13 そして彼に向かって声がした。「立ちなさい、ペテロよ、ほふって食べなさい」。

10:14 しかしペテロは言った。「主よ、とんでもありません。俗なものや汚れたものを何も食べたことがないからです」。

10:15 すると、彼に向かって二度目に声がした。「神が清めたものを、俗なものとしてはならない」。

10:16 こうしたことが三度あってから、すぐにその器は天に引き上げられた。

10:17 さて、自分が見た幻はいったい何を意味するのだろうかと、ペテロがひとりで途方に暮れていると、見よ、コルネリオから遣わされた者たちが、シモンの家を尋ね当てて、門のところに立っていた。

10:18 そして呼びかけて、ペテロと呼ばれるシモンが、ここに宿泊しているかどうかを尋ねた。

10:19 ペテロが幻について思い巡らしていると、霊が彼に言った。「見よ、ある男たちがあなたを探しに来ている。

10:20 それでも、立って、下に降り、何も疑わずに彼らと共に行きなさい。わたしが彼らを遣わしたからです」。

10:21 ペテロはその男たちのところに降りて行って言った。「見よ、わたしがあなたがたの探している者です。どんなわけでやって来たのですか」。

10:22 彼らは言った。「百人隊長コルネリオは、義人で神を恐れ、ユダヤ国民全体からも良く言われる男ですが、あなたを家に招いて、あなたの言われることを聞くようにと、聖なる使いの者から指示を受けたのです」。

10:23 そこで彼は彼らを呼び入れて、泊まらせた。次の日、彼は立って、彼らと共に出かけて行き、ヨッパからの兄弟たち数人も彼と一緒に行った。

10:24 その次の日、彼はカイザリヤに入った。コルネリオは、自分の親族と親しい友人たちを呼び寄せて、彼らを待っていた。

10:25 ペテロが入って来ると、コルネリオは彼を出迎え、その足もとにひれ伏して拝した。

10:26 するとペテロは彼を引き起こして言った。「立ちなさい。わたしも同じ人間です」。

10:27 彼と話しながら入って来て、多くの人が集まっているのを見た。

10:28 彼は彼らに言った。「あなたがたが知っているとおり、ユダヤ人である男が別の民族の人と一緒になったり、近づきになったりすることは許されていません。しかし、神はわたしに、どんな人をも俗であるとか、汚れているとか言ってはならないと、示されました。

10:29 ですから、わたしは呼ばれたとき、わたしはためらわずにやって来たのです。そこで尋ねますが、あなたがたはどんなわけでわたしを呼んだのですか」。

10:30 するとコルネリオが言った。「四日前、この時刻までに、わたしの家で第九時の祈をしていますと、ご覧ください、輝く衣を着た男がわたしの前に立って、

10:31 言いました。『コルネリオよ、あなたの祈りは聞き入れられ、あなたの憐れみの施しは神のみ前で覚えられた。

10:32 だから、ヨッパに人を送って、ペテロと呼ばれるシモンを呼び寄せなさい。この者は、海辺にある、皮なめしシモンの家に宿泊している』。

10:33 それで、すぐにあなたのもとに人を送ったのですが、あなたはよくおいでくださいました。それで今、わたしたちは皆、神があなたにお命じになったすべてのことを聞こうとして、神のみ前にいるのです」。

10:34 そこでペテロは口を開いて言った。「わたしには本当によく分かります。神は差別をされない方で、

10:35 どの民族でも彼を恐れて義を行なう人は、彼に受け入れられます。

10:36 彼がイエス・キリストを通して(この方はすべての者の主です)平和の良い知らせを宣べ伝え、イスラエルの息子にお送りになったみ言葉を、

10:37 あなた方は知っています。すなわち、ヨハネがバプテスマを宣べ伝えた後、ガリラヤから始まってユダヤ全土で起こった言葉です。

10:38 ナザレから来たイエスのことで、神がどのようにして聖霊と力をもって彼に油を注がれたかということです。彼は行き巡って善いことを行ない、悪魔に押えつけられていた者をすべていやされたのです。神が共におられたからです。

10:39 わたしたちは、彼がユダヤ人の地域とエルサレムとで行なわれたすべての事の証人です。彼らはまた彼を木に架けて除き去ったのです。

10:40 神は彼を三日目に起こさせ、そして、彼が人々に見えるようになることをお許しになりました。

10:41 すべての民に対してではなく、前もって神に選ばれていた証人たち、つまり、彼が死んだ者たちの中から復活された後、彼と一緒に飲食したわたしたちに対してです。

10:42 彼はわたしたちに、民に宣言し、そして、これが生きている者たちと死んだ者たちとの裁き主として神に定められた者であることを厳かに証しするようにと命じられました。

10:43 すべての預言者たちはこの方について、彼を信じる者はすべて、彼の名を通して罪の赦しを受けると証ししています」。

10:44 ペテロがまだこれらの言葉を語っている間に、その言葉を聞いたすべての人たちの上に聖霊が下った。

10:45 そして、割礼を受けている信者たちで、ペテロと一緒に来ていた人たちは、聖霊の贈り物が諸国の人々の上にも注ぎ出されているのでびっくりした。

10:46 というのは、彼らがいろいろな言語で語り、神をあがめているのを聞いたからである。そこでペテロは答えた。

10:47 「わたしたちと同じように聖霊を受けたこの人たちに、誰か水を禁じてバプテスマされないようにすることができるでしょうか」。

10:48 そして、イエス・キリストの名においてバプテスマされるようにと彼らに命じた。それから彼らは、彼に数日のあいだ滞在するように願った。

使徒の働き 第11章↑

11:1 さて、ユダヤにいる使徒たちと兄弟たちは、諸国の人々も神の言葉を受け入れたことを聞いた。

11:2 そこで、ペテロがエルサレムに上ったとき、割礼のある者たちは彼に議論を挑んで

11:3 言った。「あなたは、割礼を受けていない男たちのところに入って、彼らと一緒に食事をした」。

11:4 しかしペテロは彼らに順序正しく説明し始めて言った。

11:5 「わたしがヨッパの町で祈っていると、夢心地になって幻を見た。大きな亜麻布のような器が四隅をつるされて天から下って来て、わたしのところにまで来たのです。

11:6 目を凝らして注意して見つめていると、地の四つ足の獣と、野獣と、這うものと、天の鳥とが見えました。

11:7 しかし声が聞こえて、それがわたしに言いました。『立ちなさい、ペテロよ、ほふって食べなさい』。

11:8 しかしわたしは言いました。『主よ、とんでもありません。俗なものや汚れたものを、一度もわたしの口に入れたことがないのです』。

11:9 すると、天から二度目に声が出て答えました。『神が清めたものを、俗なものとしてはならない』。

11:10 こうしたことが三度あってから、すべてのものは再び天に引き上げられました。

11:11 すると、見よ、ちょうどその時、カイザリヤからわたしのところへ遣わされて来た三人の男が、わたしたちのいた家のところに立ちました。

11:12 しかし霊がわたしに、何も疑わずに彼らと共に行くようにと言いました。これら六人の兄弟たちもわたしと一緒に行き、わたしたちはその男の家に入りました。

11:13 すると彼はわたしたちに、使いの者が家の中に立っているのを見たこと、また、その使いの者がこう言ったことを話してくれました。『ヨッパに人を遣わして、ペテロと呼ばれるシモンを招きなさい。

11:14 彼は、あなたとあなたの家族全員を救う言葉をあなたに語る』。

11:15 わたしが話し始めると、聖霊が彼らの上に、最初にわたしたちの上に下ったのと同じようにして下ったのです。

11:16 わたしは、主が言われた言葉を思い出しました。『ヨハネは確かに水でバプテスマしたが、あなたがたは聖霊の中にバプテスマされる』。

11:17 それで、わたしたちが主イエス・キリストを信じた時に下さったのと同じ贈り物を、神が彼らにお与えになったのであれば、どうしてわたしのような者が神に逆らうことができたでしょうか」。

11:18 これらのことを聞くと、彼らは静かになり、神に栄光を帰して言った。「それでは神は、命に至る心変えを諸国の人々にもお与えになったのだ」。

11:19 それゆえ、ステパノのことで起こった患難のために散らされた人々は、ピニケ、クプロ、アンテオケまでも進んで行ったが、ユダヤ人以外には誰にも言葉を語らなかった。

11:20 しかし、彼らの中に数人のクプロ人とクレネの男たちがいて、アンテオケへ行き、ヘレニスト人たちに語って、主イエスについての良い知らせを宣べ伝えた。

11:21 そして主のみ手が彼らと共にあり、信者となった大勢の人が主に立ち返った。

11:22 彼らに関する知らせがエルサレムにあった集会の耳に入った。集会はバルナバをアンテオケにまで遣わした。

11:23 彼は、そこに着いて、神の恵みを見ると、彼は喜んだ。そして、心の決意をもって主にとどまるようにと、みんなを励ました。

11:24 彼は善い男で、聖霊と信仰とに満ちていたからである。こうして、大勢の人々が主に加えられた。

11:25 そこでバルナバはサウロを捜しにタルソへ出かけて行き、

11:26 彼を見つけて、アンテオケに連れて来た。彼らはまる一年のあいだ集会と共に集まり、多くの人々を教えた。弟子たちはアンテオケで初めてクリスチャンと呼ばれるようになった。

11:27 その日々、預言者たちがエルサレムからアンテオケに下って来た。

11:28 彼らの中の一人であるアガボという名の者が立って、大ききんが人の住む全地に臨もうとしていることを霊を通して示したが、これはクラウデオの時に起った。

11:29 そこで弟子たちは、それぞれのできるところに応じて、ユダヤに住んでいる兄弟たちに援助を送ることに決めた。

11:30 そして彼らはそれを実行し、バルナバとサウロの手によって長老たちに送り届けた。

使徒の働き 第12章↑

12:1 その時節、ヘロデ王は集会のある者たちを虐げることに手を伸ばし、

12:2 彼はヨハネの兄弟ヤコブを剣で除き去った。

12:3 そして、それがユダヤ人たちの意にかなったのを見て、さらにペテロをも捕らえようとした。それは除酵祭の日々であった。

12:4 彼を逮捕して、牢に入れ、四人一組の兵士四組に引き渡して監視させた。過ぎ越しの後で民の前に彼を引き出すつもりであったのである。

12:5 それで、ペテロは牢に入れられており、彼のために集会によって休みなく神に祈りがささげられていた。

12:6 ヘロデが彼を引き出そうとしていたその夜、ペテロは二本の鎖につながれて、二人の兵士の間で眠っていた。番兵たちは戸口の前で牢を守っていた。

12:7 すると見よ、主の使いの者がそばに立ち、光が独房内を照らした。彼はペテロのわき腹をたたいて彼を起こし、「早く立ちなさい」と言った。彼の鎖が両手から落ちた。

12:8 使いの者は彼に言った。「帯を締め、サンダルをはきなさい」。彼はそのとおりにした。彼は彼に言った。「衣を着て、わたしについて来なさい」。

12:9 そこで彼は外に出て、ついて行った。彼は使いの者を通して起きていることが実際のこととは分からず、幻を見ているものと思っていた。

12:10 第一と第二の衛兵所を過ぎ、町に通じる鉄の門のところに来ると、彼らのためにそれがひとりでに開いた。外に出て、一つの通りを進むと、すぐに使いの者は彼から離れた。

12:11 そこで、ペテロは我に返って言った。「今、確かに分かる。主は使いの者を遣わして、ヘロデの手から、またユダヤの民のすべてのもくろみから、わたしを助け出してくださったのだ」。

12:12 そう考えると、またの名をマルコというヨハネの母マリヤの家に行った。そこには、大勢の人が集まって、祈っていた。

12:13 彼が門の戸をたたくと、ロダという名の女中が応対に出た。

12:14 ペテロの声だと分かると、彼女は喜びのあまり、門を開けもせずに中に駆け込み、ペテロが門の前に立っていると報告した。

12:15 彼らは彼女に言った。「あなたは気が狂っている」。しかし彼女は本当だと言い張った。彼らは言った。「それは彼の使いの者だ」。

12:16 しかしペテロはたたき続けていた。開けると、彼らは彼を見て驚いた。

12:17 しかし彼は、手を振って彼らを静かにさせ、主が彼を牢から連れ出して下さった次第を説明した。彼は言った。「これらの事をヤコブと兄弟たちに知らせなさい」。それから立ち去って、ほかの所に出て行った。

12:18 さて、夜が明けると、いったいペテロはどうなったのかと、兵士たちの間で少なからぬ騒ぎが起こった。

12:19 ヘロデは、彼を探しても見つからないので、番兵たちを取り調べ、死刑に処するように命じた。ユダヤからカイザリヤに下って行き、そこに滞在した。

12:20 さて、彼はツロとシドンの人たちに対してひどく腹を立てていた。彼らは心を一つにして彼のところに来て、王の寝室の世話係りであるブラストを説き付けてから、和睦を求めた。彼らの地方は王の国から食糧を得ていたからである。

12:21 定められた日に、ヘロデは王衣をまとって裁判の席に座り、彼らに向かって演説をした。

12:22 そこで民衆は叫んで言った。「神の声だ。人間の声ではない」。

12:23 すぐに主の使いの者が彼を打った。神に栄光を帰さなかったからである。彼はうじに食われて息絶えた。

12:24 しかし、神の言葉は増し広がっていった。

12:25 バルナバとサウロは、奉仕の務めを果たしたのち、マルコと呼ばれていたヨハネを連れて、エルサレムに帰って来た。

使徒の働き 第13章↑

13:1 さて、アンテオケにある集会には、幾人かの預言者や教師がいた。バルナバ、ニゲルと呼ばれるシメオン、クレネ人ルキオ、領主ヘロデの乳兄弟マナエン、そしてサウロである。

13:2 彼らが主に仕えて断食をしていると、聖霊が言った。「バルナバとサウロを、わたしのため、わたしが彼らを召して行なわせる仕事のために取り分けなさい」。

13:3 そこで、彼らは断食して祈り、手を彼らの上に置いてから、出発させた。

13:4 こうして、彼らは聖霊によって送り出され、セルキヤに下って行った。そこからクプロに向けて出帆した。

13:5 サラミスに着くと、ユダヤ人の諸会堂で神の言葉を宣明した。彼らは助け手としてヨハネも連れていた。

13:6 島じゅうを巡回してパポスまで行くと、ある魔術師の男を見つけた。ユダヤ人の偽預言者で、バルイエスという名で、

13:7 セルギオ・パウロという物わかりの良い地方総督のもとにいた。この者はバルナバとサウロを呼んで、神の言葉を聞こうと切に求めた。

13:8 ところが、魔術師エルマ(彼の名はこのように訳される)は彼らに反対して、地方総督を信仰からそらせようとしていた。

13:9 しかし、パウロとも呼ばれていたサウロは、聖霊に満たされ、彼をじっと見つめて

13:10 言った。「ああ、あらゆる欺きとあらゆる悪賢さに満ちた者、謗魔の息子、あらゆる正義の敵よ。あなたは主の正しい道をゆがめることをやめないのか。

13:11 では、見よ、主のみ手があなたの上にある。あなたは盲目になり、時節が来るまで日の光を見ないだろう」。すると、すぐにかすみと闇とが彼の上に臨み、彼は手を引いてくれる人を探しまわった。

13:12 すると、地方総督は起こったことを見て、主の教えに驚き、信じた。

13:13 さて、人々はパウロと共にパポスから船出して、パンフリヤのペルガに来た。ヨハネは彼らから離れてエルサレムに帰ってしまった。

13:14 しかし彼らはペルガから進んで行き、ピシデヤのアンテオケに来た。安息日に会堂に入って席に着いた。

13:15 律法と預言者たちの朗読の後で、会堂長たちが彼らのもとに人を遣わして言った。「男たち、兄弟たちよ、民のために何か励ましの言葉がありましたら、話してください」。

13:16 パウロは立ち上がり、手を振りながら言った。「男たち、イスラエルの人たち、ならびに神を恐れる者たちよ、聞いてください。

13:17 この民イスラエルの神は、わたしたちの父祖たちを選び出し、エジプトの地でその外国居留の間にこの民を高め、高く上げたみ腕をもって彼らをそこから連れ出されました。

13:18 そして、およそ四十年の期間にわたって荒野で彼らを養われました。

13:19 そして彼はカナンの地で七つの国民を滅ぼし、その地を相続財産として彼らに与えられました。

13:20 これが、およそ四百五十年間にわたりました。こうした事ののち、預言者サムエルの時まで彼らに裁き人を与えられました。

13:21 それから彼らが王を求めたので、神は四十年の間、ベニヤミン族の男、キスの息子サウロを彼らに与えられました。

13:22 彼を退けた後、ダビデを王として、彼らのために立てられました。彼について証しをして言われました。『わたしはエッサイの息子ダビデ、わたしの心にかなう男を見いだした。彼はわたしの望むことをみな行なう』。

13:23 この人の子孫から、神は約束に従って、イスラエルに救い主イエスをもたらされたのです。

13:24 ヨハネは、その方がの登場に先立ち、イスラエルのすべての民に心変えのバプテスマを宣べ伝えました。

13:25 しかし、自分の行程を終えようとするとき、ヨハネは言いました。『あなたがたはわたしを誰だと思いますか。わたしはその者ではない。しかし、見よ、わたしのあとから来る方がいる。わたしはその方の足のサンダルを解く値打ちもない』。

13:26 男たち、兄弟たち、アブラハムの血統の息子たち、そしてあなたがたの中で神を恐れる人たちよ。この救いの言葉はあなたがたに送られたのです。

13:27 エルサレムに住む人たちや彼らの支配者たちは、この方のことを知らず、また安息日ごとに朗読される預言者たちの言い表わした事柄も知らずに、彼を裁くことによってそれらの事柄を成就したのです。

13:28 死に値する理由を何も見いだせなかったのに、彼らは彼を殺すことをピラトに要求しました。

13:29 彼について書かれていることをすべて成し終えてから、彼を木から取り下ろして墓の中に横たえました。

13:30 しかし、神は彼を死んだ者たちの中から起こされました。

13:31 彼は多くの日の間、彼と共にガリラヤからエルサレムに上って来た人たちに現われました。今彼らは民に対して彼の証人になっています。

13:32 わたしたちは、父祖たちになされた約束の良い知らせをあなたがたに宣べ伝えているのです。

13:33 すなわち、神はイエスを起き上がらせて、わたしたちの子供に対してその約束を果たしてくださったのです。それは詩篇の第二篇にも、こう書かれているとおりです。『あなたはわたしの息子。わたしは今日あなたをもうけた』。

13:34 「彼を死んだ者たちの中から起こされ、もはや腐敗に戻ることがないことについて、こう言っておられます。『わたしは、ダビデのあの聖なるもの、信実なものを、あなたがたに与える』。

13:35 ですから、ほかの箇所でもこう言われています。『あなたは、あなたの聖なる者が腐敗を見ることをお許しにならない』。

13:36 実際、ダビデは、自分の世代のうちで神のご意志に仕え、眠りに落ち、自分の父祖たちと共に横たえられ、腐敗を見ました。

13:37 しかし、神が起こさせたこの方は、腐敗を見ることがなかったのです。

13:38 ですから、男たち、兄弟たちよ、このことを知ってください。この方を通して罪の赦しがあなたがたに宣べ伝えられており、モーセの律法では義とされることができなかったすべての事についても、

13:39 信じる者はすべて、この方によって義とされるのです。

13:40 ですから、預言者たちの中で語られていることがあなたがたに臨まないように気をつけなさい。

13:41 『見よ、あざける者たちよ、驚け、消え去れ。わたしはあなたがたの日々に一つのわざを行なう。それは、誰かが詳しく説明しても、あなたがたが決して信じることのないわざである』」。

13:42 そこで、彼らが出て行くと、人々は次の安息日にも、このような言葉を話してくれるようにとしきりに願った。

13:43 そして、会堂が解散してから、多くのユダヤ人たちと敬けんな改宗者たちがパウロとバルナバのあとについて来た。彼らは彼らと語り合い、神の恵みのうちにとどまるようにと説きすすめた。

13:44 次の安息日には、ほとんど町全体が主の言葉を聞くために集まった。

13:45 しかし、ユダヤ人たちはこの群衆を見てねたみに満たされ、パウロが語ったことに反対して、冒とくした。

13:46 パウロとバルナバは大胆に語って、こう言った。「神の言葉はまずあなたがたに対して語られることが必要でした。あなたがたはそれを押しのけ、自分自身を世々の特質ある命に値しない者と判断したので、見なさい、わたしたちは諸国民の人々のほうに向かいます。

13:47 主はわたしたちにこう命じられたからです。『わたしはあなたを諸国の民々のための光とした。あなたが地の果までも救をもたらすためである』」。

13:48 諸国民の人々はこれを聞いて喜び、主の言葉に栄光を帰した。世々の特質ある命のために定められていた者たちはみな信じた。

13:49 こうして、主の言葉はこの地方全体に広まって行った。

13:50 しかし、ユダヤ人たちは敬けんで評判の良い婦人たちや町の主立った人たちを扇動して、パウロとバルナバに対する迫害を起こし、彼らを自分たちの境界の外に追い出した。

13:51 しかし、彼らは彼らに対して足のちりを払い落とし、イコニオムに行った。

13:52 そして、弟子たちは喜びと聖霊とに満たされていた。

使徒の働き 第14章↑

14:1 彼らは、イコニオムでも同じようにユダヤ人の会堂に入って語った結果、ユダヤ人とギリシヤ人が大勢信じた。

14:2 ところが、信じようとしないユダヤ人たちは、諸国民の人々の魂を扇動し、兄弟たちに対して悪意を抱かせた。

14:3 それゆえ、彼らは長い間そこに滞在し、主にあって大胆に語った。主は彼らの手を通してしるしと不思議なわざとを行なわせ、彼の恵みの言葉を証明した。

14:4 しかし、町の群衆は分裂した。ある者はユダヤ人の側に、ある者は使徒たちの側に付いた。

14:5 諸国民の人々とユダヤ人たちのある者たちが、彼らの支配者たちと一緒になって、彼らをはずかしめ、石で打とうとしたので、

14:6 彼らはそれに気づいて、ルカオニヤの町々、すなわち、ルステラとデルベおよびその周辺の地方に逃げた。

14:7 そして、そこで良い知らせを宣べ伝えた。

14:8 さて、ルステラに足のきかない男が、座っていた。彼は母の胎を出たときから足が不自由で、一度も歩いたことがなかった。

14:9 この者がパウロの語るのを聞いていたが、パウロは彼をじっと見て、彼には救われる信仰があるのを見て、

14:10 大声で言った。「あなたの足でまっすぐ立ちなさい」。彼は躍り上がって歩き始めた。

14:11 群衆はパウロの行なったことを見て、彼らの声を張り上げ、ルカオニヤ語で言った。「神々が人の姿になってわたしたちのところへ下って来たのだ」。

14:12 彼らはバルナバをゼウスと呼び、パウロはおもに語る人なので、彼をヘルメスと呼んだ。

14:13 そして、町の前にあるゼウスの神殿の祭司が、数頭の雄牛と幾つかの花輪を門のところに持って来て、群衆と一緒になって犠牲をささげようとした。

14:14 しかし、使徒たち、すなわちバルナバとパウロは、このことを聞くと、自分の衣を引き裂いて群衆の中に飛び込んで行き、叫んで

14:15 言った。「男たちよ、どうしてこんなことをするのですか。わたしたちもあなたがたと同じ感情を持つ人々です。そして、あなたがたがこうした無駄な事から、生ける神に立ち返るようにと、あなたがたに良い知らせを宣べ伝えているのです。この方こそ、天と地と海、そしてその中にあるすべてのものを造られたのです。

14:16 神は、過ぎ去った世代においては、すべての諸国の民々が自分の道を歩むのを許されました。

14:17 しかし、ご自身についての証言がないままにしておかれたわけではありません。善いことを行なって、あなたがたに天からの雨と実りの時々節々とを与え、食べ物と喜びとをもってあなたがたの心を満たしてくださったのです」。

14:18 このように言って、彼らは群衆が自分たちに犠牲をささげるのを辛うじてとどめたのである。

14:19 ところが、ユダヤ人たちがアンテオケとイコニオムからやって来て群衆を説得して、パウロを石打ちにし、彼を死んだものと思って町の外に引きずり出した。

14:20 しかし、弟子たちが彼を取り囲むと、彼は立ち上がり、町の中に入った。次の日、彼はバルナバと共にデルベに向けて出発した。

14:21 この町で良い知らせを宣べ伝え、かなり大勢の弟子を作ってから、彼らはルステラとイコニオムとアンテオケに帰り、

14:22 弟子たちの魂を強め、信仰のうちにとどまるように励まして、「わたしたちは多くの苦しみを経て神の王国に入らなければならない」と言った。

14:23 彼らのために集会ごとに長老たちを任命し、断食をもって祈り、彼らが信じていた主に彼らをゆだねた。

14:24 そしてピシデヤを通って、パンフリヤにやって来た。

14:25 ペルガでみ言葉を語ってから、アタリヤに下った。

14:26 そこからアンテオケに出航した。彼らはその地で、成し遂げたわざのために、神の恵みにゆだねられたのである。

14:27 彼らは到着すると、集会を集め、神が彼らと共に行なわれたこと、また神が諸国民の人々に信仰の戸口を開かれたことを報告した。

14:28 そして彼らは弟子たちと共にかなりの間を過ごした。

使徒の働き 第15章↑

15:1 ある人たちがユダヤから下って来て、兄弟たちにこう教えていた。「モーセの慣習に従って割礼されない限り、あなたがたは救われることができない」。

15:2 そこで、パウロやバルナバと彼らとの間に少なからぬ不和と議論が生じたので、人々は、パウロとバルナバ、および自分たちのうちのほかの幾人かが、この議論について、エルサレムにいる使徒や年長者たちのもとに上ることを取り決めた。

15:3 彼らは集会によって送り出され、ピニケとサマリヤを通り、諸国民の人々が立ち返ったことを詳しく説明して、すべての兄弟たちを大いに喜ばせた。

15:4 エルサレムに着くと、集会と使徒たちと長老たちから迎えられ、神が彼らと共に行なわれたことを、ことごとく報告した。

15:5 しかし、信者となっていた幾人かのパリサイ派の者たちが立ち上がって言った。「彼らに割礼を施して、モーセの律法を守るようにと命じることが必要です」。

15:6 使徒たちと長老たちは、この問題について調べるために集まった。

15:7 多くの議論があったのち、ペテロが立ち上がって彼らに言った。「男たち、兄弟たちよ、あなたがたがよく知っているとおり、神は初めの日々からあなたがたの間で選びを行ない、わたしの口を通して諸国民の人々が良い知らせの言葉を聞いて信じるようにされました。

15:8 そして、心を知っておられる方、神は、わたしたちにされたのと同じようにして聖霊を与えて彼らに対して証しをされました。

15:9 また彼は、わたしたちと彼らとの間に何の区別を設けずに、彼らの心を信仰によって清められました。

15:10 それなのに、どうして今、わたしたちの父祖たちもわたしたちも負うことのできなかったくびきをあの弟子たちの首にかけて、神をためすのですか。

15:11 それどころか、わたしたちは、彼らと同じく主イエスの恵みによって救われることを信じているのです」。

15:12 群衆はみな静かになった。そして、バルナバとパウロが、彼らを通して神が諸国民の人々の間で行なったしるしや不思議なわざについて報告するのに聞き入った。

15:13 彼らが話し終えると、ヤコブが答えて言った。「男たち、兄弟たちよ、わたしの言うことを聞いてください。

15:14 シメオンは、神が最初に諸国の民々を訪れて、その中からご自分のみ名のために民を取り出された次第を話してくれました。

15:15 預言者たちの言葉はこれと一致しています。こう書かれているとおりです。

15:16 『これらの事ののち、わたしは戻って来て、ダビデの倒れた幕屋を建て直し、その廃虚を建て直し、それを元どおりにするだろう。

15:17 残っている人々が、すべての国の民、わたしの名によって呼ばれる者たちと共に、主を探し求めるようになるためである。これらの事を行なわれる主が言われる。

15:18 世から知らされているのである』。

15:19 「それで、わたしの判断はこうです。すなわち、わたしたちは、諸国の民々の中から神に立ち返った人たちを悩ませることはせず、

15:20 ただ、偶像に汚されたものと、淫売と、絞め殺されたものと、血を避けるようにと、彼らに書き送ることです。

15:21 モーセは安息日ごとに諸会堂で朗読されており、彼を宣べ伝える者が古い時代どの町にもいるからです」。

15:22 そこで、使徒たちと長老たちは、集会全体と共に、自分たちの中から人を選んで、パウロやバルナバと一緒にアンテオケに送るのがよいと考えた。すなわち、バルサバと呼ばれるユダとシラスで、兄弟たちの間で指導的な人たちであった。

15:23 彼らの手によってこう書き送った。「使徒たち、長老の兄弟たちから、アンテオケ、シリヤ、キリキヤにいる諸国民の人々の兄弟たちへ。喜びなさい。

15:24 わたしたちの中から行ったある者たちが、わたしたちが命じてもいないのに、いろいろな言葉によってあなたがたを悩ませ、あなたがたの魂を乱したことを聞きましたので、

15:25 わたしたちは一つ心となって、人々を選んで、わたしたちの愛するバルナバやパウロと共に、あなたがたのもとに送るのがよいと考えました。

15:26 彼らは、わたしたちの主イエス・キリストのみ名のために、自分の魂を引き渡した者たちです。

15:27 それで、わたしたちはユダとシラスを遣わしますが、彼らも同じことを言葉であなたがたに伝えるでしょう。

15:28 というのは、聖霊とわたしたちとは、次の必要な事柄のほかには、あなたがたにいかなる重荷も負わせないのがよいと考えたからです。

15:29 すなわち、偶像に汚されたものと、血と、絞め殺されたものと、淫売を避けることです。これらのものから身を守っていればよいのです。ご健勝で」。

15:30 こうして、彼らは送り出されて、アンテオケに下って行き、会衆を集めて、手紙を渡した。

15:31 それを読むと、人々はその励ましに喜んだ。

15:32 ユダとシラスは、彼ら自身も預言者であったので、多くの言葉をもって兄弟たちを励まし、また強めた。

15:33 彼らは、しばらくの時そこで過ごしてから、兄弟たちから平安のうちに、彼らを遣わした人たちのもとへ送り出された。

15:34 〔無し〕

15:35 しかし、パウロとバルナバはアンテオケにとどまり、他の多くの人たちと共に、主の言葉を教え、良い知らせを宣べ伝えた。

15:36 数日後、パウロはバルナバに言った。「さあ、戻って行って、わたしたちが主の言葉を宣べ伝えたすべての町にいる兄弟たちを訪ね、彼らがどうしているかを見て来ようではないか」。

15:37 そこで、バルナバは、マルコと呼ばれるヨハネを一緒に連れて行くつもりであった。

15:38 しかしパウロは、パンフリヤで自分たちから離れ、働きを共にしなかったような者は、一緒に連れて行かないほうがよいと考えた。

15:39 それで、激論が起こり、彼らは互いに別れることになった。バルナバはマルコを連れ、クプロへ出航した。

15:40 しかし、パウロはシラスを選び、兄弟たちから主の恵みにゆだねられて出かけて行った。

15:41 そして、彼はシリヤとキリキヤを通って、諸集会を強めた。

使徒の働き 第16章↑

16:1 こうして彼はデルベ、そしてまたルステラにやって来た。すると見よ、そこにテモテという名の弟子がいた。信者であるユダヤ婦人の息子で、父はギリシャ人であった。

16:2 彼はルステラとイコニオムにいた兄弟たちから良い評判を得ていた。

16:3 パウロはこの者と一緒に行きたいと思ったので、その地方にいるユダヤ人たちのために、彼を連れて来て彼に割礼した。彼の父がギリシャ人であることを、みんなが知っていたからである。

16:4 彼らは町々を通って行きながら、エルサレムにいる使徒たちや長老たちが定めた規定を人々に渡して、それを守らせるようにした。

16:5 こうして、諸集会は信仰において強められ、日ごとに数を増して行った。

16:6 彼らがフルギヤとガラテヤの地方を通って行くと、アジヤでみ言葉を語ることを聖霊によって禁じられた。

16:7 そして、ムシヤのあたりに来て、ビテニヤに入ろうとしたが、イエスの霊が彼らを許さなかった。

16:8 そこでムシヤを通り過ぎて、トロアスに下って行った。

16:9 すると夜中、一つの幻がパウロに現われた。あるマケドニヤの男が立って、彼に懇願してこう言った。「マケドニヤに渡って来て、わたしたちを助けてください」。

16:10 彼がその幻を見たとき、わたしたちはすぐにマケドニヤへ行こうと努めた。彼らに良い知らせを宣べ伝えるために、神がわたしたちを招いておられるのだと結論したからである。

16:11 それで、わたしたちはトロアスから出航してサモトラケに直行し、翌日ネアポリスに着いた。

16:12 そしてそこからピリピに行った。これはマケドニヤのこの地方第一の町で、植民地であった。わたしたちはその町で幾日か滞在した。

16:13 安息日々に町の門を出て川岸に行った。そこに祈りの場所があると思ったからである。そして座って、集まって来た女たちと話をした。

16:14 紫布を売るテアテラ市の人で、神を敬うルデヤという名の女が聞いていたが、主は彼女の心を開き、パウロが語ることに注意を払わせた。

16:15 彼女と彼女の家の者たちがバプテスマされたとき、彼女は懇願して言った。「もしあなたがたが、わたしを主に忠実な者と見てくださったのでしたら、わたしの家に入ってお泊まりください」。そして彼女はわたしたちを強いて連れて行った。

16:16 わたしたちが祈り場に行く途中、ピュトンの霊に取り憑かれている女奴隷がわたしたちに出会った。彼女は占いをして、自分の主人たちに多くの利益を得させていた者である。

16:17 パウロとわたしたちの後について来て、叫んで言った。「この人たちは、いと高き神の奴隷たちで、あなたがたに救いの道を宣べ伝えているのです」。

16:18 彼女は何日もの間このことを行なっていた。しかしパウロは困り果て、振り向いてその霊に言った。「イエス・キリストの名においてあなたに命じる。彼女から出て行け」。するとその時、それは出て行った。

16:19 しかし、彼女の主人たちは、自分たちの利得の見込みがなくなってしまったのを見て、パウロとシラスを捕まえ、市場の中へ、支配者たちのところに引いて行った。

16:20 政務官たちのところに引き出して、こう言った。「この人たちはユダヤ人で、わたしたちの町をかき乱しています。

16:21 わたしたちローマ人が受け入れることも、実施することも許されない慣習を宣べ伝えています」。

16:22 群衆も一緒になって彼らに対して立ち上がった。そこで政務官たちは彼らの衣をはぎ取って、彼らをむちで打つようにと命じた。

16:23 こうして、彼らは彼らに多くの殴打を加えて、彼らを牢に投げ入れ、看守に彼らをしっかり見張るようにと命じた。

16:24 このような命令を受けたので、彼は彼らを奥の牢に投げ入れ、彼らの足を足かせ台につないだ。

16:25 しかし、真夜中ごろ、パウロとシラスは祈ったり、神に賛美の歌を歌ったりしていた。そして、囚人たちも彼らに聞き入っていた。

16:26 突然、大きな地震が起こり、獄の土台が揺れ動いた。そして、すぐにすべての扉が開き、みんなの者の鎖が解けた。

16:27 看守は眠りから覚め、牢の扉が開いているのを見ると、囚人たちが逃げてしまったものと思い、剣を抜いて自殺しようとした。

16:28 しかしパウロは大声で叫んで言った。「自害してはいけない。わたしたちは皆ここにいるのだから」。

16:29 彼は明かりを求めてから中に駆け込み、おののきながらパウロとシラスの前にひれ伏した。

16:30 そして、彼らを外に連れ出して言った。「ご主人様、救われるためにわたしは何をしなければなりませんか」。

16:31 彼らは言った。「主イエスを信じなさい。そうすればあなたも、あなたの家の者たちも救われます」。

16:32 それから、彼らは彼と彼の家にいたすべての者に、主の言葉を語った。

16:33 彼は、夜のその時刻に彼らを引き取り、彼らの打ち傷を洗った。そして、彼とその家の者たちは、すぐにバプテスマされた。

16:34 彼は彼らを家に上がらせ、彼らの前に食卓を設け、家の者たちと共に、神を信じていて、大いに喜んだ。

16:35 さて、朝になると、政務官たちは警吏たちを遣わして、「あの人たちを釈放せよ」と言った。

16:36 看守はこの言葉をパウロに伝えた。「政務官たちはあなたがたを釈放するようにと人をよこしました。ですから、さあ、出て来て、平安のうちに行きなさい」。

16:37 しかしパウロは彼らに言った。「彼らは、ローマ人であるわたしたちを、有罪の宣告もせずに公然と打ちたたき、牢に投げ込んだのだ。今になって、ひそかにわたしたちを追い出そうとするのか。それは、いけない。彼ら自身がここに来て、わたしたちを連れ出すべきです」。

16:38 そこで警吏たちはこれらの言葉を政務官たちに報告した。すると政務官たちは、彼らがローマ人だと聞いて恐れた。

16:39 彼らはやって来て彼らに懇願した。彼らを連れ出してから、町から立ち去るようにと頼んだ。

16:40 彼らは牢を出て、ルデヤの家に入った。兄弟たちを見て、彼らを励まし、それから去って行った。

使徒の働き 第17章↑

17:1 さて、彼らはアムピポリスとアポロニヤを通り抜けて、テサロニケにやって来た。ここにはユダヤ人の会堂があった。

17:2 パウロはいつもの習慣どおり彼らのもとに入って行き、三度の安息日々にわたって彼らと聖書から論じ、

17:3 キリストが苦しみを受け、死んだ者たちの中から復活しなければならないことを説明したり論証したりし、「わたしがあなたがたに宣べ伝えているこのイエスこそ、キリストです」と言っていた。

17:4 彼らのうちの幾人かは納得し、パウロとシラスに加わった。その中には、敬けんなギリシヤ人が多数あり、主立った婦人たちも少なくなかった。

17:5 しかし、ユダヤ人たちはねたみを抱き、市場から数人の邪悪な者を連れて来て、群衆を集め、町に騒ぎを起こした。ヤソンの家を襲撃し、民の前に連れ出そうとして彼らを捜した。

17:6 しかし、彼らが見つからなかったので、ヤソンと何人かの兄弟たちを町の支配者たちの前に引いて行き、叫んで言った。「天下を騒がせたこれらの者たちがここにも来ていますが、

17:7 ヤソンが彼らを迎え入れました。この者たちはみな、カイザルの布告に背いて行動し、イエスという別の王がいると言っているのです」。

17:8 これらのことを聞いて、群衆と町の支配者たちは動揺した。

17:9 ヤソンとほかの者たちから十分の保証を取ってから、彼らを釈放した。

17:10 兄弟たちはすぐにパウロとシラスを夜のうちにベレヤに送り出した。そこに到着すると、彼らはユダヤ人の会堂に入った。

17:11 さて、ここの人たちはテサロニケの人たちよりも高潔で、み言葉を意欲的に受け入れ、これらのことがそのとおりかどうかを確かめるために、日ごとに聖書を調べていた。

17:12 それゆえ、彼らのうちの多くの者が信者になった。その中には、評判の良いギリシャ婦人たちや、男たちも少なくなかった。

17:13 しかし、テサロニケのユダヤ人たちは、ベレヤでもパウロによって神の言葉が宣べ伝えられていると知ると、そこにもやって来て、群衆を扇動して騒がせた。

17:14 そこで、兄弟たちはすぐにパウロを送り出して、海まで行かせた。しかし、シラスとテモテはそこにとどまった。

17:15 一方、パウロに付き添った人々は、彼をアテネまで連れて行った。そしてシラスとテモテに、できるだけ早く彼のところに来るようにとの命令を受けてから去って行った。

17:16 さて、パウロがアテネで彼らを待っている間、町が偶像でいっぱいなのを見て、彼の霊は彼の内で怒りに燃えた。

17:17 そこで、彼は会堂ではユダヤ人たちや敬けんな人々と、市場では日々そこで出会う人たちと論じ合った。

17:18 しかし、エピクロス派やストア派の哲学者たちのある人々が彼と語り合った。ある者たちは言った。「このおしゃべりは何を言いたいのだろうか」。ほかの者たちは言った。「異国の神々を宣べ伝えているらしい」。彼がイエスと復活の良い知らせを宣べ伝えていたからである。

17:19 人々は彼を捕まえてアレオパゴスに連れて行き、こう言った。「あなたの語っているこの新しい教えがどういうものか、わたしたちに分からせてもらえないか。

17:20 あなたは何か珍しいことをわたしたちの耳に入れているからです。だからこれらのことがどんな意味なのか知りたいのです」。

17:21 ところで、アテネ人とそこに住む異国人はみな、何か新しいことを話したり聞いたりすること以外に、時を過ごすことはなかったのである。

17:22 パウロはアレオパゴスの真ん中に立って言った。「男たち、アテネの人たちよ、あなたがたはあらゆることにおいてすこぶる宗教心に富んでおられると、わたしは見ている。

17:23 というのは、歩きながら、あなたがたの崇拝の対象物を注意深く見ているうちに、『知られていない神に』と刻まれた祭壇さえも見つけたからです。ですから、あなたがたが知らずに崇拝しているもの、それをあなたがたに知らせます。

17:24 世界とその中のすべてのものを造られた神は、この方は天地の主であり、手によって造られた聖所には住まわれません。

17:25 また、何かが必要でもあるかのように、人の手によって世話を受けることもありません。この方は自らすべての人に、命と息とすべての物を与えておられるのです。

17:26 また彼は、一人の人からあらゆる民族の人々を造って、地の全面に住まわせ、定められた時々節々と、彼らの居住地の境界を定められました。

17:27 これは、彼らに神を求めさせるためであり、また彼らが手探りするように彼を求めて見いだすならばのことですが、事実のところ、彼はわたしたちひとりひとりから遠く離れておられるわけではありません。

17:28 なぜなら、わたしたちは彼の中で生き、動き、存在しているからです。あなたがたの詩人たちのある者たちもこう言っている通りです。『我々もその子孫なのだから』。

17:29 それで、わたしたちは神の子孫なのですから、神たる者を、金や銀や石、人の技術や考案によって彫刻されたもののように思うべきではありません。

17:30 こういうわけで、神はこのような無知の時代を見過ごしておられましたが、今では、どこにおいてもすべての人が心変えるよう命じておられます。

17:31 なぜなら、ご自分が任命した人によって、義をもって世界を裁くために日を定められたのであり、彼を死んだ者たちの中から起こすことによって、すべての人に保証をを与えられたからです」。

17:32 しかし、死んだ者たちの復活について聞くと、ある者たちはあざ笑い、またある者たちは、「この事については、いずれまたあなたの言うことを聞こう」と言った。

17:33 こうして、パウロは彼らの中から出て行った。

17:34 しかし、幾人かの男たちは彼に加わり、信じた。その中には、アレオパギトであるデオヌシオ、またダマリスという名の女、またその他の人たちも彼らと共にいた。

使徒の働き 第18章↑

18:1 こうした事ののち、彼はアテネを去ってコリントに行った。

18:2 そして、ポントの生まれで、最近イタリヤから来たアクラという名のユダヤ人と、彼の妻プリスキラを見いだした。それは、クラウデオがすべてのユダヤ人に、ローマから出て行くように命じていたからである。彼は彼らの所に行った。

18:3 職業が同じだったので、彼は彼らと共に滞在して仕事をした。彼らの職業は天幕造りだったのである。

18:4 彼は安息日ごとに会堂で論じ合い、ユダヤ人たちやギリシャ人たちを説得していた。

18:5 しかし、シラスとテモテがマケドニヤから下って来ると、パウロはひたすらみ言葉のことに専念し、イエスがキリストだということをユダヤ人たちに厳かに証しをした。

18:6 彼らが彼に反対して冒とくしたので、彼は自分の衣を振り払って彼らに言った。「あなたがたの血は、あなたがたの頭の上にあるように。わたしは清い。今からは諸国民の人々のところへ行く」。

18:7 彼はそこを去り、神の崇拝者であるテテオ・ユストという名の人の家に入った。彼の家は会堂の隣にあった。

18:8 会堂長のクリスポは、彼の全家と共に主を信じた。そして多くのコリント人たちは、聞いて信じ、バプテスマされた。

18:9 すると、主は夜、幻によってパウロに言った。「恐れてはいけない。ただ語りなさい。黙っていてはいけない。

18:10 というのは、わたしはあなたと共におり、誰もあなたを襲ってあなたに危害を加えることはないからだ。この町にはわたしの民が大勢いるのだ」。

18:11 彼は一年六か月の間腰をすえて滞在し、彼らの間で神の言葉を教えた。

18:12 ところが、ガリオがアカヤの地方総督であったとき、ユダヤ人たちはパウロに対していっせいに立ち上がり、彼を裁判の座に引いて行って

18:13 言った。「この者は人々を説得して、律法に反する仕方で神を崇拝させようとしています」。

18:14 しかし、パウロが口を開こうとすると、ガリオはユダヤ人たちに言った。「実際、それが何らかの不正もしくは罪悪となる邪悪な行為であれば、ユダヤ人たちよ、わたしは当然あなたがたを我慢するのだが、

18:15 論争が言葉や名称やあなたがたの間の律法に関することであれば、あなたがた自身で解決せよ。わたしはこれらのことの裁判官になるつもりはない」。

18:16 こうして、彼は彼らを裁判の座から追い出した。

18:17 すると、彼らはみんな会堂長ソステネを捕まえ、彼を裁判の座の前で打ちたたいた。ガリオはこれらの事を少しも気にとめなかった。

18:18 パウロは、なおかなりの日数滞在した後、兄弟たちに別れを告げてシリヤに向けて出航した。プリスキラとアクラも同行した。彼には誓願があったので、ケンクレヤで頭をそった。

18:19 エペソに着くと、彼は彼らをそこに残し、自分は会堂に入って、ユダヤ人たちと論じ合った。

18:20 彼らはもっと長くとどまるように頼んだが、彼は承知せず、

18:21 別れを告げ、こう言った。「神のご意志であれば、またあなたがたのところに戻って来ます」。こうして、彼はエペソから出航した。

18:22 カイザリヤに着くと、上って行って集会にあいさつし、それからアンテオケに下って行った。

18:23 そして、そこでしばらく過ごしてから、彼は出かけ、ガラテヤの地方とフルギヤを順々に巡回し、すべての弟子たちを強めた。

18:24 さて、アポロという名のユダヤ人で、アレキサンデリヤ生まれの雄弁な人がエペソに着いた。彼は聖書に強かった。

18:25 この者は主の道について教えられており、霊に燃えて、イエスに関する事柄を正確に語り、また教えていたが、ヨハネのバプテスマだけしか知らなかった。

18:26 彼は会堂で大胆に語り始めた。しかし、プリスキラとアクラは彼の話を聞くと、彼を自分たちのところに連れて行き、神の道をもっと正確に彼に説明した。

18:27 彼がアカヤに渡ろうと決心したので、兄弟たちは彼を励まし、弟子たちに彼を迎え入れるようにと書き送った。彼はそこに着くと、恵みを通して信じている人たちを大いに助けた。

18:28 彼はイエスがキリストであることを、聖書に基いて示し、公然と、ユダヤ人たちを力強く論破したからである。

使徒の働き 第19章↑

19:1 アポロがコリントにいた時、パウロは高地の部分を通ってエペソに来た。そして、ある弟子たちを見つけた。

19:2 そして彼は彼らに言った。「あなたがたは信じた時、聖霊を受けましたか」。彼らは彼に言った。「いや、わたしたちは聖霊があるかどうかも、聞いたことがありません」。

19:3 彼は言った。「では、あなたがたは何の中へとバプテスマされたのですか」。彼らは言った。「ヨハネのバプテスマの中へです」。

19:4 しかし、パウロは言った。「ヨハネは心変えのバプテスマをバプテスマしたが、自分の後から来る方、すなわちイエスを信じるようにと民に言っていたのです」。

19:5 これを聞くと、彼らは主イエスの名の中へとバプテスマされた。

19:6 そして、パウロが彼らの上に手を置くと、聖霊が彼らに下り、彼らはいろいろな言語を語り、また予言した。

19:7 この男たちは全部で十二人ほどであった。

19:8 それから、彼は会堂に入って、三か月間にわたって大胆に語り、神の王国に関する事柄を論じ合い、説得した。

19:9 しかし、ある者たちはかたくなで聞き入れず、群衆の前でその道について悪口を言ったので、彼は彼らから離れ、弟子たちをより分けて、ツラノの講堂で毎日論じた。

19:10 このようなことが二年間続いたので、アジヤに住んでいる者は皆、ユダヤ人もギリシャ人も主の言葉を聞いた。

19:11 神はパウロの手を通して、並外れた力あるわざを行なった。

19:12 彼の身に付けていた手ぬぐいや前掛けを取って病人のところに持って行くと、病気は彼らから去り、邪悪な霊たちが出て行くのであった。

19:13 ところが、旅回りの悪魔払い師である数人のユダヤ人たちが、邪悪な霊たちに取り憑かれている者たちに向かって主イエスの名を唱え、「わたしはパウロが宣べ伝えているイエスによってあなたがたに命じる」と言った。

19:14 ところで、このようなことをしたのは、ユダヤ人の祭司長スケワの七人の息子たちであった。

19:15 しかし、邪悪な霊は答えて彼らに言った。「わたしはイエスを知っている。パウロもわかっている。だが、お前たちは誰なのだ」。

19:16 邪悪な霊に取り憑かれていた人は彼らに飛びかかり、その二人を押し倒して、打ち負かした。そのため、彼らは裸になって、傷を負って、その家から逃げ出した。

19:17 このことが、エペソに住んでいるすべてのユダヤ人とギリシャ人に知れ渡った。彼らすべての上に恐れが臨み、主イエスの名がたたえられた。

19:18 信者になった者たちの多くがやって来て、告白し、自分たちの行ないを打ち明けた。

19:19 魔術を行なっていた大勢の者たちは、自分たちの本を持って来てみんなの前で燃やした。その値段を計算すると、銀五万枚になることが分かった。

19:20 このようにして、主の言葉は力強く成長し、力を増していった。

19:21 さて、これらのことが済んだのち、パウロは霊のうちに、マケドニヤとアカヤを通ってからエルサレムに行こうと決めて、こう言った。「わたしはそこへ行った後、ローマをも見なければならない」。

19:22 そこで、自分に仕える者たちのうち二人、テモテとエラストをマケドニヤへ遣わし、彼自身はしばらくアジヤにとどまっていた。

19:23 その時節、この道に関して少なからぬ騒動が起こった。

19:24 デメテリオという名の銀細工師がおり、アルテミスの銀の聖所を造って、職人たちに少なからぬ利益を得させていた。

19:25 彼はその職人たちやそうした事に携わる労働者を集めて言った。「男たちよ、わたしたちはこの商売のおかげで豊かでいられることを、あなたがたは知っています。

19:26 あなたがたが見聞きしているように、このパウロは、エペソだけでなく、ほとんどアジヤ全体で、手で造られたものは神々ではないと言って、大勢の民を説得して背かせてしまいました。

19:27 このわたしたちの職業の評判が悪くなる恐れがあるだけでなく、偉大な女神アルテミスの神殿が軽んじられ、全アジヤと人の住む全地が崇拝している女神の荘厳さまでが失われてしまうでしょう」。

19:28 これを聞くと、彼らは怒りに満たされ、叫んで言った、「偉大なのはエペソ人のアルテミス」。

19:29 そして、町が混乱に満たされた。そして彼らは、パウロの旅仲間であるマケドニヤ人ガイオとアリスタルコを捕らえて、いっせいに劇場へなだれ込んだ。

19:30 パウロは民衆の中に入って行こうとしたが、弟子たちがそれを許さなかった。

19:31 彼の友人だった幾人かのアジヤ州の主要な人たちも、彼のもとに人を送って、劇場に入って行かないように懇願した。

19:32 さて集会は、ある者たちが何かを叫べば、別の者たちは違うことを叫ぶという混乱状態であった。ほとんどの者たちは、どうして集まっているかも知らなかった。

19:33 そこで、彼らは群衆の中からアレキサンデルを引き出し、ユダヤ人たちは彼を前に押しやった。アレキサンデルは手で合図をし、民衆に向かって弁明しようとした。

19:34 しかし、彼がユダヤ人だと分かると、みんなはいっせいに声を上げ、「偉大なのはエペソ人のアルテミス」と二時間ほども叫び続けた。

19:35 町の書記官が群衆を静めて言った。「男たち、エペソの人たちよ、このエペソ人の町が、偉大な女神アルテミスとゼウスから下ったものとの聖所の守護者だということを知らない者がいるだろうか。

19:36 これらの事は否定できないのだから、あなたがたは静かにしているべきであって、軽はずみなことをするべきではない。

19:37 あなたがたはこの男たちを連れて来たが、彼らは神殿強盗でもなければ、わたしたちの女神を冒とくする者でもない。

19:38 だから、もしデメテリオと彼の仲間の職人たちが誰かに対して訴えごとがあるのなら、法廷は開かれているし、地方総督もおられる。彼らが互いに対して訴え合えばよい。

19:39 しかし、あなたがたがそれ以上のことを求めているのなら、法的な集会で解決されるべきである。

19:40 わたしたちは今日の暴動のことで告発される恐れがあるくらいなのだから。わたしたちにはこの反乱について言い開きする名目が何もないのだ」。これらのことを言って、集会を解散させた。

使徒の働き 第20章↑

20:1 騒動が収まったのち、パウロは弟子たちを呼び集めて彼らを励まし、別れを告げてから、マケドニヤへ向かって出かけて行った。

20:2 その地帯を通って行き、多くの言葉で彼らを励ましてから、彼はギリシヤに来た。

20:3 そこで三か月を過ごしたが、シリヤへ向けて出航しようとしていたとき、彼に対する陰謀がユダヤ人たちによって企てられたので、マケドニヤを通って帰ることに決めた。

20:4 そしてベレヤ人プロのソパテロ、テサロニケ人アリスタルコとセクンド、デルベ人ガイオ、テモテ、またアジヤ人テキコとトロピモは、彼に同行した。

20:5 しかし、これらの者たちは先に立って、トロアスでわたしたちを待っていた。

20:6 わたしたちは、除酵祭が終ったのちに、ピリピから出航し、五日のうちにトロアスにいる彼らのもとに着き、そこに七日間滞在した。

20:7 安息日々の一つに、わたしたちがパンを裂くために集まっていた時、パウロは翌日出発することになっていたので、彼らと語り合ったが、彼の話は長くなって真夜中にまで及んだ。

20:8 わたしたちが集まっていた階上の部屋には、たくさんの明かりがあった。

20:9 ユテコという名の若者が窓のところに座っていたが、深い眠りに陥った。パウロの話がなおも長引くので、眠りこけて、三階から下に落ちてしまった。そして、抱き起こしてみると死んでいた。

20:10 パウロは降りて行き、彼の上に身を伏せ、抱きしめて言った。「騒いではいけない。彼の魂は彼の内にあるのだから」。

20:11 そして、また上がって行って、パンを裂いて食べ、夜明けまで長い間語り合ってから、彼は出かけた。

20:12 彼らはその男の子を生きているまま連れて行き、大いに慰められた。

20:13 さて、わたしたちは先に船に乗り、アソスに向けて出航した。パウロをそこで乗せるつもりであった。そのように決められたからである。彼自身は陸路で行こうとしていた。

20:14 こうして彼がアソスでわたしたちと落ち合うと、わたしたちは彼を乗せてミテレネに行った。

20:15 そして、翌日そこから出航してキヨスの向かい側に着いた。次の日にサモスに立ち寄って、その翌日ミレトに着いた。

20:16 それは、パウロがアジヤで時間をとられないため、エペソには寄らないで続航することに決めていたからである。彼は、できればペンテコステの日には、エルサレムに着けるようにと急いでいたのである。

20:17 そこで彼はミレトからエペソに使をやって、集会の長老たちを呼び寄せた。

20:18 そして、彼のところにやって来ると、彼は彼らに言った。「わたしがアジヤに足を踏み入れた最初の日から、どのようにいつもあなたがたと共に過ごしてきたかを、あなたがたは知っています。

20:19 わたしは謙遜の限りを尽くし、涙を流し、ユダヤ人の陰謀によってわたしに降りかかった試練の中で、主に奴隷として仕えてきました。

20:20 少しもためらわずに、何でも益になることをあなたがたに話し、また公にも家から家にもあなたがたを教え、

20:21 神に対する心変え、わたしたちの主イエスに対する信仰を、ユダヤ人にもギリシヤ人にも厳かに証ししてきました。

20:22 そして今、見よ、わたしは霊に縛られてエルサレムに行きます。そこでわたしに何が起きるのか知りません。

20:23 ただ、聖霊がどの町でも、わたしに対して厳かに証しをして告げているのは、鎖と苦難がわたしを待っているということです。

20:24 それでも、わたしが自分の行程と、主イエスから受けた奉仕の務めを果たして、神の恵みの良い知らせを厳かに証しするためには、この魂は自分にとって、少しも尊いとは思いません。

20:25 そして今、見よ、わたしが王国を宣べ伝えてまわったあなたがたすべてが、もはやわたしの顔を見ないことを、わたしは知っています。

20:26 ですから、すべての人の血についてわたしは清いということを、今日この日にあなたがたに証ししておきます。

20:27 少しもためらわずに、神のご意志すべてをあなたがたに伝えておいたからです。

20:28 ですから、自分自身と群れ全体に注意を払っていなさい。聖霊は,神がご自身のものの血を通して獲得された神の集会を牧させるために、あなたがたをその群れの中で監督として立てられたからです。

20:29 わたしが去った後、圧制的なおおかみがあなたがたの中に入って来て容赦なく群れを荒すようになることを、わたしは知っています。

20:30 あなたがた自身の中からも、曲がった事柄を語って、弟子たちを自分のほうへ引きずりこもうとする男たちが起こるでしょう。

20:31 だから、目をさましていなさい。わたしが三年の間、夜も昼も、涙をもってひとりひとりを絶えずにさとしてきたことを、思い出しなさい。

20:32 そして今わたしは、あなたがたを神と彼の恵みの言葉にゆだねます。この言葉は、あなたがたを築き上げ、聖別された者たちすべての間の相続財産を与えることができるのです。

20:33 わたしは誰の銀や金や衣服を貪ったことはありません。

20:34 あなたがた自身が知っているとおり、この両手は、わたしの必要のためにも、わたしと共にいた者たちのためにも働いたのです。

20:35 あなたがたがこのように労苦して弱い人々を助けなければならないこと、また主イエスご自身の言われた『受けるより与えるほうが幸せである』という言葉を覚えておくよう、わたしはすべての事においてあなたがたに教え示したのです」。

20:36 これらの事を語ってから、みんなと一緒にひざまずいて、彼は祈った。

20:37 みんなは激しく泣き、パウロの首を抱いて、彼に口づけした。

20:38 もはや自分の顔を見ることはないだろうと語った彼の言葉のために、とりわけ悲嘆したのである。それから彼を船まで送って行った。

使徒の働き 第21章↑

21:1 わたしたちは彼らを振り切って出航すると、コスに直行し、翌日ロドスに、そこからパタラに着いた。

21:2 そこで、ピニケに渡る船を見つけたので、それに乗って出航した。

21:3 クプロが見えてきたが、それを左手に通り過ぎ、シリヤに向かって航海を続け、ツロに着いた。船はここで積み荷を降ろすことになっていたのである。

21:4 わたしたちは弟子たちを見つけ出して、そこに七日間滞在した。それらの者たちは、エルサレムに足を踏み入れないようにと霊を通してパウロに告げた。

21:5 そして、その日数が満ちると、わたしたちは出発し、その道を進んだ。みんなは妻や子供たちと一緒に、町の外までわたしたちを見送ってくれた。わたしたちは浜辺にひざまずいて祈った。

21:6 互いに別れを告げた後、わたしたちは船に乗り込み、彼らは自分の家に帰って行った。

21:7 わたしたちはツロから航海を終えてトレマイに着いた。兄弟たちにあいさつをして、彼らと共に一日過ごした。

21:8 翌日、わたしたちは出発し、カイザリヤに着いた。あの七人のうちの一人である良い知らせの伝道者ピリポの家に入り、彼と共に過ごした。

21:9 ところで、この人には四人の娘がいたが、処女であり、預言をしていた。

21:10 わたしたちがそこに幾日か滞在していると、アガボという名の預言者がユダヤから下って来た。

21:11 わたしたちのもとに来て、パウロの帯を取り、自分の両足と両手を縛って言った。「聖霊がこのように言われる。『ユダヤ人たちはエルサレムで、この帯の持ち主である男を同じように縛って、彼を諸国民の人々の手に引き渡すだろう』」。

21:12 わたしたちはこれらのことを聞くと、わたしたちもその場所の人々も、エルサレムに上って行かないようにと懇願した。

21:13 するとパウロは答えた。「あなたがたは、泣いたり、わたしの心をくじいたりして、何をしているのですか。わたしは主イエスの名のため、エルサレムで縛られることばかりか、死ぬことさえも覚悟しているのです」。

21:14 彼が説得を聞き入れようとしないので、わたしたちは、「主のご意志がなりますように」と言って、黙ってしまった。

21:15 こうした日々ののち、わたしたちは荷物を整えて、エルサレムに上って行った。

21:16 カイザリヤから来た数人の弟子たちもわたしたちと一緒に来て、古くからの弟子であるクプロのマナソンの所へ連れて行った。わたしたちはその人の所に泊まることになっていたのである。

21:17 わたしたちがエルサレムに着くと、兄弟たちは喜んでわたしたちを迎えてくれた。

21:18 そこで、次の日、パウロはわたしたちと共にヤコブのところに行った。そこに長老たちがみな集まっていた。

21:19 彼は彼らにあいさつをしたのち、自分の奉仕を通して神が諸国の民々の間で行なった事柄を一々報告した。

21:20 これらを聞いて彼らは神に栄光を帰した。彼らは彼に言った。「兄弟、あなたが見るとおり、ユダヤ人たちの中で信者になった者が何万もいますが、彼らはみな律法に熱心です。

21:21 彼らがあなたについて聞かされているのは、あなたが諸国の民々の間にいるすべてのユダヤ人たちに対し、子供に割礼を施したり、慣習に従って歩んだりしないようにと言って、モーセから背教するように教えているということです。

21:22 それで、どうでしょうか。彼らはあなたが来たことを聞くでしょう。

21:23 ですから、わたしたちが言うこのことをしてください。わたしたちには、自分自身に誓願を立てた四人の男たちがいます。

21:24 彼らを連れて行って、一緒に身を清め、彼らが頭をそるために彼らの費用を払ってやりなさい。そうすれば、あなたについて聞かされていることが何もなく、あなた自身も律法を守って歩んでいることを、みんなが知るでしょう。

21:25 しかし、諸国民の信者たちについては、偶像にささげられたものと、血と、絞め殺されたものと、淫売を避けるべきであることを決定して、わたしたちは書き送りました」。

21:26 そこで、パウロはその男たちを連れて行き、翌日、彼らと共に清めを受けてから神殿に入り、清めの日数の満了を報告し、彼らひとりひとりのためにささげ物をささげるのを待っていた。

21:27 七日が間もなく終わろうとしていた時、アジヤから来たユダヤ人たちが、彼が神殿にいるのを見て、全群衆を混乱させて彼に手をかけ、

21:28 叫んだ。「男たち、イスラエルの人たちよ、手伝ってくれ。この人は至るところですべての者に、民と律法とこの場所に反することを教えている。その上、ギリシヤ人たちをも神殿に連れ込んで、この聖なる場所を汚している」。

21:29 彼らは、前にエペソ人トロピモが、彼と一緒に町にいたのを見たので、パウロが彼を神殿に連れ込んだものと思ったのである。

21:30 そこで、市全体が騒動になり、民は駆け寄って来た。そして彼らはパウロを捕らえ、神殿の外に引きずり出した。そしてすぐに戸が閉ざされた。

21:31 彼らが彼を殺そうとしていると、エルサレム全体が騒乱の中にあるとの知らせが部隊の千人隊長のところに届いた。

21:32 すぐに彼は兵士たちと百人隊長たちを連れて、彼らのもとに駆け下った。彼らは千人隊長と兵士たちを見ると、パウロを打つのをやめた。

21:33 それから千人隊長は近づいて来て彼を捕らえ、二本の鎖で縛るよう命じ、彼が何者で、何をしたのかを尋ねた。

21:34 しかし、群衆の間では、人々がそれぞれ違ったことを叫びつづけた。騒がしくて、確かなことが分からないので、彼は彼を兵営に連れて行くよう命じた。

21:35 彼が階段に差し掛かった時には、群衆の暴行のため,兵士たちに担がれるほどであった。

21:36 大勢の民が、「彼を取り除け」と叫びながら、ついて来たからである。

21:37 兵営に連れ込まれようとした時、パウロは千人隊長に言った。「ひと言あなたにお話してもよろしいですか」。彼は言った。「お前はギリシヤ語が話せるのか。

21:38 それでは、お前は、これらの日の前に反乱を起こして、刺客団の四千人の男を荒野に連れ出したあのエジプト人ではないのか」。

21:39 しかしパウロは言った。「わたしはユダヤ人で、キリキヤのタルソの者、れっきとした町の市民です。それで、あなたにお願いします。私が民に話すのをお許しください」。

21:40 彼が許可を与えると、パウロは階段に立ち、民に向かって手で合図をした。すっかり静かになると、彼はヘブル語で話しかけてこう言った。

使徒の働き 第22章↑

22:1 「男たち、兄弟たち、また父たちよ、今、あなたがたに対するわたしの弁明を聞いてください」。

22:2 すると彼らは、彼が自分たちにヘブル語で語りかけるのを聞くと、ますます静かになった。そこで彼は言った。

22:3 「わたしはユダヤ人で、キリキヤのタルソで生まれましたが、この都においてガマリエルの足下で育てられ、父祖たちの律法の厳格さに従って教育され、今日のあなたがたすべてと同じように神に対して熱心でした。

22:4 わたしは、この道を死に至らせるまで迫害して、男も女も縛って牢に引き渡しました。

22:5 これは、祭司長も長老たち一同も、わたしのために証ししてくれることです。わたしは彼らから兄弟たちへの手紙を受け取って、ダマスコへ旅立ったのです。そこにいる者たちをも縛り上げてエルサレムに連れて来て、罰するためでした。

22:6 さて、旅をしてダマスコに近づいた時、真昼ごろでしたが、突然、天からの強い光がわたしの周りを照らしました。

22:7 わたしは地に倒れ、『サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか』と自分に言う声を聞きました。

22:8 わたしは答えた。『主よ、あなたはどなたですか』。彼はわたしに言われた。『わたしはナザレのイエス、あなたが迫害している者です』。

22:9 「わたしと一緒にいた者たちは、光は確かに見たのですが、わたしに話している方の声は聞かなかった。

22:10 わたしは言った。『主よ、わたしはどうすればよいのでしょうか』。主はわたしに言われた。『立ち上がって、ダマスコに行きなさい。あなたが行なうように定められているすべてのことが、そこであなたに告げられる』。

22:11 わたしはその光の栄光のために見ることができなかったので、一緒にいた者たちに手を引かれてダマスコに行った。

22:12 さて、アナニヤという、律法に従う敬けんな男で、そこに住むすべてのユダヤ人に評判のよい男が、

22:13 わたしのところに来て、そばに立って言った。『兄弟サウロよ、見えるようになりなさい』。するとその時、わたしは見上げると、彼を見た。

22:14 彼は言った。『わたしたちの父祖たちの神は、あなたが彼のご意志を知り、義なる方を見、彼の口からの声を聞くように、あらかじめ定められました。

22:15 それは、あなたが見ていること、聞いたことについて、すべての人に対して彼の証人となるためです。

22:16 そこで今、何をしようとするのですか。立って、自分自身をバプテスマしなさい。そして彼のみ名を呼び求めてあなたの罪を洗い去りなさい』。

22:17 さて、わたしがエルサレムに帰って神殿で祈っていると、夢心地になった。

22:18 彼がわたしに言われるのを見ました。『急いで、エルサレムから早く出て行きなさい。わたしについてのあなたの証しを彼らは受け入れないからです』。

22:19 わたしは言った。『主よ、わたしが次から次へと会堂をまわり、あなたを信じる人たちを牢に投じ、打ちたたいていたのを、彼ら自身は知っています。

22:20 また、あなたの証人ステパノの血が流された時、わたし自身もそばに立っていて賛成し、彼を除き去ろうとしている者たちの衣の番をしていたのです』。

22:21 すると、彼はわたしに言われた。『行きなさい。わたしはあなたを遠く諸国の民々に送り出すからです』」。

22:22 彼らはこの言葉のところまで彼の話を聞いていたが、ここで声を張り上げて言った。「こんな者は地上から除いてしまえ。生かしておくには及ばない」。

22:23 彼らが叫んで、衣を投げ、ちりを空中にまき散らしていたので、

22:24 千人隊長は彼を兵営に連れて行くように命じ、彼らが彼に対してあれほど叫び立てるのはどんな理由のためなのかを知るために、彼をむち打って取り調べるように言った。

22:25 しかし、彼らがむち打ちのために彼を伸ばした時、パウロはそこに立っている百人隊長に言った。「ローマ人で、しかも有罪の宣告も受けていない者をむち打つことが、あなたがたには許されているのか」。

22:26 百人隊長はそれを聞くと、千人隊長の所へ行き、報告して言った。「何ということをなさるのですか。この者はローマ人なのです」。

22:27 千人隊長はやって来て彼に言った。「わたしに言ってくれ。あなたはローマ人なのか」。すると彼は言った。「そうです」。

22:28 千人隊長は答えた。「わたしは多額の金で、この市民権を手に入れたのだ」。パウロは言った。「しかし、わたしは生まれながらにそれを持っています」。

22:29 彼を取り調べようとしていた者たちは、すぐに彼から離れた。そして千人隊長も、彼がローマ人だと分かると、彼を縛らせたことで恐れた。

22:30 それでも翌日、なぜ彼がユダヤ人たちから訴えられているのか、確かなことを知りたかったので、彼は彼を解いてやり、祭司長たちとサンヘドリン全体の招集を命じ、パウロを連れ下りて彼らの前に立たせた。

使徒の働き 第23章↑

23:1 パウロはサンヘドリンを見つめて言った。「男たち、兄弟たちよ、わたしはこの日に至るまで、ひたすら正しい良心を持って神のために市民権を使ってきました」。

23:2 すると、祭司長アナニヤは、彼の口を打つようにと彼のそばに立っている者たちに命じた。

23:3 そこでパウロは彼に言った。「神があなたを打たれるだろう、白く塗った壁よ。あなたは律法に従ってわたしを裁くために座っていながら、律法に反してわたしを打つことを命じるのか」。

23:4 そばに立っている者たちが言った。「神の祭司長をののしるのか」。

23:5 パウロは言った。「兄弟たちよ、わたしは彼が祭司長だとは知りませんでした。『あなたは、あなたの民の指導者を悪く言ってはならない』と書かれています」。

23:6 さて、一部がサドカイ人で、他がパリサイ人であることを知って、パウロはサンヘドリンの中で叫んで言った。「男たち、兄弟たちよ、わたしはパリサイ人であり、パリサイ人の息子です。死んだ者たちの復活と期待のことで、わたしは裁かれているのです」。

23:7 彼がこう言うと、パリサイ人とサドカイ人との間に論争が生じ、会衆は分裂した。

23:8 というのは、サドカイ人たちが復活も使いの者も霊もないと言うが、パリサイ人たちはいずれも認めているからである。

23:9 そこで、大きな叫び合いになり、パリサイ派のある書記官たちが立ち上がって、激しく論じて言った。「わたしたちはこの人に何の悪いことも見いださない。もし霊が彼に話したのであれば、または使いの者であれば、―」。

23:10 激しい論争が生じたので、千人隊長は、パウロが彼らによって引き裂かれてしまうのではないかと恐れ、兵士たちに、降りて行って彼を彼らの中から奪い出し、兵営に連れてくるよう命じた。

23:11 しかし次の夜、主が彼のそばに立って言った。「勇気を出しなさい。あなたはエルサレムでわたしについて厳かに証しをしたのと同じように、ローマでも証しをしなければならないのだから」。

23:12 朝になると、ユダヤ人たちは共謀して自らにのろいをかけ、パウロを殺すまでは食べることも飲むこともしないと言った。

23:13 この陰謀に加わった者は四十人以上いた。

23:14 彼らは、祭司長たちや長老たちのところに行って言った。「わたしたちは、パウロを殺すまでは何も口にしないと、自らにのろいをもってのろいをかけました。

23:15 それで今、あなたがたはサンヘドリンと共に、彼のことについてもっと正確に取り調べをしようとしているかのようにして、彼をあなたがたのもとに連れ下るように千人隊長に対して明らかにしてください。彼が近づいて来る前に、わたしたちは彼を除き去る用意ができています」。

23:16 しかし、パウロの姉妹の息子が彼らの待ち伏せのことを聞き、やって来て兵営に入り、パウロに知らせた。

23:17 そこで、パウロは百人隊長の一人を呼んで言った。「この若者を千人隊長のところへ連れて行ってください。彼に何か知らせることがあるのです」。

23:18 そこで彼は彼を連れて、千人隊長のところへ行って言った。「囚人のパウロがわたしを呼んで、この若者をあなたのところへ連れて行くようにとわたしに頼みました。彼は何かあなたにお話しすることがあるのです」。

23:19 千人隊長は彼の手を取ってわきに行き、ひそかに尋ねた。「あなたがわたしに知らせることとは何か」。

23:20 彼は言った。「ユダヤ人たちは、パウロを明日サンヘドリンに連れて下るように、あなたに願い出ることで合意しました。それは、彼について何かもっと正確に取り調べをしようとするかのようにしているのです。

23:21 それで、彼らに説得されることがないようにしてください。彼らのうち四十人以上の者たちが彼を待ち伏せしているからです。彼らは、彼を除き去るまでは食べることも飲むこともしないと、自らにのろいをかけているのです。そして、今彼らは手はずを整えて、あなたからの約束を待ち受けているのです」。

23:22 そこで千人隊長は、「このことをわたしに明かしたことは誰にも話すな」と命じて、若者を去らせた。

23:23 そして彼は、百人隊長のうち、ある二人を呼んで言った。「歩兵二百名、騎兵七十名、槍兵二百名を、カイザリヤまで出発できるように、夜の第三時までに用意せよ。

23:24 また、パウロを乗せて総督ペリクスのもとへ安全に送り届けるように、獣を備えよ」。

23:25 彼はこの様式がある手紙を書いた。

23:26 「クラウデオ・ルシヤから、最も強力な総督ペリクスへ。喜びなさい。

23:27 「この男はユダヤ人たちに捕らえられ、彼らによって除き去られるところでしたが、わたしは彼がローマ人であることを知りましたので、兵士たちを率いて行って、彼を救い出しました。

23:28 そして、彼らが彼を訴えていた理由を知りたいと思い、彼を彼らのサンヘドリンに連れ下りました。

23:29 そして、彼が彼らの律法の問題について訴えられたのであって、死刑や束縛に値するものは、何もないことがわかりました。

23:30 しかし、この男に対する陰謀があるとの報告がわたしにありましたので、彼を直ちにあなたのもとにお送りすることとし、訴える者たちにも、あなたの前で彼に対する申し述べるようにと命じておきました」。

23:31 そこで歩兵たちは、命じられたとおりパウロを引き取って、夜の間にアンテパトリスに連れて行った。

23:32 そして翌日、騎兵たちを彼と共に行かせ、彼らは兵営に帰った。

23:33 彼らはカイザリヤに入って、総督に手紙を渡してから、パウロを彼に引きあわせた。

23:34 そこで、彼はそれを読んでから、彼がどの州の者かを尋ねた。キリキヤの出だと分かると、

23:35 彼は言った。「あなたを訴える者たちも到着したら、あなたの言い分を十分に聞くことにする」。彼をヘロデの官邸に監視しておくように命じた。

使徒の働き 第24章↑

24:1 五日後、祭司長アナニヤが、幾人かの長老たちとテルトロという雄弁家と一緒に下って来た。彼らは総督にパウロを訴え出た。

24:2 彼が呼ばれると、テルトロは訴え始めて言った。「あなたを通して多くの平和を得ており、またあなたのご配慮を通してこの国に諸改革がなされておりますので、

24:3 最も強力なペリクス、わたしたちはあらゆる面で、また、どこにいても、すべての感謝をもって、それを享受いたしております。

24:4 しかし、これ以上お邪魔をしないために、手短かに申し上げますので、あなたのご厚意により、お聞きくださるようお願いします。

24:5 実は、わたしたちが見ましたところ、この男は疫病のようなものであり、また人の住む全地において、すべてのユダヤ人の間に騒ぎを起している者であり、また、ナザレ人たちの分派の首謀者で、

24:6 神殿さえも汚そうとした者ですが、わたしたちは彼を捕らえました。

24:7 〔無し〕

24:8 ご自身で、お取り調べになれば、わたしたちが彼を訴えているこれらの事すべてについて、彼からお確かめいただけるでしょう」。

24:9 そこで、ユダヤ人たちもこの訴えに加わり、これらのことはそのとおりだと主張した。

24:10 総督が彼に話すようにと合図したので、パウロは答えた。「わたしは、あなたが多年にわたり、この国民の裁判官であられるのを知っておりますので、喜んで自分に関する事を弁明いたします。

24:11 お分かりいただけることですが、わたしが礼拝のためにエルサレムへ上って来てから、まだ十二日しかたっていません。

24:12 彼らは、わたしが神殿で誰かと議論したり、群衆を扇動したりするのを、会堂でも都の中でも見たことがありません。

24:13 また彼らは、今わたしを訴えている事について、あなたに証明することができないのです。

24:14 しかし、あなたの前でこのことは認めます。わたしは、彼らが分派と呼んでいる道に従って、わたしたちの父祖たちの神に神聖な奉仕をささげています。律法に基づいた事と、預言者たちの中に書かれている事をすべて信じ、

24:15 神に対して期待を持っていますが、それはこれらの者たち自身も待ち受けているのであり、義者も不義もの復活があるということです。

24:16 このことで、わたし自身も、神と人々に対して責められるところのない良心を持とうと、すべてのことを通して努力しているのです。

24:17 さて、わたしは、自分の国民に憐れみの施しをし、またささげ物をするために,数年ぶりに来ました。

24:18 その最中に、彼らはわたしが神殿で清めを受けたのを見つけたが、群衆もいず、騒動もなかったのです。

24:19 アジヤから来た幾人かのユダヤ人がいました。もし何かわたしを訴えることがあるのであれば、彼らがあなたの前に出て訴えるべきです。

24:20 あるいは、わたしがサンヘドリンの前に立っていたとき、どんな不正なことを見いだしたかを、この者たち自身が述べるべきです。

24:21 彼らの中で立っていた時には叫んだこの一言、『死んだ者たちの復活に関して、わたしは今日あなた方の前で裁かれているのです』という言に関することだけなのです」。

24:22 しかしペリクスは、この道についてのことを正確に知っていたので、彼らを待たせることにし、「千人隊長ルシヤが下って来た時に、あなたがたに関する件を十分に調べることにしよう」と言った。

24:23 百人隊長に彼を監禁するように、しかし彼を寛大に取り扱い、彼の者たちが彼の世話をするのを禁じないようにと命じた。

24:24 そして幾日か後、ペリクスはユダヤ人の女である自分の妻ドルシラと一緒に来て、パウロを呼び出し、彼からキリスト・イエスに対する信仰について聞いた。

24:25 彼が、義と自制と来たるべき裁きについて論じていると、ペリクスは恐ろしくなって答えた。「今回は行ってよい。また、時節を得たら、あなたを呼ぶだろう」。

24:26 一方では、パウロから金をもらうことを期待していた。それで、彼は頻繁に彼を呼んで話し合った。

24:27 しかし、二年間が満ちると、ペリクスが後任者としてポルキオ・フェストを迎えたが、ペリクスはユダヤ人たちの好意を得ようとして、パウロをつないだままにしておいた。

使徒の働き 第25章↑

25:1 こうしてフェストは、州に着いて三日後、カイザリヤからエルサレムに上って行った。

25:2 すると、祭司長たちやユダヤ人たちの主立った人々が彼にパウロを訴え出た。そして彼らは彼に懇願し、

25:3 彼に対する件で好意を求めて、彼をエルサレムに呼び出してくれるようにと求めた。道の途中で彼を除き去るために待ち伏せを置こうとしていたのである。

25:4 そこでフェストは、パウロがカイザリヤに監禁されているべきであり、自分も間もなくそこへ出発するところだと答えた。

25:5 そして彼は言った。「だから、あなたがたのうちの有力者たちがわたしと共に下って行き、もしあの男に何か不正があれば、彼を訴えるがよい」。

25:6 こうして、彼は彼らの間に八日か十日ほど滞在した後、カイザリヤに下って行き、翌日、裁きの座に着いて、パウロを連れて来るように命令した。

25:7 彼が現われると、エルサレムから下って来たユダヤ人たちは彼の周りに立ち、多くの重い罪状を彼に着せたが、証明することはできなかった。

25:8 一方、パウロは弁明した。「ユダヤ人たちの律法に対しても、神殿に対しても、カイザルに対しても、わたしは何の罪も犯していません」。

25:9 ところがフェストは、ユダヤ人たちの好意を得ようとして、パウロに答えて言った。「あなたはエルサレムに上って行って、そこでこれらの事についてわたしの前で裁きを受けたいと思うか」。

25:10 しかしパウロは言った。「わたしはカイザルの裁きの座の前に立っており、そこで裁かれるべきです。あなたもよくご承知のとおり、わたしはユダヤ人たちに対して何の不正も行なっておりません。

25:11 もしわたしが不正を行ない、死に値することを犯したのであれば、わたしは死ぬことを拒みません。しかし、この者たちがわたしを訴えることがどれ一つ本当でないなら、誰もわたしを彼らに引き渡すことはできません。わたしはカイザルに上訴します」。

25:12 そこでフェストは、議会と協議してから答えた。「あなたはカイザルに上訴した。カエサルのもとに行くがよい」。

25:13 さて、数日か過ぎてから、アグリッパ王とベルニケが、フェストにあいさつするため、カイザリヤに下って来た。

25:14 そうして彼らがそこで何日も滞在していたので、フェストはパウロの件を王の前に持ち出して言った。「ペリクスが囚人として残していった一人の男がいます。

25:15 この者については、わたしがエルサレムにいた時に、祭司長たちとユダヤ人の長老たちが訴えて来て、彼に対する有罪の判決を要求しました。

25:16 わたしは彼らに、訴えられたどの者でも、訴えた者と対面して、その訴えについて弁明する機会を得ないうちに、引き渡されるのは、ローマ人の慣習ではないと答えておきました。

25:17 それで、彼らが一緒にここに来た時、わたしは少しも猶予することなく、翌日には裁きの座に着き、その男を連れて来るように命令しました。

25:18 その者について、訴える者たちが立ちましたが、彼らはわたしが思っていたような罪状は何も提示しませんでした。

25:19 ただ、彼とのある種の論争は、彼ら自身の宗教に関すること、また、死んでしまったイエスという者に関することで、彼が生きていると、パウロは主張した。

25:20 しかし、わたしはこれらの事をめぐる論争に困惑したので、彼に、エルサレムに上って行って、そこでこれらの事について裁きを受ける気があるかどうか尋ねました。

25:21 ところがパウロは、皇帝の判決を受けるまで自分を監禁して欲しいと上訴したので、わたしは、彼をカイザルのもとに送るまで、彼を監禁しておくようにと命じました」。

25:22 そこで、アグリッパがフェストにに言った。「わたし自身もその人の言うことを聞いてみるつもりです」。彼は言った。「明日、彼からお聞きになれます」。

25:23 こうして、翌日、アグリッパとベルニケが大いに威儀をととのえてやって来て、千人隊長たちや町の重立った男たちと共に謁見の場所に入ると、フェストが命じると、パウロが連れて来られた。

25:24 そこで、フェストが言った。「アグリッパ王、ならびにご同席のすべての男たち、あなたがたがご覧になっているこの者は、ユダヤ人の大勢の者がこぞって、エルサレムでもここでも、もはや生かしておくべきではないと叫んで、わたしに陳情して来たその者です。

25:25 そして、彼が死に値することは何も犯していないことがわたしには分かりましたが、彼自身が皇帝に上訴したので、彼を送ることに決めました。

25:26 わたしには、彼について主君に書き送る確かなことが何もありません。そのため、彼をあなたがたの前、とりわけアグリッパ王よ、あなたの前に連れ出したのです。取り調べた後で、何か書くべきことを得るためです。

25:27 囚人を送るのに、彼に対する罪状を示さないというのは、道理に合わないことに思えるからです」。

使徒の働き 第26章↑

26:1 アグリッパはパウロに言った。「あなたは自分のために話すことを許されているのです」。そこでパウロは手を差し伸べて弁明した。

26:2 「アグリッパ王よ、わたしがユダヤ人たちから訴えられているすべての事柄について、今日、あなたの前で弁明できることを幸せに思います。

26:3 とりわけ、あなたはユダヤ人の間のあらゆる慣習や問題をよくご存じだからです。ですから、辛抱強く、わたしの言うことを聞いてくださるようにお願いいたします。

26:4 「実に、わたしが自分の国民の間で、またエルサレムにおいて初めからしてきた、若いころからの生き方については、すべてのユダヤ人たちが知っていることです。

26:5 彼らは最初からわたしを知っているので、証言しようと思えばできるのですが、わたしは、わたしたちの宗教の最も厳格な派に従って、パリサイ人としての生活をしていたのです。

26:6 そして今、わたしが立って裁かれているのは、神がわたしたちの父祖たちにされた約束の期待のためなのです。

26:7 それは,わたしたちの十二部族が、神聖な奉仕を夜も昼も熱烈にささげて、その約束を獲得することを期待していることです。この期待について、わたしはユダヤ人たちから訴えられているのです、アグリッパ王よ。

26:8 神が死んだ者たちを起こされることを、なぜあなたがたは信じられないことと判断なさるのですか。

26:9 実は、わたし自身も、ナザレ人イエスの名に反対して多くのことを行なうべきだと、考えていました。

26:10 そして、それをエルサレムでも行なったのです。わたしは祭司長たちから権限を受けて、多くの聖徒たちを牢に閉じ込め、彼らが除き去られる時には、賛成の票を投じたのです。

26:11 また、すべての会堂でしばしば彼らを罰して、強いて冒とくさせました。彼らに対して激しく怒り狂い、外部の町々にまで行って、彼らを迫害したのです。

26:12 このようにして、祭司長たちからの権限と委任とを受けて、ダマスコに行ったのですが、

26:13 その途上で、真昼に、王よ、わたしは天から太陽の輝きより強い光がわたしのまわり、またわたしと一緒に旅をしていた人々の周りを照らすのを見ました。

26:14 わたしたちはみな地に倒れました。わたしは、『サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか。突き棒をけるのはあなたにとってつらいことだ』と、ヘブライ語でわたしに言う声を聞きました。

26:15 わたしは言いました。『主よ、あなたはどなたですか』。すると主は言われました。『わたしはイエス、あなたが迫害している者だ。

26:16 しかし、起き上がって、自分の足で立ちなさい。わたしがあなたに現われたのは、このためだ。すなわち、あなたが見た事と、わたしがあなたに現そうとしている事について、あなたを仕える者また証人に任じるためだ。

26:17 わたしは、あなたをこの民と諸国の民々の中から救い出し、あなたを彼らに遣わす。

26:18 彼らの目を開いて、彼らを闇から光へ、サタンの権威から神のもとへと立ち返らせ、こうして彼らが、わたしに対する信仰によって、罪の赦しを受け、聖別された人々の間での相続財産を受けるようになるためだ』。

26:19 そのようなわけで、アグリッパ王よ、わたしは天からの幻に対して不従順にならず、

26:20 まずダマスコにいる者たちに、またエルサレムにいる者たちにも、さらにはユダヤ地方全域に、そして諸国の民々に、心変えて神に立ち返り、心変えにふさわしいわざを行なうように伝えました。

26:21 これらの事のために、ユダヤ人たちはわたしを神殿で捕らえて、手をかけようとしたのです。

26:22 こうして、わたしは神からの助けを得て、今日に至るまで立ち、小さな者にも大きな者にも証しをし、預言者たちとモーセとが起こるであろうと語ったこと以外には、何も言いませんでした。

26:23 すなわち、キリストが苦しみを受け、また、彼が死んだ者たちの復活において最初の者となって、民にも諸国の民々にも光を宣べ伝えるであろうということです」。

26:24 彼がこれらのことを弁明していると、フェストは大声で言った。「パウロよ、あなたは気が狂っている。博学があなたを狂わせたのだ」。

26:25 しかし彼は言った。「わたしは気が狂ってはいません、最も強力なフェストよ。ただ、真実で理性的な言葉をお伝えしているのです。

26:26 王はこれらの事についてよくご存じですから、彼に対しても、わたしは率直に申し上げているのです。この事は片隅で行なわれたのではないのですから、彼から隠されている事は何一つないと、わたしは確信しています。

26:27 アグリッパ王よ、預言者を信じておられますか。信じておられることを、わたしは知っています」。

26:28 アグリッパはパウロに言った。「あなたはわずかの間に、わたしを説得して、クリスチャンにしようとしている」。

26:29 パウロは言った。「わずかの間であろうと、長い間であろうと、わたしが神に祈るのは、あなただけでなく、今日わたしの言葉を聞いているすべての方にも、このような鎖は別として、わたしのようになっていただきたいということなのです」。

26:30 そこで、王と総督とベルニケと、彼らと共に座っていた者たちは立ち上がった。

26:31 彼らは引き上げて行くとき、互いに語り合って言った。「あの人は死や鎖に値することを何もしていない」。

26:32 そこで、アグリッパがフェストに言った。「もしカイザルに上訴していなかったなら、この人は釈放されただろうに」。

使徒の働き 第27章↑

27:1 わたしたちがイタリヤに向けて出航することが決まった時、彼らはパウロとほかの数人の囚人たちを、ユリアスという名の、皇帝の部隊の百人隊長に引き渡した。

27:2 わたしたちは、アジヤ沿岸の各所に寄港することになっていたアドラミテオの船に乗り込んで、出航した。テサロニケのマケドニヤ人アリスタルコもわたしたちと共にいた。

27:3 そして次の日、わたしたちはシドンに寄港した。ユリアスはパウロを親切に扱い、友人たちのところに行って世話を受けるのを許可した。

27:4 わたしたちはそこから出航したが、逆風だったので、クプロの島陰を航行した。

27:5 キリキヤとパンフリヤの沖を航海して、ルキヤのミラに着いた。

27:6 ここで百人隊長は、イタリヤに向けて航行しているアレキサンドリヤの船を見つけて、わたしたちを乗り込ませた。

27:7 わたしたちは何日もの間のろのろと航海を続け、かろうじてクニドに来たが、風がわたしたちの進路を阻んだので、サルモネの沖を通ってクレテの島陰を航行した。

27:8 かろうじてそれに沿って航行し、ラサヤの町に近い「良い港」と呼ばれる所に着いた。

27:9 かなりの時が経過しており、すでに断食期が過ぎていて航海がもはや危険であったので、パウロは勧告して

27:10 彼らに言った。「男たちよ、わたしの見るところでは、この航海は積荷と船だけでなく、わたしたちの魂にまで損傷と大きな損失をもたらすことになるでしょう」。

27:11 しかし百人隊長は、パウロの語ったことよりも、船長や船主のほうを信用した。

27:12 なお、この港は冬を越すのに適していなかったので、大多数の者は、そこから出航して、できれば何とかしてピニクスまで行き、そこで冬を越すようにと勧めた。そこはクレテの港で、南西と北西に面している。

27:13 南風が穏やかに吹いてきたので、彼らは自分たちの目的が達成できるものと思い、錨を上げ、クレテの海岸近くに沿って航行した。

27:14 しかしそれほどたたないうちに、ユーラクロンと呼ばれる大暴風がその陸のほうから吹き下ろしてきた。

27:15 船が巻き込まれ、風に向かって進むことができなくなったので、わたしたちは流されるままに任せた。

27:16 そして、クラウダと呼ばれる小島の陰を通ったので、わたしたちは、かろうじて、その小舟を制御できるようになった。

27:17 彼らはそれを引き上げてから、補助用具を使って船体を縛った。スルテスの砂州に乗り上げるのを恐れて、用具を降ろし、こうして流されるままとなった。

27:18 わたしたちは大あらしに激しく揺られたので、次の日に、彼らは投げ荷した。

27:19 三日目には船の用具を自分たちの手で投げ捨てた。

27:20 何日もの間、太陽も星も現れず、大あらしがわたしたちの上に吹き荒れていたので、わたしたちが救われる期待はついにすべて断たれるようになった。

27:21 そして、彼らは長いあいだ食事を取っていなかった。その時、パウロは彼らの真ん中に立って言った。「男たちよ、あなたがたはわたしの言葉を聞き入れて、クレテから出航せず、この損傷や損失を被らないようにするべきでした。

27:22 ですから今、わたしはあなたがたに元気を出すよう勧めます。船が失われるだけで、あなたがたのうちで魂を失う者は、ひとりもいないのだから。

27:23 というのは、わたしが属し、わたしが神聖な奉仕をささげている神の使いの者が、昨夜わたしのそばに立って、

27:24 言った。『パウロよ、恐れてはいけない。あなたはカイザルの前に立たなければならない。そして、見よ、神は、あなたと共に航海しているすべての者を、あなたに賜わった』。

27:25 ですから、男たちよ、元気を出しなさい。わたしは神を信じているからです。わたしに語られたことはその通りになる、と。

27:26 それでも、わたしたちは必ずどこかの島に打ち上げられることになるでしょう」。

27:27 さて、十四日目の夜になって,わたしたちがアドリヤ海を漂流していると、真夜中に、船員たちは、自分たちがどこかの陸地に近づいていると感づいた。

27:28 そこで、彼らは水深を測ってみると、二十ひろであることがわかった。それから少し進んで、もう一度測ってみると、十五ひろであることがわかった。

27:29 どこか岩場に乗り上げてしまうことを恐れて、彼らは船尾から四つの錨を降ろし、夜の明けるのを待ち望んだ。

27:30 ところが、船員たちは船から逃げ出そうとし、船首から錨を降ろすふりをして、小舟を海に降ろしていた。

27:31 パウロは百人隊長と兵士たちに言った。「あの者たちが船にとどまっていなければ、あなたがたは救われることができません」。

27:32 そこで兵士たちは小舟の綱を断ち切って、それを下に落とした。

27:33 夜が明けるころ、パウロはみんなに食事を取るように勧めて言った。「あなたがたはずっと待っていて、食事もせず、何も取らずに、今日で十四日目になります。

27:34 ですから、わたしはあなたがたに食事を取るように勧めます。これは、あなたがたの救いのためです。あなたがたのどの人の頭から髪の毛一本も、滅びることはないからです」。

27:35 これらのことを言ってから、パンを取り、みんなの前で神に感謝をささげてから、それを裂き、食べ始めた。

27:36 そこで、みんなは元気づき、彼らも食事を取った。

27:37 ところで、わたしたち船にいた魂は、全部で二百七十六人であった。

27:38 彼らは十分に食事をしてから、小麦を海に投げ込んで、船を軽くした。

27:39 さて、朝になると、陸地は分からなかったが、どこかの浜辺のある入江に気づき、できればそこに船を乗り入れようということになった。

27:40 そこで、錨を切り離して海に残し、同時にかじの綱をほどいた。風に船首の帆をあげて、浜辺に向かって進んだ。

27:41 ところが、二つの海に挟まれた所に来ると、彼らは船をそこに乗り上げてしまった。船首はめり込んで動かなくなり、船尾は激しい勢いで壊れ出した。

27:42 そこで、兵士たちは、囚人たちが誰も泳いで逃げることのないように、彼らを殺そうと図った。

27:43 しかし、百人隊長はパウロを無事に切り抜けたいと思い、彼らの意図を退けた。そして、泳げる者たちがまず飛び込んで陸に向かうようにと命じた。

27:44 そして残りの者には、ある者は板切れに、また他の者は船からのものにつかまって行くようにさせた。こうして、みんなが無事に陸に上がった。

使徒の働き 第28章↑

28:1 わたしたちが、無事に渡り着いてから、この島がマルタと呼ばれていることがわかった。

28:2 現地人たちは、わたしたちに並々ならない親切を示してくれた。雨が降り出して寒かったので、たき火をして、わたしたち全員を迎えてくれたのである。

28:3 さて、パウロが一束の木切れを集めて火にくべていると、熱気の中から一匹のまむしが出て来て、彼の手に取りついた。

28:4 現地人たちは、彼の手からぶら下がっているこの獣を見ると、互いに言い合った。「きっとこの人は人殺しだ。海からは無事に逃れたが、正義が彼を生かしておかないのだ」。

28:5 それで、彼はその獣を火の中に振り落として、何の悪も被らなかった。

28:6 それでも彼らは、彼がはれ上がるか、急に倒れて死ぬだろうと思っていた。しかし、長いあいだ待っても、彼に何も起こらないので、彼らは考えを変え、彼は一人の神だと言った。

28:7 さて、その場所の近くに、島の主立った人でポプリオという人の所有地があった。彼はわたしたちを迎えて、三日のあいだ手厚くもてなしてくれた。

28:8 しかし、ポプリオの父が熱病と赤痢で床についていた。パウロは彼のところに入って行って祈り、両手を彼の上に置いて、彼をいやした。

28:9 このことがあってから、その島のほかの病気を持つ者たちもやって来て、いやされた。

28:10 また彼らはわたしたちに数々の敬意を示し、出航の時には、必要な物を積み込んでくれた。

28:11 三か月後、わたしたちはこの島で冬を越したデオスクリの船首像のあるアレキサンドリヤの船で出航した。

28:12 そして、わたしたちはシラクサに寄港し、三日間滞在した。

28:13 そこからずっと回って、レギオンに着いた。一日たつと、南風が起こったので、二日でポテオリにやって来た。

28:14 ここで兄弟たちを見つけたが、わたしたちは彼らのもとに七日とどまるようにと懇願されるのであった。こうして、わたしたちはローマに来た。

28:15 するとそこから、兄弟たちがわたしたちのことについて聞いて、アピオ・ポロおよびトレス・タベルネまでわたしたちを出迎えに来てくれた。パウロは彼らを見て、神に感謝し、勇気づけられた。

28:16 わたしたちがローマに入った時、パウロは一人の監視する兵士をつけられ、自分だけで住むことを許された。

28:17 三日後、パウロはユダヤ人の主立った者たちを呼び集めた。彼らが集まった時、彼は彼らに言った。「男たち、兄弟たちよ、わたしは、民や父祖たちの習慣に反するようなことは何も行なわなかったのに、エルサレムから囚人としてローマ人たちの手に引き渡されてしまいました。

28:18 彼らはわたしを取り調べたのち、わたしに死の理由が何もなかったので、わたしを釈放しようと思いました。

28:19 しかし、ユダヤ人たちが反対したので、わたしはやむを得ずカイザルに上訴したのです。何か自分の国民を訴えることがあるというのではありません。

28:20 ですからこのようなわけで、わたしはあなたがたに会って話し合いたいとお願いしました。わたしは、イスラエルの期待のゆえに、この鎖につながれているからです」。

28:21 彼らは彼に言った。「わたしたちはあなたについて、ユダヤから何の手紙も受け取っていないし、ここに来た兄弟たちの誰かが、あなたについて悪いことを報告したり話したりしているわけでもない。

28:22 それでも、あなたが考えていることをあなたから聞きたいと思います。この派については、至る所で反対が唱えられていることが、わたしたちに知れているのだから」。

28:23 彼らは彼と日を取り決めて、大勢で彼の宿所にやって来た。彼は朝から晩まで彼らに説明を続けて、神の王国について厳かに証しをし、モーセの律法と預言者たちとの中から、イエスについて彼らを説得した。

28:24 ある者は言われた事によって説得されたが、ある者は信じなかった。

28:25 そして、互いに意見が合わないので彼らは立ち去ろうとした時、パウロは一言こう言った。「聖霊はよくも預言者イザヤを通して、あなたがたの父祖たちに語ったものである。

28:26 こう言われました。『この民のところに行って言いなさい。あなたがたは聞くには聞くが、決して理解しない。見るには見るが、決して認めない。

28:27 この民の心は肥満になり、耳は聞くことに鈍くなり、自分の目を閉じてしまったからである。それは、彼らが目で認め、耳で聞き、心で理解し、立ち返り、わたしが彼らをいやすということがないためである』。

28:28 ですから、あなたがたは知っておいてください。神のこの救いは諸国の民々に遣わされたのです。そして彼ら自身は聞くでしょう」。

28:29 〔無し〕

28:30 こうして彼は、自分の借りた家にまる二年とどまり、自分のもとに来る人たちをみな迎え入れ、

28:31 全くはばからず、妨げられることなく、神の王国を宣べ伝え、主イエス・キリストに関することを教えるのであった。

ローマ

ローマ 第1章↑

1:1 キリスト・イエスの奴隷であり、使徒として召され、神の良い知らせへと分けられたパウロ。

1:2 この良い知らせは、彼の預言者たちを通して、聖なる書の中にあらかじめ約束されたもので、

1:3 彼の息子に関するものです。彼は、肉によれば、ダビデの胤から生れ、

1:4 力の中で、聖なる霊によれば、死んだ者たちの中の復活により、神の息子と定められた。これがわたしたちの主イエス・キリストです。

1:5 わたしたちは、彼の名のために、すべての国民の間に信仰の従順に至らせるようにと、彼を通して、恵みと使徒職を受けた。

1:6 それらの間にあって、あなたがたも、イエス・キリストに招かれた者たちなのです。

1:7 ローマにいる、神に愛され、召された聖なる者たち一同へ。わたしたちの父なる神および主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。

1:8 まず、わたしはあなたがたすべてに関し、イエス・キリストを通して、わたしの神に感謝する。それは、あなたがたの信仰が、全世界に宣べ伝えられているからです。

1:9 わたしの霊の中で、彼の息子の良い知らせにおいてわたしが神聖な奉仕をささげている神が、わたしの証人なのですが、わたしは絶えずあなたがたのことを述べ、

1:10 いつもわたしの祈りの中で、いつかは神のご意志によって道が開かれ、どうにかして、あなたがたの所に行けるようにと願っている。

1:11 わたしはあなたがたに会うことを切望しているのです。それは、あなたがたが確立されるように、あなたがたに霊の賜物をいくらかでも分け与えるためです。

1:12 それは、あなたがたの間で、各々互いの、あなたがたとわたしの信仰によって、共に励まされるためです。

1:13 しかし、兄弟たちよ、あなたがたに知らずにいて欲しくないのですが、わたしは、ほかの国民の間で得たように、あなたがたの間でも幾分かの実を得るために、あなたがたの所に行こうとしばしば企てたが、今まで妨げられてきた。

1:14 わたしは、ギリシヤ人にも未開人にも、賢い者にも無知な者にも、負債者です。

1:15 それで、わたしには、ローマにいるあなたがたにも、良い知らせを宣べ伝えたいという意欲があるのです。

1:16 わたしは良い知らせを恥としない。それは、ユダヤ人をはじめ、ギリシヤ人にも、すべて信じる者に、救いに至らせる神の力です。

1:17 なぜなら、神の義はその中で啓示され、信仰から信仰へと至らせるからです。これは、「しかし義なる者は信仰によって生きる」と書かれているとおりです。

1:18 神の怒りは、不義をもって真理を抑え込む人たちのすべての不敬けんと不義とに対して、天から啓示される。

1:19 なぜなら、神について知り得る事柄は、彼らの間で明らかであり、神がそれを彼らに明らかにされたからです。

1:20 というのは、神の見えない性質、すなわち、彼の感知できない力と神性とは、造られた物において知られていて、世界の創造以来明らかに見えるからです。したがって、彼らには弁解の余地がない。

1:21 なぜなら、彼らは神を知っていながら、神としての栄光を付さず、また感謝せず、彼らの推論はむなしくなり、彼らの無知な心は暗くなったからです。

1:22 彼らは自ら賢いと称しながら、愚かとなり、

1:23 そして不朽の神の栄光を、朽ちる人や鳥や四つ足の獣や這うものの像のようなものに変えた。

1:24 それゆえに神は、彼らを彼らの心の欲望において不潔に引き渡し、彼らの体が彼ら自身の間で辱められるようにされた。

1:25 彼らは神の真理を偽りに変え、また創造した方より被造物を拝み、それに神聖な奉仕をささげた。創造した方こそ、世々に亘り、ほむべきものです。アァメン。

1:26 このゆえに、神は彼らを恥ずべき情欲に引き渡された。すなわち、彼らの中の女たちは、自然の用を自然に反するものに変え、

1:27 同じように男たちも、女との自然の用を去り、互に彼らの情欲を燃やし、男たちは男たちと恥ずべきことを行ない、そして彼らの乱行の当然の報いを、身に受けたのです。

1:28 そして、ちょうど彼らは知識の中に神を持つことを認めようとしなかったように、神は彼らを非とされた思いに、すなわち、不適当な事柄を行なうことに引き渡された。

1:29 彼らはあらゆる不義、邪悪、むさぼり、悪に満たされ、また、ねたみ、殺人、争い、欺き、悪念に満ち、陰口を言う者、

1:30 そしる者、神を憎む者、横柄な者、高慢な者、誇る者、悪事を考え出す者、親に対して頑固である者であり、

1:31 無知、不誠実、無情、無慈悲な者です。

1:32 これらのような事を行なう者たちが死に価するという神の義なる定めを知っていながら、それらを行なうばかりでなく、それらを行なう者たちを是認さえしている。

ローマ 第2章↑

2:1 だから、ああ、すべて人を裁く者よ。あなたには弁解の余地がない。なぜなら、あなたは他人を裁くその事柄において、自分自身を罪に定めているからです。というのは、裁くあなたが同じことを行なっているからです。

2:2 それでもわたしたちは、神の裁きがこれらのような事を行なう者たちの上に真実にしたがって下ることを、知っている。

2:3 しかし、これを思うか、ああ、これらのような事を行なう者たちを裁きながら、しかも自ら同じことを行なっている人よ。あなたは、神の裁きを逃れられると。

2:4 それとも、あなたは、神の親切があなたを心変えに導くことも知らないで、彼の豊かな親切と寛容と忍耐とを軽蔑するのか。

2:5 しかしあなたは、自分のかたくなさと心変えのない心によって、怒りの日、また神の義なる裁きが現れる日のために怒りを自分自身に蓄えているのです。

2:6 この方は、おのおのに、その行ないにしたがって報いられる。

2:7 すなわち、一方では、忍耐によって良い行ないをして、光栄と誉れと不朽を求める者に、世々の特質ある命です。

2:8 他方では、党派心を抱き、真理に対して頑固で不義に従う者に、怒りと憤り、

2:9 患難と苦悩がある。それは、悪を行うすべての人の魂には、ユダヤ人をはじめギリシヤ人にも臨む。

2:10 しかし、良い行ないをするすべての者には、ユダヤ人をはじめギリシヤ人にも、栄光と誉れと平和があるのです。

2:11 なぜなら、神には、偏り見ることがないからです。

2:12 そのわけは、律法なしに罪を犯した者は誰でも、また律法なしに滅び、律法の下で罪を犯した者は誰でも、律法を通して裁かれる。

2:13 なぜなら、律法を聞く者が、神の前に義なる者ではなく、律法を行う者が、義とされるからです。

2:14 すなわち、律法を持たない諸国民の人々が、自然のままで、律法にある事柄を行うなら、これらの者たちは律法を持たなくても、自分自身が律法なのです。

2:15 彼らは律法の働きが彼らの心に書かれていることを現し、彼らの良心が共に証しをして、彼らの思いが互に訴えたり、弁明し合ったりするのです。

2:16 その日には、神が人々の隠れた事柄を、わたしの良い知らせによって、キリスト・イエスを通して、裁かれる。

2:17 しかし、もしあなたがユダヤ人を自称し、律法に安んじ、神にあって誇り、

2:18 律法から教えられているために、ご意志を知り、優れた事柄わをわきまえているなら、

2:19 また自分自身が盲人の手引き、闇にいる者の光、

2:20 愚かな者の教え手、幼な子の教師で、律法の中に知識と真理の具現を持っていると確信しているのなら、

2:21 ほかの人を教える者よ、自分自身をなぜ教えないのですか。盗むなと宣べ伝える者よ、自分は盗むのですか。

2:22 姦淫を犯すなと言う者よ、自分は姦淫を犯すのですか。偶像を忌み嫌う者よ、自分は神殿の物を奪うのですか。

2:23 律法にあって誇るあなたが、律法に違犯することによって、神を辱めるのですか。

2:24 「神の名は、あなたがたのゆえに、諸国の民々の間で冒とくされている」と書かれているとおりです。

2:25 もし、あなたが律法を行うなら、なるほど、割礼には益がある。しかし、もしあなたが律法の違犯者であるなら、あなたの割礼は無割礼となってしまう。

2:26 したがって、もし無割礼の者が律法の義なる定めを守るなら、彼の無割礼は割礼と見なされるではないか。

2:27 そして自然からは無割礼の者であって律法を全うする者が、文字と割礼を通して律法の違犯者であるあなたを裁くでしょう。

2:28 というのは、外見上のユダヤ人がユダヤ人ではなく、また、外見上の肉における割礼が割礼でもない。

2:29 かえって、隠れたユダヤ人がユダヤ人であり、また、文字によらず霊において心の割礼こそ割礼であって、そのほまれは人々からではなく、神から来るのである。

ローマ 第3章↑

3:1 では、ユダヤ人のすぐれているところは何ですか。また割礼の益は何ですか。

3:2 あらゆる面で多くある。まず第一に、神の言が彼らにゆだねられたことです。

3:3 すると、どうなるのか。もしある者たちが信じなかったとしたら、彼らの不信仰は、神の忠実さを無効にするのでしょうか。

3:4 決してそのようなことはないように。神を真実とし、すべての人を偽り者としなさい。「あなたがあなたの言葉を述べるときは、義とされ、あなたが裁かれるとき、勝利を得るため」と書かれているとおりです。

3:5 もしわたしたちの不義が、神の義を明らかにするとしたら、わたしたちは何と言おうか。怒りを下す神は、不義なのですか。(わたしは人間的な言い方をしているのです。)

3:6 決してそのようなことはないように。もしそうであったら、神はどのようにして世界を裁くのですか。

3:7 しかし、もし神の真実が、わたしの偽りにおいて、あふれて、彼の栄光となるなら、なぜわたしはなおも罪人として裁かれるのですか。

3:8 むしろ、「良いことが来るように悪いことをしよう」(わたしたちがそう言っているとそしられており、ある者たちはそう断言している)。彼らが裁かれるのは正当です。

3:9 すると、どうなるのか。わたしたちはまさっているのですか。絶対にない。私たちは前に、ユダヤ人もギリシヤ人も、みな罪の下にあると告発したのです。

3:10 こう書かれているとおりです。「義人はいない。一人もいない。

3:11 理解する者はいない。神を求める者はいない。

3:12 すべての者がそれてしまい、同時に彼らは価値のない者となった。親切を行なう者はいない。一人もいない。

3:13 彼らののどは開いた墓であり、彼らの舌をもって欺き、彼らの唇の下にはまむしの毒があり、

3:14 彼らの口は、のろいと苦さで満ちている。

3:15 彼らの足は血を流すのに速い。

3:16 彼らの道には、破壊と悲惨がある。

3:17 そして、彼らは平和の道を知らない。

3:18 彼らの目の前には、神に対する恐れがない」。

3:19 さて、わたしたちは、律法が言っている事柄はすべて、律法の下にある者たちに対して語っていることを知ってる。それはすべての口がふさがれて、全世界が神の裁きに服するためです。

3:20 なぜなら、律法の行ないによっては、すべての肉なる者が、神のみ前に義とされないからです。律法によっては、罪の自覚が生じるのです。

3:21 しかし今や、神の義が、律法とは別に、しかも律法と預言者たちによって証しされて、明らかにされた。

3:22 それは、イエス・キリストの信仰を通して神の義であって、信じるすべての者のためのものです。差別はないからです。

3:23 というのは、すべての者は罪を犯したので、神の栄光に欠けており、

3:24 価なしに、彼の恵みにより、キリスト・イエスにある救出を通して、義とされるのです。

3:25 神はこの方を、彼の血に対する信仰を通して、あわれみの座として立てられた。それは、彼の義を示すためです。というのは、以前に犯した罪を神の忍耐をもって見過ごされたのです。

3:26 それは、今の時節に、彼の義を示すためです。こうして、ご自身が義となり、また、イエスの信仰の者を義とされるのです。

3:27 それでは、誇るところはどこにあるのですか。それは取り除かれた。どんな律法によってですか。行ないの律法ですか。そうではなく、信仰の律法によってです。

3:28 なぜなら、わたしたちは、人が義とされるのは、律法の行ないとは別に、信仰によるとみなすからです。

3:29 それとも、彼はユダヤ人だけの神なのですか。彼は諸国民の人々の神でもないのですか。そうです。諸国民の人々の神でもあるのです。

3:30 もし神がまことに唯一ならばです。彼は割礼の者を信仰のゆえに義とし、また無割礼の者を、信仰を通して義とされるのです。

3:31 それではわたしたちは、信仰を通して律法を無効にするのですか。決してそのようなことはないように。かえって、わたしたちは律法を確立するのです。

ローマ 第4章↑

4:1 それでは、わたしたちの父祖アブラハムは、肉によれば何を見いだしたと言ったらよいか。

4:2 もしアブラハムが行ないによって義とされたのであれば、彼には誇りがある。しかし、神のみ前では、そうではない。

4:3 なぜなら、聖書は何と言っているでしょうか。「アブラハムは神を信じた。そして彼に対してそれは義とみなされた」。

4:4 さて、働く者に対して、報酬は、恵みとしてではなく、債務とみなされます。

4:5 しかし、働かない者にとっては、すなわち不敬けんな者を義とする方を信じる者にとっては、その者の信仰が義とみなされるのです。

4:6 ダビデも、神が行ないを別にして義とみなしてくださる人の幸せについて語っているとおりです。

4:7 「不法を赦され、罪を覆われた者たちは、幸せである。

4:8 主が罪を決して認めない男は幸せである」。

4:9 さて、この幸せは、割礼の者たちにあるのですか。それとも無割礼の者たちにもあるのですか。わたしたちは言う、「アブラハムに対して信仰は義とみなされた」のです。

4:10 それでは、どのようにしてみなされたのですか。割礼のうちにですか。それとも無割礼のうちにですか。割礼のうちにでなく、無割礼のうちにです。

4:11 そして彼は割礼のしるしを受けたが、それは、無割礼のうちにあった信仰の義の証印であって、彼が、無割礼を通して信じるすべての者の父となるためであり、彼らも義とみなされるためです。

4:12 そして、割礼の父となるためですが、割礼からの者たちに対してだけでなく、わたしたちの父アブラハムが無割礼のうちに持っていた信仰の足跡にしたがって歩く者たちに対しても割礼の父なのです。

4:13 なぜなら、彼が世界の相続者になるという約束が、アブラハムまた彼の胤に対してなされたのは、律法を通してではなく、信仰の義を通してであったからです。

4:14 もし律法による者たちが相続者であるのなら、信仰はむなしくなり、約束も無効になってしまう。

4:15 なぜなら、律法は怒りを生じさせるが、律法がなければ、違犯もないからです。

4:16 こういうわけで、信仰によるのです。それは恵みによるのであって、すべての胤に、すなわち、律法による者だけにではなく、アブラハムの信仰よる者にも、この約束が確かなものとなるためです。彼はわたしたちすべての者の父であって

4:17 「わたしは、あなたを立てて多くの国民の父とした」と書いてあるとおりです。これは、彼が信じた方、すなわち、死んだ者たちを生かし、無い物を有るかのように呼ばれる、その神のみ前においてのことでした。

4:18 彼は期待できないのに、なおも期待を抱いて信じた。それは、「あなたの胤もそのようになる」と言われたところにしたがって、彼が多くの国民の父となるためでした。

4:19 彼はおよそ百歳になって、彼自身の体がすでに死んでおり、またサラの胎が死んだ状態であると認めながらも、彼は信仰において弱くならなかった。

4:20 彼は、神の約束を不信仰をもって疑うことをせず、かえって信仰において強められ、栄光を神に帰し、

4:21 そしてその方はご自分の約束したことを果たすこともできると十分に確信した。

4:22 それゆえに、彼に対してそれは義とみなされたのです。

4:23 しかし、それが彼に対してみなされたと書いてあるのは、彼だけのためではなく、

4:24 みなしていただくことになっているわたしたちのためにも書いてあるのです。すなわち、わたしたちの主イエスを死んだ者たちの中から起こさせた方を信じる者たちのためです。

4:25 イエスはわたしたちの過ちのために引き渡され、そしてわたしたちが義とされるために起こされたのです。

ローマ 第5章↑

5:1 それゆえ、わたしたちは信仰によって義とされているので、わたしたちの主イエス・キリストを通して、神に対して平和を持ってる。

5:2 またその方を通して、わたしたちは、信仰によっていま立っているこの恵みへと至る路を獲得しており、そして神の栄光の期待をもって誇っている。

5:3 それだけではなく、わたしたちは患難にあっても誇るのです。患難が忍耐を生じさせ、

5:4 忍耐は確証を、確証は期待を生じさせることを知っているからです。

5:5 そして、期待は失望に終ることはない。なぜなら、私たちに与えられた聖霊を通して、神の愛が私たちの心のうちに注がれているからです。

5:6 わたしたちがまだ弱かったころ、キリストは、定められた時に、不敬けんな者のために死んでくださったのです。

5:7 義人のためには、ほとんど誰も死ぬことはないだろう。善人のためには、あるいは誰かが敢えて死ぬことがあるかもしれない。

5:8 しかし、神は、わたしたちがまだ罪人であった時に、キリストがわたしたちのために死んでくださったことによって、私たちに対するご自身の愛を示されたのです。

5:9 それゆえ、わたしたちは、今や彼の血において義とされたのだから、さらにいっそう彼を通して怒りから救われるだろう。

5:10 というのは、わたしたちが敵であった時に、ご自身の息子の死を通して神に対して和解させられたのなら、和解させられたわたしたちは、彼の命のうちにあって、さらにいっそう救われるだろう。

5:11 それだけではなく、わたしたちの主イエス・キリストを通して、私たちはさらに神にあって誇っているのです。その方を通して、わたしたちは今や和解を受けたのです。

5:12 こういうわけで、一人の人を通して罪が世界に入り、そして罪を通して死が入ったように、そのようにすべての人に死が入り込んだのです。それゆえに、すべての者が罪を犯したのです。

5:13 というのは、律法以前にも罪は世界にあったのですが、罪は、律法がなければ、認められないものです。

5:14 しかし、アダムからモーセまで、アダムの違犯と同じ罪を犯さなかった者たちの上にも、死が支配した。このアダムは来たるべき者の型です。

5:15 しかし、賜物の場合は過ちの場合と異なってる。一人の過ちによって多くの者が死んだのであれば、さらにいっそう、神の恵みと、一人の人イエス・キリストによる恵みにある贈物とは、多くの者に満ちあふれたからです。

5:16 また、賜物の場合は、一つの罪を犯したことを通す場合とは異なっている。なぜなら、裁きは一つの罪から不治宣告に至ったが、賜物の場合には、多くの過ちから義とする結果になるからです。

5:17 というのは、一人の過ちによって、一人を通して死が支配したのであれば、さらにいっそう、あふれるばかりの恵みと義の賜物とを受ける者たちは、一人のイエス・キリストを通して、命にあって支配するからです。

5:18 こういうわけで、一つの過ちを通してすべての人に及んだ結果が不治宣告であったように、そのようにやはり一つの義なる行為を通してすべての人に及ぶ結果が命の義です。

5:19 なぜなら、一人の人の不従順を通して多くの者が罪人と定められたと同じように、そのようにやはり一人の従順を通して多くの者が義人と定められるだろうからです。

5:20 律法が入り込んできたのは、過ちが増し加わるためです。しかし、罪が増し加わったところには、恵みがますます満ちあふれた。

5:21 それは、罪が死の中で支配したのと同じように、そのように恵みもまた義を通して支配し、わたしたちの主イエス・キリストを通して世々の特質ある命に至るためです。

ローマ 第6章↑

6:1 それでは、わたしたちは何と言おうか。恵みが増し加わるために、罪のうちにとどまるべきだろうか。

6:2 決してそのようなことはないように。罪に対して死んだわたしたちが、どうして、なおもそのうちに生きえるだろうか。

6:3 それとも、キリスト・イエスへとバプテスマされたわたしたちのうち者たちはみな、彼の死へとバプテスマされたことを、あなたがたは知らないのか。

6:4 それゆえにわたしたちは、その死へのバプテスマを通して、彼と共に葬られたのです。それはキリストが、父の栄光を通して死んだ者たちの中から起こされたと同じように、そのようにわたしたちもまた、命の新しさにおいて歩むためである。

6:5 なぜなら、もしわたしたちが彼の死の様の中で彼と結びつく者となっているのなら、復活の様の中にもそうだろうからです。

6:6 わたしたちは、この事を知っている。わたしたちの古い人は彼と一緒にはりつけられたのであり、それは、罪の体が無効にされて、もはや罪に対する奴隷とならないためです。

6:7 なぜなら、死んだ者は罪から義とされているからです。

6:8 さて、わたしたちがキリストと共に死んだのなら、彼と共に生きるようになることをもわたしたちは信じている。

6:9 キリストは死んだ者たちの中から起こされて、もはや死ぬことがなく、死はもはや彼を支配しないことを知っている。

6:10 なぜなら、彼が死んだのは、ただ一度、罪に対して死んだのであり、他方彼が生きるのは、神に対して生きるのだからです。

6:11 このように、あなたがたも、自分たちは罪に対してまさしく死んだ者であり、キリスト・イエスにおいて神に対して生きている者であることを、認めなさい。

6:12 それゆえに、罪があなたがたの死ぬべき体の中で支配して、その欲に従うことがないようにしなさい。

6:13 またあなたがたは、あなたがたの肢体を、不義の武器として罪にささげてはならない。むしろあなたがたは自分自身を、死んだ者たちの中から生きている者として神にささげ、またあなたがたの肢体を義の武器として神にささげなさい。

6:14 なぜなら、罪はあなたがたを支配することはないからだろう。なぜなら、あなたがたは律法の下にあるのではなく、恵みの下にあるからです。

6:15 それではどうなのか。わたしたちは、律法の下にではなく恵みの下にあるからといって、罪を犯すべきだろうか。決してそのようなことはないように。

6:16 あなたがたは知らないのか。奴隷として服従するよう自分自身を誰かにささげるなら、あなたがたは自分の服従するその者の奴隷であって、死に至る罪の奴隷か、あるいは義に至る従順の奴隷となるのだ、ということを。

6:17 しかし、神に感謝すべきことに、あなたがたは罪の奴隷であったが、導き渡された教えの型に心から服従して、

6:18 そして罪から解放され、義の奴隷にされた。

6:19 わたしは、あなたがたの肉の弱さのゆえに、人間的に語っている。あなたがたは、あなたがたの肢体を奴隷として不潔と不法にささげて不法に至ったように、そのように今やあなたがたの肢体を奴隷として義にささげて、神聖さに至りなさい。

6:20 なぜなら、あなたがたが罪の奴隷であった時には、あなたがたは義とは縁のない者であったからです。

6:21 それでは、その時あなたがたは、どんな実を持ったのか。今では恥じるものであり、それらの終結は死です。

6:22 しかし、今やあなたがたは罪から解放され、神に対する奴隷となったので、神聖さに至るあなたがたの実を持っており、その終結は世々の特質ある命です。

6:23 なぜなら、罪の配給は死ですが、神の賜物は、わたしたちの主キリスト・イエスにおける世々の特質ある命だからです。

ローマ 第7章↑

7:1 それとも、兄弟たちよ、あなたがたは知らないのか。(わたしは律法を知っている者たちに語るのですが)、律法は人を、その人が生きている時の間だけ支配するものだ、ということを。

7:2 すなわち、夫のある女は、夫が生きている間は、律法によって彼に縛られている。しかし、夫が死ねば、彼女は夫の律法から解かれる。

7:3 したがって、夫が生きている間に、もし彼女が別の男のものとなれば、彼女は姦婦と呼ばれるだろう。しかし、もし夫が死ねば、彼女はその律法から解かれるので、彼女が別の男のものとなっても、姦婦とはならない。

7:4 こういうわけで、わたしの兄弟たちよ、あなたがたもキリストの体を通して、律法に対して死んだのです。それは、あなたがたが別の方、すなわち、死んだ者たちの中から起こされた方のものとなり、わたしたちが神に対して実を結ぶためです。

7:5 というのは、わたしたちが肉のうちにあった時には、律法を通しての罪の欲情がわたしたちの肢体のうちにあって働いて、死に至る実を結ばせていたからです。

7:6 しかし、わたしたちが縛られていたものに対してわたしたちは死んで、今や律法から解放された。その結果、わたしたちは文字の古さではなく、霊の新しさの中でわたしたちは隷属しているのです。

7:7 それでは、わたしたちは、何と言おうか。律法は罪なのか。決してそうはならないように。しかしわたしは、律法を通してでなければ、罪を知らなかっただろう。もし律法が「むさぼってはならない」と言わなかったら、わたしはむさぼりを知らなかっただろう。

7:8 罪は戒めを通して機会を捕らえ、わたしの内に働いて、あらゆるむさぼりを起させた。なぜなら、律法がなければ罪は死んだものだからです。

7:9 わたしは、かつて律法なしに生きていた。しかし、戒めが来た時に罪は生き返り、

7:10 わたしは死んだ。そして、命に至らせる戒め、これが、死に至らせるものであることをわたしは見いだした。

7:11 なぜなら、罪は戒めを通して機会を捕らえ、わたしを欺き、それを通してわたしを殺したからです。

7:12 それゆえに、律法は聖であり、そして戒めは聖であり、そして義であり、そして善です。

7:13 それでは善いものが、わたしにとって死となったのだろうか。決してそのようなことはないように。それはむしろ、罪が罪として現われるために善いものを通してわたしに死を生じさせた。罪が戒めを通してはなはだしく罪深いものとなるためだった。

7:14 私たちは、律法は霊的なものであることを知っている。しかし、私は肉的な者であり、罪の下に売られているのです。

7:15 わたしは自分の行なっていることが、分からない。なぜなら、わたしは自分の欲する事は行わず、かえって自分の憎む事を行なっているからです。

7:16 しかし、もし自分の欲しない事を行なっているとすれば、わたしは律法が良いものであることを認めていることになる。

7:17 しかし今や、この事を行なっているのは、もはやわたしではなく、わたしのうちに住んでいる罪です。

7:18 わたしのうちに、すなわち、わたしの肉のうちには、善なるものが住んでいないことを、わたしは知っているからです。なぜなら、しようとする意志は、わたしにあるが、善を実践することがないからです。

7:19 すなわち、わたしは自分が欲する善を行なわず、むしろ自分が欲しない悪を行っている。

7:20 しかし、もし自分の欲しない事を行なっているとすれば、それを行なうのはもはやわたしではなく、わたしのうちに住んでいる罪です。

7:21 そこでわたしは、善をしようと欲しているわたしに、そのわたしに悪が存在するという律法を見いだす。

7:22 すなわち、わたしは、内なる人としては神の律法を喜んでいる。

7:23 しかしわたしは、自分の肢体のうちに別の律法を見る。それはわたしの思いの律法に対して戦っており、自分の肢体のうちにある罪の律法の中にわたしをとりこにしているのです。

7:24 わたしは、何というみじめな人だろう。誰が、この死の体から、わたしを救い出してくれるだろうか。

7:25 わたしたちの主イエス・キリストを通して、神に感謝すべきです。このように、わたし自身、思いでは神の律法に対する奴隷ですが、肉では罪の律法に対する奴隷です。

ローマ 第8章↑

8:1 こういうわけで、今やキリスト・イエスのうちにある者たちに対して罪定めがない。

8:2 なぜなら、キリスト・イエスにおける命の霊の律法は、罪と死の律法から、あなたを解放したからです。

8:3 事実、律法が肉のゆえに弱くて、なし得なかったので、神は、ご自身の息子を罪の肉と同じような形で、罪に関連して送り、肉において罪を罪定めされた。

8:4 それは、律法の義の要求が、肉に従ってではなく、霊に従って歩んでいるわたしたちにおいて、満たされるためです。

8:5 なぜなら、肉に従う者たちは肉のことを思い、霊に従う者たちは霊のことを思うからです。

8:6 肉の思いは死ですが、霊の思いは命と平和だからです。

8:7 なぜなら、肉の思いは神への敵対だから。すなわち、それは神の律法に服従しておらず、また服従することもできないのです。

8:8 また、肉にある者たちは、神を喜ばせることができない。

8:9 しかし、神の霊があなたがたのうちに住んでいるのなら、あなたがたは肉のうちにではなく、霊のうちにいる。けれども、誰かがキリストの霊を待たないのなら、その者はキリストのものではない。

8:10 しかし、キリストがあなたがたのうちにおられるなら、体は罪のゆえに死んでいても、霊は義のゆえに命です。

8:11 そして、もしイエスを死んだ者たちの中から起こした方の霊があなたがたのうちに住んでいるのなら、キリスト・イエスを死んだ者たちの中から起こした方は、あなたがたのうちに住んでいるその方の霊のゆえに、あなたがたの死ぬべき体をも、生かして下さるのです。

8:12 それゆえに、兄弟たちよ、わたしたちは負債者ですが、それは、肉に従って生きるという、肉に対するものではない。

8:13 なぜなら、もし、肉に従って生きるなら、あなたがたは死ぬだろう。しかし、霊によって体の行ないを殺すなら、あなたがたは生きるだろう。

8:14 なぜなら、すべて神の霊に導かれる者、この者たちは神の息子たちだからです。

8:15 あなたがたは、再び恐れへと至る奴隷の霊を受けたのではなく、むしろ息子たる身分の霊を受けたのであり、この霊のうちにあってわたしたちは「アバ、父よ」と叫ぶのです。

8:16 この霊ご自身、わたしたちの霊と共に、わたしたちが神の子供たちであることを、証ししている。

8:17 さて、もし子供たちであるなら、相続人でもある。しかも、神の相続人であり、キリストの共同相続人です。ただし、わたしたちが共に栄光を受けるために、共に苦しむならばです。

8:18 なぜなら、わたしは、今の季節の苦しみは、わたしたちに現されようとする栄光に比べるにも値しないと、考えるからです。

8:19 事実、被造物の切なる思いは、神の息子たちの出現を待ち望んでいる。

8:20 なぜなら、被造物が虚無に服従させられたのは、自分の意志によるのではなく、服従させた方によるのであり、それは期待をもってのことだったからです。

8:21 すなわち、被造物自身も、腐朽への奴隷状態から自由にされ、神の子供たちの栄光の自由に至るようになることです。

8:22 被造物全体が、今に至るまで、共にうめき共に産みの苦しみをしていることを、わたしたちは知っている。

8:23 それだけではなく、霊の初穂をもつている者たち自身、すなわちわたしたち自身が、自分自身のうちでうめきながら、息子たる身分、すなわち、わたしたちの体の救出を待ち望んでいる。

8:24 わたしたちは期待の中で救われたからです。しかし、見える期待は期待ではない。なぜなら、見ているものを、誰が期待するだろうか。

8:25 しかし、もしわたしたちが見ていないものを期待するなら、わたしたちは忍耐して、それを待ち望むのです。

8:26 同じように、霊もわたしたちの弱さを助けてくれる。なぜなら、しかるべき仕方で何を祈るべきかを、わたしたち知らないが、霊そのものが、言葉にあらわせないうめきをもって、とりなしをしているからです。

8:27 それでも、心を探る方は、霊の思いが何であるかを知っておられる。それは、神に従って、聖なる者たちのためにとりなしをしているからです。

8:28 また神を愛する者たち、すなわち、目的に従って召された者たちには、すべてのことが共に働いて善へと至る、ということをわたしたちは知っている。

8:29 彼は前もって知っていた者たちを、彼の息子の像と共なるかたちをもつ者たちとして、前もって定められたからです。それは彼が、多くの兄弟たちの中で最初に生まれた者となるためです。

8:30 そして、彼は前もって定めた者たちを、さらに召し、そして召した者たちを、さらに義とし、そして義とした者たちを、さらに栄光化された。

8:31 それでは、これらのことに対してわたしたちは何と言おうか。もし神がわたしたちの味方であるなら、誰がわたしたちに敵するだろうか。

8:32 ご自身の息子をさえ惜しまないで、わたしたちすべてのために彼を引き渡された方が、どうして彼と共にすべてのものをわたしたちに恵みとして賜わらないことがあろうか。

8:33 誰が、神の選ばれた者たちを訴えるのか。神が義とする方なのです。

8:34 誰が、罪に定めるのか。キリストは、死んで、否、むしろ起こされ、神の右にあり、また、わたしたちのためにとりなしをしておられる。

8:35 誰がわたしたちをキリストの愛から引き離すのか。患難か、それとも苦悩か、それとも迫害か、それとも飢えか、それとも裸か、それとも危険か、それとも剣か。

8:36 「あなたのために、わたしたちは一日中、死に渡されており、ほふられる羊とみなされた」と書かれているとおりです。

8:37 しかし、わたしたちは、わたしたちを愛してくださった方を通して、これらすべての事において勝ち得て余りがある。

8:38 わたしは確信する。死も、命も、使いの者たちも、支配者たちも、現在のものも、来たるべきものも、力あるものも、

8:39 高さも、深さも、その他どんな被造物も、わたしたちの主キリスト・イエスにおける神の愛から、わたしたちを引き離すことはできないのです。

ローマ 第9章↑

9:1 わたしはキリストにあって真実を語る。偽りを言わない。わたしの良心は聖霊においてわたしと共に証しをしている。

9:2 すなわち、わたしに大きな悲しみがあり、わたしの心に絶えざる痛みがある。

9:3 なぜなら、わたしの兄弟たち、肉によるわたしの同族のために、わたし自身はのろわれてキリストから離されることを願った。

9:4 彼らはイスラエル人であって、息子たる身分と栄光ともろもろの契約と律法の授与と神聖な奉仕ともろもろの約束は彼らのものであり、

9:5 父祖たちも彼らのものであり、肉によれば、キリストは彼らから出られたのです。彼はすべてのものの上におられ、神は、世々に亘り、祝福されるべきです。アァメン。

9:6 しかし、神の言葉が無効になったというわけではない。なぜなら、それらイスラエルから出た者すべてがイスラエルなのではなく、

9:7 また、アブラハムの胤だからといって、すべてが子供であるのではないからです。むしろ「あなた胤は、イサクにおいて呼ばれる」。

9:8 すなわち、肉の子供がそのまま神の子供たちではなく、むしろ約束の子供が胤とみなされるのです。

9:9 約束の言葉はこうです。「この時節にわたしは来る。そして、サラには息子ができるであろう」。

9:10 しかし、それだけではなく、リベカも、一人の人、わたしたちの父イサクによって身ごもった時もそうだった。

9:11 なぜなら、彼らがまだ生まれておらず、善も悪も何も行なっていない時に、選びによる神の目的が存続するために、

9:12 それが行ないによらずむしろ召した方によるようにと、「大なる者が小なる者に隷属するであろう」と彼女に言われた。

9:13 「わたしはヤコブを愛したが、エサウを憎んだ」と書いてあるとおりです。

9:14 それでは、わたしたちは何と言おうか。神には不義があるのか。決してそのようなことにはならないように。

9:15 なぜなら、彼はモーセに言われるからです。「わたしは自分のあわれもうとする者をあわれみ、いつくしもうとする者を、いつくしむ」。

9:16 それゆえに、それは意志する者や走る者によるのではなく、むしろあわれむ神によるのです。

9:17 事実、聖書はパロに言っている。「わたしは、まさにこの事のために、あなたを起こしたのです。それは、わたしがあなたにおいてわたしの力を示し、またわたしの名が全地に告げ知らされるためです」。

9:18 したがって彼はご自分の望む者をあわれみ、またご自分の望む者をかたくなにされるのです。

9:19 そこで、あなたはわたしに言うだろう。「それでは、なぜ彼は、なおも人を責めるのか。事実、誰が彼の意志に逆らうことができるのか」。

9:20 ああ人よ、あなたは、神に言い逆らうとは、いったい、何者なのか。形造られたものが形造った者に向かって、「なぜ、わたしをこのように造ったのか」と言うでしょうか。

9:21 それとも陶器師は粘土に対して、同じ固まりから、一つを栄誉への器に、もう一つを不名誉への器に造る権限を持っていないでしょうか。

9:22 しかし、もし神が、怒りを示し、そしてご自分の力を知らせようとご意志で、大いなる寛容をもって、滅びへと造られた怒りの器を忍ばれたとすれば、

9:23 しかも、栄光へとあらかじめ用意したあわれみの器に、ご自分の栄光の富を知らせようとされたとすれば、どうでしょうか。

9:24 神はこのあわれみの器として、またわたしたちをも、ユダヤ人の中からだけではなく、諸国民の人々の中からも召されたのです。

9:25 彼はまたホセアにおいても言われているとおりです。「わたしは、わたしの民でない者を、わたしの民と呼び、愛されなかった者を、愛される者と呼ぶであろう。

9:26 あなたがたはわたしの民ではないと、彼らに言ったその場所で、そこで彼らは生ける神の息子たちであると、呼ばれるであろう」。

9:27 また、イザヤはイスラエルについて叫んでいる。「たとえ、イスラエルの息子たちの数は、海の砂のようであっても、救われるのは、残された者だけであろう。

9:28 主は、地上で決済をして完結をつけ、しかも切りをつけられるからである」。

9:29 そしてイザヤはあらかじめ言ったとおりです。「万軍の主がわたしたちに胤を残されなかったなら、わたしたちはソドムのようになり、またゴモラと同じようになったであろう」。

9:30 それでは、わたしたちは何と言おうか。義を追い求めなかった諸国民の人々は、義を、すなわち、信仰による義を得た。

9:31 しかし、義の律法を追い求めていたイスラエルは、律法に達しなかった。

9:32 なぜか。信仰によらずに、むしろ行ないによるかのように追い求めたからです。彼らは、つまずきの石につまずいたのです。

9:33 書いてあるとおりです。「見よ、わたしはシオンに、つまずきの石、妨げの岩を置く。そしてそれを信じる者は、辱められることがない」。

ローマ 第10章↑

10:1 兄弟たちよ。わたしの心の喜び、彼らのために神への祈願は、救いへと至ることです。

10:2 わたしは彼らのために証しするが、彼らは神に対して熱心です。しかし知識にしたがってではないのです。

10:3 なぜなら、彼らは神の義を知らず、自分の義を立てることを追い求めて、神の義に服従しなかったからです。

10:4 キリストは、すべて信じる者を義に至らせる律法の終結です。

10:5 モーセは律法による義について、それらを行なう人は、それらによって生きるであろう、と書いている。

10:6 しかし、信仰による義は、こう言っている。「あなたの心の中で,『誰が天に上るであろうか』と言ってはならない」。これは、キリストを引き下ろすことです。

10:7 あるいは、「『誰が底知れぬ所に下るであろうか』と言ってはならない」。それはキリストを死んだ者たちの中から引き上げることです。

10:8 では、それは何と言っているのですか。「言葉はあなたの近くにある、あなたの口の中、そしてあなたの心の中にある」。これはわたしたちが宣べ伝えている信仰の言葉です。

10:9 すなわち、あなたがあなたの口で、イエスは主であると告白し、あなたの心で、神は彼を死んだ者たちの中から起こしたと信じるなら、あなたは救われる。

10:10 なぜなら、心で信じて義へと至るのであり、口で告白して救いへと至るのです。

10:11 聖書は言っている。「すべて彼を信じる者は、辱められることがない」。

10:12 ユダヤ人とギリシヤ人との差別はない。同じ主が、すべての者の主であって、この方はご自分を呼び求めるすべての者に対して豊かなのです。

10:13 なぜなら、「主の名を呼び求める者はすべて救われる」からです。

10:14 それでは、信じたことのない者を、どうして呼び求めることがあろうか。聞いたことのない者を、どうして信じることがあろうか。宣べ伝える者がいなくては、どうして聞くことがあろうか。

10:15 遣わされなくては、どうして宣べ伝えることがあろうか。書いてあるとおりです。「良いことについての良い知らせを宣べ伝える者の足は何と麗しいのであろう」。

10:16 しかし、すべての人が良い知らせに従ったのではない。なぜなら、イザヤは言っている。「主よ、誰がわたしたちの知らせを信じましたか」。

10:17 したがって、信仰は聞くことから生じるのであり、聞くことはキリストの言葉を通して起こるのです。

10:18 しかしわたしは言う。彼らは聞かなかったのであろうか。否、むしろ「彼らの声は全地へ出て行き、彼らの言葉は人の住む地の果てにまで及んだ」。

10:19 しかし、わたしは言う。イスラエルは知らなかったのであろうか。まずモーセは言っている。「わたしはあなたがたに、国民でない者に対してねたみを起させ、無知な国民に対して、怒りをいだかせるであろう」。

10:20 またイザヤは大胆であり、そして言っている。「わたしは、わたしを求めなかった者たちに見いだされ、わたしを尋ね求めなかった者たちに現われた」。

10:21 しかしイスラエルに対しては言っている。「わたしは、頑固で言い逆らう民に向かって、一日中わたしの両手を差し伸べていた」。

ローマ 第11章↑

11:1 そこでわたしは言う。神はご自分の民を退けられたのでしょうか。決してそのようなことはないように。なぜなら、わたしもイスラエル人であり、アブラハムの胤から出た者であり、ベニヤミン族の者だからです。

11:2 神は、あらかじめ知っておられた彼の民を、退けられたのではない。それとも、聖書がエリヤについて何と言っているか、あなたがたは知らないのか。すなわち、いかに彼はイスラエルを神に訴えている。

11:3 「主よ、彼らはあなたの預言者たちを殺し、あなたの祭壇を倒壊させました。そしてわたしだけが残されたが、彼らはわたしの魂を求めています」。

11:4 しかし、彼に対する御告げは何と言っているか。「わたしはわたし自身のために、バアルにひざをかがめなかった七千人の男を残しておいた」。

11:5 それゆえ、これと同じように、今の時節にも、恵みの選びによって残された者がいるのです。

11:6 しかし、もし恵みによるのであれば、もはや行ないによるのではない。そうでないと、恵みはもはや恵みではなくなるからです。

11:7 それではどうでしょう。イスラエルはその追い求めているものを得ないで、ただ選ばれた者が、それを得た。そして、他の者たちはかたくなになった。

11:8 書いてあるとおりです。「神は、彼らに深い眠りの霊と、見えない目と、聞えない耳とを与えて、今日、この日に及んでいる」。

11:9 またダビデは言っている。「彼らの食卓は、彼らにとってわなに、そして網に、そしてつまずきに、そして報復になれ。

11:10 彼らの目は暗くなって見えなくなれ。また彼らの背を、すべてのことを通して、かがませてください」。

11:11 そこでわたしは言う。彼らは倒れるためにつまずいたのでしょうか。決してそのようなことはないように。むしろ彼らの過ちによって、救いが諸国の民々に及び、それによって彼らにねたみを起こさせるためです。

11:12 しかし、もし彼らの過ちが世界の富となり、彼らの減退が諸国民の人々の富となったとすれば、まして彼らが満ちるなら、どれほどのことでしょう。

11:13 そこで、わたしはあなたがた諸国民の人々に言う。わたしは諸国の民々の使徒である以上、わたしの奉仕の務めを光栄とし、

11:14 それは、何とかしてわたしの骨肉にねたみを起こさせ、彼らのうちの幾人かを救おうと願っている。

11:15 もし彼らの捨てられたことが世界の和解となったとすれば、彼らの受け入れられることは、死んだ者たちの中からの命でなくて何でしょう。

11:16 さて、もし初穂が聖なるものであれば、固まりもそうなのです。また、もし根が聖なるものであれば、枝々もそうなのです。

11:17 しかし、枝々のうちのあるものたちが折り取られ、他方あなたが、野生のオリブでありながら彼らに接ぎ木され、そしてオリブの根の豊かな養分に共にあずかる者になったのだとしても、

11:18 あなたは枝々に対して誇ってはならない。しかし、たとえあなたが誇るとしても、あなたが根を担っているのではなく、むしろ根があなたを担っているのです。

11:19 するとあなたは「わたしが接ぎ木されるために枝々は折り取られたのだ」と言うでしょう。

11:20 そのとおりです。彼らは不信仰のゆえに折り取られ、あなたは信仰のゆえに立っているのです。高ぶった思いをいだかないで、むしろ恐れなさい。

11:21 なぜなら、もし神が生来の枝々を惜しまなかったとすれば、なたを惜しまれることもないからです。

11:22 それゆえに、神の慈愛と峻厳を見よ。峻厳は倒れた者たちの上に臨み、あなたの上には神の慈愛が臨む。ただしあなたがその慈愛にとどまっていればのことです。もしそうでなければ、あなたも切り落とされるでしょう。

11:23 しかし彼らも、もし不信仰にとどまっていなければ、接ぎ木されることになるのです。神は彼らを再び接ぎ木することができるからです。

11:24 なぜなら、もしあなたが生来の野生のオリブから切り取られ、自然に反して良いオリブに接ぎ木されたとすれば、まして、これら生来のものたちは、自分であるオリブに接ぎ木されることでしょう。

11:25 兄弟たちよ。あなたがたが知者だと自負することのないために、この奥義を知らないでいてもらいたくない。すなわち、かたくなさがイスラエルに部分的に生じたのは、諸国民の人々が入って来て定数に満ちるまでのことです。

11:26 こうして、全イスラエルが救われるでしょう。書いてあるとおりです。「救出者がシオンから来て、ヤコブから不敬けんを追い払うであろう。

11:27 そして、これが、彼らの罪々を除き去る時に、彼らに対して立てるわたしからの契約である」。

11:28 良い知らせによれば、彼らはあなたがたのゆえに敵ですが、選びによれば、彼らは父祖たちのゆえに愛されている。

11:29 神の恵みの賜物と召しとは、変えられることがない。

11:30 あなたがたはかつて神に対して頑固でしたが、今は彼らの頑固さのゆえにあわれみを受けているように、

11:31 それと同じように、これらの者たちもまた今はあなたがたが受けたあわれみのゆえに頑固ですが、それは彼らもまた今あわれみを受けるためなのです。

11:32 なぜなら、神がすべての者を頑固さの中に閉じ込めたのは、彼がすべての者をあわれむためだったからです。

11:33 ああ、神の富と知恵と知識の深さよ。彼の裁きは何と探りがたく、彼の道は何とたどりがたいものなのでしょう。

11:34 なぜなら、誰が主の思いを知っていたか。また誰が彼の助言者になったか。

11:35 また、誰がまず彼に与えて、そのお返しを受けるでしょうか。

11:36 なぜなら、すべては彼から出て、彼を通し、そして彼へと向かっているからです。その彼に栄光が、世々に亘り、あるように。アァメン。

ローマ 第12章↑

12:1 兄弟たちよ。そういうわけで、神の情けを通してあなたがたに勧める。あなたがたの体を、生ける、聖なる、神に喜ばれる供え物としてささげなさい。それが、あなたがたの理性にかなった神聖な奉仕です。

12:2 そしてあなたがたは、この世の型にはまってはならない。むしろ思いを新たにすることによって形造り変えられなさい。それは、何が神の意志であり、善きことであり、そして喜ばれることであり、そして完全なことであるのかを、あなたがたはわきまえ知るためです。

12:3 わたしは、自分に与えられた恵みによって、あなたがたの中のすべての人に言う。思うべきことを越えて思いあがることなく、むしろ、神が各自に分け与えられた信仰の量りにしたがって、慎み深く思うべきです。

12:4 ちょうどわたしたちが一つの体の中に多くの肢体を持っており、そしてすべての肢体が同じ機能を持っていないように、

12:5 わたしたちも数は多いが、キリストにあって一つの体であり、また各自は互に肢体だからです。

12:6 また、わたしたちは与えられた恵みによって、それぞれ異なった恵みの賜物を持っているので、もし、それが預言であれば、信仰の程度に応じて預言をし、

12:7 それが奉仕の務めであれば奉仕の務めにおいて、教える者であれば教えにおいて、

12:8 勧めをする者であれば勧めにおいて、分け与える者は純真さにおいて、指導する者は熱心さにおいて、あわれみを示す者は快活さにおいて行なうべきです。

12:9 愛には偽善があってはならない。邪悪なことを憎悪し、善に結び付き、

12:10 兄弟の愛をもって互に愛し合い、尊敬をもって互いを立て合い、

12:11 熱心で怠けることなく、霊に燃え、主に隷従し、

12:12 期待において喜び、患難において忍耐し、祈りに専念し、

12:13 力を合わせて聖徒の欠乏を補い、もてなすことを追い求めなさい。

12:14 迫害する者たちを祝福しなさい。祝福して、のろってはならない。

12:15 喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣きなさい。

12:16 互に思うことをひとつにし、高ぶった思いをいだかず、むしろ低い者たちと共に歩みなさい。自らを賢いものとしてはならない。

12:17 誰にも悪に対して悪を報いることなく、すべての人々の前で善を行うように心がけなさい。

12:18 あなたがたは、できる限りすべての人と平和に過ごしなさい。

12:19 愛する者たちよ。自分で復讐をしないで、むしろ、怒りに場所を譲りなさい。なぜなら、「復讐はわたしのものである、わたしが報いをする,と主は言われる」と書いてあるからです。

12:20 むしろ、「もしあなたの敵が飢えているなら、彼に食べさせなさい。もし渇いているなら、彼に飲ませなさい。なぜなら、こうすることによって、あなたは燃える石炭を彼の頭の上に積み上げるであろうからである」。

12:21 悪に征服されてはならない。むしろ、善をもって悪を征服しなさい。

ローマ 第13章↑

13:1 すべての魂は上位の諸権威に服従しなさい。なぜなら、神によらない権威はなく、存在している諸権威は神によって定められているからです。

13:2 したがって、権威に逆らう者は、神の定めに反抗するのであり、反抗する者たちは、自分自身に裁きを受けるでしょう。

13:3 事実、支配者たちは、善行にではなく、悪行にとっては、恐ろしい存在です。あなたは権威を恐れないことを願うのか。善を行ないなさい。そうすれば、あなたはそれから賞賛を受けるでしょう。

13:4 それは、あなたに益を与えるための神の奉仕者なのです。しかし、もしあなたが悪を行なうなら、恐れなさい。それはいたずらに剣を帯びているのではない。それは神の奉仕者であり、悪を行なう者に対しては、怒りをおこす復讐者なのです。

13:5 したがって、服従することが必要です。怒りのためだけではなく、良心のためでもある。

13:6 このために、あなたがたは税を納めるのです。彼らは神に仕える者として、まさにこのことに専念しているのだからです。

13:7 あなたがたは、すべての者に対して義務を果しなさい。税を納めるべき者には税を、貢を納むべき者には貢を、恐るべき者には恐れを、尊敬すべき者には尊敬を。

13:8 互いに愛し合うことのほかは、誰にも何も負債をもってはならない。なぜなら、他者を愛する者は、律法を全うするのです。

13:9 「姦淫してはならない、殺人を犯してはならない、盗んではならない、むさぼってはならない」、そしてほかにどんな戒めがあっても、それは、この言葉、すなわち、「あなたは隣人を自分自身のように愛するであろう」に要約されるからです。

13:10 愛は隣人に対して悪を行なうことはない。それゆえに、愛は律法を全うするものなのです。

13:11 なお、あなたがたは時節を知っているのだから、以上のことをするように努めなさい。すなわち、あなたがたが眠りから覚めるべき時がすでに来ている。今やわたしたちの救いは、わたしたちが信じた時よりも、もっと近づいているからです。

13:12 夜はふけた。日が近づいている。それだから、わたしたちは、闇のわざを脱ぎ捨てて、光の武器を身に着けましょう。

13:13 日中におけるように、正しく歩みましょう。すなわち、宴楽や泥酔ではなく、淫乱と遊蕩ではなく、争いやねたみではなく。

13:14 むしろあなたがたは、主イエス・キリストを着なさい。そして肉の欲を満たす備えをしてはならない。

ローマ 第14章↑

14:1 信仰の弱い者を受け入れなさい。ただ、考え方を批評するためであってはならない。

14:2 ある者は、すべてのものを食べてもよいとの信仰を持っているが、弱い者は野菜を食べる。

14:3 食べる者は、食べない者を軽んじてはならない。食べない者は、食べる者を裁いてはならない。なぜなら、神は彼を受け入れられたからです。

14:4 他人の家僕を裁くとは、あなたは誰なのですか。彼が立つのも倒れるのも、自分の主人によるのです。しかし、彼は立つようになる。主は彼を立たせることができるからです。

14:5 ある者はある日を他の日よりも重んじ、ある者はすべての日は同じであると判断する。おのおの自分の思いの中で確信を持ちなさい。

14:6 日を重んじる者は、主のために重んじる。また食べる者も主のために食べる。彼は主に感謝しているからです。食べない者も主のために食べない。そして、神に感謝する。

14:7 わたしたちのうちの誰も、自分自身のために生きてはおらず、また誰も、自分自身のために死にはしない。

14:8 わたしたちは、生きるのも主のために生き、死ぬのも主のために死ぬ。それゆえに、生きるにしても死ぬにしても、わたしたちは主のものなのです。

14:9 このために、キリストが死んで、そして生きられたのは、彼が死んだ者たちと生きている者たちの主となられるためです。

14:10 それなのに、あなたは、なぜあなたの兄弟を裁くのか。あなたは、なぜあなたの兄弟を軽んじるのか。事実、わたしたちはみな、神の裁きの座の前に立つでしょう。

14:11 「主が言われる。わたしは生きている。すべてのひざは、わたしに対してかがみ、すべての舌は、神に賛美をささげるであろう」と書いてあるからです。

14:12 したがってそれゆえに、わたしたちひとりびとりは、自分自身についての言い開きをすることになるのです。

14:13 こういうわけで、もはや互いに裁くことがないようにしましょう。むしろ、あなたがたは、つまずきとなる物や、妨げとなる物を兄弟の前に置かないようにするという、このことを決めなさい。

14:14 わたしは、主イエスにあって知り、また確信している。それ自体、汚れているものは一つもない。ただ、何かが汚れていると考える者、その者にとってはそれは汚れている。

14:15 事実、もし食物のゆえにあなたの兄弟を苦しめるなら、あなたはもはや愛にしたがって歩んでいるのではない。あなたの食物によって、その者を滅ぼしてはならない。その者のために、キリストは死なれたのです。

14:16 それゆえに、あなたがたの善がそしられないようにしなさい。

14:17 なぜなら、神の王国は食べることや飲むことではなく、むしろ義、そして平和、そして聖霊における喜びだからです。

14:18 このことにおいてキリストに隷従する者は、神に喜ばれ、また人々からも是認されるのです。

14:19 したがってそれゆえに、平和のことと、互いに造りあげることを追い求めましょう。

14:20 食物のゆえに、神のみわざを破壊してはならない。すべてのものは清いのですが、食べてつまずく人にはそれは悪となる。

14:21 肉を食べないこと、またぶどう酒を飲まないこと、あなたの兄弟がつまずく、また陥れられる、また弱くなるようなことにおいては何もしないことは、良いことです。

14:22 あなたの持っている信仰を、神のみ前に、自分自身に持っていなさい。自分が良しとすることにおいて、自分を裁かない人は幸せです。

14:23 しかし、もし人が疑いながら食べるなら、罪に定められる。それは信仰から出たものではないからです。すべて信仰から出たのでないものは、罪です。

ローマ 第15章↑

15:1 わたしたち強い者は、強くない者たちの弱さを担うべきであって、自分を喜ばせることをしてはならない。

15:2 わたしたちはおのおの、造りあげるのに良い事柄によって隣人を喜ばすべきです。

15:3 キリストも、ご自身を喜ばせることはされなかったからです。むしろ、書いてあるとおりです。「あなたをそしる者のそしりが、わたしに降りかかった」。

15:4 事実、以前に書かれた事は、わたしたちの教えのために書かれたのであり、それはわたしたちが、忍耐を通して、また聖書の励ましを通して、期待を持つためです。

15:5 どうか忍耐と励ましの神が、キリスト・イエスにしたがって、互いの間に同じ思いを、あなたがたに与えてくださるように。

15:6 それは、あなたがたが、心を合わせて、一つの口で、わたしたちの主イエス・キリストの神また父に栄光を帰すためです。

15:7 こういうわけで、あなたがたは互いを受け入れなさい。ちょうどキリストもまた、神の栄光のために、あなたがたを受け入れて下さったように。

15:8 わたしは言う。キリストは神の真実のために、割礼の奉仕人となられた。それは父祖たちへの約束を確認するためであり、

15:9 また諸国の民々があわれみのゆえに、神に栄光を帰すためです。書いてあるとおりです。「こういうわけで、わたしは諸国の民々の間であなたをたたえ、またあなたのみ名に賛美を歌う」。

15:10 また、こう言っている。「諸国の民々よ、彼の民と共に喜べ」。

15:11 また、「すべての諸国の民々よ、主をたたえよ。すべての民よ、彼をたたえよ」。

15:12 またイザヤは言っている。「エッサイの根があり、諸国の民々を支配するために立ち上がる者がいるであろう。諸国の民々は彼に期待を置くであろう」。

15:13 どうか、期待の神が、信じることにおけるあらゆる喜びと平和とで、あなたがたを満たしてくださるように。それはあなたがたが、聖霊の力の中で期待に満ちあふれるためです。

15:14 さて、わたしの兄弟たちよ。あなたがた自身が、善に満ち、あらゆる知識で満たされ、そして互に訓戒し合う力のあることを、わたし自身はあなたがたについて確信している。

15:15 しかし、わたしはあなたがたの記憶を新たにするために、神によってわたしに与えられた恵みのゆえに、ところどころかなり大胆にあなたがたに書いた。

15:16 それは,わたしが諸国の民々へのキリスト・イエスの奉仕者となり、神の良い知らせのための祭司となるためであって、こうして、ささげ物である諸国の民々が、聖霊によって聖められたものとされ、受け入れられるものとなるためです。

15:17 それゆえにわたしは、キリスト・イエスにあって、神に対しての誇りを持っている。

15:18 キリストがわたしを通じて働かれたことのほかには、わたしはあえて何も語ろうとはしない。その働きは、諸国の民々を従順に至らせるためであり、言葉とわざにより、

15:19 しるしと不思議との力により、霊の力におけるものでした。こうして、エルサレムから、巡りめぐってイルリコに至るまで、わたしはキリストの良い知らせを満たした。

15:20 このようにして、わたしの切に望んだところは、他人の土台の上に建てることをしないように、キリストのみ名がまだ唱えられていない所に良い知らせを宣べ伝えることでした。

15:21 むしろ、書いてあるとおりです。「彼に関して告げ知らされていなかった者たちが見るであろう。そして聞いたことのない者たちが理解するであろう」。

15:22 こういうわけで、わたしはあなたがたの所に行くことを、たびたび妨げられてきた。

15:23 しかし今では、これらの地方にはもはや働く余地がないので、そしてあなたがたの所に行くことを長年熱望してきたので、

15:24 わたしがイスパニヤへ行く途中あなたがたに会い、まず部分的にでもわたしの願いがあなたがたによって満たされたら、あなたがたに送られてそこへ行くことを、期待しているのです。

15:25 しかし今は、聖なる者たちに仕えるために、わたしはエルサレムに行く。

15:26 なぜなら、マケドニヤとアカヤとは、エルサレムにいる聖なる者たちのうちの貧しい者たちのためにいくらかの交わりの援助を行なうことを、喜んで賛成したからです。

15:27 確かに、彼らは喜んで賛成した。また彼らは、彼らに負い目のある者たちです。というのは、もし諸国の民々が彼らの霊の物にあずかったとすれば、肉的なものにおいても彼らに仕える負い目を持っているからです。

15:28 そこでわたしは、これを成し終えてから、また彼らにこの実を封印して渡してから、あなたがたの所を通って、イスパニヤに行くでしょう。

15:29 そしてわたしはあなたがたの所に行く時、キリストの満ちあふれる祝福のうちにあって行くことを知っている。

15:30 さて、兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストを通して、そして霊の愛を通して、わたしはあなたがたにお願いする。わたしのため、神への祈りにおいて、わたしと共に力を尽くしてほしい。

15:31 それは、わたしがユダヤにおける頑固である者たちから救い出され、またエルサレムのためのわたしの奉仕が、聖なる者たちに喜ばれるためです。

15:32 神の意志を通して、わたしが喜びのうちにあなたがたのところに行き、あなたがたと共に休息するようになるためです。

15:33 平和の神があなたがたすべてと共におられるように。アァメン。

ローマ 第16章↑

16:1 ケンクレヤにある集会の奉仕者、わたしたちの姉妹フィベを、あなたがたに紹介する。

16:2 どうか、聖なる者たちにふさわしく、主にあって彼女を迎え入れ、そして、彼女があなたがたにしてもらいたいことがあれば、何事でも、助けてあげてほしい。事実、彼女は多くの者たちの援助者となったのであり、わたし自身の援助者ともなったのです。

16:3 キリスト・イエスにあるわたしの同労者プリスカとアクラとによろしく、と挨拶してください。

16:4 彼らは、わたしの魂のために、彼ら自身の首を差し出してくれたのです。彼らに対しては、わたしだけではなく、諸国の民々のすべての集会も、感謝している。

16:5 彼らの家にある集会にもよろしく、と挨拶してください。わたしの愛するエパネトによろしく、と挨拶してください。彼は、キリストにささげられたアジヤの初穂です。

16:6 あなたがたのために多くの苦労をしたマリヤによろしく、と挨拶してください。

16:7 わたしの同族であって、またわたしの囚人仲間であるアンデロニコとユニアスとによろしく、と挨拶してください。彼らは使徒たちの間で評判がよく、またわたしより先にキリストにある者となった者たちです。

16:8 主にあってわたしの愛するアムプリアトによろしく、と挨拶してください。

16:9 キリストにあるわたしたちの同労者ウルバノ、またわたしの愛するスタキスによろしく、と挨拶してください。

16:10 キリストにあって是認された者アペレによろしく、と挨拶してください。アリストブロの家の者たちによろしく、と挨拶してください。

16:11 同族のヘロデオンによろしく、と挨拶してください。主にあるナルキソの家の者たちによろしく、と挨拶してください。

16:12 主にあって労苦しているツルパナとツルポサとによろしく、と挨拶してください。主にあって多くの労苦をした愛するペルシスによろしく、と挨拶してください。

16:13 主にあって選ばれたルポス、そして彼とわたしとの母によろしく、と挨拶してください。

16:14 アスンクリト、フレゴン、ヘルメス、パトロバ、ヘルマス、そして彼らと一緒にいる兄弟たちによろしく、と挨拶してください。

16:15 ピロロゴとユリヤとに、またネレオと彼の姉妹とに、オルンパに、また彼らと一緒にいるすべての聖なる者たちによろしく、と挨拶してください。

16:16 聖なる口づけをもって互いに挨拶してください。キリストのすべての集会があなたがたに挨拶を送る。

16:17 さて兄弟たちよ。あなたがたに勧告する。あなたがたが学んだ教に反して、分裂やつまずきを起こす者たちに注意しなさい。そして、彼らを避けなさい。

16:18 なぜなら、こうした者たちは、わたしたちの主キリストに隷従しないで、自分の腹に隷従しているからです。そして甘言と美辞とをもって、無垢な人々の心を欺くのです。

16:19 あなたがたの従順は、すべての者の耳に達した。それゆえに、わたしはあなたがたのことを喜んでいる。しかし、わたしの願うところは、あなたがたが善に対しては賢く、悪に対しては純真であってほしいことです。

16:20 平和の神は、サタンを速やかにあなたがたの足の下に踏み砕くでしょう。わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがたと共にあるように。

16:21 わたしの同労者であるテモテがあなたがたに挨拶を送る。そしてわたしの同族であるルキオ、ヤソン、ソシパテロもそうしている。

16:22 この手紙を筆記したわたしテルテオも、主にあってあなたがたに挨拶を送る。

16:23 わたしと全集会との家主であるガイオが、あなたがたに挨拶を送る。市の執事であるエラストが、あなたがたに挨拶を送る。そして、兄弟であるクワルトもそうしている。

16:24 わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがた一同と共にあるように、アァメン。

16:25 では、わたしの良い知らせとイエス・キリストを宣べ伝えることにしたがって、また世々の時々間々に亘って沈黙させられてきた奥義の啓示にしたがって、あなたがたを確立することができる方に、

16:26 (しかし今や、この奥義は、預言の書を通し、世々の特質ある神の命令にしたがって、信仰の従順に至らせるために、すべての諸国の民々に知らされた)

16:27 この唯一の知恵ある神に、イエス・キリストを通して、栄光が、世々に亘り、あるように。アァメン。

第1コリント

第1コリント 第1章↑

1:1 神のご意志を通して召されたキリスト・イエスの使徒パウロと、兄弟ソステネから、

1:2 コリントにある神の集会、キリスト・イエスにおいて聖められた者たち、召された聖なる者たちと共に、わたしたちの主イエス・キリストのみ名を至る所で呼び求めているすべての者たちへ。彼は彼らのものであり、そしてわたしたちのものです。

1:3 わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。

1:4 わたしは、キリスト・イエスにあってあなたがたに与えられた神の恵みのゆえに、あなたがたについて、いつもわたしの神に感謝している。

1:5 あなたがたは彼にあって、すべてのことにおいて、すなわち、すべての言葉とすべての知識において、豊かにされたからです。

1:6 キリストの証しがあなたがたの間で確かなものとされた。

1:7 こうして、あなたがたはどんな賜物にも欠けることがなく、わたしたちの主イエス・キリストの出現を待ち望んでいる。

1:8 そして彼も、あなたがたを終結まで確固たる者とし、わたしたちの主イエス・キリストの日に、責められるところのない者にしてくださるでしょう。

1:9 神は忠実です。この方を通して、あなたがたは彼の息子、わたしたちの主イエス・キリストの交わりへと召されたのです。

1:10 さて兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストの名を通して、あなたがたにお願いする。あなたがたがみな同じ事を語り、あなたがたの間に分裂がなく、同じ思いにあって、また同じ意見にあって結び合わされるように、と。

1:11 なぜなら、わたしの兄弟たちよ、あなたがたについて、クロエの家の者たちからわたしに打ち明けられたのですが、あなたがたの間に争いがあるとのことです。

1:12 わたしがこう言う。あなたがたそれぞれが、「わたしはパウロにつく」「いや、わたしはアポロに」「いや、わたしはケパに」「いや、わたしはキリストに」と言っていることです。

1:13 キリストは分けられたのでしょうか。パウロはあなたがたのためにはりつけにされたのでしょうか。それとも、あなたがたは、パウロの名の中へとバプテスマされたのでしょうか。

1:14 わたしはクリスポとガイオ以外には、あなたがたのうちの誰にも、バプテスマしなかったことを、神に感謝している。

1:15 それは、あなたがたがわたしの名の中へとバプテスマされたと、誰も言うことがないためです。

1:16 わたしは、ステパナの家の者にもバプテスマした。ほかの者たちについては、誰かにバプテスマした覚えがない。

1:17 なぜなら、キリストがわたしを遣わされたのは、バプテスマするためではなく、良い知らせを宣べ伝えるためです。しかも、言葉の知恵を用いてではない。それは、キリストの十字架がむなしくならないためです。

1:18 十字架の言葉は、滅び行く者には愚かですが、救われつつあるわたしたちには、神の力です。

1:19 なぜなら、「わたしは知者の知恵を滅ぼし、賢い者の賢さをむなしいものにする」と書いてあるからです。

1:20 知者はどこにいるか。書記官はどこにいるか。この世の論者はどこにいるか。神は世界の知恵を、愚かにされたではないか。

1:21 事実、神の知恵においては、世界が知恵を通して神を知ることはなかったので、神は宣べ伝えることの愚かさを通して、信じる者たちを救うことを喜ばれたのです。

1:22 ユダヤ人はしるしを請い、ギリシヤ人は知恵を追い求める。

1:23 しかしわたしたちは、はりつけにされたキリストを宣べ伝える。これは、ユダヤ人にはつまずかせるもの、諸国の民々には愚かなものです。

1:24 しかし、召された者たち自身にとっては、ユダヤ人にもギリシヤ人にも、キリストは神の力、また神の知恵です。

1:25 神の愚かさは人よりも賢く、神の弱さは人よりも強いからです。

1:26 兄弟たちよ。あなたがたの召しについて見ていることですが、肉によれば知恵者は多くはなく、力ある者も多くはなく、生まれの良い者も多くはいない。

1:27 しかし、神は知恵者を辱めるために、この世界の愚かな者を選び、また神は強い者を辱めるために、この世界の弱い者を選び、

1:28 また神は、有るものを無いものとするために、この世界の生まれの卑しい者や軽んじられている者、無きに等しい者を選ばれたのです。

1:29 それは、すべての肉なる者が神の前で誇ることがないためです。

1:30 この方によってこそ、あなたがたはキリスト・イエスのうちにある。彼は、わたしたちにとって、神からの知恵となり、義と聖化と救出とになられたのです。

1:31 それは、「誇る者は主にあって誇れ」と書いてあるとおりになるためです。

第1コリント 第2章↑

2:1 兄弟たちよ。わたしもまた、あなたがたの所に行った時、神の証しを宣べ伝えるのに、すぐれた言葉や知恵を用いなかった。

2:2 なぜなら、わたしはイエス・キリスト、しかもはりつけにされたこの方以外のことは、あなたがたの間では何も知るまいと、決心したからです。

2:3 わたしもまた、弱さと、そして恐れと、そして多くのおののきのうちに、あなたがたと共にいた。

2:4 そして、わたしの言葉もわたしの宣べ伝えも、知恵の説得力のある言葉によらないで、霊と力との証明によったのです。

2:5 それは、あなたがたの信仰が人の知恵によらないで、神の力によるものとなるためでした。

2:6 しかしわたしたちは、円熟している者の間では、知恵を語る。しかし、それは、この世の知恵ではなく、この世の滅び行く支配者たちの知恵でもない。

2:7 むしろ、わたしたちが語るのは、奥義の中にあって隠されてきた神の知恵です。それは神が、わたしたちの栄光のために、世々の前にあらかじめ定めておかれたものです。

2:8 それを、この世の支配者たちは、誰一人知らなかった。もし知っていたなら、彼らは栄光の主をはりつけにしなかったでしょう。

2:9 しかし、書いてあるとおりです。「神は、ご自分を愛する者たちのために備えられた事柄は、目も見ず、耳も聞かず、人の心に思い浮びもしなかった」のです。

2:10 そして、それを神は、霊を通してわたしたちに啓示されたのです。霊は、すべてを、神の深みをさえも、探るからです。

2:11 というのは、人の事柄は、その人のうちにある人の霊以外に、人々の間で誰が知っているでしょうか。同じように、神の事柄も、神の霊以外には、誰も知らないのです。

2:12 ところが、わたしたちが受けたのは、この世界の霊ではなく、神からの霊です。それはわたしたちが、神によってわたしたちに恵みとして与えられたものを知るためです。

2:13 わたしたちがそれらの事柄を語るのは、人の知恵に教えられた言葉ではなく、霊に教えられた言葉です。わたしたちは霊的なことに霊的なことを結び合わせるのです。

2:14 しかし、魂のままなる人は、神の霊の事柄を受け入れない。それは彼には愚かなものだからです。また彼は、それを知ることができない。それは、霊によって判断されるものだからです。

2:15 しかし、霊的な人は、すべてを判断し、彼自身は誰によっても判断されることはない。

2:16 「誰が主の思いを知って、彼を教えることができようか」。しかし、わたしたちはキリストの思いを持っている。

第1コリント 第3章↑

3:1 兄弟たちよ。わたしはあなたがたには、霊的な人たちに対するように話すことができず、むしろ、肉的な人たち、すなわち、キリストにある幼な子に対するように話した。

3:2 わたしはあなたがたに、食物ではなく、乳を与えた。食べる力が、まだあなたがたになかったからです。しかし今になってもその力がない。

3:3 あなたがたはまだ肉的だからです。あなたがたの間にねたみや争いがあるとすれば、それはあなたがたが肉的であって、人にしたがって歩んでいるのではないか。

3:4 すなわち、ある人は「わたしはパウロにつく」と言い、またほかの人は「わたしはアポロにつく」と言っているようでは、あなたがたはただの人ではないか。

3:5 では、アポロは、何か。また、パウロは何か。奉仕者であり、あなたがたはその者たちを通して信者となった。しかもそれぞれ、主から与えられた分に応じて仕えているのです。

3:6 わたしは植え、アポロは水を注いだ。しかし成長させてくださったのは、神です。

3:7 だから、植える者も水を注ぐ者も取るに足りない。大事なのは、成長させてくださる神です。

3:8 植える者と水を注ぐ者とは一つであって、各自はそれぞれの働きに応じて自分の報酬を受けるでしょう。

3:9 わたしたちは神の同労者です。あなたがたは神の畑であり、神の建物です。

3:10 わたしに与えられた神の恵みにしたがって、わたしは知恵のあるすぐれた建築家のように、土台を据えたが、他の人がその上に建てるのです。しかし各自は、どのようにその上に建てるか、注意しなさい。

3:11 なぜなら、すでに据えられている土台以外のものを据えることは、誰にもできない。この土台はイエス・キリストです。

3:12 ところが、この土台の上に、誰かが金、銀、宝石、木、草、または、わらで建てるなら、

3:13 それぞれの働きはあらわになる。なぜなら、その日がそれを示すのです。それは火の中に示されるからです。それぞれの働きがどんなものであるかを、その火自身がためすのです。

3:14 もしある者の建てたわざが残れば、彼は報酬を受けるでしょう。

3:15 もし、ある者のわざが焼かれてしまえば、損失を被るでしょう。しかし、彼自身は救われるでしょう。しかし、火をくぐるようにしてでしょう。

3:16 あなたがたは神の聖所であって、神の霊が自分たちのうちに宿っていることを知らないのか。

3:17 もし誰かが、神の聖所を滅ぼすなら、神はその者を滅ぼすでしょう。なぜなら、神の聖所は聖なるものであり、それはあなたがただからです。

3:18 誰も自分を欺いてはならない。もしあなたがたの間の誰かが、自分はこの世の知恵者だと考えているなら、その者は知恵者になるために愚かになりなさい。

3:19 なぜなら、この世界の知恵は、神にとっては愚かなものだからです。「知恵者たちを、彼らの狡猾さの中で捕える方」と書いてあり、

3:20 そしてまた「主は、知恵者たちの論議が空しいことを知っておられる」とある。

3:21 それゆえ、誰も人を誇ってはいけない。すべてのものは、あなたがたのものだからです。

3:22 パウロであれ、アポロであれ、ケパであれ、世界であれ、命であれ、死であれ、現在のものであれ、来たるべきものであれ、すべてはあなたがたのものです。

3:23 しかし、あなたがたはキリストのものであり、キリストは神のものです。

第1コリント 第4章↑

4:1 このようなわけだから、人はわたしたちを、キリストに仕える者、また神の奥義の家令とみなすべきです。

4:2 ここで、さらに、家令たちに求められるのは、忠実であることです。

4:3 しかし、わたしにとっては、あなたがたによって裁かれるのも、あるいは人の日によって裁かれるのも、最も小さい事です。いや、わたしは自分を裁くこともしない。

4:4 わたしは自ら省みて、なんらやましいことはないが、このことにおいてわたしが義とされるのではない。わたしを裁く方は、主です。

4:5 だから、主が来られるまで、季節に先立って、何事も裁いてはいけない。主は暗い中に隠れていることを明るみに出し、心の中で企てられていることを、あらわにされるでしょう。そしてその時、それぞれに賞賛が、神から与えられるでしょう。

4:6 さて兄弟たちよ。わたしはこれらのことを、あなたがたのために、わたし自身とアポロに当てはめた。それはあなたがたが、わたしたちを例にして、書かれていることを越えないことを学ぶためであり、一人がある一人のために高ぶって他の者に対立することのないためです。

4:7 というのは、誰があなたを偉いとするのですか。あなたの持っているもので、もらっていないものは何ですか。もしもらっているなら、なぜもらっていないもののように誇るのか。

4:8 あなたがたはすでに満ち足りている。あなたがたはすでに富んでいる。あなたがたはわたしたちを抜きにして王として支配しはじめた。ああ、あなたがたが王として支配しはじめていてくれたらと思う。そうすれば、わたしたちもあなたがたと一緒に王として支配するためです。

4:9 わたしはこう考える。神はわたしたち最後の使徒たちを、死に定められた者として、引き出された。なぜなら、わたしたちは、世界に対して、また使いの者たちに対して、また人々に対して、見せ物となったからです。

4:10 わたしたちはキリストのゆえに愚かな者ですが、あなたがたはキリストにあって賢い者です。わたしたちは弱いが、あなたがたは強い。あなたがたは栄誉を受けているが、わたしたちは卑しめられている。

4:11 今この時に至るまで、わたしたちは飢え、そして渇き、そして裸であり、そして打たれ、そして宿なしです。

4:12 またわたしたちは苦労して自分の手で働いている。ののしられれば祝福し、迫害されては耐え忍び、

4:13 中傷されては懇願するのです。わたしたちは今に至るまで、世界のくず、すべてのもののかすのようになっている。

4:14 わたしがこれらのことを書くのは、あなたがたを辱めるためではなく、むしろ、わたしの愛する子供たちとしてさとすためです。

4:15 たとえあなたがたがキリストにあって何万人の導く者を持っているとしても、しかし多くの父はいないのです。というのは、わたしが、キリスト・イエスにあって、良い知らせを通してあなたがたをもうけたからです。

4:16 そこで、わたしはあなたがたに勧める。わたしにならう者になりなさい。

4:17 このことのために、わたしは主にあって愛する忠実なわたしの子テモテを、あなたがたの所に送った。彼は、キリスト・イエスにおけるわたしの歩んでいる道を、わたしが至る所、すべての集会で教えているとおりに、あなたがたに思い起こさせるでしょう。

4:18 しかしある者たちは、わたしが実際にあなたがたの所に来ないかのように高ぶっている。

4:19 しかし主のみ心であれば、わたしはすみやかにあなたがたの所に行って、高ぶっている者たちの言葉ではなく、その力を知るようになるでしょう。

4:20 なぜなら、神の王国は言葉にではなく、力にあるからです。

4:21 あなたがたは、どちらを望むのか。わたしがむちをもって、あなたがたの所に行くことか、それとも、愛と柔和さの霊において行くことですか。

第1コリント 第5章↑

5:1 現に聞くところによると、あなたがたの間に淫売があり、しかもその淫売は、諸国の民々の間にもないほどのもので、ある者が父の妻を有しているとのことです。

5:2 しかもあなたがたは高ぶっている。むしろ、そんな行ないをした者が、あなたがたの中から取り除かれるように、悲しむべきではないか。

5:3 なぜなら、わたしとしては、体ではそこにいなくても、霊においてはそこにおり、現にその場にいる者のように、そんな行ないをした者を、すでに裁いてしまっているからです。

5:4 わたしたちの主イエスの名において、あなたがたもわたしの霊も共に、わたしたちの主イエスの力をもって集まって、

5:5 そのような者を、肉の滅びのためにサタンに引き渡すことになったのです。それは、霊が主の日に救われるためです。

5:6 あなたがたの誇りは良いものではない。あなたがたは、少しのパン種が粉のかたまり全体をふくらませることを、知らないのか。

5:7 新しい粉のかたまりになるために、古いパン種を取り除きなさい。あなたがたは、事実パン種のない者なのだから。わたしたちの過ぎ越しであるキリストがほふられたからです。

5:8 ですから、わたしたちは、古いパン種や、また悪意と邪悪とのパン種を用いずに、むしろパン種の入っていない純粋で真実なパンをもって、祭りをしましょう。

5:9 わたしがあなたがたに手紙の中で、男娼たちと交際してはいけないと書いたが、

5:10 それは、この世界の男娼たち、あるいは貪欲な者たちや強奪する者たち、あるいは偶像礼拝をする者たちと、全然交際してはいけない、ということではない。もしそうだとしたら、あなたがたはこの世界から出て行かなければならないことになる。

5:11 しかし今、わたしはあなたがたに書くが、もし誰か兄弟と呼ばれている者が、男娼、あるいは貧欲な者、あるいは偶像礼拝をする者、あるいはののしる者、あるいは酒に酔う者、あるいは強奪する者であるなら、交際をしてはいけない、そのような者と共に食事をしてもいけない、ということです。

5:12 外の者たちを裁くことは、わたしに何の関わりがあるでしょうか。あなたがたは内の者たちを裁くのではないのか。

5:13 外の者たちは神が裁かれる。あなたがた自身の中から、邪悪な者を除き去りなさい。

第1コリント 第6章↑

6:1 あなたがたのうちのある者が、他の者に対して訴え事がある場合、聖なる者たちの前にではなく、あえて不義な者たちの前に出て、裁きを受けようとするのですか。

6:2 それともあなたがたは、聖なる者たちが世界を裁くものであることを知らないのか。そして、世界はあなたがたによって裁かれるというのに、最も小さな事柄を裁く資格が、あなたがたにはないのか。

6:3 あなたがたは知らないのか、わたしたちは使いの者たちを裁く者です。まして日常の事柄をです。

6:4 もし日常の事柄が起ると、集会で軽んじられている者たちを、裁きの座に着かせるのですか。

6:5 わたしがこう言うのは、あなたがたを辱めるためです。あなたがたのうちには、兄弟たちの間を裁くことのできる知恵者が、一人もいないのか。

6:6 むしろ、兄弟同士裁かれ、しかもそれを不信者の前でするのですか。

6:7 あなたがたが互いに訴え合うということが、そもそもすでにあなたがたにとって敗北なのです。なぜ、むしろ不義を受けないのか。なぜ、むしろだまし取られていないのか。

6:8 しかし、あなたがたは不義を働き、だまし取り、しかも兄弟に対してそれをしているのです。

6:9 それともあなたがたは、不義なる者たちが神の王国を受け継ぐことはないのを知らないのか。あなたがたは惑わされてはいけない。男娼たちも、偶像礼拝をする者たちも、姦淫をする者たちも、女々しい者たちも、男色者たちも、

6:10 盗む者たちも、貧欲な者たちも、また酒に酔う者たち、ののしる者たち、強奪する者たちは、神の王国を受け継ぐことはないのです。

6:11 あなたがたのうちのある者たちは、かつてはこれらのような者でした。しかし、あなたがたは主イエス・キリストの名において、またわたしたちの神の霊において、洗われ、聖められ、義とされたのです。

6:12 すべてのことは、わたしに許されている。しかし、すべてのことが益になるわけではない。すべてのことは、わたしに許されている。しかし、わたしは何ものにも支配されることはない。

6:13 食物は腹のため、腹は食物のためです。しかし神は、それもこれも滅ぼすです。体は淫売のためではなく、主のためであり、主は体のためです。

6:14 さて、神は主を起こされたのであり、ご自分の力を通して、わたしたちをも起こされるでしょう。

6:15 あなたがたはあなたがたの体がキリストの肢体であることを、知らないのか。それで、キリストの肢体を取って売春婦の肢体としてよいのか。決してそのようなことはないように。

6:16 それともあなたがたは、売春婦に結合される者が、一つ体になることを知らないのか。「二人は一つの肉体となるであろう」と言っておられるからです。

6:17 しかし、主に結合される者は一つの霊なのです。

6:18 淫売をお逃げなさい。人が犯すすべての罪は体の外にある。しかし淫売を習わしにする者は自分の体に対して罪を犯すのです。

6:19 それとも、あなたがたは知らないのか。あなたがたの体は、あなたがたのうちにある聖霊の聖所であること、またそれは、神から受けるもので、あなたがた自分自身のものではないのです。

6:20 あなたがたは、代価をもって買い取られたからです。ですから、あなたがたの体において、神に栄光を帰しなさい。

第1コリント 第7章↑

7:1 さて、あなたがたが書いてきた事柄についてですが、男が女に触れないことは良いことです。

7:2 しかし、淫売のゆえに、男はそれぞれ自分自身の妻を持ち、そして女はそれぞれは自分自身の夫を持ちなさい。

7:3 夫は妻に対して義務を果たし、また妻も夫に対して同じようにしなさい。

7:4 妻は自分の体に関して権限を行使するのではなく、むしろ夫がそうするのです。同じように、夫も自分の体に関して権限を行使するのではなく、むしろ妻がそうするのです。

7:5 互に拒んではいけない。ただし、合意の上で祈に専念するために、ある時節のあいだ離れ、それからまた一緒になるというの場合は別です。それは、サタンが、あなたがたの自制力のないのに乗じてあなたがたを誘惑することのないためです。

7:6 しかし、これを言うのは譲歩としてであって、命令ではない。

7:7 わたしが望むのは、すべての人がわたしのようであることです。しかし、それぞれは神からの自分自身の恵みの賜物を持っている。ある人はこうしており、他の人はそうしている。

7:8 さて、未婚者たちとやもめたちとに言うが、わたしのように、そのままでいるのはよいことです。

7:9 しかし、もし自制することができないなら、彼らは結婚するがよい。情に燃えるよりは、結婚する方がよいからです。

7:10 更に、結婚している者たちに命じる。命じるのは、わたしではなく主であるが、妻は夫から別れてはいけない。

7:11 しかし、もし別れているなら、そのまま結婚していない状態に留まるか、それとも夫と和解するがよい。また夫も妻を去らせてはならない。

7:12 しかし、その他の者たちにわたしは言う。これを言うのは、主ではなく、わたしです。ある兄弟が不信者の妻を持ち、彼女が彼と共に住むことを喜んでいる場合には、彼女を去らせてはいけない。

7:13 また、ある女が不信者の夫を持ち、その者が彼女と共に住むことを喜んでいる場合には、夫を去らせてはいけない。

7:14 なぜなら、不信者の夫は妻において聖められており、また不信者の妻はその兄弟において聖められているからです。もしそうでなければ、あなたがたの子供たちは汚れていることになる。しかし今、彼らは聖なる者なのです。

7:15 しかし、もし不信者が別れるなら、別れさせなさい。兄弟あるいは姉妹は、そのような事柄において縛られてはいない。神はわたしたちを平和のうちに召されたのです。

7:16 なぜなら、妻よ、あなたが夫を救うであろうかどうか、どうしてわかるか。また、夫よ、あなたも妻を救うであろうかどうか、どうしてわかるか。

7:17 ただ、主がそれぞれに分け与えられた分に応じ、また神が召されたままの状態にしたがって、歩みなさい。そして、わたしはすべての集会においてこのように命じる。

7:18 割礼を受けてから召された人がいるか。その人は、無割礼になってはならない。無割礼で召された人がいるか。その人は、割礼を受けてはならない。

7:19 割礼は何でもないこと、無割礼も何でもないことです。価値があるのは、ただ神の戒めを守ることです。

7:20 各自は、召された時の召し、その中にとどまっていなさい。

7:21 あなたは奴隷として召されたのですか。それを気にしないがよい。しかし、自由になることもできるなら、むしろその機会をとらえなさい。

7:22 主にあって奴隷として召された者は、主の自由人であり、同じように、自由人として召された者は、キリストの奴隷だからです。

7:23 あなたがたは代価をもって買われたのです。人の奴隷となってはいけない。

7:24 兄弟たちよ。神の前では、各自は、その召されたままの状態、それにとどまっていなさい。

7:25 処女たちについて、わたしは主の命令を持ってはいないが、忠実であるよう主によってあわれみを受けた者として、わたしの意見を伝える。

7:26 それで、現状による必要性のゆえに、わたしはこうするのがよいと考えている。人がそのままにあるのがよいということです。

7:27 あなたは妻に縛られているか。解かれることを求めてはならない。あなたが女性から解かれているか。妻を求めてはならない。

7:28 しかし、たとえあなたが結婚しても、罪を犯すのではない。またもし処女が結婚しても、罪を犯すのではない。しかし、そのような者たちは、その身に患難を受けることでしょう。わたしは、あなたがたを、それからのがれさせたいのです。

7:29 兄弟たちよ。わたしはこのことを言っておく。時は縮まっている。これからは、妻のある者はないもののように、

7:30 泣く者は泣かないもののように、喜ぶ者は喜ばないもののように、買う者は持たないもののように、

7:31 世界を用いる者はそれを十分に用いていないもののようになりなさい。なぜなら、この世界の有り様は過ぎ去っていくからです。

7:32 わたしが欲するのは、あなたがたに思い煩いがないことです。未婚の者は主のことに心をくばって、どうかして主を喜ばせようとするが、

7:33 結婚している者は世界のことに心をくばって、どうかして妻を喜ばせようとして、

7:34 彼は分かたれるのです。未婚の女と処女とは、主のことに心をくばって、体においても霊においても聖くなろうとするが、結婚している者は世界のことに心をくばって、どうかして夫を喜ばせようとする。

7:35 わたしがこう言うのは、あなたがた自身の利益のためであって、あなたがたに輪なわを掛けるためではない。そうではなく、あなたがたが折目正しく、余念なく絶えず主に仕えるためです。

7:36 もしある人が、自分の処女に対して、情熱をいだくようになった場合、それは適当でないと思いつつも、やむを得なければ、望みどおりにしてもよい。それは罪を犯すことではない。彼らは結婚すべきです。

7:37 しかし、彼が心の内で堅く立ち、必要もなく、自分の思いを制することができ、その上で、自分の処女をそのままにしておこうと、心の中で決めたなら、そうしてもよい。

7:38 したがって、自分の処女を結婚する者は、良いことを行なうのであり、また彼女を結婚しない者は、さらに良いことを行なうことになるのです。

7:39 夫が生きている間、妻は縛られている。しかし、夫が眠りについたなら、彼女は欲する者と結婚する自由があるが、ただ主にある者とだけです。

7:40 しかし、わたしの意見では、そのままでいるなら、もっと幸せです。しかし、わたしも神の霊を持っていると思う。

第1コリント 第8章↑

8:1 偶像への供え物については、わたしたちがみな知識を持っていることを、わたしたちは知っている。知識は高ぶらせるが、愛は築き上げる。

8:2 もし誰かが、何か知っていると思うなら、その者はまだ、知るべきほどにもそれを知っていない。

8:3 しかし、もし誰かが神を愛するなら、その者は神に知られているのです。

8:4 それで、偶像への供え物を食べることについては、わたしたちは偶像が世界の中に無きに等しいものであること、また、神はただひとりのほかにはいないこと知っている。

8:5 多くの神々や多くの主がいるとおり、天にであれ地にであれ神々といわれる者たちがいるとしても、8:6 しかし、わたしたちには、父なるただひとりの神がおられ、この方からすべてのものが出ており、わたしたちはこの方のためにあるのです。また、ひとりの主、イエス・キリストがおられ、この方を通してすべてのものがあり、わたしたちもこの方を通してあるのです。

8:7 しかしすべての人にこの知識があるのではない。ある者たちは、今までの偶像の習慣によって偶像への供え物としてそれを食べる。そして彼らの良心は、それが弱いために、汚されるのです。

8:8 しかし、食物がわたしたちを神へと導くことはない。わたしたちが食べても満ちることはなく、食べなくても欠けることはなない。

8:9 しかしあなたがたは、あなたがたのこの権限が、弱い者たちへのつまずきにならないように、注意しなさい。

8:10 なぜなら、もし誰かが、知識を持っているあなたが偶像の神殿で食卓に着いているのを見たなら、彼の良心は、彼自身が弱いために、偶像への供え物を食べるように強められることはないでしょうか。

8:11 実際には、あなたの知識によって、その弱い人が滅びることになる。それは兄弟で、キリストは彼のために死なれたのです。

8:12 しかし、こうして兄弟たちに対して罪を犯し、彼らの弱い良心を傷つけるとき、あなたがたはキリストに対して罪を犯していることになる。

8:13 だから、もし食物がわたしの兄弟をつまずかせるなら、わたしの兄弟をつまずかせないために、わたしは、世に亘って、決して肉を食べない。

第1コリント 第9章↑

9:1 わたしは自由な者ではないか。使徒ではないか。わたしたちの主イエスを見たではないか。あなたがたは、主にあるわたしのわざではないか。

9:2 わたしは、ほかの人々に対しては使徒でないとしても、あなたがたには使徒です。あなたがたが主にあることは、わたしの使徒職の証印だからです。

9:3 わたしを裁く者たちに対するわたしの弁明はこれです。

9:4 わたしたちには、飲み食いをする権限がないのか。

9:5 わたしたちには、残りの使徒たちや主の兄弟たちやケパのように、姉妹である妻を連れて歩く権限がないのか。

9:6 それとも、わたしとバルナバだけには、労働しなくてもよい権限がないのでしょうか。

9:7 いったい、自分の費用で軍隊に加わる者があろうか。ぶどう畑を作っていて、その実を食べない者があろうか。また、羊の群れを飼っていて、群れの乳を飲まない者があろうか。

9:8 わたしはこれらのことを人間的な標準で言っているのでしょうか。律法もまた、これらの事を言っているではないか。

9:9 なぜなら、モーセの律法の中にこう書かれているからです。脱穀している牛にくつこを掛けてはならない。神は、牛のことを心にかけておられるのでしょうか。

9:10 それとも、もっぱら、わたしたちのために言っておられるのか。たしかにわたしたちのためにこう書かれているのです。耕す者は期待をもって耕し、脱穀する者はあずかる期待をもってそうすべきだからです。

9:11 もしわたしたちが、あなたがたに霊的なものをまいたのなら、わたしたちがあなたがたの肉的なものを刈りとるとしても、それは何か重大なことなのでしょうか。

9:12 もしほかの人があなたがたに対して、この権限にあずかっているのであれば、わたしたちはなおさらそうではないか。しかし、わたしたちはこの権限を利用しなかった。むしろ、わたしたちはすべてのことを耐え忍んでいる。それはキリストの良い知らせに対して何の妨げをも与えないためです。

9:13 あなたがたは、聖なる事に従事している者たちは、神殿から出てくるものを食べ、祭壇に仕えている者たちは、祭壇の分け前にあずかることを、知らないのか。

9:14 そのように、主もまた良い知らせを宣べ伝える者たちに、良い知らせによって生活することを定められたのです。

9:15 しかしわたしは、これらを何一つ利用しなかった。わたしがこれらの事を書いたのは、自分にそうしてもらいたいからではない。なぜなら、わたしにとってはむしろ死ぬことのほうがよいからです。誰もわたしの誇りをむなしくすることはないでしょう。

9:16 事実、わたしが良い知らせを宣べ伝えても、それはわたしにとって誇りではない。それはわたしに迫る必要です。もし良い知らせを宣べ伝えないなら、わたしは災いです。

9:17 もしわたしがこれを自発的に行なうなら、わたしには報酬がある。しかし、もし強いられてするなら、わたしには家令職がゆだねられているのです。

9:18 それでは、わたしの報酬は何であるか。それは、良い知らせを宣べ伝えるときに無償で良い知らせを提供し、良い知らせにおけるわたしの権限を十分に用いないことです。

9:19 事実、わたしはすべての人から自由ですが、自らをすべての人に対して奴隷にした。それは、もっと多くの人を得るためです。

9:20 そしてユダヤ人には、ユダヤ人のようになった。ユダヤ人を得るためです。律法の下にある人には、わたし自身は律法の下にはないが、律法の下にある者のようになった。律法の下にある人を得るためです。

9:21 律法のない人には―わたしは神の律法がないのではなく、キリストの律法の中にあるのですが―律法のない人のようになった。律法のない人を得るためです。

9:22 弱い人には弱い者になった。弱い人を得るためです。すべての人に対しては、すべてのものになった。いかにもして幾人かを救うためです。

9:23 わたしはすべてのことを良い知らせのゆえにする。それは、わたしがそれに共にあずかる者となるためです。

9:24 あなたがたは知らないのか。競技場で走る者は、みな走りはするが、賞を得る者は一人だけです。あなたがたは賞を得るために、このように走りなさい。

9:25 しかし、すべて競技をする者は、すべての事で節制する。その者たちは朽ちる冠を受けるためにそうするが、わたしたちは朽ちない冠を受けるためにそうするのです。

9:26 そこで、わたしはこのように走る。目標のはっきりしないような走り方ではない。このように拳闘する。空を打つような拳闘ではない。

9:27 むしろわたしは、自分の体を打ちたたき、奴隷として従わせるのです。それは、ほかの人に宣べ伝えておきながら、自分自身が失格することがないためです。

第1コリント 第10章↑

10:1 兄弟たちよ。このことを知らずにいてもらいたくない。わたしたちの父祖たちはみな雲の下におり、みな海を通り、

10:2 そしてみな雲の中と海の中で、モーセへとバプテスマされた。

10:3 そして、みな同じ霊的な食物を食べ、

10:4 そしてみな同じ霊的な飲み物を飲んだ。すなわち、彼らについて来た霊的な岩から飲んだのですが、この岩は、キリストでした。

10:5 しかし、神は、彼らの大多数を喜ばれなかった。彼らは荒野でまき散らされたからです。

10:6 さて、これらの事はわたしたちの型になった。その者たちがむさぼったように、わたしたちも悪をむさぼることのないためなのです。

10:7 また、彼らのうちのある者たちのように、偶像礼拝者になってはならない。「民は食べ、そして飲むために、座り、また踊り戯れるために、立った」と書いてあるとおりです。

10:8 また彼らのうちのある者たちが淫売を行なったように、わたしたちは淫売を行なうことがないようにしましょう。彼らはそのため一日に二万三千人が倒れた。

10:9 また彼らのうちのある者たちがためしたように、わたしたちはキリストをためすことがないようにしましょう。彼らはそのため蛇に滅ぼされた。

10:10 また彼らのうちのある者たちがつぶやいたように、つぶやいてはならない。彼らは滅ぼす者に滅ぼされた。

10:11 これらがその者たちに起こったのは型としてです。それが書かれたのは、世々の終々結々に臨んでいるわたしたちに対する訓戒のためです。

10:12 だから、立っていると思う者は、倒れないように注意しなさい。

10:13 人の常でないのためしがあなたがたに臨んだことはない。しかし、神は忠実であって、あなたがたが耐えられる以上にためされることを許されない。むしろ、あなたがたがそれに耐えることができるように、ためしと共に逃れる道をも作って下さるでしょう。

10:14 それゆえに、愛する者たちよ。偶像礼拝から逃れなさい。

10:15 わたしは賢い者たちに対するようにして語っている。あなたがたは、わたしの言うことを判断しなさい。

10:16 わたしたちが祝福する祝福の杯、それはキリストの血との交わりなのではないのか。わたしたちが裂くパン、それはキリストの体との交わりなのではないのか。

10:17 パンが一つですから、わたしたちは多くいても、一つの体なのです。わたしたちはみな、その一つのパンに共にあずかるからです。

10:18 肉によるイスラエルを見なさい。供え物を食べる者たちは、祭壇との交わりを持つ者たちではないでしょうか。

10:19 さて、わたしは何を語っているのだろうか。偶像への供え物が何かであるというのか。あるいは、偶像が何かであるというのか。

10:20 むしろ、彼らが供える物は、悪霊たちに供えるのであって、神にではない。わたしはあなたがたが悪霊たちと交わる者になることを望まない。

10:21 あなたがたは主の杯と悪霊たちの杯の両方を飲むことはできない。主の食卓と悪霊たちの食卓の両方にあずかることはできない。

10:22 それとも、わたしたちは主にねたみを起こさせるのか。わたしたちは彼よりも強いのでしょうか。

10:23 すべてのことは許されている。しかし、すべてのことが益になるわけではない。すべてのことは許されている。しかし、すべてのことが築き上げるのではない。

10:24 誰も自分自身のことを求めないで、むしろ他の人のことを求めなさい。

10:25 肉市場で売られているすべてのものは、何も良心の問題とせずに食べなさい。

10:26 なぜなら、地とそれに満ちているものとは、主のものだからです。

10:27 不信者たちの誰かがあなたがたを招待し、あなたがたが行きたいと思う場合、あなたがたに提供されるものはすべて、良心の問題とせずに食べなさい。

10:28 しかし、もし誰かがあなたがたに、「これは聖なる供え物としてささげられた物です」と言うなら、それを知らせてくれた人のために、また良心のために、食べないでください。

10:29 良心とわたしが言うのは、あなた自身のではなく、その他の人のです。わたしの自由が、どうして他の人の良心によって裁かれるのでしょうか。

10:30 もしわたしが感謝してあずかる場合、どうしてわたしが感謝するものについて、わたしがそしりを受けるのですか。

10:31 だから、あなたがたが食べるにせよ、飲むにせよ、何をするにせよ、あなたがたはすべてのことを、神の栄光のために行ないなさい。

10:32 ユダヤ人にもギリシヤ人にも神の集会にも、つまずきになってはいけない。

10:33 わたしもまた、すべての事においてすべての人を喜ばせ、わたし自身の益ではなく、むしろ多くの人たちの益を求める。それは彼らが救われるためです。

第1コリント 第11章↑

11:1 わたしがキリストに倣う者であるように、あなたがたはわたしに倣う者となりなさい。

11:2 さてわたしは、あなたがたがわたしのすべてのことを覚えていて、そしてわたしがあなたがたに伝えたとおりに、言い伝えを守っているので、あなたがたをほめる。

11:3 しかし、あなたがたに知っていてもらいたいのは、すべての男の頭はキリストであり、女の頭は男であり、キリストの頭は神であることです。

11:4 誰でも、頭を覆って祈りまたは預言する男は、自分の頭を辱めることになる。

11:5 しかし、誰でも、頭を覆わないで祈りまたは預言する女は、自分の頭を辱めることになる。それは、髪を剃ったのと全く同じだからです。

11:6 もし女が覆いを着けないなら、髪も切りなさい。しかし、もし女にとって髪を切りまたは剃ることが恥ずべきことであるなら、覆いを着けなさい。

11:7 男は頭を覆うべきではない。彼は神の像また栄光だからです。しかし、女は男の栄光なのです。

11:8 なぜなら、男が女から出たのではなく、女が男から出たのだからです。

11:9 また、男は女のゆえに創造されたのではなく、女が男のゆえに創造されたのです。

11:10 それゆえ、女は頭の上に権威を、使いの者たちのゆえに、持つべきです。

11:11 ただ、主にあっては、男なしには女はないし、女なしには男はない。

11:12 女が男から出たのと同じように、男も女を通してあるからです。しかし、すべてのものは神から出ているのです。

11:13 あなたがた自身で判断しなさい。女が覆いをかけずに神に祈るのは、ふさわしいことでしょうか。

11:14 自然そのものが、あなたがたに教えてはいないでしょうか。男に長い髪があれば、それは彼にとって不名誉ですが、

11:15 女に長い髪があれば、それは彼女にとって栄光です。長い髪は覆いの代りに女に与えられているものだからです。

11:16 しかし、もし誰かが反論したくても、わたしたちにはそのような習慣はない。また、神の諸集会にもない。

11:17 しかし、わたしはこのことを命じるについて、あなたがたをほめるわけにはいかない。なぜなら、あなたがたの集まることが、益にならないで、むしろ損失になっているからです。

11:18 まず、あなたがたが集会に集まる時、あなたがたの間に分争があるとわたしは聞いており、そしてある程度それを信じている。

11:19 あなたがたの間には分派もあることが避けられないからですが、それは、良しと認められる人たちがあなたがたの間で明らかになるためでもある。

11:20 そこで、あなたがたが一緒に集まるとき、主の晩餐を食べることにはならないのです。

11:21 というのは、あなたがたが食べる時、各自が自分の晩餐をとるので、ある者は空腹で、ある者は酔っているからです。

11:22 あなたがたには、食べ飲みする家がないのか。それとも、神の集会を軽んじ、持っていない人たちを辱めるのですか。わたしはあなたがたに対して、何と言おうか。あなたがたを、ほめようか。この事では、ほめるわけにはいかない。

11:23 わたしは、主から受けたことを、あなたがたにも伝えたのです。すなわち主イエスは、引き渡された夜、パンを取り、

11:24 そして感謝してそれを裂き、そして言われた。「これはあなたがたのためのわたしの体です。わたしを想い起こすために、これを行ないなさい」。

11:25 食事した後、杯も同じようにして、言われた。「この杯はわたしの血における新しい契約です。あなたがたは飲むたびに、わたしを想い起こすために、これを行ないなさい」。

11:26 だから、あなたがたは、このパンを食べ、杯を飲むたびに、主の死を告げ知らせるのです。それは彼が来られる時にまで及ぶのです。

11:27 したがって、ふさわしくないままでパンを食べ杯を飲む者は、主の体と血に関して罪を負うことになるでしょう。

11:28 人は自分自身を吟味し、それからパンから食べ、また杯から飲みなさい。

11:29 なぜなら、主の体をわきまえないで食べ飲みする者は、自分自身に対する裁きを、食べ飲みすることになるからです。

11:30 そのゆえに、あなたがたのうちには、弱い者たちや病人たちが多くおり、また眠りついている者たちも少なくないのです。

11:31 しかし、わたしたちが自分をわきまえていたなら、裁かれなかったでしょう。

11:32 しかし、わたしたちが裁かれるのは、主に懲らしめられることなのであり、それは、わたしたちがこの世界と共に、罪に定められないためです。

11:33 それだから、わたしの兄弟たちよ。食事のために集まる時には、互に待ち合わせなさい。

11:34 もし誰かが空腹であったら、裁きを受けに集まることにならないため、家で食べなさい。その残りの事は、わたしが行った時に、命じることにしよう。

第1コリント 第12章↑

12:1 さて兄弟たちよ。霊的なものについては、わたしはあなたがたに知らずにいてもらいたくない。

12:2 あなたがたが知っているとおり、あなたがたが諸国民の人々であった時には、あなたがたはただ導かれるままに、声のない偶像のもとへと導かれた。

12:3 それゆえに、わたしはあなたがたに知らせておく。すなわち、神の霊において語っている者は誰も、「イエスは呪いなり」とは言わないし、また聖霊においてでなければ誰も、「イエスは主である」と言うこともできないのです。

12:4 ところが、恵みの賜物は種々ですが霊は同じです。

12:5 また、奉仕の務めは種々ですが、主は同じです。

12:6 また、働きは種々ですが、すべてにすべてを働かれる神は同じです。

12:7 しかし、それぞれに霊の現れが与えられているのは、益になるためです。

12:8 事実、ある者には霊を通して知恵の言葉が与えられており、ほかの者には同じ霊に従って知識の言葉が、

12:9 ほかの者には同じ霊において信仰が、ほかの者には一つの霊においていやしの賜物が、

12:10 ほかの者には力あるわざの働きが、ほかの者には預言が、ほかの者には霊の識別力が、ほかの者には種々の異言が、ほかの者には異言の解釈が与えられている。

12:11 これらすべてを働かせるのは一つで同じ霊であり、これがその欲するとおりにそれぞれ各自に分け与えられるのです。

12:12 体が一つであっても部分は多くあり、また、体のすべての部分が多くあっても、体は一つであるように、キリストも同様です。

12:13 なぜなら、わたしたちは、ユダヤ人もギリシヤ人も、奴隷も自由人も、一つの御霊において、一つの体の中へとバプテスマされ、そして皆一つの霊を飲むようにされたからです。

12:14 事実、体は一つの部分ではなく、多くの部分です。

12:15 もし足が、わたしは手ではないから、体に属していないと言っても、それで、体に属さないわけではない。

12:16 また、もし耳が、わたしは目ではないから、体に属していないと言っても、それで、体に属さないわけではない。

12:17 もし体全体が目だとすれば、どこで聞くのか。もし、全体が耳だとすれば、どこで嗅ぐのか。

12:18 しかし今、神は体に部分を、その各々を、彼の欲するままに置かれたのです。

12:19 もし、すべてが一つの部分なら、どこに体があるのか。

12:20 しかし今、部分は多くあるが、体は一つです。

12:21 目が手に向かって、わたしはあなたが要らないと言うことはできない。また頭が足に向かって、わたしはあなたが要らないと言うことはできない。

12:22 それどころか、ほかより弱いと思われる体の部分がむしろ必要なのです。

12:23 また、体の中でほかより誉れが少ないと思える部分、これをより豊かな誉れをもって着せる。こうして、わたしたちの不格好なところはより多くの恰好のよさを持つようになる。

12:24 しかし、わたしたちの格好よいところには、その必要はない。しかし神は、より劣っているところに、より多くの誉れを与えて、体を結び合わされたのです。

12:25 それは体に分裂がなく、その諸部分が互いに対して同じ配慮するためです。

12:26 もし一つの部分が苦しめば、すべての部分が共に苦しみ、一つの部分が栄光を受ければ、すべての部分が共に喜ぶ。

12:27 あなたがたはキリストの体であり、それぞれはその部分です。

12:28 そして神が集会の中に置かれたのは、第一に使徒たち、第二に預言者たち、第三に教師たち、次に力あるわざ、次にいやしの賜物、補助の働き、管理すること、各種の異言です。

12:29 すべての者が使徒でしょうか。すべての者が預言者でしょうか。すべての者が教師でしょうか。すべてがカあるわざでしょうか。

12:30 すべての者がいやしの賜物を持っているでしょうか。すべての者が異言で語るでしょうか。すべての者がその解釈をするでしょうか。

12:31 しかし、より大いなる恵みの賜物を求めなさい。そこで、わたしは最もすぐれた道をあなたがたに示そう。

第1コリント 第13章↑

13:1 たとえわたしが人々や使いの者たちの言葉を語っても、もし愛がなければ、わたしは、鳴り響く鐘や騒がしいシンバルになっている。

13:2 たとえまた、わたしには預言があり、あらゆる奥義とあらゆる知識とを知っていても、また、山々を移すほどのあらゆる信仰があっても、もし愛がなければ、わたしは無です。

13:3 たとえわたしが、わたしのすべての持ち物を分け与えたとしても、またわたしが、わたしの体を焼かれるために引き渡しても、愛がなければ、何の益にもならない。

13:4 愛は辛抱強く、愛は親切です。愛はねたまず、自慢せず、思い上がらず、

13:5 ふさわしくない振る舞いをせず、自分自身のものを求めず、刺激されても苛立たず、人の悪を数えず、

13:6 不義を喜ばず、しかし真理を共に喜ぶ。

13:7 すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを期待し、すべてを耐える。

13:8 愛は決して倒れることがない。しかし、預言であれば、それは廃され、異言であれば、それはやみ、知識であれば、それは廃れるでしょう。

13:9 なぜなら、わたしたちが知るのは部分的であり、そして預言するのは部分的であるからです。

13:10 しかし、円熟なものが来る時には、部分的なものは廃れるでしょう。

13:11 わたしたちが幼な子であった時には、幼な子のように語り、幼な子のように思い、幼児のように考えていた。しかしわたしが男になってからは、幼な子のことを捨ててしまった。

13:12 事実わたしたちは、今は鏡において謎のような形を見ている。しかしその時には、顔と顔とを合わせて見るでしょう。今は、わたしは部分的に知っているだけですが、その時には、わたしが完全に知られているように、完全に知るでしょう。

13:13 しかし今、存続するものは、信仰、期待、愛、これら三つです。しかしこれらの中で最大のものは愛です。

第1コリント 第14章↑

14:1 愛を追い求めなさい。霊的なものを、特にあなたがたが預言することを、熱心に求めなさい。

14:2 異言で語る者は、人に対してではなく、神に対して語るのだからです。それは、誰も聞き取れず、彼はただ霊で奥義を語るからです。

14:3 しかし預言する者は、築き上げることと励ましと慰めを、人々に語るのです。

14:4 異言で語る者は自分自身を築き上げるが、預言する者は集会を築き上げる。

14:5 わたしは、あなたがたすべてが異言で語ることを望むが、それも、むしろあなたがたが預言することのほうを望む。異言で語る者よりも、預言する者のほうがすぐれている。集会が築き上げられるためには、彼が解釈する場合は別です。

14:6 さて、兄弟たちよ。わたしが今あなたがたのところに行って異言で語るとしても、啓示において、あるいは知識において、あるいは預言において、あるいは教えにおいてあなたがたに語るのでなければ、あなたがたに何の益となるでしょうか。

14:7 音を出す魂がないものも同様であって、笛であれ、竪琴であれ、音に区別を与えないなら、笛で何が吹かれ竪琴で何が弾かれているのか、どうして分かるでしょうか。

14:8 また、もしラッパが不明瞭な音を出すなら、誰が戦闘の準備をするでしょうか。

14:9 これと同じように、あなたがたもまた、もし異言を通して理解しやすい言葉を語らないなら、どうしてその語ることが分かるでしょうか。それでは、空にむかって語っていることになる。

14:10 世界には多くの種類の音声があるかもしれない。それでも、意味のないものはない。

14:11 そこで、もしわたしがその音声の意味を理解しないなら、語っている人にとっては、わたしは異国人であり、語っている人も、わたしにとっては異国人です。

14:12 そのようにあなたがたも、霊的なものを熱心に求めている者なのだから、集会を築き上げるために、それに満ちあふれるように求めなさい。

14:13 それゆえに、異言で語る者は、自分がそれを解釈するために祈りなさい。

14:14 なぜなら、もしわたしが異言で祈るなら、わたしの霊は祈るが、わたしの理性は実を結ばないからです。

14:15 それではどうなのですか。わたしは霊で祈り、理性でも祈ろう。わたしは霊で歌い、理性でも歌おう。

14:16 そうでないと、もしあなたが霊で祝福しても、初心者の席を占めている者は、あなたの感謝に対してどうして「アーメン」と言えようか。彼はあなたが何を言っているのか分からないからです。

14:17 なぜなら、あなたが立派に感謝しても、ほかの人は築き上げられてはいないからです。

14:18 わたしは、あなたがたのすべてよりも多く異言で語ることを、神に感謝する。

14:19 しかし集会では、何万の言葉を異言で語るよりも、ほかの人たちをも教えるために、むしろ五つの言葉を理性で語りたく思う。

14:20 兄弟たちよ。理解力では、子供となってはいけない。悪については幼な子でありなさい。理解力では、完全に成長した者となりなさい。

14:21 律法の中に書いてある。「わたしは、異国の舌と異国のくちびるとで、この民に語るが、それでも、彼らはわたしに聞こうとしない、と主は言われる」。

14:22 このように、異言は信者のためではなく不信者のためのしるしであるが、預言は不信者のためではなく信者のためです。

14:23 そこでもし集会全体が一つ所に一緒に集まって、すべての者が異言を語っているところに、初心者か不信者かが入ってきたら、彼らはあなたがたは気が狂っていると言わないでしょうか。

14:24 しかし、もしすべての者が預言をしているところに、不信者か初心者が入ってきたら、彼はすべての者によって責められ、すべての者によって裁かれ、

14:25 彼の心の隠れたものがあらわになり、かくて顔を地にひれ伏して神を拝み、「まことに神があなたがたのうちにおられる」と公言するでしょう。

14:26 それでは兄弟たちよ、どうなのですか。あなたがたが一緒に集まる時、それぞれの人に詩があり、教えがあり、啓示があり、異言があり、解釈がある。すべては築き上げるために行ないなさい。

14:27 もし異言を語る者があれば、二人か、多くて三人の者が、順々に語り、そして、一人が解釈すべきです。

14:28 もし解釈する者がいないなら、彼は集会では黙っていて、自分に対しまた神に対して語るべきです。

14:29 しかし預言者は、二人か三人で語り、そしてほかの者たちは吟味なさい。

14:30 しかし、もし座っているほかの者に啓示があるなら、最初の者は黙りなさい。

14:31 なぜなら、あなたがたすべての者は、一人ずつ預言することができるだからです。それは、すべての者が学び、そしてすべての者が励まされるためです。

14:32 そして、預言者の霊は預言者に服従するものです。

14:33 神は無秩序の神ではなく、平和の神だからです。聖なる者たちのすべての集会においてそうです。

14:34 女たちは集会においては黙りなさい。彼女たちには語ることが許されていないからです。むしろ律法も言うとおり、彼女たちは服従しなさい。

14:35 もし彼女たちが何か学びたいと思うなら、家で自分たちの夫に尋ねなさい。女が集会において語るのは恥ずべきことだからです。

14:36 それとも、神の言葉はあなたがたから出て来たのか。それとも、それはあなたがたのところにだけやって来たのか。

14:37 もし誰かが、自分は預言者か霊的な者であると思うなら、わたしがあなたがたに書いていることは、主から出たきたことであると認めなさい。

14:38 しかし、もし誰かがそれを無視するなら、その人は無視される。

14:39 ですから、わたしの兄弟たちよ、預言することを熱心に求めなさい。また、異言を語ることを妨げてはならない。

14:40 しかし、すべてを品位を保つ仕方で、また秩序正しく行なうようにしなさい。

第1コリント 第15章↑

15:1 さて兄弟たちよ、わたしがあなたがたに宣べ伝えた良い知らせを、あなたがたに知らせる。あなたがたはそれを受け入れ、その中に立っている。

15:2 もしあなたがたが、いたずらに信じたのでない限り、わたしがあなたがたに宣べ伝えた良い知らせの言葉をしっかりと持っていれば、この良い知らせを通して、あなたがたは救われるのです。

15:3 なぜなら、わたしはあなたがたに、最初の事柄の中で、わたしも受けたことを伝えたからです。すなわち、キリストは、聖書に従って、わたしたちの罪のために死んだこと、

15:4 そして葬られたこと、そして聖書に従って、三日目に起こされていること、

15:5 そしてケパに現れ、次に十二人に現れたことです。

15:6 次いで彼は、五百人以上の兄弟たちに一度に現れた。そのうちの大部分は今に至るまで生存しているが、ある者たちは眠りについた。

15:7 次いで彼はヤコブに現れ、次にすべての使徒たちに現れた。

15:8 しかし、すべての者の最後に、月足らずに生れたようなわたしにも、現れられたのです。

15:9 実際わたしは、神の集会を迫害したのであるから、使徒たちの中で最も小さい者であって、使徒と呼ばれる値うちのない者です。

15:10 しかし、神の恵みによって、私は現在の私なのであり、そして、彼のわたしへの恵は無駄にはならず、むしろ、わたしは彼らすべてよりも多く働いてきた。しかしそれは、わたしではなく、わたしと共にあった神の恵みです。

15:11 こういうわけで、わたしであれ彼らであれ、そのように、わたしたちは宣べ伝えており、そのように、あなたがたは信じたのです。

15:12 しかし、キリストは死んだ者たちの中から起こされていると宣べ伝えられているのに、どうしてあなたがたのうちの何人かは、死んだ者たちの復活はない、と言っているのか。

15:13 もし死んだ者たちの復活がないならば、キリストも起こされてはいない。

15:14 そして、もしキリストが起こされてはいないとしたら、事実わたしたちの宣べ伝えはむなしく、あなたがたの信仰もむなしい。

15:15 すると、わたしたちは神の偽証人とさえ見なされる。なぜなら、もし死んだ者たちが起こされないとしたら、わたしたちは、神が起こさなかったキリストを、神は起こしたと、神について証しをしたからです。

15:16 事実、もし死んだ者たちが起こされないとしたら、キリストも起こされてはいない。

15:17 もしキリストが起こされていないとしたら、あなたがたの信仰は空虚であり、あなたがたはまだあなたがたの罪の中にいるのです。

15:18 そうだとすると、キリストにあって眠りについた者たちは、滅んでしまったのです。

15:19 もしわたしたちが、今の命において、キリストにあってただ単なる望みを抱いているだけだとすれば、わたしたちは、すべての人の中で最もあわれむべき存在となる。

15:20 しかし今やキリストは死んだ者たちの中から起こされ、眠りについている者たちの初穂となられたのです。

15:21 死が一人の人を通して来たのだから、死んだ者たちの復活もまた、一人の人を通して来たのです。

15:22 なぜなら、アダムにあってすべての者が死ぬように、そのようにキリストにあってもまた、すべての者が生かされるからです。

15:23 しかし、各自はそれぞれの順序に従うのです。初穂はキリストであり、次いでキリストの臨在におけるキリストのものである者たちであり、

15:24 次に終結です。その時、彼は王国を神また父に渡し、その時、彼はすべての支配とすべての権威と力を滅ぼす。

15:25 なぜなら彼は、すべての敵を彼の足の下に置かれるまでは、支配しなければならないからです。

15:26 最後の敵として死が滅ぼされる。

15:27 彼はすべてのものを彼の足下に従わせたからです。しかし、すべてのものが従わせられていると言われるとき、そのすべてのものを彼に従わせた方が含まれていないことは明らかです。

15:28 すべてのものが彼に従わせられる時、その時には息子自身もまた、すべてのものを彼に従わせた方に従うでしょう。それは、神がすべてのものにおいてすべてとなるためです。

15:29 そうでないとすれば、死んだ者たちのためにバプテスマされる者たちは、なぜそれをするのでしょうか。もし死んだ者たちの起こされることが全くないとすれば、なぜ彼らは死んだ者たちのためにバプテスマされるのですか。

15:30 わたしたちも何のために何時も危険を冒しているのか。

15:31 わたしは日ごとに死んでいる。兄弟たちよ。わたしたちの主キリスト・イエスにあって持っているあなたがたにある誇りによってこう言うのです。

15:32 もし、わたしが人間の考えによってエペソで獣と戦ったとすれば、それはわたしに何の益になるのか。もし死んだ者たちが起こされないとすれば、「わたしたちは食べ飲みしよう。わたしたちは明日死ぬのだから」。

15:33 惑わされてはいけない。悪い交わりは、良い習憤を損なうのです。

15:34 義しく目覚めていなさい。また罪を犯してはいけない。なぜなら、ある者たちは神について無知だからです。あなたがたを辱めるために、わたしはこう言うのです。

15:35 しかし、ある者は言うでしょう。「どのようにして死んだ者たちが起こされるのか。また、どのような体で彼らは来るのか」。

15:36 愚かな者です。あなたがまくものは、死ななければ生かされないのです。

15:37 また、あなたのまくのは、やがて成るべき体をまくのではない。ただ裸の種をまくのです。それは小麦、あるいはほかの何物かでしょう。

15:38 しかし神は欲するまま、それに体を与える。そしてそれぞれの種にそれ自身の体を与えられる。

15:39 すべての肉が同じ肉なのではない。むしろ、人の肉があり、また獣の肉があり、また鳥の肉があり、また魚の肉がある。

15:40 そして天上の体があり、地上の体がある。しかし、天上のものの栄光は一つのことであり、地上のものの栄光はまた別のことです。

15:41 日の栄光があり、月の栄光があり、星の栄光がある。事実、星は他の星と栄光において異なる。

15:42 死んだ者たちの復活もそのようです。朽ちるものでまかれ、朽ちないもので起こされる。

15:43 卑しさの中でまかれ、栄光の中で起こされる。弱さの中でまかれ、力の中で起こされる。

15:44 魂的な体でまかれ、霊的な体で起こされる。魂的な体があるなら、霊的な体もあるのです。

15:45 そのように書かれてもいる。最初の人アダムは生きた魂になった。最後のアダムは、生かす霊となったのです。

15:46 しかし、最初にあったのは、霊的なものではなく魂的なものであって、その後に霊的なものが来たのです。

15:47 第一の人は地から出た土の者ですが、第二の人は天から出た者です。

15:48 土の者たちはこの土の者ようであり、天的な者たちは天的な者のようです。

15:49 そしてわたしたちは土の者の像を担ったように、天的な像をも担うでしょう。

15:50 兄弟たちよ。わたしはこの事を言っておく。肉と血とは神の王国を継ぐことができないし、朽ちるものは朽ちないものを継ぐことがない。

15:51 見よ、わたしはあなたがたに奥義を告げる。わたしたちすべての者が眠